SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2006年9月23日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「ベスト・コニサー」

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 土曜日の夕方、当店「AVANTI」のウェイティングバーは大勢のお客様で賑わい、様々なお客さまがグラスを傾けながらお喋りを楽しんでおられます。
 そういったお客様たちこそが当店の自慢です。映画、音楽といった柔らかい話から、政治、科学のような堅い話、珍談奇談に、怪しげな噂話などなど、みなさんとても面白い話をして下さいます。
 誰が言い始めたのかは分かりませんが、常連のお客さまの間では、そんな面白い話をする方々を、敬意を込めて「コニサー」と呼んでいます。なんでもフランス語で「目利き、玄人」という意味らしいのですが。
 お時間がございましたら、そのコニサーのお話に耳を傾けながら、素敵な夕方の一時を過ごしていきませんか?


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渡部潤一さん(国立天文台)の

『冥王星』の話

 冥王星をどうするか決める会議に出席してきた。天文学者の集まりなので、政治や経済の国際会議と違って、根回しは無し。純粋に個々人の思いを議論して決めた。
 もともと、会議の執行部は「惑星を増やす」という案の方に傾いていた。しかもその案には「発見したらすぐに惑星かどうか判定できる」というメリットがあった。
 でも、惑星というのは、たとえて言うならニワトリのようなもの。小さな卵のような小天体が衝突・合体を繰り返して、ニワトリまで育つと考えられている。そしてニワトリまで育つプロセスには、育っている途中のヒヨコの状態があったはず。
 そのヒヨコの状態が冥王星だということがわかったきた。今回発見された「第10惑星」も、そんなヒヨコの1つ。冥王星のあたりにはそんなヒヨコがいっぱいいる。
 報道で言われる「アメリカの科学者たちが冥王星を惑星として残そうと画策していた」というはまったくの噂に過ぎない。アメリカ人とはいえ、会議に出席しているのは天文学者。国境のない学問に携わっている人たちなので、意見はそれぞれバラバラだった。もちろんヨーロッパも日本も、それぞれ各人の意見はあっても、特に偏っているということは無かった。
 最終的には、「12個に増やす」という案に賛成したのは約25%、残り75%は「増やすよりも減らした方がスッキリする」ということで結論が出た。ただ、実は惑星が8個になるせよ12個になるにせよ、どちらも非常に似た案だった。
 というのも、議論をしてみたら「揉めるくらいだったら定義なんてやめちまえ」「惑星って言葉自体がよくないから名前を変えよう」「キリよく1000km以上の大きさなら全部惑星にしてしまおう」「地球から見た時の明るさで決めては」なんて、ものすごくいろんな意見が出た。その中で「8個か12個か」という議論は「ヒヨコの存在をどうするか」という点で非常に噛み合った議論だった。
 「1000km」という意見に対しては「マイルはどうするんだ」なんて反対意見も飛び出したり、そういうところを見ても、みんな純粋に「惑星の定義をどうすべきか」を考えていたと思う。「明るさで決めよう」と言った人は昔の研究仲間だったので、最終投票の前に「どっちに賛成するの?」と聞いてみたら「どの案にも反対だ」なんて言っていたし。だから全員一致はありえないけど、大多数の人が納得できる案を作れたのでは。
 結論としては、惑星かどうかは「周りに同じようなサイズの天体があるかどうか」を見て判断することになった。周りに同じような天体があれば、まだヒヨコからニワトリに育つ可能性がある、ということ。育ちきって初めて「惑星」と呼ばれるようになる。
 ただ、これは観測的には非常に厳しく、将来、非常に大きな天体が遠くに見つかった場合、その軌道領域全部を見渡して「同じような天体がいない」と確認できないと惑星とは呼べない。そういうことは恐らく起こらないだろうと考えられてはいるけど。
 ちなみに冥王星を見るのはなかなか難しい。普通の望遠鏡ではまず無理で、50cm〜1mくらいの望遠鏡を使わないと見えない。私も一度だけ見せてもらったことがあるけど、正直どれが冥王星かわからなかった。たぶん、会議に出席した人たちも、99%は見たことがないはず。天文学者は自分の目で見ることにはあまり興味がないので。

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青木晃さん(恵比寿アンチエイジングクリニック院長)

『モナリザダイエット』の話

 「モナリザダイエット」は「Most Obesity Known Are Low In Sympathetic Activity」の頭文字を取ったダイエット法。日本語に訳すと「太っている人の大多数は交感神経の活性が低かった」という意味になる。
 つまり自律神経の状態が悪いと、何をやっても痩せない。脂肪を分解して、その分解した脂肪を燃やす仕組みは、自律神経が動かしている。だから自律神経がその歯車を回転させなければ、いくら食事を減らして運動を頑張っても痩せない。
 そこでモナリザダイエットでは自律神経の状態をリセットして、痩せる体質に持っていく。そのために日々の生活の中で、意識や考え方を「都市型原人」にする。都市の便利な生活を享受するのもいいけど、ちょっと不便な昔の生活習慣をマネするといい。
 たとえば「週末のプチ断食」。これは別に「断食して痩せよう」ということではなく、腹ペコになると生きる力が湧いてくるから。というのも、現代の生活ではなかなか「健全な空腹感」を感じることはほとんどないため。
 普通、朝起きたら朝ご飯を食べて、お昼はランチタイムにお腹が空いてなくても食べ、もちろん晩御飯も食べる。ところが昔の我々の祖先は、3日間食べ物にありつけない、ということも日常だった。つまり人間は飢餓と闘ってきた生物なので、飢えに直面すると生きる力がパワーアップする。そこで擬似的な飢餓を作ってあげようというのが、週末2日だけの「プチ断食」。
 そういう趣旨なので、プチ断食では何も食べないというわけじゃない。たとえば朝昼晩をプレーンヨーグルト1カップずつで済ませ、それに特製の野菜ジュースやフルーツジュースを組み合わせる。それからミネラル炭酸水はどれだけ飲んでもいい。
 そうやって2日を過ごし、最後の日曜日の夜だけは、何も入れないプレーンなお粥を食べる。そうするとそのお粥がもの凄く美味しく感じる。それこそが「健全な空腹感」。栄養素的なモノが欠けだして、飢えてきて、そこに入ってきた食べ物は、60兆個の身体の細胞が、しみじみ「美味しい」と感じる。
 そうやって自律神経をリセットしてあげることで、痩せる体質になれる。

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吹石一恵さん(女優)の

『CM』の話

 この間、友達と「子供の頃のCMで覚えてるのある?」なんて話で盛り上がったけど、案外覚えているもの。たとえば「ダダーン!ボヨヨンボヨヨン」とか。なんのCMか忘れちゃったけど、音やキャラクターはよく覚えている。
 私は飽きっぽい方なので、CMの15〜30秒くらいで完結してくれるところが合っているのかもしれない。出演する方でもCMの仕事は好き。ラッキーなことに、私が出演しているCMはどれもちゃんとした設定があるし。
 でもトヨタの「パッソ」のCMだと、彼氏がコロコロ変わってたりする。私の中では「前の人とは別れたんだ」と納得しているけど。今のところ分かっている家族構成は、お父さん、お母さん、子持ちのお姉ちゃん、そして私……そういえばお兄ちゃんもいた。
 今でもテレビやCMは大好きだけど、テレビを見ていて自分の出演しているCMが流れると、一瞬だけ普通の視聴者じゃいられないくなる。撮影していた時の状況が頭に浮かんだり、「この時間帯のこの番組で提供か」なんてことを考えたりしてしまう。
 資生堂の「TSUBAKI」のCMは、撮影の時にあの角度だけの決め打ちだった。だから正面や横からのカットはまったく撮っていない。おそらく、写真集のカットであの雰囲気に近い写真が以前にあったので、それを見てあのCMを作ろうという話になったのだろう。
 ちなみに私はよく「水着封印宣言」をするんだけど、もう2回くらい破っている。最後に出した写真集で「もう水着はやりません」と言って、その後に丸井のCMで水着になった。その時はホームページで弁解したけど、今回はもう言い訳すらしていない。
 やっぱり何事も言い切らない方がいいのかも。大人になるに従って「絶対」という言葉も使わなくなった。

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倉敷保雄さん(フリーアナウンサー)の

『ホナウド』の話

 サッカーの中継において「ボールを持っている選手の名前を呼ぶ」というのは、海外でオーソドックスなスタイル。BBCもそうだし、ドイツ、ブラジル、イタリア、どこでも行われている。日本ではまだまだ定着していないけど。
 選手を見分けるには、選手を記号化してしまうのがコツ。たとえばロナウジーニョなら「褐色の肌で、パーマの掛かった長い髪の選手」とか。そういうイメージを持った「別の何か」にたとえて記号化すると分かりやすい。
 それからサッカー選手は、腕の振り方や走り方、利き足、ボールの蹴り方などにそれぞれ特徴がある。特にこれは一流選手になるほど「自分のフォーム」として顕著になる。たぶんこれはサッカーに限らず、どんなアスリートでも同じなのでは。
 サッカーの中継をするときにいつも考えているのは、「魔法の言葉は、その国の言葉じゃないとあまり効果がない」ということ。たとえばロナウドというブラジルの選手がいる。そして「ロナウド」という魔法の言葉をブラジルの人に使うのであれば「ホナウド」と発音しなければ通じない。「ロナウジーニョ」も、できれば「ホナウジーニョ・ガウーショ」と言いたい。この「ガウーショ」というのは、リオ・グランデ・ド・スール州の出身の人に付く愛称。
 この出身地付きの呼び方はブラジルでは一般的で、ラモス瑠偉さんの「カリオカ」という愛称も、もともとは「リオデジャネイロ出身」という意味の言葉。ジュニーニョという名前も多いので、ブラジル代表には「ジュニーニョ・パウリスタ」「ジュニーニョ・ペルナンブカーノ」などがいる。
 こうやってネイティブな言葉で覚えておけば、友達も作りやすいだろうと思って、サッカーの中継であえてそういう言葉を使うようにしている。もっとも、それを言うこちらは冷や汗をかくのだけれど。

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甘糟りり子さん(作家)の

『ロンドン・マラソン』の話

 ロンドン・マラソンを走ってきた。コースはそのまま観光コースで、スタートはグリニッジ・パーク。そこからカティ・サークを回って、タワーブリッジを通り、テムズ川沿いを走る時は観覧車を横目に見つつ、ビッグベンを右折して、バッキンガム宮殿前の公園がゴール。
 アップダウンもあまりないし気温も低いので、高速コースと言われている。ラドクリフが持つ女子の世界記録を樹立したのもロンドン・マラソンだった。そんな記録を狙うエリートランナーも出場する一方で、市民も参加できるので「世界最大の市民マラソン」と呼ばれている。
 私はアディダスのサポート受けて1年間練習を積み、その様子を原稿にして幻冬舎のサイトで連載した。幻冬舎の編集者からは「もし完走できなかったら本は出さないし、Web版の原稿料は全部返してもらいますから」と言われていたので、けっこうなプレッシャーだった。
 だからタイムのことは考えないようにして、最初の20kmは沿道で応援してくれるカーニバル気分の子供たちとハイタッチをしたりしながら、楽しんで走った。そして最終的には5時間6分43秒で完走。もうちょっとで4時間台だったけど、とにかく完走できたのが嬉しい。
 ロンドン・マラソンが面白いのは、仮装ランナーが多いところ。ところが普通、初めてマラソンを走る人が仮装をしようとは思わない。だから仮装ランナーはベテラン揃いで、みんなけっこう早い。私は10〜15kmくらいまで「桃のかぶりもの」を来た女の子2人組とデッドヒートを繰り広げたけど、仮装ランナーに抜かれると本当に腹が立った。
 エルビス・プレスリーの格好をしていた人は、ライブっぽい感じでずっと手を挙げていて、すごい歓声を受けていた。30km過ぎの一番苦しいところでは天使の格好をした人に抜かれた時に、コーチに「天使に抜かれたよ」と言われて「イチイチ抜かれたとか言わないで下さい!」とブチ切れた。
 結局、桃も天使も抜き返してゴールした。ただ、プレスリーにはどんどん離されて、ついに追いつくことができなかった。
 途中で結婚式を挙げるカップルも走っていた。タキシードとウェディングドレスを着て、首には「私たちは午後1時に結婚します」という札を下げていたので、コースの途中の教会に寄って、式を挙げて、夫婦になってまた走るということらしかった。
 沿道には応援の人がずらっと並んでいて、中にはビールやワインを渡してくれる人もいた。ビールにはつい手が出そうになったけど、グッと堪えて走り続けた。オレンジにはずいぶんお世話になったけど。
 ロンドン・マラソンは外国人枠が少ないので、なかなか参加する日本人は少ない。近畿日本ツーリストがツアーを組んでいるけど、すぐに売り切れてしまうらしい。それとは別にチャリティ枠があるので、お金持ちなら大金を寄付すれば出られるかもしれない。
 楽しかったけど、終わった後1ヶ月は放心状態だった。もう出ようとは思わない。ただ、9月に行われる「ボルドーマラソン」はちょっと気になる。こちらはエイド・ステーション全部にワインとチーズと牡蠣が置いていあるというマラソン。制限時間もすごく長くて、ようするに「42.195kmの酒飲みピクニック」なんだとか。

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■ 放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
10'39" I'll Buy You A Star Jesse Belvin BMG BVCJ-35018 (74321-65911-2)
19'27" A Lot Of Living To Do Nancy Wilson Capitol 0777 7 80409 2 7
29'30" Once In A Life Time Bobby Darin 東芝EMI TOCJ-5391
45'08" My Shining Hour June Christy Capitol CDP 7243 8 55455 2 8


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