『トゥールダルジャン』のスフレが有名になったきっかけは1952年。エリザベス妃(現2世女王)が新婚旅行でパリのトゥールダルジャンへいらっしゃって、その晩餐会でスフレをお出しした。
晩餐会でスフレを出すということだけでも難しいのに、さらに「2色のスフレ」という工夫を施した。バニラとチョコレートによる2色のスフレは、魔法のようにしか見えない。それがきっかけとなって、トゥールダルジャンのスフレ、というよりもスフレそのものが有名になった。
スフレの歴史を紐解くと、1720年代頃から、今の形ではないもののスフレの原型のような食べ物はあった。それはメレンゲの発明がきっかけになっている。ただ、今のようにキレイに器に入れるような物ではなかった。
メレンゲという言葉も、どこから伝わったのか諸説がある。一説によると、ポーランドの王様が娘をルイ15世に嫁がせた時に、ポーランドからいろんな文化が伝わって、その中に「メレンゲ」があったのではないか、と言われている。
卵という食材は今でこそ普通だけど、昔は非常に貴重な物だった。だから「卵を使ったスイーツの研究」なんて遊びのようなことは、王様でもないとできなかったはず。だからポーランド王室説には信憑性がある。
それから時が流れて1952年に、トゥールダルジャンのスフレが有名になった。その1952年とまったく同じスフレを、東京店でも食べられる。もちろんバリエーションも増えていて、チョコレートやバニラの種類も工夫されている。
バニラはラン科の植物の雄花が原材料。葉巻と同じように、切って熟成させると、あの香りになる。人工のバニラもあるけど、味はまったく違う。そして国や土地によってもまったく違ってくるので、いろんなバニラがある。その中から選び抜いたバニラを使っている。
今でもトゥールダルジャンで一番人気のあるデザートはスフレ。それは「美味しい」ということだけじゃなくて、「待つ」ということで期待が高まるのだろう。注文してから早くても15分。お客さんが多ければもっと掛かる。
もし待つのが嫌だったら「アヴァン・デセール」と言って、デザート前に半分の量のデザートを頼むと良いかもしれない。アヴァン・デセールを楽しんでいる間に、スフレが出来上がる。