SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2006年11月18日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「日本茶」

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 実家にいた頃は冬になるとストーブの上にヤカンが置かれ、常にお湯がわいていました。昔はそのお湯を使って何かにつけお茶を飲んだものですが、東京に出てきて一人暮らしを初めてからは、お茶といえばもっぱら冷蔵庫のペットボトルになりました。
 日本人の生活とは切り離せない「お茶」ですが、身近すぎて詳しいことは意外と知らないものです。そんなお茶のあれこれを、当店のお客さまがバーカウンターの四方山話で教えて下さいました。今日はそのお話を、少しだけここでご紹介させていただきます。


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高宇政光さん(日本茶インストラクター)の

『お茶今昔』の話

 日本茶インストラクターは7年前からある制度。身近にあるようで、意外と分からない日本茶。だから「ちゃんと基礎的なことを勉強しよう」ということで、この制度が始まった。
 日本茶インストラクターになるには、日本茶の歴史、製造方法、陶器などの道具など、日本茶にまつわる様々なことを勉強する。最後には認定試験もある。現在は1500人くらいの日本茶インストラクターになっている。
 その半分くらいはお茶屋さんやお茶の生産家。美味しいお茶の入れ方をレクチャーできるような知識と技術を持とう、という趣旨でこの制度は生まれた。
 日本のお茶は1000年以上前に中国から渡ってきたと考えられている。でも当時は高価なモノだったし、ある種の薬として入ってきていたので、庶民が飲むモノではなかった。それが江戸時代の中頃には、様々なお茶が国内で作られるようになり、初めてお茶が庶民も飲むモノになった。
 ただ、江戸時代のお茶は今のお茶とはタイプが違った。ここで思い出して欲しいのが「茶色」という言葉。茶色と言えば土のような色だけど、「茶」の色のはず。つまり当時のお茶は「茶色」だった。
 江戸時代にも抹茶や煎茶はあったけど、非常に高価な商品だった。ところが抹茶や煎茶に使う新芽の他にも、お茶の木の下の方には前の年から生えている固い葉が残っている。そういう葉っぱも利用できると思った人がいるらしく、釜で煎って日干しにしたり、お湯で煮て揉んで日干しにしたりして、お茶にした。それが庶民のお茶だった。
 日干しにしたのはそれが手軽だったから。ただし、お日様に晒すと紫外線に当たって、葉緑素が茶色く変色してしまう。だから当時のお茶は茶色だった。そして、そうやって作ったお茶を土瓶などで煮出して飲んでいた。
 もし当時から現代のようなお茶を飲んでいたら、茶色は緑になっていたはず。でも茶色が茶色である以上、当時のお茶は茶色だった。

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栗山進一さん(東北大学大学院助教授)の

『緑茶の効能』の話

 お茶は医学上、大変注目されていた。動物実験や細胞レベルではいろんな良い効果が知られていた。僕の専門は人を対象とした研究で、いろんな食べ物や生活習慣がどう病気に関連するかを調べる「疫学」をやっていたので、お茶の研究をすることになった。
 研究はまず「今、どれくらいお茶を飲んでいるか」を聞くところから始めた。大勢の人に緑茶、紅茶、ウーロン茶、それぞれをどれくらい飲んでいるかを聞いた上で、その後にどんな病気を発症したかを追跡調査をした。
 それでわかったのが、紅茶やウーロン茶ではそれほど大きな違いは見られないけれど、緑茶を飲む回数によって結果がまったく変わってくるということ。これは4万人を対象に、最長11年を追跡した結果わかった。
 もちろんその中には「まったく飲まない人」もいる。区分としては「1日1杯未満」「1〜2杯」「3〜4杯」「5杯以上」の4グループ。このグループ分けをして11年も追跡すると、ずいぶん違いが出た。
 たとえばあらゆる死因を含めた「死亡の危険度」を較べると、1杯未満のグループを1とした場合、5杯以上のグループは男性0.88、女性0.77という割合になる。その原因が何なのかをさらに解析すると、心臓病や脳卒中などの循環器系の疾患は男性で0.87という割合だった。ところがガンは1.11。つまり緑茶は、循環器系には効果があるけど、ガンには効かないことがわかる。
 女性の場合はさらに明快だった。5杯以上飲んでいる人なら循環器系の疾患で亡くなる割合が0.69、でもガンは1.0。傾向は同じでも男性よりもさらに顕著になる。
 緑茶はダイエットに効くというデータもある。それから認知症にも効く。厳密に言えば、認知症の前に「認知障害」という状態がある。この認知障害の割合を緑茶は半減させる。
 この緑茶の効果には世界が注目している。日本人は身近すぎて気付かないけど、世界中からものすごい注目を集めている。やはり植物には底知れない薬効があるのだろう。その中でも茶葉の中に含まれるポリフェノールが、とんでもない作用を持っていてもおかしくないと思う。
 フランス人に心臓疾患が少ないのは、ワインのおかげだと言われている。それに較べて日本人は、喫煙率が高く、食塩摂取が多いために血圧も高く、健康診断の受診率も低い。それなのに世界一の長寿国。この矛盾はフランスどころの騒ぎじゃない。欧米の人たちはずっと「何か秘密があるはずだ」と、ずっと日本に注目していた。
 ところがどんなに欧米で緑茶の動物実験をしても「飲んでいる人間のデータ」は緑茶が普及していないために集められない。それで「早く日本で集めてくれ」と言われ続け、ようやく私たちの研究データが出た。
 世界一の長寿国の秘密の1つは「緑茶」にある可能性が高い。そう欧米諸国は睨んでいる。

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尾崎浩司さん(青山『Radio』店主)の

『お茶と水』の話

 高校2年生の時から茶道を初めて、バーテンダーになった頃にはかなりお茶のキャリアは積んでいた。今も従業員や料理人にはお茶を習わせている。それくらい、バーテンダーと茶道は相通ずるところがある。
 美味しいお茶を点てる人は、いろんなことに神経を使っている人。そして心を込めてお茶を点てる人。お茶の温度、濃さ、お湯の量、茶碗、いろんな要素でお茶の味は変わってくる。それはカクテルもまったく同じ。
 オン・ザ・ロックだって、氷がどこの水で作られているかでまったく違った味になる。何度くらいで作られた氷なのか、実際にグラスの中に入れる時の温度はどれくらいなのか、それによってウイスキーから立ってくる香り、印象、味わいがみんな変わってくる。
 お茶の場合は、空気の含ませ方や温度の設定で味が違う。暑い時はぬるめが良いし、寒い時はちょっと熱めの方が美味しく感じる。この温度の調整は、熱いお湯の傍らに水を用意しておいて、お湯と水をブレンドすることで行う。そして1杯ごとに様子を見て、温度を設定する。
 80歳のご老人の場合はちょっと熱さに弱くなっているので温めに点てるし、若い人は熱い方を好む。これがオン・ザ・ロックなら、若い人ならうんと冷たい方を喜ぶし、年配者ならさほど冷たくしない方が喜ばれる、ということ。こういう気配りは、普段の生活の中で当たり前のように使い分けている。コーヒーや紅茶を入れる時も、軟水と硬水の差、少しガスが入っているかどうかなど、モノによって使い分ける。
 普段飲む日本茶に関して言えば、軟水の方が美味しい。日本は基本的に軟水だけど、場所によっては硬度が高い水もある。輸入のミネラル水なら硬度を見た方がいい。硬度が高いと、お茶の香りが出ない。外国の水でも、フランスの水はお茶に向いていないけど、イギリスの水は向いている。
 日本の水は地下水、井戸水、川の水、谷川の水など、天然に湧き出た軟水がほとんど。実は水道の水も、良い浄水器を通せば美味しい。なによりも「汲みたての水」であることが重要で、井戸水でも「先月汲んだ水」では意味がない。新しい水の方が酸素もたくさん含んでいるし、フレッシュな香りが強い。
 使う前にビンを揺すって酸素を混ぜるという手もある。浄水器を通した水道水も、蛇口から出る時に勢いで酸素が混ざり込むけど、さらにビンに半分くらい詰めて振ることで酸素を多く含ませることができる。ただ、酸素を含みすぎても良くないとも言われる。
 そうやって酸素を含ませた水は、火にかけて沸騰した時点で火を止めれば、酸素が飛ばない。美味しいお茶を入れる秘訣はここにある。

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中澤裕子さん(歌手)の

『お茶好きな生活』の話

 出身地の京都の福知山はお茶の名産地。だから子供の頃からお茶は大好きだった。むしろ甘い飲み物は好きじゃないくらい。お茶か炭酸水、そして夜はビール。
 温かいお茶は普通、缶なら350ml。それを1日に何本飲むかわからないほど。350mlの缶のお茶が冷める前に飲み干してしまう。そのためにいつも新しい温かいお茶をマネージャーさんが用意してくれる。
 朝起きた時はミネラルウォーター。そしてシャワーを浴びて、ストレッチをして、豆乳を飲んで仕事へ。そしてマネージャーさんに「おはようございます」と挨拶するとお茶が出てくる。
 仕事場に着いて一息ついたら、またお茶。冷たいお茶は好きじゃないから、冷たいお茶だったら常温になるまで待つ。たまに買ってきてもらったものの、飲む暇がなくて、開ける前の缶の横に新しいお茶が並んでいることもある。でもその飲み損ねたお茶は持って帰って「今日はお茶がいっぱいある」って楽しみになっている。
 お菓子をいっぱい食べるのが幸せな人もいるけど、私の場合は飲み物。飲み物がいっぱい並んで、好きな時に好きなモノが飲めるの状態はすごく嬉しい。
 みんなは「このお菓子にはこのコーヒー」とか言うけど、私はなんでもお茶。ケーキもお茶だし、甘いモノにはなんでもお茶。それ以外は「気分転換に飲んでもいいけど……」というレベル。
 理想を言えば、急須で入れるお茶がベストなんだけど、それは入れてくれる人がいないと……。

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谷口良三さん(京都『福寿園』茶匠)の

『伊右衛門』の話

 『福寿園』は京都市内の南の方にある。宇治と木津川の境くらいにある山城町が本社。宇治はお茶の産地であり、製造地でもある場所。日本の中でも一番高品質なお茶ができる環境だと思う。
 茶匠というのは、お茶の仕入れ全般から、お茶のブレンド、加工の指図などを行って、要求される品質まで仕上げるのが仕事。TVのCMなどでもお馴染みの『伊右衛門』のような大量に生産する商品でも、自分で全部やっている。
 たしかに量的なことを言えば『伊右衛門』はかなり多い。それでも基本的な部分は他の商品と変わりはない。「去年の『伊右衛門』と今年の『伊右衛門』は味が違う」なんてことにならないようにコントロールするのが私の仕事。
 いつも気をつけているのは「悪い品質のモノは仕入れない」ということ。「ちょっと悪いけど、これだけなら構わないだろう」と思って入れてしまうと、その味がモロに出てしまう。たとえば上級なお茶にちょっとだけ番茶を加えたとする。するとその番茶の味が強烈に出てしまい。上級なお茶がダメになってしまう。だから一定の品質以上のモノだけで揃えることが基本になる。
 『伊右衛門』が普通のリーフの調合とちょっと違ってくる点は、冷やして飲むことが多いところ。温めて飲む味わいと冷やして飲む味わいはかなり違っていて、冷やして飲む時はかなり味覚が鈍感になる。そこで「美味しい」と感じてもらうためには、ちょっとコク味があったり、お茶本来の奥ゆかしさを感じてもらえるよう調整している。
 急須で入れるお茶なら、煎茶で60ccくらいだし、玉露なら20ccくらいしかない。その少ない量でコク味や奥ゆかしさを感じるモノ。ところがペットボトルだと500ml。それをゴクゴクと飲んだ時に、一番要求されるのは喉の渇きを癒すことと、清涼感。それだけだったら『伊右衛門』の役割はない。それにプラスして急須で入れた時のコク味や奥ゆかしさを感じてもらえるよう、非常に神経を使っている。
 日本のお茶の生産量は10万トンくらい。ここ数年、ペットボトルのお茶がブームになってどんどん比率が増え、逆にリーフが下がってきている。必ずしもペットボトルのお茶がブームになっているからといって、お茶の消費量が増えているわけではない。
 ただ、私としてはお茶をたくさん飲んでもらって、生活の中に根付いてくれればと思う。

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■ 放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
8'42" How About You Lucy Ann V.S.O.P #6CD
21'24" Cha Cha De Amor Dean Martin Capitol 7243 8 55393 2 9
33'25" Agua De Beber Nara Leao Philips PPD-1054
40'46" Tea For Two Della Reese RCA BVCJ-2026
48'56" Too Marvelous For Words John Pizzarelli Noveus 01241


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