モーターパラグライダーはエンジンを背中に背負って飛ぶパラグライダー。僕が使っているエンジンで排気量210cc。イタリア製の「ソロ」という汎用エンジンを、モーターパラグライダー用に使っている。
汎用エンジンを使うのは、耐久性が実証されていて、世界中に普及しているエンジンだから。パーツがどこでも供給できるのはありがたい。
このエンジンが乾燥重量で23kgぐらい。そこに10kgの燃料を詰めたら合わせて33kgの重さになる。その他にもヘルメットなどの防具、レスキュー用のパラシュート、僕の場合はカメラなどもあるので、トータルで50kg前後の重量を持つ。
離陸の時は、この荷物を抱えて走って飛び上がる。飛んでいる間はパラグライダーが支えてくれるから大丈夫。僕は椅子に座るような形で楽にしていられる。椅子に座っていると言ってもヘリコプターとは違って、目の前に何もない。これは格別だと思う。
ヘリコプターの場合、高度300m以下は法律で入れない。でもモーターパラグライダーなら300m以下も自由に飛べる。だからそこで撮ると今までになかった迫力ある映像が撮れる。木をかわし、砂丘の間を縫い、川の上を飛び、森の上すれすれを……といった「鳥の目線」も再現できる。
僕の使っているグライダーなら、スピードは時速30〜40kmぐらい。パラグライダー自体はもうちょっと速いスピードも出るんだけど、映像的にはこの30〜40kmくらいのスピードがおもしろい。
生身で飛んでいておもしろいのが「匂いの壁」に気付くこと。モーターパラグライダー飛んでいると、突然「菜の花の匂い」などにぶつかることがある。向こうに菜の花畑があるのは見えているんだけど、その匂いの壁にいつぶつかるのかはわからない。その壁にぶつかった時の驚きは大きい。桜の匂いや、ブナの香り、匂いの壁を感じられるのが生身で飛んでいるからこそ味わえる世界なのだろう。
ちなみに明日放送のテレビ朝日『素敵な宇宙船地球号』では、中国雲南省を飛ぶ。貧しい村が美しい風景を売りに観光収入で潤いはじめたのだが、その一方で美しい風景が崩れつつある……という村を僕が空から捉える。
地上から見ると一点しか見えない。でも少し高いところから撮ると、煙が煙突から上がってきて、その向こうでは畑を耕している人がいて、という人間模様がいっぺんに迫ってくる。その瞬間がカメラを回すべき表現の世界なんだと思っている。