コーヒーの豆はコーヒーの木になっている。「チェリー」なんて呼ばれる赤い実で、わずかな果肉と1組の種が入っている。それを干したり乾かしたりして周りの部分をうまく取り除き、中心の種の部分を取り出す。そしてさらに種の周りを覆っている薄くて堅い皮を脱穀して、やっと生の豆になる。
そこで「良い豆」は、お天道さまと土壌に恵まれた畑から、農園の人が丁寧に収穫したモノ、というのが大前提になる。しかもそれを丁寧に処理して、はじめて良い豆になる。
コーヒーは世界中で飲まれているので、世界中で生産されている。たとえば日本でも沖縄で生産している人がいるし、オーストラリアでも生産されている。気象条件的に生産できる範囲は限られていて「コーヒーベルト」という言葉もある。北半球で言えば中国の雲南省あたりが北限。逆に気温が高すぎてもダメなので、赤道に近づくにつれ標高の高いところで作っている。原産はエチオピアで、もともとはジャングルの中で自生したモノを、商業用に栽培するようになった。
ウチで豆を仕入れるために行く場所は中米と南米が多い。エルサルバドル、コスタリカ、グアテマラ、パナマ、ホンジュラス、去年はドミニカに行って来た。アフリカならエチオピア、それからザンビアは面白かった。南米ではコロンビア、ブラジル、ボリビアなど。ボリビアは首都のラパスが標高3600mというすごい国で、普通、空港から農園へは「上がっていく」ものだけど、ボリビアの場合は「下りていく」のがすごかった。
コーヒーの分類は「国」で区分されていたり「地域」で区分されていたり、ちゃんと統一されていない。たとえばブラジルに「サントス」というコーヒー豆があるけど、これは輸出港の名前に由来している。つまりある程度の基準に達している豆がサントスから輸出されると「ブラジル・サントス」と呼ばれる。それでも日本に「飛騨牛」「神戸牛」「仙台牛」なんて違いがあるように、コーヒーも豆によって味が違う。
ブラジルなら私がよく買うのは「スルデミナス」。これはブラジルで伝統的なチョコレートやアーモンドっぽい風味のコーヒー豆。それからカルモデミナスという村とクリスチーナという村はすごいコーヒー豆を作るところで、いつも品評会で上位を独占している。ここへはブラジルの伝統的なコーヒーとは違うモノを求める時に買いに行く。
カルモデミナスでは「ペレイラさん」や「カルロスさん」みたいな生産者単位で評価される。その人の農園のどの山のどの辺りで採れたモノ……という具合に指定して買い付けるので、まるでグラン・クリュの世界。