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世界の食前酒
5月10日放送分

 スプマンテ、カンパリ、キール、ミモザ……当店でもいろいろな食前酒をご用意していますが「何を頼んでいいかわからない」というお客さまも多いようです。
 基本的には「好きなモノ」を飲んでいただくのが一番なんですが、飲んだことのないモノを頼むのはちょっと躊躇してしまいますよね。そこで本日は当店のお客さまが教えて下さった「食前酒」のお話を、ここで少しだけご紹介させていただきます。皆様のご意見・ご感想も、ぜひこちらからお聞かせ下さい。



荻野伸也さん(池尻大橋『OGINO』)の
『フランスの食前酒』の話
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 食前酒には「泡系」が多い。シャンパン・ベースのカクテルやビア・ベースのカクテルは食欲を刺激してくれる。
 もちろん生ビールでも良い。男性2人組だったらビールから始めて、その後に白ワイン、赤ワインとか。その辺は「好きなモノ」を飲むのが良いと思う。
 ただ、向こうの人はウェイティング・バーでマティーニを飲んだりしている。ビールでも全然構わないし、注文すれば嫌な顔などせずに持ってきてくれるはずなんだけど、星付きのレストランでする「特別な食事」はそういうところから始めるのかもしれない。
 もしビールをちょっとお洒落に飲もうと思ったら「シャンディガフ」なんてカクテルが定番。ビールとグレナデンシロップで作る「モナコ」というカクテルもある。シェリーやジンにトニックを入れたカクテルもお勧め。
 実はビア・カクテルをレストランで出すか出さないというのは微妙なライン。だからこそウチのお店ではどんどん提案していきたいと思っている。普段の生ビールとちょっと違ったカクテルで味わう非日常。値段的にもシャンパンを使ったカクテルよりこなれているし、いろんなビールの楽しみ方を知ってもらえたら嬉しく思う。
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花崎一夫さん(『バーテンダーズマニュアル』著者)の
『定番の食前酒』の話
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 「キール」というカクテルは、正しくはブルゴーニュ地方のアリゴテ種というブドウで作った白ワインとクレーム・ド・カシスで作る。というのも、このカクテルはキールさんという市長が地元のワインとリキュールを売り出すために作ったカクテルだから。
 イタリアの「ベリーニ」も、イタリアのベネト地方で作られるプロセッコ種というブドウを使ったスプマンテと、白桃のピューレで作るのが本当。日本ではグレナデンシロップを使うけど、ベネチアのハリーズ・バーでは使わないという噂も。
 キールの白ワインをシャンパンにしたのが「キール・ロワイヤル」で、さらにクレーム・ド・カシスをオレンジジュースに変えれば「ミモザ」。これも食前酒の定番。
 カンパリも最高の食前酒の1つ。苦みが苦手な人は「カンパリ・オレンジ」にすると良い。ちょっと大人の食前酒、シェリーなら、ちょっと熟成させた「アモンティリャード」が良い。ベルモットとの相性も良く「バンブー」「アドニス」といったカクテルもある。
 人を待つ時なら「アメリカーノ」がお勧め。カンパリ、スイートベルモット、ソーダで作るロングカクテルで、「アメリカ人」もしくは「愛しい人」という意味の名前。
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壇上桂太さん(恵比寿『ティオ・ダンジョウ』)の
『スペインの食前酒』の話
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 スペイン・バルの1杯目といえばビールかシェリーかカヴァ。特にアンダルシアの出身者が多いフラメンコ関係のアーチストは、シェリーの産地の出身だけあって「ワイン=シェリー」みたいな感じで飲んでいる。
 食前酒として知られるシェリーだけど、実はいろんなタイプがあって、ドライなタイプは食中もいける。
 シェリーというのは英語読みで、スペイン語読みだとヘレス。これは町の名前で、ヘレスとすぐ近くのサンルーカル・デ・バラメダとプエルト・デ・サンタ・マリアの3箇所でシェリーは作られている。
 サンルーカルはグワダルキビル川という大きな川が海に注ぐ河口の町で、ここで作られるフィノ(ドライ)タイプのシェリーを「マンサニージャ」と呼ぶ。海が近く潮風が入ってくるせいか、どこか塩分を感じさせるようなすごく軽いタイプのシェリーで、スペインでも非常に人気が高い。
 最近では日本にもマンサニージャがずいぶん入ってくるようになって、ウチのお店でもお酒が好きな人が「マンサニージャ下さい」と注文する光景が普通になった。食前に限らず食中もいけるので「シェリーグラスじゃなくてワイングラスで」と言うとちょっと通。
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井上充浩さん(赤坂『カステロ・ブランコ』)の
『ポルトガルの食前酒』の話
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 ポルトガルの食前酒はやっぱりポートワイン。日本ではあまり見かけないけど、白の辛口ポートワインを飲む。
 最近は甘口のポートワインをトニックウォーターで割った「ポルトニック」も流行っている。ポイントはミントを多めに散らして潰すこと。すごく爽やかで、ほのかに甘くて美味しい。
 ちょっと変わった食前酒なら、サクランボのリキュール「ジンジーニャ」を炭酸水で割った「ジンジーニャ・ソーダ」。梅酒のサクランボ版みたいな感じのリキュールなので、リキュールの中のサクランボをソーダ割りの中にも入れても良い。
 ポルトガルは意外なくらい暑い国。だからワイン用のブドウもよく熟す、つまりすごく甘くなる。
 そのブドウをワインにするということは、ブドウの糖分をアルコールに変えるということ。ところがポルトガル人は「こんなに甘くて美味しいブドウの糖分を全部アルコールにしてしまうのはもったいない」と考え、途中でブランデーを加えて発酵を止めてしまった。こうやって作られたのがポートワイン。
 せっかくの太陽の恵みを残したい。そんな気持ちがポルトガルの甘いお酒には込められているような気がする。
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メンザス・スピリドンさん(六本木『スピローズ』)の
『ギリシャの食前酒』の話
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 ギリシャ人の食前酒と言えば「ウーゾ」。アニスというハーブのお酒で、アメリカの真っ黒なお菓子「リコリッシュ」と同じ味がする。甘い中にミントの香りがするお酒。
 ウーゾは水を入れると白濁する。これはアニスがアルコール度数30度以下で白濁するため。つまりストレートだと透明なまま。ロックにすると最初は透明で、少しずつ白くなっていく。
 ギリシャでウーゾを注文する時は「ウーゾ」のひと言。すると300mlぐらい入る大きめのグラスになみなみとウーゾが注がれ、氷が1個だけ浮かべられて出てくる。もう1つのグラスには水が入ってるので、それがチェイサー。
 40度くらいあるお酒を食前に飲むのも、ギリシャの人なら別に驚くようなことじゃない。僕はクレタ島で朝9時にバーで楽器を演奏しているオジサンに捕まって、「チプロ」という40度くらいあるお酒を飲まされた。そこから2時間くらい、どんどん音楽は大きくなるわ、みんな踊り出すわ、お祭り騒ぎ。
 ところがその日はお祭りでもなんでもなく、普通の日だったので、そこからみんな「じゃあ仕事に行こう」と言う。そんなお国柄なので、食前にウーゾなんてギリシャ人にとっては何でもない。
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■ 放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
7'09" Bolinha De Papel Joao Gilberto World Pacific CDP 7 93891 2
19'47" Nega Do Cabelo Duro Astrud Gilberto Verve POCJ-2707
32'30" I Can't Resist You Peggy Lee Capitol 7243 8 56052 2 8
40'58" Discusso Sylvia Telles EMI 827535 2
47'55" A Banca Do Distinto Doris Monteiro EMI 829 712 2