放送曲目リスト2008年の放送一覧

これで一人前
2008年3月15日放送分

 当店でバーテンダー修行をしていた古出友香ちゃんが浅草のお店に戻って1年が経ちました。師匠のスタンさんは「1年後に……」と何やら約束をしていたらしいのですが、どんな約束だったんでしょうね。
 どんな世界でも一人前として認められるのは大変なようで、当店のお客さまも様々な「一人前になる苦労」を教えて下さいました。本日はそんなお話を、ここでご紹介させていただきます。



吉野建さん(『Tateru Yoshino』オーナーシェフ)の
『一人前のシェフ』の話
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 20〜30年くらい前なら、見習いから昇格する時にはジャガイモのチップをふくらませる「ポンム・スフレ」を作らされたものだった。ウチだったら“まかない”を作らせてみたり、店にある材料で「好きなモノを作ってみて」と言ってみたりしている。
 中には「リヨンの料理学校を主席で卒業した」なんて新人もいるので、どれぐらいのモノなのか作ってもらうこともある。でも食べてみたら「54点だね」なんて。別に厳しくしてるわけじゃなくて、正直に包み隠さず言っているだけ。
 一番のポイントは「焼く」技術。一般的に、子羊のローストには5段階の火入れ具合がある。その焼き加減を的確に使い分けられるなら、それだけで70点あげてもいい。ちなみに、一般的に一番美味しい焼き加減と言われるのは「ロゼ」。
 フランス料理には「プーレット」というソースがある。これは100年ぐらい前のソースで、卵の黄身と鶏のブイヨンをベースに、塩とレモン汁、ローリエ、タイムなどで作る。でも最近はほとんど見かけなくなってしまった。
 そのソースに限らず、たとえばウミガメを出しているのもウチくらい。フランス人のシェフでもそういう料理を知らなかったりする。
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さいとう・たかをさん(漫画家)の
『伸びる人』の話
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 もともと私はプロデューサーになりかった。作品を描く漫画家ではなく、企画を立て、スタッフを集める立場を目指していた。ところが結局、私が描くしかなかったので、さいとうプロも「さいとう・たかをのプロダクション」にしかなれなかった。これは残念。
 残念と言うよりは私の読み違い。作家同士はしょせんライバルでしかないので、作家がなんだかんだ言っても言うことなんか聞いてくれない。でも漫画家「さいとう・たかを」が作家を辞めたら経営が成り立たなくなる。これはどうしようもなかった。
 この世界でもっと読み違えたのは、この世界の人間は皆「我こそ天才」と思っていたことだった。
 昔、1人のスタッフが辞めると言い出した時に「君、いま辞めても何もできないよ?」と素直な感想を言った。すると彼は「先生も人間なら僕も人間、先生にできて僕にできないことはない」と言って出ていった。
 自分を冷静に見る目がないと、この世界は長くは続かない。だから私は、新しいスタッフにはいつも似顔絵を描いてあげている。その絵は「悪い部分」を強調して描くので、本人はその絵をなかなか認められない。それがいつしか冷静に認められるようになる人間は伸びる。
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市川右近さん(歌舞伎俳優)の
『名題試験』の話
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 歌舞伎の世界には「名題試験」という試験がある。一応、それに通れば一人前として扱ってもらえる。
 名題試験では歌舞伎界の大幹部がズラリと勢揃いする前で、決められた課題の寸劇や踊りを披露する。あれだけの大幹部が顔を揃えることはまずないので、とにかく緊張する。
 審査は襖を開けて稽古場に入る瞬間から始まっている。緊張の余り襖を右に開けるのか左に開けるのかもわからなくなる。座布団は置かれているけど、そこに座っちゃダメ。後ろにどかして座るのが礼儀。だったら最初から置かなきゃいいのに……とも思う。
 演目を披露した後は質疑応答。同門の市川笑也は八戸出身なので「八戸で獲れるイカの種類は?」と聞かれて「えっ?!」と絶句していた。「冗談だよ」と言われてやっと、からかわれていたことがわかったらしい。
 そうやって名題試験に受かれば形の上では一人前。でも「何をもって一人前か」と問われると、とても難しい。
 先日、師匠の市川猿之助がビデオを見ながら「まずい役者だねぇ〜」と呟いていた。そのビデオに映っていたのは師匠自身。あの師匠でさえ理想の半分くらいしかできていないのだとか。やっぱり修行は一生続くのだろうと思う。
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坂井利彰さん(プロテニスプレーヤー)の
『一人前のプロテニスプレーヤー』の話
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 テニスは世界ランキングの100位以内に入るようになって、やっと「プロスポーツ選手」として世間に認められる。もちろん、プロだから「スポンサーが付いた時点で一人前」という考え方も間違いではない。でもテニスは世界の基準で動いているので、その基準で言えば世界100位。
 日本にいるとわかりにくいけど、この世界100位というのは本当に厳しい。世界レベルの大会では、選手の出身国はアメリカやフランスといった大国から、キプロス、パラグアイといった小国まで、本当に様々。おそらく個人競技の中で競技人口が最も多いスポーツだと思う。
 そんなテニス界で先日、錦織圭選手がATPツアーを制覇したのは、日本人男子選手としては松岡修造さん以来、実に16年ぶりの快挙。去年の10月にプロ転向したばかりの18歳の快挙には、日本も驚いたけど世界も驚いた。かつてレイトン・ヒューイットが16歳で優勝していて、それ以来の驚きと捉えられている。
 彼は12歳にしてあらゆるショットのテクニックを完全に身に付けていた。しかもテニスだけじゃなくてサッカーやピアノも学び、様々な刺激も受けていたらしい。その幅の広さが今の活躍に繋がっていると思う。
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■ 放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
9'38" I'm In The Market For You Ann Richards Capitol TOCJ-5416
22'00" Day By Day The Four Freshmen Capitol CDP 7 93197 2
32'42" Loads Of Love Nancy Wilson Capitol 72435 33091 2 1
40'25" Moments Like This Peggy Lee Capitol 7243 98883 2 6