SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2007年2月3日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「豆」

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 今日、2月3日は節分の日。神社の豆まきに参加したり、年の数だけ豆を食べたり、日本らしい行事を楽しまれた方も多いことでしょう。
 「鬼は外、福は内」の掛け声通り、豆をまくのは「鬼(邪気)を追い払う」ためですが、そこに豆が登場する理由は、陰陽五行説や「魔滅(まめ)」説など、諸説あるようです。私、小穴は単に「硬くて痛いから」だと思っていました。本気で投げられると、鬼役はけっこう辛いですよね(笑)?
 さて本日の当店は、節分の豆まきをしてきた方が多いのか、さまざまな「豆」のお話をされているお客さまがいらっしゃいました。今日はそのお話を、ここで少しだけご紹介させていただきましょう。


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吉田よし子さん(食用熱帯植物研究者)の

『豆の力』の話

 豆(マメ科)という括りは非常に大きなグループ。木もあるし、ツル植物もある。そんなマメ科の植物の中に、食べられるモノがいくつかある。
 普通、植物の種は比較的小さくて、数が多い。そして多少食べられてしまっても「数が多ければいくつかは残るだろう」という作戦で子孫を残す。ところがマメ科の植物は、そういう作戦の植物の中では非常に大きな種を付けるのが特徴的。中には直径5cmくらいの豆もある。
 その大きくて栄養たっぷりの種は、真っ先に動物に狙われる。そのため豆の中には毒を含ませているモノが多い。だから豆を食べる時はよく煮る必要がある。場合によっては「茹でこぼし」と言って、茹でた時に出るアクの泡を捨てるくらいの工夫がいる。ただし茹でこぼしは日本人ならではの工夫で、インド人は「豆本来の香りが抜ける」と言って嫌がる。
 インドでは水に漬けた豆を2つに割って、皮を除いて、干して食べたりもする。皮を除くのがポイントで、皮には動物に食べられないよう毒が入っている度合いが大きい。毒と言っても死ぬほどではないけど「食べると苦い」とか「お腹を壊す」程度の効果で食べられないようにしている。
 だから豆を料理するのはけっこう手間が掛かる。花豆なんて、ウチの母は3日がかりで煮ていた。実はこの花豆、青い内なら枝豆みたいにサッと煮て食べるとすごく美味しい。青い内はまだ栄養もそれほどないので、動物が食べに来ず、毒もまだない。それが熟して栄養分がいっぱいになると、3日がかりで煮なければいけなくなる。
 植物の種には、植物が芽を出して、ある程度の葉と根を作るまでの栄養がすべて詰まっている。そこまで成長しないと、植物は外部から栄養を吸収できないから。青豆の段階ではそこまでの栄養がないので、他の動物も手を出さず、従って毒も必要ない。
 豆腐、味噌、納豆、醤油、豆を使った食品はどれも茹でこぼしなどの工夫が施されている。豆腐などは濾して液体だけを使っているくらい。ただ、栄養分はそちらにほとんど含まれているので大丈夫。インドネシアではさらに、おからを発酵させて納豆に似た食品「テンペ」を作る。
 このテンペは大豆そのものにカビを付けて、真っ白なカビに覆われたような見た目。これをスライスして、油で揚げて煮込んだりするととても美味しい。
 豆は世界中で愛されている。豆がなかったら大変なことになる。植物性のタンパク質はほとんど豆から来ている。豆は本当に偉い。

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丸山健太郎さん(軽井沢『丸山珈琲』)の

『コーヒー豆』の話

 コーヒーの豆はコーヒーの木になっている。「チェリー」なんて呼ばれる赤い実で、わずかな果肉と1組の種が入っている。それを干したり乾かしたりして周りの部分をうまく取り除き、中心の種の部分を取り出す。そしてさらに種の周りを覆っている薄くて堅い皮を脱穀して、やっと生の豆になる。
 そこで「良い豆」は、お天道さまと土壌に恵まれた畑から、農園の人が丁寧に収穫したモノ、というのが大前提になる。しかもそれを丁寧に処理して、はじめて良い豆になる。
 コーヒーは世界中で飲まれているので、世界中で生産されている。たとえば日本でも沖縄で生産している人がいるし、オーストラリアでも生産されている。気象条件的に生産できる範囲は限られていて「コーヒーベルト」という言葉もある。北半球で言えば中国の雲南省あたりが北限。逆に気温が高すぎてもダメなので、赤道に近づくにつれ標高の高いところで作っている。原産はエチオピアで、もともとはジャングルの中で自生したモノを、商業用に栽培するようになった。
 ウチで豆を仕入れるために行く場所は中米と南米が多い。エルサルバドル、コスタリカ、グアテマラ、パナマ、ホンジュラス、去年はドミニカに行って来た。アフリカならエチオピア、それからザンビアは面白かった。南米ではコロンビア、ブラジル、ボリビアなど。ボリビアは首都のラパスが標高3600mというすごい国で、普通、空港から農園へは「上がっていく」ものだけど、ボリビアの場合は「下りていく」のがすごかった。
 コーヒーの分類は「国」で区分されていたり「地域」で区分されていたり、ちゃんと統一されていない。たとえばブラジルに「サントス」というコーヒー豆があるけど、これは輸出港の名前に由来している。つまりある程度の基準に達している豆がサントスから輸出されると「ブラジル・サントス」と呼ばれる。それでも日本に「飛騨牛」「神戸牛」「仙台牛」なんて違いがあるように、コーヒーも豆によって味が違う。
 ブラジルなら私がよく買うのは「スルデミナス」。これはブラジルで伝統的なチョコレートやアーモンドっぽい風味のコーヒー豆。それからカルモデミナスという村とクリスチーナという村はすごいコーヒー豆を作るところで、いつも品評会で上位を独占している。ここへはブラジルの伝統的なコーヒーとは違うモノを求める時に買いに行く。
 カルモデミナスでは「ペレイラさん」や「カルロスさん」みたいな生産者単位で評価される。その人の農園のどの山のどの辺りで採れたモノ……という具合に指定して買い付けるので、まるでグラン・クリュの世界。

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山岡一敏さん(東京青果・野菜第三事業部)

『枝豆』の話

 枝豆はあのまま育てれば大豆になる。ただ現在は「枝豆として食べるモノ」と「大豆まで育てるモノ」では品種が違う。それでも枝豆も、そのまま育てれば見慣れた大豆の形になって、大豆として収穫することはできる。
 種を蒔いてから枝豆として収穫するまでは、だいたい3ヶ月程度。八百屋などでも見かける「枝」の付いた枝豆が、そのまま地面から伸びている姿を想像してもらって良い。真ん中の枝に対して側枝が伸びていき、その分かれ目に花が付いて実がなる。だから分かれ目が多ければ多いほど、節の間が短ければ短いほど収量が増える。
 最近流行りの「だだちゃ豆」は登録商標。つまり愛称や銘柄の1つで、品種ではない。だだちゃ豆は茹でた時に中の薄皮が茶色く見え、その甘みと香りで人気になっている。山形のだだちゃ豆に対して、新潟の「新潟茶豆」も有名。だだちゃ豆と較べるとスッキリした味で、クセがない。見た目も、だだちゃ豆に較べると普通の枝豆に近い。
 枝豆は鮮度が重要で、採ってからもの凄く鮮度が落ちやすい品目の1つ。葉モノなら鮮度が落ちれば萎れるので分かりやすいけど、枝豆は見た目ではわからない。でも鮮度が落ちると中の糖度が落ちたりしているので、採ってから2日も経てば味はだいぶ変わってしまう。たまに僕も産地に行って、その日に収穫した枝豆を振る舞ってもらう機会があるけど、あれは本当に美味しい。
 枝豆は茹でる前に一度洗う。その時に少し塩で揉むと、茹であがった時に色が鮮やかになる。毛を落とすためにこすり洗いをするという面もあるけど、塩を混ぜてやることでだいぶ違ってくる。そして茹でる時にも塩をパラパラと入れてやると、出来上がりが全然違う。
 とれたての枝豆を食べられるのは、作っている人たちの特権。昔は田んぼのあぜ道などに枝豆を植えて、帰りに採って夕飯の食卓に乗せていたりしたのだとか。その枝豆こそが一番美味しい枝豆。

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津本順一さん(岡地株式会社・日本橋支店)

『小豆相場』の話

 10〜20年前までは小豆相場が業界の花形商品だった。値動きが激しいので、100万円を注ぎ込んで1ヶ月で1000万も得したとか損をしたとか、そんな話をよく耳にした。
 でも今は石油やトウモロコシの方が値動きが激しくなったので、むしろ小豆は値動きの少ない銘柄になっている。だから先物取引を最初から勉強するなら、小豆は良い銘柄だと思う。
 10年前の小豆相場は、100万円を動かしていたら、1週間後にはゼロになるか300万円になるかどっちか、というくらい動きが激しかった。小豆のマーケットは歴史が長く、これを主体とするプロが数名いる。その1人1人が億単位で勝負してくるので、何人かが偶然同じポジションになってしまうと、大暴騰や大暴落が起こる。
 ここ4〜5年、小豆市場がちょっと下火になっているのは、石油などの新しい海外の商品が入ってきたため。その結果、小豆に目を向ける人が少なくなった。ただ、小豆は唯一の国内商品なので、他のマーケットと違って、北海道の小豆畑を見て「売りか買いか」を判断できる。これがトウモロコシだとアメリカまで行かなければいけないし、石油だと世界情勢を考えなければいけない。でも小豆なら北海道で良い。中には本当に北海道まで飛行機で行く人もいるらしい。
 原則として、台風が来る前は「買い」。夏に南の方で台風が発生して、北海道を直撃するかどうかもわからない内に相場は上がる。ただ、台風が逸れたら暴落する。そしてたとえ直撃しても、その後は天気が良くなることが多いので、そうなるとまた値段は下がる。
 つまり小豆の相場は基本的に非常に単純で、天気が良ければ下がるし、悪ければ上がる。それだけでお金が増えたり減ったりするので、株よりも忙しい。
 小豆相場を始めるには、最低4万2千円から始められる。倍率が80倍で、10円刻みで動くので、10円上がれば800円、1000円上がれば8万円という計算。昔、『およげ!たいやきくん』のヒットの時は小豆が大暴騰したのだとか。先輩に「それで小遣いを稼いだ」という話を聞かされたことがある。

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山本哲さん(恵比寿『魚豆根菜 やまもと』)

『豆料理』の話

 「魚豆根菜」というのは「日本人が今まで食べていた食事をもう一度見直そう」という考えを込めている。「美味しい」だけじゃなくて、日本人が生きるためには魚と豆と根菜が体に良いのではないか、そう考えて名付けた。
 豆は小豆を使ったお粥や「呉汁」などで使っている。呉汁は新潟など寒い地方の郷土料理で、乾いた大豆を茹でて潰して、ダシと合わせて根菜を入れ、具だくさんにした味噌汁のような料理。お酒のつまみにも豆を使う。大豆を醤油に漬けたモノは、茹でた大豆を熱い内に醤油と酒、昆布、鷹の爪などを合わせた調味料に漬け込むだけ。そうすると中まで煮締まっていく。
 この間「貝豆」という豆を初めて見せてもらった。大きさは2cmくらいで、シジミやハマグリのような模様が入っている。僕も本では見たことがあったけど手に取ったのは始めてで、あれはあれで面白いと思った。
 一口に豆といっても肉質によってエンドウ豆系や大豆系などイロイロある。ウチでも出している「花豆」はちょっと柔らかい肉質で、それを甘く炊くことによってそのうま味がが良く出る。「虎豆」はその名の通り、虎の柄をした豆。「鞍掛豆(くらかけまめ)」は緑色の豆の真ん中が黒くなっている。
 豆は単体で勝負するのは厳しいので、ウチの「魚豆根菜鍋」にアクセントとして加えたりしている。豆は腹持ちが良くて、すぐにお腹一杯になってしまうのが悩みどころ。最初の頃はいろんな種類の豆を使っていたんだけど、「お腹一杯になっちゃうから少な目にしてくれ」という声が多くて、最近は減らすような工夫をしている。

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■ 放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
8'45" I Never Knew Meg Myles Liberty TOCJ-6073
20'27" The Coffee Song Frank Sinatra Columbia CK57152
31'30" Night And Day Steve Lawrence Capitol CDP 7243 8 53411 2 0
41'37" Peanut Vender Anita O'day Verve POCJ-1907
47'34" Do What You Wanna Do Diahann Carroll Collectables COL-CD-6192


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