SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2006年10月14日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「フレア・バーテンダー」

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 映画『カクテル』でトム・クルーズが披露した、まるでサーカスのような、華麗なカクテルの作り方を「フレア・バーテンディング」と呼びます。当店は(というより日本のほとんどのお店は)その流儀ではありませんが、「お酒を楽しむ」ための演出としては素晴らしい技術です。
 本日はそのフレア・バーテンディングの専門家、北條智之さんを始めとして、「見た目で楽しませる」ことに長けた皆さんが、当店のバーカウンターでグラスを傾けながら話し込んでおられました。そのお話を、少しだけここでご紹介させていただきましょう。


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北條智之さん(日本フレア・バーテンダーズ協会会長)

『フレア・バーテンディング』の話

 「フレア」という言葉は「自己表現」「自己アピール」という意味で、バーテンダーがバーツールやボトルを投げながらカクテルを作るスタイルを「フレア・バーテンディング」と呼ぶ。
 このフレア・バーテンディング、実は150年ぐらいの歴史がある。最初はサンフランシスコでジェリー・トーマスさんという人がやり始めた。現在は世界で1万2千人くらいの人がフレア・バーテンダーをやっている。日本では500人いるかいないかぐらい。
 フレア・バーテンディングには「ワーキング・フレア」と「エキシビジョン・フレア」の2つのスタイルがある。ワーキング・フレアでは、お客さんのオーダーを受けて、普通のバーテンダーがカクテルを作るのと同じくらいの時間でパフォーマンスを入れながらカクテルを作り、お客さまに提供する。
 ただしその時は、どんな技でもできるというわけじゃない。ボトルに入っている量もまちまちなので、それらに対応して技をチョイスして、こぼれないように技を使いながらお酒を提供する。
 一方、エキシビジョン・フレアでは「ドリンク」よりも「技」を重視したスタイル。フィギュア・スケートのようにルーティーンを作り、1つのボトルを取りだして、お酒を注ぐまで1分間くらいボトルを投げ続けたりしながらカクテルを作る。場合によっては1つのカクテルを作るのに5分くらいかけることもある。
 もちろん、そんな風に「ショー」としてカクテルを作りつつ、ちゃんと飲めるカクテルを作る。こぼしてしまったらお店としてもロスになってしまうし、そもそもフレア・バーテンディングはカクテルの商品価値を上げるためのモノだから、自己満足の技ではフレア・バーテンダーとして失格。
 お酒が飛ばないようにするためには遠心力を利用する。つまりボトルを回転させるので、液体が多すぎても少なすぎても都合が悪い。エキシビジョン・フレアの時は、1〜2オンス(30〜60ml)ぐらいの液体をあらかじめセットしておく。そして強くボトルを回転させると液体に遠心力がかかり、ボトルの首根っこをパン!と掴んだ時に、ちょうどお酒が出てくる。
 回転にもいろいろある。直線的な2回転、前方向の縦回転をさせる「インフロント」、ヘリコプターのプロペラのように回す「ヘリコプター・スピン」、頭の後方から投げたり、腰あたりから投げたり、いろんな投げ方がある。
 具体的には、ボトルの中身が1/3以下なら、お酒がこぼれずにちょうど1回転できる。それ以上入っているとお酒が飛んでしまうので、その時は回転をかけない技を使う。手を持ち替えたり、昔のドリフのヒゲダンスでバケツをグルグル回していたのをパフォーマンスとして洗練させた技など使ってカクテルを作る。

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木村隆男さん(幕下格行司)の

『初っ切り』の話

 聞いたところによると、相撲は18世紀の中頃から始まっていて、初っ切り(しょっきり)も幕末頃から始まっていたとのこと。
 初っ切りは「初」が「初め」、「切り」が「終わり」という意味。つまり相撲の初めから終わりまで全部を見せる出し物。これは幕下以下の力士が担当することになっている。だいたい太った力士と痩せた力士の組み合わせになっていて、今なら2組4人が練習を重ねている。
 内容的には、コミカルに相撲の決まり手や禁じ手を演じるモノ。相手のマゲを掴んだり、蹴ったり、ボクシングみたいにグーで相手を殴ったり、お酒を飲んで土俵に上がったり、そういう禁じ手も全部見せる。演出は伝統的なやり方が受け継がれてはいるけど、みんな各自でちょっとした工夫をしている。
 本場所ではやっていないので、見ようと思ったら巡業がオススメ。それから国技館で見ようと思ったら「花相撲」の時。辞めた力士の断髪式や福祉相撲、トーナメント大会などで初っ切りを披露している。
 初っ切りにも行司は必要なので、幕下の行司が交代で務めることになっている。行司も口上を言ったりする。これは別に稽古をしてるわけじゃなくて、巡業で先輩がやっているのを見ている間に覚えてしまう。
 初っ切りは約10分ぐらい。その間にいろんな技や禁じ手を繰り出すので、力士の動きも素早い。それも初っ切りの魅力の1つ。

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おおちさん・大谷ノブヒコさん(ダイノジ)と かながわIQさん(エアギタージャパン会長)

『エアギター』の話

 僕(かながわIQさん)はエアギターを5年くらい前から知っていた。今年の世界大会が第11回だから、それくらい前からロイターのニュースなどでは流れていた。初めて映像を見たのが5年前くらいで、「すげぇ!こんな世界大会があるんだ!」と驚いた。
 ところが調べてみたら、その世界大会に日本が参加していない。「これはもったいないんじゃないか」と思って、拙い英語で本国とやりとりして、マリカという前会長がニューヨークに来た時に契約を結んで、日本に持ってきた。
 エアギターを日本に持ってくること自体は簡単なんだけど、実はその時の契約で、年貢みたいなモノを毎年納めることになっている。この金額が国ごとに決められていて、アメリカと日本だけがべらぼうに高い。その額はサラリーマンの年間の稼ぎに匹敵する金額。
 そんな苦労をして日本で始めたエアギターだけど、この1年くらいでやっと認知されだした。去年、初めてサマーソニックでエアギターの日本大会を開いて、金剛地武志さんが優勝。世界大会でも4位を取って、やっとテレビなどで紹介されるようになった。
 そして今年、おおちさんが世界大会で優勝した。おおちさんのエアギターは確かに演芸色があるけど、予選にはもっと演芸っぽい芸人さんがいっぱい出ていた。むしろおおちさんは「あ、音楽好きのオーソドックスなエアギターだな」と感じた。
 エアギターはロックとの共鳴。いい音楽を聴いて、勝手に手が動く、というロッカーたちの遊びの延長線上にあるので、単に芸人がネタをやるだけではダメ。そこがおおちさんはしっかりしている。
 エアギター界は戦国時代に入りつつある。以前は、金剛地さん以外の人は全員ハードロック/ヘヴィーメタル系の、たとえばヴァン・ヘイレンなどでテクニックを競うという方向だった。速弾き、タッピング、ライトハンド、そんな技術を競って盛り上がっていた。そこにおおちさんのような演芸系のネタが加わって、ザ・フーとか布袋さんのようなイメージも出てきた。
 おおちさんは世界大会で30本のギターを折った。フィンランドのまったく知らない曲に合わせて、弾いては折り、弾いては折りを繰り返し、最後にタイミングを完璧に合わせて膝でギターを折った。それを見た審査員は「ギターが折れるのが見えた」とコメントした。

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土屋健二さん(サッカーデモンストレーター)

『リフティング』の話

 私は連続で15時間くらいリフティングを続けることができる。途中で止めていいのなら、2日くらい続けられる。背中にボールを乗せて寝て、ゴハンは流動食、お手洗いは我慢する。
 長時間続けるコツは、1回ごとのリフティングでなるべく力を使わないこと。だからボールに集中しちゃダメ。いかに集中しないでボールを扱うかが肝心。ちなみに世界記録は19時間5分31秒。以前に世界記録に挑戦しようとしたけどスポンサーが半分くらいしか集まらなかったので、延期になっている。
 リフティングはフォーム。膝が伸びた「ロボット・リフティング」では、200回続いてもあまり評価は高くない。膝を曲げた、力が抜けた状態でリフティングしないとダメで、いかにボールに柔らかくタッチするかが肝心。これはサッカーの試合中のことを考えればわかる。
 サッカーは「トラップ」のスポーツで、ボールが自分のところに飛んできた時に「いかに弾ませないか」が勝負のポイントになる。だから柔らかいタッチでピタリと止める。50cm跳ねたらもう失敗。
 そのためにはから中の力を抜いて、ボールがピタリと張り付くように止める。自分がカーテンになったような感覚。そのためにはボールが来た時だけじゃなくて、普段から上半身が揺れるように動いている必要がある。ペレやマラドーナやロマーリオは、常にそれくらいリラックスしながら走っていた。
 今まで会った人の中で一番嬉しかったのはペレ。1997年の世界サッカーセミナーで、世界各国から1人ずつペレと対談できる番組があった。そこで私はリフティングを披露して、ペレに絶賛してもらった。ペレから「一緒に世界中を回ろう」と言ってもらえたんだけど、その前に「ポルトガル語を覚えて欲しい」と言われたので、今は勉強中。
 そんなに難しい技を披露したワケじゃないけど、「揺れるような体の使い方」を評価してもらえたんだと思う。それが何よりも嬉しかった。

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エール橋本さんとユンボ安藤さん(東京ペールワン)

『西口プロレス』の話

 西口プロレスは「プロレスごっこ」。本物のプロレスと同じ場所で、同じ格好をしてやっているけど、子供の頃にやったプロレスごっこから、もうちょっとレベルを下げたイメージ。子供のプロレスごっこみたいな危険なことは大人には出来ない。
 だから全員、ソフトタッチでマナーモードのレスリングをしている。もちろん殴られれば「痛いっ!」という顔をする。痛いとか痛くないという問題じゃなくて、ごっこだから。
 西口プロレスの3箇条は「台本重視」「筋肉禁止」「安全第一」。血が出るのなんてもってのほか。たまにアクシデントで血が出るとパニックになる。幸い、お客さんは「ケチャップだろう」と思ってくれているみたいだけど。
 出演しているのはほとんどが芸人。あとはクリーニング屋とか携帯ショップの店員とか。試合は月に1回で、片手間で西口プロレスに出演している。彼らは別に「本当はお笑い芸人に……」とかじゃまったくなくて、普通に働いている人たち。単に選手と仲が良かったので出演するようになった。
 長州小力の「パラパラ」も、最初は西口プロレスだった。西口プロレスでは休憩時間があって、みんな漫才やコントなどのちょっとした催し物をやっている。そこで小力は「俺はパラパラやる」と口からでまかせを言ったら、人数が足りなくて本当にやることになってしまい、しかもけっこうウケた。それが最初だったから、世間の人は1〜2年前から知るようになったと思うけど、実は5年くらい前からやっている。
 一応、台本はちゃんと作るんだけど、みんな忘れてしまうので台本通りにはなかなかできない。だからお客さんにはアドリブっぽく見えてしまうらしい。
 選手はオリジナル技もいろいろ考えている。三平×2(みひらさんぺい)という選手が6年間ずっと必殺技として使っているのは「超安全式パイルドライバー」という恐ろしい技。この「安全式」という部分が西口プロレスそのものを表しているような気がする。

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■ 放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
9'06" It Don't Mean A Thing June Christy Capitol 7243 498319 2 6
18'53" Let's Face The Music And Dance Matt Monro Capitol CDP 7243 8 31775 2 3
26'25" 'S Wonderful Julie London Liberty TOCJ-5981
34'33" Ain't That A Kick In The Head Dean Martin Capitol CDP 7243 8 29386 2 0
47'07" Jump For Joy Peggy Lee Capitol 7243 8 54543 2 5


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