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クラシックなんか怖くない 9月4日放送分 |
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学校の音楽の授業でも習ったのに、なかなか馴染めないのがクラシック音楽。ちゃんと聴くとなると難しそうなイメージを皆さんもお持ちではないでしょうか。
でも当店のお客様は口を揃えて「難しくなんかない」と仰います。そんなお客様が教えて下さった「クラシック入門編」のお話を、ここで少しだけご紹介させていただきます。皆様のご意見・ご感想も、ぜひこちらからお聞かせ下さい。 |
| ■ | 島田雅彦さん(小説家)の
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『ウィリアム・テル序曲』で知られるロッシーニは、ベートーヴェンとほぼ同じ時代の人。当時はロッシーニの方が圧倒的に有名で、大スターで大金持ちなロッシーニをベートーヴェンが嫉妬しながら見つめている……みたいな関係だった。
『ウィリアム・テル序曲』はロッシーニが37歳の時に書いた最後のオペラ。その後、長生きした(76歳で死去)のに、そんなに若くして音楽をやめてしまったのは、一生遊んで暮らせるだけ稼いでしまったから。ロッシーニは「音楽界のナポレオン」と言われるくらいヨーロッパを制覇していた。現代ならマイケル・ジャクソンみたいな存在だった。 ロッシーニがそれほど人気になった理由は覚えやすいメロディだったから。レコードのない時代、覚えやすいメロディは最強の武器だった。ロッシーニはクラシックの作曲家だけど「元祖ポップス」と言ってもいい。 またロッシーニが幸運だったのは、ちょうどその頃に著作権みたいな概念が出てきたこと。レコードのない当時は、家で音楽を楽しもうと思ったら、楽団を呼んで演奏してもらうか、自分で演奏するしかない。そのための楽譜を買ってもらうのが大きな収入になっていた。
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| ■ | 大谷康子さん(ヴァイオリニスト)の
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クラシック音楽にあまり詳しくない人でも、バッハの『G線上のアリア』ならスーッと心に染み入ってくると思う。ヴァイオリンとしてはかなり低い音で、まるで人の声のよう。だからすごく気分が落ち着く。
エルガーの『愛の挨拶』は奥さんのために作った曲で、すごくロマンチック。柔らかくて甘い旋律がとても魅力的で、演奏時間が短いのも慣れていない人に向いている。 モンティの『チャールダーシュ』は浅田真央さんが世界選手権で優勝した時に使っていた曲として一躍有名になった。コンサートで演奏すると、最後には手拍子が起きるくらいワクワクする曲。 でも極めつけはサラサーテの『ツィゴイネルワイゼン』。誰でも知ってる有名な曲で、ヴァイオリンの低い音域から高い音域までを駆け上っていくように書かれている。 これは作曲したサラサーテがヴァイオリニストだったから。ヴァイオリンのことをよく分かっている人が、ヴァイオリニストのために書いている。だから弾き甲斐があるし、演奏を見ても、聴いても面白い。 この『ツィゴイネルワイゼン』、実はヨーロッパよりも日本の方が人気は高い。これは途中の哀しいメロディが日本人の琴線に触れるからだと思う。
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| ■ | 秋川雅史さん(テノール歌手)の
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声楽は「人間の声を楽器にして響かせる」のがその魅力。オペラは一応、物語もあるけど、やっぱりファンは「声」を楽しむために劇場へ足を運ぶ。すごい歌手のすごい声をぜひ楽しんでほしい。
特に男声の高音パート「テノール」は、通常の地声では出ない高い声を、訓練によって出せるようにした人たち。フィギュアスケートの三回転ジャンプと同じで、厳しい訓練を積んでやっと出るようになる声を操る。 オペラには聴かせどころとなる「アリア」と呼ばれる曲がある。非常に高い音域は、そのアリアの後半に登場するのがお約束。前半なら歌手も力が残ってるから楽なんだけど、後半は体力的に非常にキツイ。それを歌えるのが本物。 たとえばオペラ『トゥーランドット』は、テノール歌手なら誰もが「一度は歌いたい」と思う作品。荒川静香さんがトリノ五輪で金メダルを取った時に、このオペラのアリア「誰も寝てはならぬ」を使ったことでも知られている。 この「誰も寝てはならぬ」の最後の「ヴィンチェロ〜!」という高い声が本当に大変なので、三大テノールの1人、パヴァロッティのCDでぜひ聴いてみて欲しい。きっと声楽の魅力が感じられるはず。
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| ■ | 和合治久さん(埼玉医科大学保健医療学部教授・学科長)の
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モーツァルトは人間の耳の構造的に聴きやすい曲が多い。だから人間の副交感神経に作用して、心身を癒してくれる。
さらに脳ではセロトニンという物質が分泌される。このセロトニンはやがて睡眠物質のメラトニンになるので、誰でもすぐに眠くなる。モーツァルトを聴きながら目を閉じればスヤスヤと快眠できる。 また、モーツァルトは同じメロディを何度も繰り返す特徴がある。これは言わば日本のお経みたいなもので、睡眠物質を出す効果を高めている。それに加えて高い音が多く、脳に対して純粋に清らかに響く。 そうやって心地よく眠ることが健康には何よりも大事。朝、起きた時に頭がスッキリした状態は、ノンレム睡眠が成功した証拠。一方、体のだるさが取れているのはレム睡眠のおかげ。約90間隔で訪れるレム睡眠とノンレム睡眠のメリハリを付けるのに、寝る前に30分でもモーツァルトを聴くのが効果的。 免疫力の落ちている現代人には「ヴァイオリン協奏曲 第4番 ニ長調 K.218 第3楽章」が一番のオススメ。この曲は「聴くや否や唾液が出てくる」ほど効果がある。唾液の中には免疫物質が入っているので、薬と言ってもいいくらい。
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| ■ | 藤岡幸夫さん(指揮者)の
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ベルリオーズがまだ無名の若い作曲家だった頃、彼はイギリスからきた女優に熱烈な恋をした。毎日のように舞台に通い詰め、ラブレターを書き、楽屋の前で出待ちをした。
もちろん女優はそんなストーカーを相手にするはずもなく、逃げるようにイギリスへと帰っていった。そして傷ついたベルリオーズが書いた曲が『幻想交響曲』だった。 だから『幻想交響曲』の1楽章は「恋に破れた芸術家がアヘンを飲んで自殺を図る」というシーンから始まる。そして「恋に狂っていた自分の回想」が情熱的に綴られる。 2楽章では舞踏会で、3楽章では牧歌的な田園で、彼は恋人と幸せな時を過ごす。しかし急に不安に襲われ、恋人を殺してしまう。そして4楽章で死刑になり、5楽章で葬式が行われる。死んだ恋人も魔女になって登場し、踊り狂う狂乱の夜が繰り広げられる。 この『幻想交響曲』で一躍有名になったベルリオーズは、コンサートに事の発端となった女優を招待し、その女優と結婚。でも、ひどい悪妻だったらしく2年後に離婚した。 そんな『幻想交響曲』を11月にサントリーホールで演奏する。普段クラシックをあまり聴かない人にもオススメなので、ぜひ聴いてみて欲しい。
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■ 放送曲目リスト |
| Time | Title | Artist | Label | Number |
|---|---|---|---|---|
| 9'41" | Guillaume Tell | モントリオール交響楽団 | LONDON | POCL-1207 |
| 19'05" | ツィゴイネルワイゼン | 大谷康子 | 生演奏 | |
| 27'42" | Turandot - Act3 : Nessun Dorma! | Luciano Pavarotti, ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 | LONDON | POCL-2107 |
| 39'18" | ヴァイオリン協奏曲 第4番 ニ長調 K.218 第3楽章 | チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 | PIGLET | IKCR-9516 |
| 45’27" | 幻想交響曲 第2楽章 | ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団 | King Records | KICC 9514 |