おかげさまで「男前豆腐」も好評で、こんなに凄い勢いで皆さんに認知してもらえるとは思っていなかった。
最初に「男前豆腐」を売り出したのは3年くらい前。でも急に売れ出したのはこの1年。そして一番売れているのが、サーフボードの形をした豆腐「ジョニー」。今、1日に5万丁のジョニーが売れている。
この味を出すために、2年くらい悶々としていた。友達が減るくらい悶々としていた。デザインやパッケージは一流の方がいらっしゃるので、一流の方にお願いすればちゃんとしたモノができる。でも僕らは豆腐屋なので、それまでのやり方を全否定して、おいしい豆腐を作ろうとした。
たとえば「なんで前の晩から大豆を水に漬けなくちゃいけないのか」とか「なんで早起きしなきゃいけないのか」とか、あらゆる可能性を探った。豆腐屋は朝が早いというイメージは世間でも浸透しているようで、初めて会う女性と飲んでも「お豆腐屋さんって朝早いんですよね」と必ず言われる。だからこそそうじゃない豆腐屋になりたかった。とはいえ、今も朝ゆっくり寝られるというワケではないけれど。
豆腐の機械を作るメーカーがあって、「この機械を買えば作れるよ」というモノがある。でもそれをそのまま使っていたら、みんなが想像するような味の豆腐しか作れない。そこで「どうやったらおいしい豆腐が出来るのか」を考えて、釜の形から細部に渡るまで改造した。
一番こだわったのは濃度。それからエグみ。大豆は自然のもので、大豆をすり潰して、煮て、豆乳を作って固めたのが豆腐。だから植物のエグみをどうやって取るかが最大のテーマだった。
僕は毎朝、会社に行くと、インターネットで自分のところの商品名を検索している。誰がどういう風に書いてくれているのか、こんなにブログが流行る前から調べていた。そして男前豆腐が世に出るきっかけになったのが、奥山貴宏さんというライターの方が自分の日記で取り上げて下さったことだった。
そこからブログで繋がって「見たけど気持ち悪いから買わなかった」「え?!あれ美味しいの?」なんて連鎖的に繋がっていった。だから男前豆腐は、ブログで口コミが広がる時代だからこそ世に出た商品だと思う。「夜10時過ぎの井戸端会議」なんて言うけど、そこで「これ買ってみたら美味しかった」という情報が、今の時代は横に広がる。
ホームページもコミカルでファンキーに仕上げた。「この豆腐屋は本当に存在するのだろうか?」から始まってもいい。それをきっかけに「豆腐を食べたら美味しかった」と思ってもらえれば。