ウチのお店では、麻布のお店に13〜14人、全体で60人くらいの人が修行をしている。そこから「独立してお店を持てる」ようになるためには「料理ができる」だけじゃダメ。キャラクターが非常に重要。
たとえば20坪前後で20人くらいが入る小さなお店でも、月に200〜300人を動かせる能力がいる。だからウチのお店にいる時もなるべくカウンターに出して、お客さんのウケが良い子を見極めている。まだ技術がなくても、最初はキャラクターでお客さんは来てくれる。その後は本人の努力次第。
独立するかどうかは、本人のやる気次第。「やりたい」という人を「ダメ」と止めることはできない。また逆に、アドバイスをしてあげることはできるけど、それ以上の手助けもできない。
「支店」もお店が儲かっているから作るというわけじゃない。お店にずっと長くいてくれる人に居場所を作ってあげるために支店を作る。そうしないと、長く居続けてもずっと下の仕事を続けなきゃいけなくなる。それではつまらないだろうということで、支店を作って下の子たちを上にあげて、新しい空気を入れる努力をしている。
僕は30年前の考え方の人間。だから新しい子が入ってくれば「あ、こういう時代なんだ」と新しい空気に触れることができる。そうやって新しい人を入れないと、会社だって空気がよどんでしまう。
僕自身は7年で独立したけど、あまりに早く独立してしまうと、進化することを学べないと思う。たとえば僕らは会社の朝礼で「1年生は1年でお新香とご飯の本を書けるようにならないとダメだ」と言っている。お新香とご飯は1年生の仕事。まずは目の前にある仕事で工夫することを覚えれば良い。
そうすれば次の年は焼くことを覚えて、次の年は煮ることを覚えて、その積み重ねで何年かすれば一人前になれる。とにかく目の前の仕事に対して「どうすればもっとうまくやれるか」と常に考えることが大事。それができない人は何をやってもダメ。