SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2006年9月9日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「地球SOS」

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 少し前のNHK特集で見たんですが、南太平洋の島国「ツバル」は地球温暖化による海面の上昇で、島全体が海に沈みつつあるのだそうですね。同じ島国の日本も、決して他人事ではありません。
 地球温暖化を筆頭に、酸性雨、オゾンホール、異常気象など、20世紀の後半から地球には様々な「環境問題」が起こっています。そういった難しいお話を、当店にいらっしゃったお客さまがわかりやすく噛み砕いて教えて下さいました。今日はそのお話を、ここで少しだけご紹介させていただきましょう。


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泉麻人さん(コラムニスト)の

『異常気象』の話

 小学校の頃から「気象異変記録」を付けるほど気象が好きで、気象予報士の資格も取った。
 僕に限らず日本人は「気象の異変」が好きなようで、永井荷風も『断腸亭日乗』で「昭和10年9月25日、南風吹き入れて、暗雲散じて青空あらう。暑さにわかに著しく、蝉また泣く。昨日は華氏65〜66度の寒さなりしが、今朝は80度の暑さなり。寒暖の激変驚くべし。俚諺“暑さ寒さも彼岸まで”ということありしが、東京の気候年々険悪となり。今は古き諺も役に立たぬようになり、諺のみならず学問、道徳、芸術をはじめ、古人の言にして今の世に用をなすものは、ほとんど後を絶つに至れり」なんてことを書いている。
 結局、気象の異変と世の中を重ねて憂う、というのは日本人が好きなスタイルなのだろう。昭和10年といえば戦争に入ろうかという時期だったし。昭和10年でこんな異常気象が起こっているわりに、今までよく保っていると言えばよく保っている。
 実際問題、この5〜6年は集中豪雨が頻繁になったという印象がある。気象用語で「メソ擾乱(じょうらん)」と言って、新聞などの天気図に載らないような段階で気圧変化や雲が発生する現象が増えている。
 九州などの山で激しい雨が降るのは、この何年か海温が高くて水蒸気の量が多い影響がある。一方、東京で急に大雨が降るのは都市気候の影響が強い。最近の東京の夏は、アスファルトの熱やビルから出るエアコンの熱風で気温が高くなっている。そこへ海風が吹いてきて、内陸部で閉塞して激しい雷雲が出来上がる。
 台風に関しては、実際の台風の大きさや激しさよりも、報道の方が激しくなっている。ニュースでちょっと日本をかすめたような台風でも、レポーターを崖っぷちに立たせて放送したり。そのせいで、台風の規模のわりに大げさに伝わっているケースは少なくないと思う。

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小池百合子さん(環境大臣)の

『京都議定書』の話

 「チーム・マイナス6%」というのは、二酸化炭素を中心とする温室効果ガスの排出量を削減することで、地球温暖化を止めようという運動。
 6%というのは、1990年を基準として6%。だから1990年の時に体重100kgだった人にたとえれば、2008年から2012年の間にダイエットして、94kgにしよう、というお話。ただ、2004年の段階で8%近く体重が増えているので、現時点では107kgちょっとあるから、頑張ってダイエットしないと。
 二酸化炭素を吸収する森林をフルに活用できれば3.9%の排出量が減るし、省エネがあまり進んでいない地域の省エネをお手伝いしても排出量が減る。そして後者の場合、本来の「石炭を焚いていた場合の二酸化炭素の排出量」と「実際に排出した二酸化炭素」の差を「手伝った方が減らした」と計算することができる。これがCDMという仕組み。
 これらの仕組みを決めたのが「京都議定書」であり、それに連なって「京都メカニズム」が作られた。
 京都議定書を作る段階ではアメリカはまだクリントン政権で、副大統領のゴアさんを中心にして熱心に取り組んでいた。ところがそれに対抗したブッシュ政権は「京都議定書からの脱退」を公約にしていたため、その公約を忠実に守り、結果として最も二酸化炭素排出量の多いアメリカが抜けてしまった。
 ただ、ホワイトハウスはそういうスタンスでも、アメリカ各州では環境対策に力を入れているところがある。というより、環境について研究している専門家が一番多いのもアメリカだったりする。アメリカという国が今度どういう方向へ動くのか、それは政権次第という部分はあるけれど、どうやってアメリカをまた仲間として迎えるかが国際会議の大きな課題になっている。

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池上清子さん(国連人口基金東京事務所長)

『人口問題』の話

 人口問題にはいろんな顔がある。たとえば日本のように子供が少なくなって、高齢化が進み65歳以上の人が増えてしまうのもその1つ。この現象は先進国に多く見られる。
 もっとも、世界全体を見れば人口は増え続けている。その数、1年間で約7600万人。2年間で日本の人口よりも多くの人間が増えている計算になる。
 今、世界で一番人口の多い国は中国。2番目はインド。ここまではみんな知っているけど、3番目がアメリカということは意外と忘れられがち。その次にインドネシアやブラジルが来て、日本は10番目。
 そして予測では、2050年にはインドが中国を抜いていると言われている。中国は一人っ子政策を敷いているので、そんなに人口は増えない。むしろ少子高齢化の方が問題になりそう。最新の世界人口白書によると、インドの人口は11億1千万人。中国は13億を超えている。これが2050年にはインドが15億9千万、中国は13億9千万と予測されている。
 インドの人口がこれだけ伸びるのは、欲しい子供の数を欲しい時に産めていないのが理由の1つ。たとえば子供を3人欲しいと思っても、5人産まざるを得なかったりする。それは乳児死亡率が高かったり、男の子が欲しかったりという背景が影響している。
 インドでは「ダウリ」といって、結婚する時に女の子の親が持参金を持たせる文化がある。だから男の子だと、お嫁さんをもらうと同時にダウリも貰える。そこで女の子が2〜3人続くと、次は男の子が欲しいと思ってしまう。
 その他に人口が増えている場所といえば、ナイジェリアなどのアフリカ諸国。アフリカもこれから人口は増えていくはず。
 発展途上国で人口が増える傾向にあるのは、子供が重要な労働力だから。子供が1人多ければ、畑を耕すにしても人手がそれだけ増えるし、商売をしていれば店番を任せることもできる。それに対して日本など先進国では、子供がいると教育費などのお金が掛かる。その違いが大きい。
 現在の世界人口は65億人を超えたところ。そして2050年には91億人になるだろうと言われている。FAOという国連の食料と農業を扱う機関によれば、だいたい120億人まで人口が増えても、1日に2700kcalの食事を摂れるだけの食料は地球上にあるらしい。
 でも残念ながらこれからも、飽食で食料を捨てている国と、食料が足りなくて飢えをしのぎながら毎日を暮らす国は、どんどん分かれていくだろう。食料の分配は非常に不公平で、欲しいところにはないし、これ以上いらないところに余っている。それは先進国と途上国、豊かな国と貧しい国の格差の1つ。

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佐久間浩子さん(世界自然保護基金日本支部)

『絶滅危惧動物』の話

 俗に言われる「レッドデータブック」は、その名の通り赤い本。ただ、最近は時代の波で、データ化されて本の形ではあまり出版されなくなって「レッドリスト」と呼ばれるようになった。
 このレッドリストを発行しているのは国際自然保護連合(IUCN)という組織。この間、その最新版が発表されて、そこには1万6118種の動植物が「絶滅の危機にあることがわかっている」として記載された。地球上には約160万種の動植物がいることがわかっているので、その内の約1%が絶滅の危機に瀕している計算になる。
 ただし本当は、おそらく地球上には3000万種くらいの動植物がいるだろうと考えられている。人間が知っているのが160万種というだけ。だから1年から1年半ごとに新しいレッドリストが発表されるけど、その間にどんどん新しい動植物が発見されるので、記載される量は増えていく。
 レッドリストには有名な動物もけっこう載っている。たとえばトラ、アフリカ象、それからチータなどはとても危ない。ヒマラヤのユキヒョウ、WWFのマークになっているパンダももちろん危険。クマはトラに較べればマシとはいえ、ホッキョクグマは非常に危ない。そしてホッキョクグマの危機は、地球温暖化が原因だと言われている。
 かつてホッキョクグマは毛皮を取るために乱獲された。でも北極周辺のロシア、アメリカ、カナダ、グリーンランド、ノルウェーなどが協力して禁漁にして、保護が非常に上手くいった。だから1996年には「特に絶滅の恐れが高い」というランクから外されて、保護活動の成功例と言われていた。ところがそれから10年経って、今年発表されたレッドリストで、再びホッキョクグマが「特に絶滅の恐れが高い」というランクに入ってしまった。
 気温が上がれば北極の氷が溶ける。氷が溶けると、ホッキョクグマがアザラシを獲るのに支障が出る。それで食料が獲れなくなって、カナダのホッキョクグマなどは子グマの成長率が44%まで落ちている。
 実は化学物質も、大気や海流の流れの影響で、北極や南極に集まると言われている。だからホッキョクグマは「時の動物」と言える。今まで「野生生物の絶滅」と言えば、ある場所の森林が無くなったり、地域の人たちがたくさん獲って食べてしまったり、かなり局地的な原因が多かった。でも今のホッキョクグマは、世界的な環境の変化によって絶滅の危機にある動物の象徴的な存在。

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山本良一さん(東京大学生産技術研究所教授)

『地球温暖化』の話

 最近言われているのは「産業革命以前と較べて、8千億トンの余分な炭酸ガスを人類は空気中に注入してしまった」ということ。ちなみに現在は毎年120億トンずつ増えている。そしてその8千億トンの炭酸ガスが、産業革命前に較べて余分な温室効果を持つ。これが心配だと科学者は警告しているのが、いわゆる「地球温暖化」という問題。
 今年の6月にアメリカ科学アカデミーが出した報告書でも、過去400年では現在が一番「暑い」とされている。一番暑かったのは2005年、2番目が1998年、3番目は2004年、といった具合に「最近、急に暑くなった」ということがわかっている。
 この30〜100年の地球の温暖化が自然現象なのか、それとも人類が注入した8千億トンの炭酸ガスによるものなのか、そこは科学者の間でも意見が分かれるところではある。ただ、人為的変動だと考える科学者によるシミュレーションによれば、このまま炭酸ガスを放出し続ければ、あと10年で産業革命前に較べて地球の平均気温が1.5℃上がるとされている。
 もし地球の平均気温が1.5℃上がると、グリーンランドの氷床が全面的に溶け出し、2050年までに100万種ほどの生物が絶滅する可能性がある。さらに2028年には2℃を突破する。そうなると数十億の人間が影響を大きな受け、水不足、マラリアなどの伝染病、食料危機、洪水など、大きな変動が起きるだろうと言われている。これがIPCCという世界の科学者が集う委員会で主流となっている考え方。
 炭酸ガスは植物が吸収する量よりも、海に溶け込む量の方が多い。海に吸収された炭酸ガスは海の生物に取り込まれ、その死骸という形で海の底に堆積していく。このサイクルは非常に時間が掛かるので、今放出した炭酸ガスは100年後に30%くらい残っている。5000年でも10%残る。それくらいゆっくりとしか炭酸ガスは減っていかない。
 だから8000億トンも貯め込んでしまった炭酸ガスは、1万年ぐらい時間をかけないと元には戻らない。これを人為的に集めようとしても、集めるのにもエネルギーを使ってしまうので手遅れ。だから炭酸ガスは拡散する前に、生成された瞬間に捕まえて、液体にして海や石油をくみ上げた井戸に捨てる必要がある。これは現在の技術でも十分に可能だし、実際に行われているところもある。
 今、我々が年間に放出している炭酸ガスは240〜250億トン。その半分くらいは地球が吸収してくれるけど、後は残っていく。だから本当は「マイナス6%」どころじゃなくて、マイナス50%くらいにしなければいけない。さらに言えば、中国やインドなどはこれから発展していくので、これからもっと炭酸ガスを発生させる。だから今まで散々炭酸ガスを放出してきた先進国は、マイナス80%くらいにしなければいけない。
 それが可能かと言われると、科学者は可能だと考えている。プリンストン大学の先生たちによる試算によると、最良の技術を国際的に普及することが出来れば、2050年までの問題は十分に解決可能。

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■ 放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
7'56" This Time The Deram's On Me June Christy Capitol TOCJ-5436
18'21" It's A Wonderful World Stacey Kent Chiaroscuro CRCD 1217
30'17" Don't Be That Way Frank Sinatra Reprise WPCP-4681
37'19" If Dreams Come True Nancy Wilson Capitol 7243 5 97073 2 7
46'46" Long As You Play Soesja Citroen Challenge CHR 70127


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