SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2006年8月5日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「ベスト・コニサー」

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 土曜日の夕方、当店「AVANTI」のウェイティングバーは大勢のお客様で賑わい、様々なお客さまがグラスを傾けながらお喋りを楽しんでおられます。
 そういったお客様たちこそが当店の自慢です。映画、音楽といった柔らかい話から、政治、科学のような堅い話、珍談奇談に、怪しげな噂話などなど、みなさんとても面白い話をして下さいます。
 誰が言い始めたのかは分かりませんが、常連のお客さまの間では、そんな面白い話をする方々を、敬意を込めて「コニサー」と呼んでいます。なんでもフランス語で「目利き、玄人」という意味らしいのですが。
 お時間がございましたら、そのコニサーのお話に耳を傾けながら、素敵な夕方の一時を過ごしていきませんか?


魚住りえさん(タレント)の

『ドッグ・マッサージ』の話

 犬のマッサージ、その名も「ドッグ・マッサージ」という仕事がある。犬の首や肩、前足の付け根のあたりを押して、筋肉全体をほぐす仕事。ストレッチもあって、犬に寝ころんでもらって、関節をグーッと伸ばしたりする。このマッサージを受けると、大抵のワンちゃんは寝てしまう。
 ドッグ・マッサージ・セラピストという職業には「筋肉をマッサージする部門」と「神経に作用するTタッチ」の2つがある。Tタッチはアメリカで最新の「犬のしつけ方法」で、4本の指で円を描くようにちょっとずつ皮膚を回していく。場所は額でも背中でもどこでも良い。時計で言えば6時から12時を回って8時、という感じで回す。
 マッサージみたいに深くまで押す必要はない。あくまで皮膚だけを動かすイメージで、自分のまぶたを触って動かすような感じ。これを子犬の時から身体中にしてやると、犬の質が変わる。吠えやすかったり、噛んだり、異常に興奮したり、そういう犬が徐々にストレスに強くなって、症状が緩和される。
 このやり方は、もともとは馬に対して使われていた方法を犬にも応用したもの。今までの犬のしつけは、犬に対して主従関係を教え込むものだった。それがこのTタッチでは、犬の性格や気質をゆったりしたものに変える。その結果、多少音がしたり、他の犬が近づいてきたり、人間が来ても許せるようになる。
 Tタッチは1日5分で良いから、できれば毎日続けるのがコツ。犬の症状によって対処法があって、噛んだりする犬には歯茎にTタッチをしてあげる。
 このTタッチ、実は人間にも効果がある。インストラクターの人は胃腸炎になった時には、薬が効くまで痛みを堪えるのに、自分でお腹にTタッチをしているのだとか。もちろん猫にも効く。ただ猫は感情表現がクールなので、効いているのかどうかがわかりにくい。
 それに対して犬はわかりやすい。ウチの犬も他の犬が本当に苦手だったんだけど、私がスクールに3ヶ月通ってTタッチをしてあげたら、散歩で犬同士がすれ違ってもちゃんと挨拶ができるようになった。
 自分でやる自身がない人は、ドッグ・マッサージ・セラピストを呼んでやってもらうといい。1時間くらいかけて、Tタッチと筋肉マッサージをしてくれる。私はこのドッグ・マッサージ・セラピストの資格試験を受けて、ちょうど合格発表を待っているところ。
 犬の悩みを解消するということは、飼い主の悩みを解消することでもある。ドッグ・マッサージ・セラピストはそんな仕事。

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国井律子さん(エッセイスト/タレント)

『旅と空気』の話

 バイクに乗るようになってから、肌の感覚が敏感になった。
 たとえば北海道でドーンとした一本道を走っていると、風がいきなり変わるのが分かる。それは夏から秋に変わる瞬間だったりする。もうすぐ雨が降りそうな時も分かる。五感が研ぎ澄まされる感じ。匂い、風の温度、湿度、そういったことが敏感に感じられる。
 私が好きなのは真夏のカーッとした空気。汗がダラダラ流れてくるくらい暑いんだけど、ちょっとスピードを出すとその汗がスーッと引いて、爽やかになる。その時の風が好き。
 去年はずっとイタリアに行っていた。向こうでオートバイを借りて、あちこちを走ってきた。イタリアの空気はすごく乾燥していて、南の方はまさに「照りつける太陽」だった。その暑さは「干からびちゃうかも?!」というくらいで、イタリアでシエスタ(お昼寝)という習慣があるのももっともだと思った。
 シチリアの空気は最高だった。カラッと乾燥していて、休憩の時に飲む濃いオレンジジュースは最高。その場で絞ってくれたようなオレンジジュースを飲むと、「さあ、次の場所を目指そう!」と元気がわいてくる。
 奄美大島の空気も好き。すごく雨がちな島なので空気が湿気ている。でもその空気が喉に優しく、肌にも優しく、ふんわりと包み込まれるような優しい湿気を帯びている。
 アメリカのネイティブ・アメリカン居住区を1〜2ヶ月旅した時のことも忘れられない。その時は車で旅をしたんだけど、何時間走ってもずっと同じ景色が続いた。だんだん眠くなってきて、「私はいったい何をやっているんだろう?」という禅問答も始まったり。ずっと夢の中を運転しているような感じだった。
 そこの空気はカラッカラに乾いていて、生きているのか死んでいるのか分からない干からびた草が生えていたりした。イメージ的には「エスカレーターを逆に歩いている」ような感じがした。
 そんな旅の途中で、いきなり雨が降ってきた。砂漠の雨は意外とアグレッシブで、まさに豪雨。前の車のテールランプも見えなくなるくらいだった。そんな豪雨の中を必死になって1〜2時間ぐらい進んだら、パッと雨がやんで、目的地まであと1マイルという標識が見えた。
 その瞬間の景色が、あり得ない景色だった。メサやビュートなどの岩山が地平線にポツポツと見えて、その岩山と岩山の間を虹が何本も架かっていた。しかもその虹の橋がしっかり地面まで掛かっている。まるで地球じゃないどこかにいるような感じだった。
 車を降りて、その景色をボーっと眺めていたけど、そこには少し乾燥しているんだけど湿気を帯びた、寂しい風が吹いていた。どこか懐かしい風だった。

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本広克行さん(映画監督)の

『UDON』の話

 映画『UDON』を撮ったのは、『恐るべきさぬきうどん』という本がきっかけだった。この本は店を淡々とおもしろ可笑しくエッセイ風に紹介していて、その店へ行けばその雰囲気を味わえる、という趣旨の本。とにかく「裏へ、裏へ」と行く姿勢が面白い。それで映画化しようと思ったら、実はもっと面白い話があって……という次第。
 讃岐うどんブームが去ったと言っているのはマスコミだけだと思う。実際、地元のお店は今も行列がすごい。過疎の村のうどん屋さんで大渋滞が起こる。人気店のランキングにはS級、A級、B級などの格付けがあるけど、S級の店はゴールデンウィークに店を閉めてしまうほど。そうしないと警察沙汰になるくらい人が押し寄せてしまうから。
 お客さんは日本全国から来ている。しかも最近は「弟子になりたい」と、ニートの人がカリスマおばあちゃんのところへやってくる。そこでおばあちゃんに讃岐うどんの作り方を教わって、全国でお店を開いている。1杯の「うどん」に、こんないろんなドラマがある。
 あまりにも人気になったとあるうどん屋は、以前から娘さんが家出をしていた。でもうどん屋の人気が出て、全国放送で紹介されるようになったら、娘さんが帰ってきたという実話もある。僕らが子供の頃は「うどん屋の子供」はバカにされる対象でしかなかったけど、今や「うどん屋の子供」というだけでスター。
 ちなみに僕はうどん屋の子供じゃなかった。だけど今回の『UDON』を撮るにあたって、自由に撮れるうどん屋が欲しかったので、弟に本物のうどん屋を開いてもらった。そのお店は映画の中では「調子に乗って麺を細くして茹で時間を早くする悪いお店」として登場する。やっぱり「悪いお店」として登場するのでは、よそのお店は撮らせてくれないので。
 そのお店は香川の裏通りにある小さなお店で、名前は「松井うどん」。弟がこのうどん屋をやってくれなければこの映画は成立しなかったと思う。やっぱり実際にやってみないと「人気店がどうやってダメになるか」みたいなことは分からなかった。
 ちなみに僕は香川から東京へ出てきて、東京ではソバかラーメンしか食べてなかった。でもたまに新幹線で帰る時は、宇高連絡船という本州と四国を結ぶフェリーで食べるうどんが最高に美味しかった。このフェリーのうどんはみんな知っていて、それを食べるために走ったほど。そして「これがうどんだよね」と頷いていた。今は本四架橋ができて宇高連絡船もなくなってしまい、そのうどんは食べられなくなってしまったのが残念。
 実は『UDON』は、ケビン・コスナー主演の『フィールド・オブ・ドリームス』がベースになっている。『フィールド……』は野球場にたくさんの人が訪れて、ブームになってハッピーエンド。でも「その先の話」が面白いんじゃないかと。あれだけの大渋滞になって、きっと交通事故も起こしただろうし、ゴミもたくさん出たはず。そんないろんな揉め事に右往左往するのが『UDON』という映画。

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倉敷保雄さん(フリーアナウンサー)の

『サッカー文化』の話

 今までいろんなサッカーの試合を見てきて、鳥肌が立つような試合もいっぱい見ている。でも一番印象的だったのは、ビッグマッチでもなんでもない試合だった。
 その試合はオランダのゴーダという街で行われた。ゴーダというのは「ゴーダ・チーズ」のゴーダ。アムステルダムから電車で1時間半くらいの場所で、途中の風景も牧歌的だった。オランダにはデブール兄弟という有名な選手がいて、この兄弟たちが持っている牧場も車窓から見えて、ヤギやヒツジがいるのが見えた。
 駅も小さくて、タクシーも電話で呼ばないと来てくれないほど。そんな小さな街で行われた試合というのは、新聞にも載っていないほど小さな試合だった。1974年のアヤックス−−ヨハン・クライフがいて、リヌス・ミケルスという名将が率いて、ヨーロッパを席巻していたチーム−−のメンバーが1人亡くなった。そこで残された家族のためにチャリティ・マッチをしようと、1974年当時のメンバーで身体の動く人を集めた試合だった。
 対戦相手はゴーダの地元チーム。僕はそこで初めてヨハン・クライフのプレーを生で見て、すっかり痺れてしまった。今でも一番上手くて、みんなが「14番」を見ていた。
 でも、素晴らしかったのはそれだけじゃない。地元チームのFCゴーダは、本当に小さなクラブチームで、観客はみんな1974アヤックスの方が見たかったはず。でも地元の応援はちゃんとFCゴーダに向いていた。
 子供たちがマーチング・バンドで登場し、地元チームを応援するために太鼓を叩いたりラッパを吹いたりしながら行進する。そして小さなクラブチームなのに、小さいなりのクラブハウスがあって、そこでちゃんと生ビールが飲める。この文化が羨ましくて仕方がなかった。こんな小さな街でも誇りがちゃんとあって、チームのためのバンドがあって、サポーターはホームチームをサポートしている。それが羨ましくもあり、悔しくもあった。
 それは木枯らしが舞うような、少し肌寒い初冬の日だった。隣で見ていたオジサンたちは、子供たちに向かって「14番のサインをもらっておいで!」と叫んでいた。子供たちは中へ入れるので、サインをもらって帰ってきた。ところがそれは違うゼッケンだった。お父さんはすごくガッカリして「14番って言ったじゃないか!」と言ったら、子供は「大丈夫、このサインで友達の14番のサインと交換してもらってくる!」と言ってまた走っていった。こんな親子のコミュニケーションも羨ましかった。
 今から10年以上前の試合だけど、その子供は今でもサッカーをやっているのだろうか。いろんな想像が頭に浮かぶ。またいつか、誰も居ないかもしれないけれど、本当に小さなスタジアムだけど、ゴーダのスタジアムにはまた行ってみたい。

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草なぎ剛さん(タレント)の

『マイケル・ジャクソン』の話

 『SMAP×SMAP』にマイケル・ジャクソンが登場した時は本当に驚いた。特に僕はマイケル・ジャクソンが大好きなので。
 最初はソックリさんかと思った。でもマイケル・ジャクソンが登場したら、スタッフがいつの間にか3倍以上に増えてるのを見て「あ、これは本物だな」と。フジテレビの偉い人もたくさん来ていた。
 マイケル・ジャクソンが来ることは本当に知らされていなかった。「イルミネーションが壊れているから」などと言われて待たされたのも、本当によくあることだし。メンバー全員、やけに素直なのか、何の疑いも持っていなかった。後から思えば少しくらい疑っても良さそうなものだけど。
 聞くところによると、マイケルが世田谷のTMCというスタジオまで来るまでも大騒ぎだったのだとか。スタッフの間で「マイケル、いま世田道(世田谷通り)入りました!」とか「マイケル、246が混んでいるんで……」なんて電話が飛び交っていたらしい。マイケルと世田道がぜんぜん合ってないのが可笑しい。しかも普通、246じゃなくて洋画まで高速を使いそうなものなのに。
 収録が終わった後、マイケルの楽屋へ行って、1人1人アルバムにサインをもらって、一緒に写真まで撮らせてもらった。すごく優しい人だったけど、微妙に動作が遅いのは気になった。もちろんリズムを取る時は速いんだけど。
 SMAPのメンバー全員でマイケルの東京ドームコンサートを見に行ったりもしたので、メンバーは全員大好き。というか、SMAPだけじゃなくて先輩たちもみんな好き。昔、合宿所にマイケル・ジャクソンのビデオがいっぱい置いてあって、みんな『スリラー』のマネをしたりしていた。少年隊の東山さんが好きだったのをよく覚えている。そんな影響を受けて、僕たちも好きになっていった。

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■ 放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
9'23" I Enjoy Being A Girl Peggy Lee Capitol 7243 8 56056 2 8
20'03" Once Again Hi-Lo's Reprise WPCR-1134
31'49" Goody, Goody Caterina Valente RCA BVCJ-1009
41'13" Amor De Nada Marcos Valle EMI 829370 2
46'55" Ela E Carioca Antonio Carlos Jobim Verve 826 665-2


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