学生時代、実家の離れで友達と麻雀をしていた。電話が鳴ったので「もしもし」と僕が出ると、プツップツッっと変な音が聞こえて「行くぞ」という男の人の声が聞こえて電話は切れた。
地元の友達と遊んでいたので、誰か他のヤツが来るのかと思って、特に気にも留めなかった。するとその内、ウチの離れの周りを囲む砂利道を、ザッ、ザッと歩く音が聞こえてきた。「あ、さっきのヤツが来たのか」と思ったけど、いつまで経ってもソイツが中に入ってこない。
そのまま麻雀をしていたら、また電話が鳴った。「もしもし?」と出ると、またプツップツッと音がして「行くな」と言って切れてしまった。するとしばらくして、また離れの周りを、ザッ、ザッと歩く音が聞こえてくる。
特に怖いとも思っていないので「誰だろう?」と思って窓を開けて外を見た。ところがそこには誰も居ない。「おかしいなぁ……」と思って窓を閉めると、またザッ、ザッと歩く音が聞こえてきた。
するとまた電話が鳴った。電話を取ると、今度は「本当に行くから」と言う。この辺で僕はだんだん怖くなってきた。友達も「なにそれ?」と興味を持ちだして、麻雀そっちのけで外の音に耳をすますと、またザッ、ザッと歩く音が聞こえてきた。
ザッ、ザッという音はどんどん早くなる。今度は4人とも窓に顔を近づけて「せーの!」でバッと窓を開けた。ところがやっぱり誰も居ない。その瞬間、ドアノブがカチャカチャ!と音を立てた。
その頃にはもの凄く怖くなっていたんだけど、ドアノブだったら本当に誰か友達が来たのかもしれない。そう思ってみんなでドアを開けた。でもやっぱりそこには誰もいなかった。
ドアを閉めたらまた外をザッ、ザッと歩く音がする。そこで意を決して、ドアも窓も開けたままでしばらくいることにした。すると明らかに離れの周りをザッ、ザッと歩いている。でも誰もいない。しばらくしてドアを閉めると、またドアノブがカチャカチャと回る。でもドアを開けても誰もない。
これを朝まで繰り返した。みんな麻雀どころじゃなくて、ザッ、ザッという音とカチャカチャという音にずっと耳をそばだてていた。夏だったので5時半か6時には外も明るくなり、ウチのお袋がドアを開ける音を聞いて、やっと人心地がついた。
今でもあれが何だったのか、まったくわからない。地元に帰ってその時のメンツと顔を合わせるたびに、この話で盛り上がっている。