放送曲目リスト2007年の放送一覧

Bar月間 〜その3〜
2007年4月21日放送分

 最近、常連のお客さまが盛んに「新しいAVANTIのカクテルブックをぜひ!」と仰るからか、他のお客さまも、よくバーやお酒のお話で盛り上がっていらっしゃるようですね。
 カクテルブックの行方も気になりますが、今週も「バーとお酒」のお話を中心に、常連のお客さまが語っていらした素敵なお話をいくつかご紹介させていただきます。



城アラキさん(コミック『バーテンダー』原作者)の
『バーで飲む酒』の話
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 漫画『医龍』の監修をしていた永井明先生が亡くなられた時に、その最期を看とったのは友人のバーテンダーだったと言う。その話を聞いてから、バーで「そんな時、あなただったら何を出しますか?」とバーテンダーに聞いている。
 「もっと頑張って生きろ!」というメッセージを伝える人もいれば、「あなたの一生はこれで良いんだ」というイメージの人もいる。その人が初めて来た時に飲んだウイスキーの水割りだったり、あるいはとても古いコニャックだったり。
 僕は「バーは昨日と同じ今日が明日も続く場所」だと思う。人間は毎日いろんなことがあって、どんどん変わっていく。でもバーは10年経っても変わらないままそこにある。そんな魂のアンカーになってくれる場所であってほしい。
 正直、楽しい時はバーじゃなくていい。誰にも語れない辛さを抱えた時にバーへ行く。だからバーで飲む酒は必ずしも美味しいとは限らない。大人の酒はどこか苦いものを含んでいる。
 そしてバーテンダーはいつもカウンターの中から、そんな「本人も気がつかない顔」を観察してお酒を出している。だから同じレシピのカクテルでも、人によって味が違う。
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太田和彦さん(グラフィックデザイナー)の
『全国の素敵なバー』の話
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 山形県の鶴岡市に『89(ヤグ)』というバーがある。亡くなったご主人の後を継いで奥様がやっているバーだけど、その奥様も80歳は過ぎていらっしゃるので、おそらく現役女性バーテンダーとしては日本最高齢。シャンと背筋を伸ばして、男物のシャツにネクタイを締め、鮮やかな手さばきでカクテルを作るその姿は尊敬に値する。
 盛岡には『バロン』という古いバーがある。ここにはまるでお坊さんのようなマスターがいて、この人のオリジナルカクテル「アザミ」は本当に美味しい。アザミの花のように重くて、苦くて、強いカクテル。アザミはスコットランドの国花で、踏まれても踏まれても立ち上がってくる意志の強い花。そんなアザミをイメージして、2年の苦労の末に作り出したのだとか。
 長崎の『やまもと』というバーは、60年代のインテリアがそのまま残っていてレトロ・モダンな雰囲気。ここのご主人、山本さんは日本で一番白ワイシャツが似合う人だと思う。その山本さんも70歳は越えていらっしゃるけど、バーテンダーが完成の域に達するのは60歳を過ぎてから。それは技術もさることながら、やっぱり人柄でやる仕事だから。
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千田宏之さん(早川書房『ミステリマガジン』編集長)
『ロング・グッドバイ』の話
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 村上春樹さんが再翻訳した『ロング・グッドバイ』。もともと日本では清水俊二さんの翻訳『長いお別れ』でよく知られていて、村上さん自身も清水さんの翻訳を読んで育ったので、すごくリスペクトしている。
 清水さんの翻訳で「さよならを言うのはわずかの間死ぬことだ」は、村上さんの翻訳では「さよならを言うのは少しだけ死ぬことだ」となっている。また、清水さんの「飲むのなら自尊心を忘れないようにして飲みたまえ」は、村上さんだと「もしプライドがあるのなら、こいつ(※お酒)に向かって見せてやるんだな」となる。全体的に、映画のセリフのように短くて格好良い清水さんと、文章の流れに忠実で自然な日本語にした村上さん、という印象。
 ちなみに、この小説の有名一節「ギムレットはジンとローズのライム・ジュースを半分ずつ」というレシピは、本当にその通りに作るとかなり甘いギムレットになると思う。
 今回の翻訳が終わった時に、村上さんは「とても楽しかったので、ぜひまたやりたい」とおっしゃっていた。その次の作品とは『Farewell My Lovely(さらば愛しき女よ)』。いつになるかまだわからないけど、楽しみにしていてほしい。
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立川笑志さん(落語家)の
『落語とお酒』の話
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 お酒は昔から「百薬の長であり、命を削る鉋(かんな)」と言われ、程よく飲めば良いけど、飲み過ぎるといけない、とされてきた。
 ある落語のお話には、酒好きな親子が登場する。ある時、2人で禁酒の約束をするが、倅が外出している隙に、父親はついお酒を飲んでしまう。1杯飲んでしまうと、もうちょっと、もうちょっと、と杯を重ねてしまい、すっかり出来上がってしまう父親。そこへ息子が帰ってくる。
 父親は必死で酔いを悟られないように「倅よ、今日はどうだった〜?」と言うと、倅も倅で「ただいま帰りました〜!」とすっかり出来上がっている様子。お互いに「約束を破ったじゃないか!」となじりあい、父親が「お前みたいな倅にこの身代は譲れないぞ!」と言うと、倅が「こんなグルグル回る家はいらねぇ!」というお話。
 この「親子酒」に限らず、落語にはお酒に関するエピソードが山のように登場する。そして落語は庶民の芸能。つまりそれだけお酒が庶民に愛されてきた、ということなのだろう。
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渡部潤一さん(国立天文台)の
『木星と太陽』の話
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 地球が太陽の周りを回っているのは、回っているおかげで残っている、ということ。回っていないモノはスピードがなくて、すでに太陽に落っこちてしまった。そのせいで太陽はもの凄く大きい。
 木星ぐらいの大きさでも、数百年に1度くらいの頻度で大きな天体が衝突している。1994年には木星にキロメートル・クラスの彗星がぶつかった。わき上がったキノコ雲は3000kmもの高さに達し、地球からも観測出来たほど。
 木星は地面のない星。一番外側はガス状になっていて、奥へ行くと重力の影響でそれが液体になり、さらに奥へ行くと液体金属になっている。どこまでもドロドロの液体で、固体の地面がない。
 この構成は太陽に非常に似ている。成分的にも水素とヘリウムなので、太陽と一緒。もし木星が今の60〜80倍くらいの大きさだったら、もう1つの太陽になっていた。
 太陽の中心部では水素がヘリウムに変わる「核融合」が起こっている。中心部で発生したエネルギーが太陽の表面まで出てくるのに数十万年が掛かり、それからやっと光と熱として放射されている。
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■ 放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
10'04" Days Of Wine And Roses Blossom Dearie DIW 32DIW 311CD
20'16" Just You, Just Me Thelma Gracen Emarcy EJD-3069
27'58" What Is This Thing Called Love Julie London 東芝EMI TOCJ-5308
35'34" My Heart Blongs To Daddy Della Reese RCA BVCJ-2026
48'16" Trevo De 4 Folhas Joao Gilberto World Pacific CDP7 93891 2