42歳にしてロック・バンドを始めた。この前は下北沢のスタジオに5時間こもって、自分と同じく「初めてバンドをやる」という仲間たちと練習をしてきた。
終わった後は反省会。その反省会が楽しみでやっているという面もある。そこで「オレタチ(というバンド名でもある)、カッコつけ過ぎなんじゃないか」という話が出た。
そう言い出したのは最年長のメンバー「ジョニー」改め「ユパ」。ユパが言うには「ロード(道=道彦=箭内さん)はバンドを表面的にカッコ良くしようとしすぎてないか?もっと心の底から歌いたいこととか、本当に伝えたいことをやらないとダメなんじゃないか」と。
そこでその日から、僕はエレキ・ギターをやめて、アコースティック・ギターにした。バンド自体もアコースティックな音楽に変わり、今はロックというよりはフォーク。どうも自分たちがやりたい音楽は、最初からそっちだったらしい。
最初は歌いたい歌をコピーしようかと思っていた。たとえば吉田拓郎さんとか。でもやってみたら「これはオリジナルじゃなきゃダメだな」ということになった。
なんでこんなに頑張っているかというと、ライブが決まっているから。それでバンドのメンバーはみんな焦っている。今は「もう自分をさらけ出すしかない」というところに行き着いて、ずっと曲作りに没頭している。
僕はこう見えて作詞作曲の経験がある。たとえば「きっかけはフジテレビ」の時に水前寺清子さんが歌っていた『きっかけ音頭』は僕の作詞作曲。それから「UNO」のUNOバンドが歌っていた『No.1』という曲も僕の作詞。そんな実績があるのに、仕事の依頼は一度もない。
とりあえず今はお酒を飲みながら自分たちの曲を作っている。その辺は「天賦の作曲家」みたいな形だけまず真似てやっている。それでも良い気分になるから「これだ!」という曲ができる。つい2〜3日前、そう思って作った曲を翌日に弾いてみたら、Puffyのデビュー曲そっくりだったけど。
初めてやることはすごくビビるし、だいたいは失敗する。でもそのドキドキ感が好き。仕事でも「タワーレコードみたいな感じのポスターを作って下さい」なんて言われるのは一番つまらない。それよりも「ラジオのパーソナリティー」とか、初めてやることに挑戦したい。
ロック・バンドは今まで最大の「初めて」。世間では40歳は「不惑」と言われるけど、僕は「惑々(ワクワク)」という感じ。