SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2006年6月24日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「2007年問題」

image
 前々から新聞やニュースで話題となっていた「2007年問題」。その2007年までいよいよ残すところ半年あまりとなりました。
 2007年問題とは、1947年から1949年にかけての第一次ベビーブームで生まれた、いわゆる「団塊の世代」が定年を迎え、社会構造に様々な変化が訪れるであろうと予測されている問題です。
 2007年が来ると、いったい日本はどうなるのでしょうか。2007年問題について当店のお客さまが教えて下さったお話を、ここで少しだけご紹介させていただきます。

 


image
板垣英憲さん(経済評論家)の

『団塊の世代』の話

 団塊の世代は人数が多いので、まず大学受験で苦労した。そして大学へ入った途端にホッとして、受験勉強で抑圧された部分を爆発させるべく学生運動へ。その後、燃え尽き症候群のまま就職戦争へ入り苦労を重ねた。
 次に、就職してもモーレツ社員に上から叩かれ、その内に下から新人類が入ってくる。新人類も優秀な世代だったので、一番人数の多い団塊の世代が、上と下からサンドイッチのように挟まれる形になった。こんな感じで、今まで団塊の世代は「抑圧された人生」を送ってきた。
 その団塊の世代が定年を迎える2007年。彼らは自分自身の生き方をどうやって見つけるか、非常に悩むだろう。普通、小学校の4〜5年生の頃に「将来、自分が何になりたい」ということはボンヤリと考える。ところが受験戦争に突入した途端に、自分の本当の欲求を抑えつけることを求められる。本当の自分じゃなくて、人と較べた自分が先に立ち、偽りの人生を送ることになる。
 そんな人たちが定年を迎え、本当にやりたいことを探すようになる。たとえば中には「時代小説を書こう」と思う人もいるだろう。加藤廣さんのデビュー作『信長の棺』なんて75歳の時の作品。そういう人がこれからどんどん出てきてもおかしくない。
 60歳で定年になっても、人生は100歳くらいまで続く。下手をすると、人間の天寿は125歳と言われるほど。60歳なんて半分も来ていない。
 65歳以上の人は日本の人口の3割くらいを占めるようになり、地方によっては4割というところもある。そうなったら、もう年齢で「余生」とか「隠居」なんて考えるのをやめた方がいい。趣味でも仕事でも、やることはある。日本人の場合は見つけるのが苦手なので、与えてもいいかもしれない。
 これから迎える超高齢化社会は、人類が始まって以来の経験。しかも日本がその先端を行っている。おそらく高齢者も85歳くらいまで現役で働けるような、あるいは生産の面で貢献できるような活動の仕方を考える必要がある。
 その兆しとなるのが、今回始まった民間による駐車違反の取り締まり。あれは警察官の再就職先を確保したという側面がある。子供が相手の凶悪事件が増える中、各学校に警備員を配置するのも同じ。その警備員を手助けする高齢者を全国に配置するという政策を行政が行っている。

【Hot Link !!】





image
林光さん(博報堂生活総合研究所)

『2007年問題のマーケティング』の話

 「団塊の世代」という言葉は堺屋太一さんが名付け親。でも「団塊」というのは「かたまり」、つまり「人数が多い世代」という意味。その事に関しては、僕たちは子供の頃から散々言われてきた。
 たとえば僕は母親からは「あなた達はトラック一杯の男に女が1人しかいないようなものだから、落ちこぼれにならないように」なんて言われた。よく考えてみると、団塊の世代というのは3〜4年間くらいしかいない。だから男にとって3〜4年くらい年下の女、女にとって3〜4年くらい年上の男というのは、どっちも足りない。その結果、団塊の世代の夫婦は友達や同期の結婚が多くなったと言われている。
 新聞社で資料を探すと、「団塊の世代が小学校に入学した時の入学式の写真」が必ずどこにでもある。その写真を見ると、団塊の世代の列が明らかに1列長い。それだけ当時から団塊の世代というのは注目されていた。
 そしてそれだけ注目されると、マーケティングにおける格好のターゲットになる。それで小学校の低学年の時に『少年マガジン』や『少年サンデー』が創刊し、高校生の時に『平凡パンチ』や『週刊プレイボーイ』が創刊。団塊の世代をターゲットに新しい商品が開発されるのは当たり前だった。
 男性ファッションやBANジャケットも団塊の世代が色気づく頃に出てきた。だから今でもアイビー・ファッションで固めている団塊の世代は少なくない。高校生くらいの時にBANジャケット、つまり石津謙介さんの薫陶を受けてしまったので、それを今でも引きずっている。男性がファッションに目を向けた最初の世代が団塊の世代とも言える。
 団塊の世代が引退を始める2007年から、おそらく仕事着としてのスーツの需要は少なくなるだろう。ただその一方で、オフィシャルな気持ちで外に出たいという気持ちはあるだろうから、そういう時にバリッと決めるスーツは1着持つようになるのでは。
 今までは「会社との付き合いのために」など、自分の好みとは関係のない価値観で商品を買っていたのが、自分の好みで商品を選ぶようにもなる。そういう時に強いのがメリハリのハッキリした商品。「革靴なんていらない」と言って、歩きやすいウォーキング・シューズやスニーカーにお金を使う人も増えるだろう。
 昔、「毎日が日曜日」なんて言葉もあったけど、そんな生活は長続きしない。そのうち生活にメリハリを付けたくなって、NPOやボランティアに関わるなり、家の外へ出て行きたくなる。そういう時は普通のダークスーツにネクタイ締めて……じゃなくて、ちょっとオシャレなオジサンになりたくなるだろう。
 僕たちが生まれた戦後のどさくさの頃の写真を見ると、まるで浮浪児みたい。着ているモノもボロボロだしつぎはぎだらけ。その頃の体験があるから、僕は手作りのセーターとかが今でも嫌い。手作りというのは貧しさの象徴で、既製服こそが高級という思いこみがある。
 最近話題の「ニート」だって、働かなくても生きていけるというのは豊かさの現れだと思う。僕たちの世代でニートなんてやっていたら、飢え死にするだけだった。そういった意味では、団塊の世代は貧乏を知っている最後の世代とも言える。

【Hot Link !!】





image
品田英雄さん(『日経エンタテイメント!』編集長)

『エンターテイメント業界の2007年問題』の話

 今、エンターテイメント業界は危機に瀕している。エンターテイメント業界のビジネスモデルは「優れたクリエイターの作品を多くの人に届けて喜んでもらう」というものだった。ところが最近はお金の流れが逆転して「私が歌いたい」「私が躍りたい」という現象が見られる。
 その流れが顕著なのが50代以降。特にすごいのが「大人向けの楽器教室」。なにがすごいって、先生がキレイ。いい男の先生のところには女性が集まるし、若くて優しい女の先生のところには男性が集まる。そういった意味ではどんどんサービス業化しているとも言えなくはない。
 発表会もさらに大変なことになっている。東京周辺には2000人規模の市民ホールはたくさんあって、アーチストが営業(ツアーなど)をするにはもってこいだった。ところがこのホールが今は取りにくい。公共施設だから基本的には抽選なんだけど、申し込みがすごく多くて土日なんかまず取れない。そういう状況の中で楽器教室の発表会がどんどん増えて、さらに混雑度が増している。
 お金の流れが変わっていると実感できるのが、アマチュア向けのコンテスト。ノミネートするときに審査料(参加料)を払うんだけど、1人3000円も払えば、チケットの料金よりも収入が多くなるケースもある。
 音楽業界のみならず、出版業界も同じ傾向がある。昔だったら「偉い先生に本を書いていただく」のが普通だった。ところが最近は文藝春秋社のような大手が「アナタの原稿を本にしませんか?」という企画を行っている。
 そんな「自己実現」をテーマにした商売を、エンターテイメント業界ではどんどん準備している。60歳を迎えようとしている団塊の世代が、自分の時間があって自分を振り返ったり、自分を表現したいと思うことに対して、どんどんお金の流れがシフトしている。
 団塊の世代はミリオン・ヒットを共有した世代だけど、特にオジサンにはどうやら「ひとくくりにしないでくれ」という気持ちがあるらしく、「アイツらとは違う」みたいな意識を持っているらしい。だから同じ人や同じ作品を見て新たなヒットになるケースはあまりなさそう。昔懐かしいモノなら「あれ良かったよね」とまとまるんだけど。
 その証拠に、実は50〜60代向けの雑誌をいろんな出版社がトライしているんだけど、ことごとくうまく行かない。うまく行くのは女性向けだけ。何らかの形でグルーピングやカテゴライズをしようとしても、カテゴライズできるのは年齢だけだったりする。60歳以上というところだけが一緒で、趣味志向が違いすぎるのだとか。
 1つだけ可能性があるとすれば「恋」というキーワード。渡辺淳一さんの小説じゃないけど、恋愛がらみで何か来れば、自分が参加できるという部分もあってうまく行くかもしれない。

【Hot Link !!】





image
藤沢久美さん(シンクタンク・ソフィアバンク副代表)

『シニア向けビジネス』の話

 2007年から団塊の世代が定年を迎えるようになり、その退職金を狙っていろんなビジネスが動き始めている。
 金融機関がやっているのは資産運用ビジネスやプライベート・バンキング。プライベート・バンキングはスイス銀行みたいに「あなたのための銀行」というサービス。本来は何億〜何十億というお金がないと受けられないサービスだけど、最近は都市銀行が「1千万円でもアナタのための金融のアドバイスをします」と言って始めている。
 具体的には「預金はこれくらいにして、株をこれくらい買って、投資信託はこれくらいが良いですよ」という金融に関するアドバイスが中心。でもそれだけじゃなくて、本当にスイスのプライベート・バンクみたいに「お車をお買いになるならこんな車はいかがですか?」なんて、生活コンシェルジュとしてアドバイスしてくれる。
 ただ、定年を迎えた団塊の世代が、その退職金をどれくらい使うかについては、いろいろ議論がある。私は今の社会の状況だと、そんなには使わないだろうと思う。これからインフレがやってくるかもしれないし、年金も減額されるかもしれない。退職金をたくさんもらったから安心だ、とは思えないだろう。
 でもこの間、あるコンビニエンスストアの社長さんとお話をしたら、「金利が上がったら使う」と仰っていた。今は低金利だから預けておいても増えないし、このままじゃ心配だ……となる。でも預けて金利がある程度付くようになれば、心理的な余裕ができて使うだろう、と。
 そんな風に、金利が上がった、世の中景気が良くなったらしい、景気が良くなれば年金問題もなんとかなりそうだ、こういったイメージで消費は起こる。実質的にはずっと厳しいかもしれない。でも雰囲気をどう作っていくかが、国のやり方の1つだと思う。もちろん雰囲気だけで実質を伴わないと、いつかは破綻するけど。
 ところで、あるデパートへ行ってシニアのファッションについてインタビューしたことがある。すると「シニア向け」と言った瞬間にまったく売れなくなるのだとか。逆に、シニアに一番売れているスポーツ・ウェアはイチローが履いているパンツだったりするらしい。ものすごく機能性が高いので、多少筋肉が衰えても走りやすい、ということでお金のあるシニアが買っていくと教えられた。
 そしてその傾向は30代の働く女性に似ていると思った。「お金があって時間がある」というのが共通点。そしてどちらもいろんなことにウルサイ。だからキラリと輝いているところに向かってやると、シニアも集まるし、30代の働く女性も集まるのがおもしろい。
 信託銀行がシニア向けに「遺言サービス」を始めたら、意外にも働く女性やDINKSの人たちが集まったり。働く女性はお金を持っている。でも子供がいないから渡す相手がいない。それで「社会的に貢献しよう」と思って遺言を残すのだとか。
 シニア向けのビジネスと30〜40代のキャリア向けのビジネスの接点はなかなか興味深い。

【Hot Link !!】





image
篠崎宏さん(JTB事業創造本部)の

『長期滞在型生活体験』の話

 3年ぐらい前から北海道庁と一緒に「北海道に移住をしてもらおう」というキャンペーンをしている。以前の「Iターン・Uターン」の場合は仕事をあっせんする必要があった。でも今回はシニアをターゲットに、定年退職した団塊の世代にぜひ来てもらおうというキャンペーン。
 以前との違いは片道ではなくなったこと。北海道に移住しても、いつでも戻れるという話。むしろ一生そこで過ごすという人は少ないと思う。何年かそこで過ごして、また戻りたくなったら戻る。そんな気軽な「移住」。
 今の60歳は、昔の60歳に較べて肉体的にも精神的にも若い。だから60歳になったからと言ってこぢんまりまとまってしまうのではなく、今までやりたかったことをやってみようというアクティブさがある。東京でずっと暮らしてきた人なら、一度は違ったところで生活してみようとか、そういう考えを実行に移してしまう若さがある。
 去年、JTBで「ロングステイ・プラザ」という店舗を作った。これはもともと海外のロングステイを想定して作った店舗だったけど、その店に寄せられる問い合わせの2割は国内の長期滞在に関するものだった。
 同じ「長期滞在」でも海外と国内ではタイプが違う。海外の場合は見るもの聞くことすべてが新しく、毎日が新鮮さの連続になる。一方、国内はそういうわけにはいかない。そこで国内の長期滞在に必要不可欠なのが地域コミュニティとの接点を持つこと。行ったはいいけど1ヶ月友達も何もできなかった、というのは国内ではちょっと考えられない。
 だから、日本のいろんな市町村で移住や長期滞在を呼び込む動きが活発になっているけど、地域コミュニティが来る方々を受け入れて、接点をちゃんと作ることが出来るかどうかがポイントになるだろう。逆に、そこで友達ができれば1ヶ月なんてあっという間に過ぎていく。
 また、リタイアした人がもう1回大学で勉強したいというケースも増えているし、今後ますます増えるだろうとも予測されている。そこで今年の夏から「シニアサマーカレッジ」という企画が弘前大学と山口大学で実施されることになった。
 従来、リタイアした人が学ぶ生涯学習の場所としては、地域のカルチャー・センターが中心になってきた。しかし今後はより高いレベルのことを学んでみたいという人が増えるので、夏に2週間と区切って、大学で学習をしようというのがこの「シニアサマーカレッジ」。しかも全国から人を集めて、違う地域の人が交流しながら学習をしていこうという趣旨になっている。
 地域の国立大学は地域色を持って存在している一面がある。だから教員や研究テーマが地域に根ざしているケースが多い。山口大学であれば「幕末」、弘前大学では「白神」や「りんご」、こういったことを専門に研究している人がいる。そういう人たちの持っている知識やノウハウを「シニアサマーカレッジ」では学ぶことになっている。

【Hot Link !!】






■ 放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
9'23" Satisfy Me One More Time Frank Sinatra Reprise 2195-2
19'24" Careless Love Hi-Lo's DRG 5256
31'26" A Man And His Dream Abbe Lane RCA 74321 38628 2
40'42" Wasn't It Wonderful Nancy Wilson Capitol 7243 8 56060 2 1
47'22" Gone For The Day June Christy Capitol CDP 7243 4 95448 2


 Back