
|
企画術 2007年5月19日放送分 |
|
|
会社勤めの皆さんは「企画」を考えるのにずいぶん苦労していらっしゃるようですね。考えに煮詰まって息抜きがてら当店へいらっしゃり、企画のヒントになるものを探している方もよくいるそうです。
当店のお客さまの中には「企画」について世間から高い評価を受けている方も何人かいらっしゃいます。そこで今週は、そういう方々がどうやって企画を考えているのか、なんてお話をここで少しだけご紹介させていただきます。 |
| ■ | 茂木健一郎さん(脳科学者)の
|
![]() |
|
人間は同じことを繰り返すと飽きる。だから新しいものを創り出す。
たとえば人間はどこでも「遊び」を考える。子供がその典型。しかも子供は、自分たちでルールを作ってしまう。グループの中に弱い子がいたら「みそっかす」にしたりするけど、その善し悪しはともかく、あれでゲーム的には結果を読めなくしている。 同じことを繰り返しているように見える職人も、実は微妙に変わり続けている。同じキャラクターを描き続ける漫画だって、連載の初期と後期では顔つきが全然違う。 そして人によって個人差があるので、社会全体としてはうまく行く。進化心理学では「全員が美人だったら、異性を引きつけるのに他の能力はいらない。でもそうではないので、魅力を補うために、人間はいろんな能力を発達させてきた」という説がある。つまり「全員が粘り強く仕事ができる性格」では社会としてのバランスが取れない。中には「すぐに飽きちゃう人」もいて、その人が他のことで補わないと。 脳は「間違い」から学ぶ。そして人が一番間違えるのは対人関係。いくら学んでも学びきれない対人関係でどれだけ学んだかが、その人の能力を決める。だから人間の脳は常に学び続ける必要がある。
|
| ■ | 小西利行さん(コピーライター)の
|
![]() |
|
僕には「コピーライティング=合コン論」という持論がある。
たとえばある合コンで女の子たちが野球帽をかぶっていたとする。それならその合コンでは野球の話をすべき。広告も伝える相手を理解して、何を喋るべきか考える必要がある。 そこで「阪神って最近調子悪いよね」なんて話をしたとする。しばらく経ってまた別のヤツがまた「阪神って最近調子悪いよね」と言っても「その話はさっき聞いた」となってしまう。広告でも同じで、どんなに良いネタでも二番煎じはダメ。 気遣いも重要。お酒がない女の子に「お酒がないよ」と言っても「そんなことわかってるわよ!」と思われるだけ。手を挙げて先にお酒を頼んであげると好感度が上がる。広告も「相手が何を欲しているのか」が重要。 合コンが始まってから時間が経ったら、全員に対して話すのではなく、誰かをターゲットにして話せば親密度が上がる。広告は基本的に全員に対して話すことなんだけど、しばらく経ってダイレクトメールなどが届くと、パーソナルな感じになっていい。 こんな風に、広告で大切なことは合コン必勝法に相通ずる。なんて話を学生にしたら「合コンしたらいいんですね!」と言われて閉口した。
|
| ■ | 中野俊成さん(放送作家)の
|
![]() |
|
『親孝行プロジェクト!人生で一番恥ずかしい休日』は芸能人が親孝行する番組。もともと僕は年に2度、親を連れて温泉へ行っているんだけど、それを「企画になるか?」と思ったのが出発点だった。
『最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学』は免停の「違反者講習」を受けていて思いついた。健康番組の企画を頼まれていたので「健康違反者講習」なんて面白いと思ってあの番組を考えた。 『大改造!!劇的ビフォーアフター』の時はミステリー小説にハマっていた時期だった。それで「リフォームを探偵小説的に描いたらどうだろう?」と考えた。そんな風に、1つの素材を何と掛け合わせると面白いかを考えることは多い。 それから、作っている人の気分、出ている人の気分、見ている人の気分、そんな「気分」も大事だと思う。だから日曜日の午後の番組だったら、その時間帯の「気分」を考える。とは言っても、夏に正月番組の企画を作っていたりするので、なかなか難しいけど。 ちなみに『ビフォーアフター』は「お婆ちゃんを喜ばせるリフォーム」を念頭において作って、結果としてうまく行った。放送作家は一般人に向けて企画を考える仕事なので、一般人から離れちゃいけないと思う。
|
| ■ | 横井昭裕さん(株式会社ウィズ代表取締役社長)の
|
![]() |
|
「トゲのある企画」の「トゲ」とは「違和感」のこと。いろんな情報の飛び交うこの時代、当たり前のことでは見過ごされてしまう。見過ごされないような違和感があって、それでいて誰でも使えるようなバランスのモノが一番売れる。
たとえば僕の企画した『たまごっち』もそうだった。ああいうゲームはそれまでになかったし、1980円と誰でも買える値段だった。たまごっちに限らず、調べてみるそれくらいのバランスのモノがヒットしている。 昔、僕はある車を「普通の道もまともに走れる四駆なんてつまらない、売れないだろう」と思ったことがある。でもその車はヒットした。四駆というトゲがありつつも、ちゃんと普通の道も走れるというバランスが良かったのだと思う。僕自身は非常にマニアックな人間なので、売れる商品が良い商品だとは決して思わない。でも売れる商品はそういうバランスになのだろう。 最近はガーデニングに凝っていて、バラのアーチも今年はかなり良い感じで咲いた。そういった遊びをするといろんなことを考えるので、直接的に企画に結びつかなくても、脳の訓練になっていると思う。だからどんな趣味も最低3年はやらないと、趣味とは呼べない。
|
| ■ | 星野俊明さん(扶桑社)の
|
![]() |
|
企画を通す時は「社内」が大事。どんなに自分が「売れそうだ」と思っても、上の人間が「なんだこれ?」と言ってしまったら終わり。プレゼンテーションの能力が社内で発揮されなければ、どんなに良い企画も通らない。
だから僕は若い人に「どう騙すかだ」と言っている。騙して、企画が通って、当たれば良い。当たらなければ狼少年になってしまうけど、出版の世界では3回くらいまでは許される。 また同じ企画でも「どう見せるか」は重要な問題。たとえば『ツレがうつになりまして。』という本がヒットしているけど、実はウツの本は山ほどある。でも中身を漫画にして、このタイトルにしたら、すごく売れた。 編集者がテーマを探し、どういう見せ方をして、そして最後に誰に書いてもらうか。そうやって企画書はまとまる。新書なんかでスポーツについて経済学者の大学教授が書いていたりするのは、だいたいそんな感じで決まっている。『さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 』なんて本もそうだと思う。 最近は当たった本が出ると、似たタイトルの本もたくさん出るようになった。これが二番煎じくらいまでは売れたりする。三番目はダメだけど。
|
|
■ 放送曲目リスト |
| Time | Title | Artist | Label | Number |
|---|---|---|---|---|
| 8'28" | Brigas, Nunca Mais | Joao Gilberto | World Pacific | CDP 7 93891 2 |
| 20'28" | Aruanda | Astrud Gilberto | Verve | J30J 20115 |
| 32'26" | Amor De Nada | Marcos Valle | EMI | 829370 2 |
| 42'20" | So' Me Fez Bem | Wanda Sa | Bomba | BOM 506 |
| 48'07" | Fantastico | Peggy Lee | Capitol | 7243 8 56056 28 |