放送曲目リスト2007年の放送一覧

ウーマン・ジャズ
2007年8月18日放送分

 大人の空間「バー」に流れる音楽といえば、大人の音楽「ジャズ」。そこでこの度、当店のバーテンダー、スタンが選曲したジャズCD『Stan Selections from AVANTI』が発売されることになりました!
 このCDは古いスタンダードが中心なので直接の関係はないのですが、なんでも最近のジャズ界では、女性が非常に活躍しているのだそうです。そこで本日は、当店にいらっしゃった「ジャズ・ウーマン」のお話を、ここで少しだけご紹介させていただきます。



上原ひろみさん(ピアニスト)の
『ピアノの楽しさ』の話
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 ピアノを始めたきっかけは、よくある「母親にピアノ教室へ連れて行かれて」というパターン。でもそのピアノ教室が面白くてたまらなかった。特に初めての発表会では、自分がピアノを弾いたことでお客さんに喜んでくれるなんて初めての経験だったので、ずっとニコニコしながら舞台の上で何度も何度もお辞儀をしていた。
 私は小さい頃、虫が大好きでセミやバッタを捕まえたりしていたけど、ピアノもそんな楽しい「遊び」の1つという感覚だった。今でも「すごく練習する」と言うと「凄いですね」と言われるけど、好きなことなので苦痛じゃない。たしかに「つらい」と言われる練習もある。でも練習することで「弾けることが増える」という楽しみに繋がるので、練習中からワクワクしている。
 私はジャズが大好きだけど、実は同じくらいロックも好き。たまたまジャズ・レーベルと契約したためジャズ・ピアニストと呼ばれているけど、自分としては「ピアニスト」だと思っている。
 ジャズで一番好きな要素はインプロビゼーション。その日の演奏がどうなってしまうかわからない、その日の人生を運に任せる、みたいなところがリスキーでアドベンチャーがあって、面白いと思う。
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矢野沙織さん(ジャス・サックス奏者)の
『デビューまでの道のり』の話
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 アルト・サックスを選んだのは本当に偶然。小学校の時に入ったブラスバンドで、どの楽器をやるかをジャンケンで決めたのが最初だったから。
 その後、中学校へ進んだ頃には「将来はジャズマンになる」と思っていたので、高校へ行くつもりもなかった。でも私は「どうやってジャズマンになるか」という考えは全くなかったので「どうしよう?」と途方に暮れた。
 そんな頃にたまたま読んだのがビリー・ホリデイの伝記だった。彼女は14歳の時、食い詰めてキャバレーで歌ったら、一晩で大スターになったという伝説の持ち主。私はそれを読んで「それでいいんだ、お金がもらえればプロなんだ」と思って、ジャズクラブに電話をして「出演させてほしい」とお願いした。
 さすがになかなか上手く行かなかったけど、都内で1軒だけ、足立区の『カフェ・クレール』というお店が「とりあえずウチのライブハウスに来るプロのバンドに飛び入りしてみたら?」と言ってくれた。
 その飛び入りを続けていたら、偶然ライブを見に来たレコード会社のディレクターが「CDデビューしないか」と言ってくれたのが中3の秋だった。その事を父親が教えてくれたのは、高校に受かってからだったけど。
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市原ひかりさん(ジャズ・トランペッター)の
『アドリブ』の話
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 ジャズのアドリブは、1コーラス曲のメロディを吹いてから、そのメロディと同じサイズだけ、そのコードに沿ったアドリブをやるのが基本。
 アドリブを伸ばす時はメロディの整数倍で伸ばす。元のメロディに戻る時は「頭を指さす」のがサイン。私はソロのアドリブをひたすら回すよりは、最初からアレンジしてやりたい方なので、実際に頭を指さす機会は少ないけど。
 私はジャンルにこだわるつもりはまったくない。即興演奏さえあれば、それはジャズだと思う。ところがジャズの世界は、新しいモノがなかなか受け入れられない風潮がある。
 たとえばソニー・クラークの『ブルー・マイナー』という曲はサビがトランペット。私はそこをピアノにしても面白いんじゃないかと思うんだけど、実際にやったら苦情がきた。
 ジャズはたしかにマニアックな面もある。アドリブが何をやっているかわかるようになるにもすごく時間がかかる。だからそういう気持ちもわからないではない。でも私はそこを打破したい。
 ちなみに最近のジャズマンの傾向としては、タバコを吸う人が圧倒的に減った。そして「ズージャー」「シーメー」なんて業界用語を使う人もいなくなった。
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鈴木重子さん(ヴォーカリスト)の
『素晴らしいミュージシャンたち』の話
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 私はクラシック出身なので、ジャズを始めたのは25歳くらいだった。最初はリズム感が全然違うのに戸惑った。
 よくやった訓練が「歩きながらリズムを取る」という訓練。「ツクタ・ツクタ・ツクタ…」と言いながら歩く時に「ツ」「ク」「タ」それぞれで足を付きながら歩いたりした。この訓練をやるとリズムが流れるように繋がるようになる。
 ニューヨークのブルーノートで歌った時は現実とは思えなくて、実際にステージに上がっても夢を見ているようだった。でも、そこで毎日演奏している人たちがどれだけ凄いかが改めてわかった。そして「私もこんなミュージシャンになって、人と素敵なモノを分かち合えるようになりたい」と思った。
 私の1〜2枚目のアルバムで共演して下さったトゥーツ・シールマンスというハーモニカ奏者は『セサミストリート』のテーマ曲で有名な人。人柄はすごくいいお爺ちゃんなんだけど、演奏は凄かった。彼が一緒にソロを吹いてくれると、私の歌自体はプレーンな元々の音通りなのに、急にものすごく良い歌に聞こえた。
 トゥーツは「20年後にまた一緒に録音しよう」って言ってくれた。今年で10年なので、10年後が本当に楽しみ。
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小川隆夫さん(ジャズ評論家)の
『最近のジャズ事情』の話
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 最近のオススメは10月に来日する『ザ・カルテット』。メンバーはピアノの巨匠ハービー・ハンコックを筆頭に、ウェイン・ショーター、ロン・カーター、ジャック・デジョネットの4人。
 この4人は全員がマイルス・デイヴィスのバンドのメンバーだった人々。今回はマイルスへのトリビュートということで、日本だけで行われる非常に貴重なライブになる。
 ここ数年、日本のジャズ界は女性が元気で、その筆頭がピアニストの上原ひろみさん。彼女はバークリー音楽大学で「こんな凄いピアニストはいない!」と先生をビックリさせ、向こうのレコード会社でデビューして、すごい反響を呼んで日本に逆輸入みたいな形で戻ってきた。
 上原さんはピアノ、ドラムス、ベースの3人編成「ピアノ・トリオ」で演奏するんだけど、これはジャズで一番オーソドックスなスタイルでもある。だからあらゆることがやり尽くされたと思っていたけど、彼女のピアノ・トリオを聴いたら「まだこんなやり方があったの?!」と驚かされた。
 ニューヨークのタワーレコードには、彼女の大きなパネルが置かれていた。日本人という枠を越えて世界的に活躍する上原ひろみさんにはぜひ注目してほしい。
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■ 放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
9'45" Time Difference 上原ひろみ Telarc CD-83655
20'00" Donna Lee 矢野沙織 Savoy COZY-263
22'52" Manhattan Lee Wiley Sony SRCS
31'11" Stardust 市原ひかり After Beat POCY-60006
33'54" Blue Champagne Anita O'day Verve POCJ-2616
43'19" So Danco Samba 鈴木重子 BMG BVCJ-34631