SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2006年6月17日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「バラエティ作家」

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 最近のお笑いブームの影響もあって、テレビでは「バラエティ番組」が花盛り。お笑い芸人が様々なネタを披露する番組から、体当たりの体験談を追い掛けるドキュメント・バラエティ、スポーツ選手の登場するスポーツ・バラエティなど、数多くのバラエティ番組が人気を博しています。
 そんなバラエティ番組を陰で支えているのが放送作家の皆さんです。あまり表に登場することはありませんが、「面白い企画」を考えるのはこの方々。今日はそんな放送作家の皆さんが当店のバー・カウンターで語って下さったお話を、ここで少しだけご紹介させていただきましょう。

 


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そーたにさん(放送作家)の

『企画と視聴率』の話

 この仕事を始めたのが大学4年の時。それで今42歳だから、もう20年もこの仕事を続けている計算になる。
 企画を考えている時は、だいたい喫茶店でボーっとしている。基本的にアイデアは「浮かぶ」ものじゃなくて「絞り出す」もの。そして自分では知らないけど、どうも自分は会議の席でずっとブツブツ言っているらしい。喫茶店でもブツブツ言ってるらしい。
 放送作家は「おもしろい毎日を送ってる」なんて思われがちだけど、本当はものすごく地味。毎日、会議しかしていない。しかも歳を取るとともに「会議でコレを出すと、こんなことを言われるだろう」ということすら見えてくる。これはちょっと辛い。
 そういう点では、テリー伊藤さんなどはリアクションが読めない人。テリー伊藤さんはさらに上を読んでくれる。たとえば絶対に撮れなさそうな企画を提案すると、普通は冷静に「撮れませんよ」と否定されたり「これは会議ネタですね」と流されたりする。でもテリー伊藤さんや日本テレビの土屋さんになると、そういうものこそ燃えて読み込んでくれる。
 『進め!電波少年』でやった「懸賞生活」がまさにそんな企画だった。「どうせこんなもん撮れるわけがない」と思って、イヤミのつもりで5行くらいにまとめて会議の最後に出した。ところが土屋さんはそれをパシッと受け止めて、「最初は裸でスタートする」なんて自分が書いてもいないことまで考えだした。
 『進め!電波少年』がラッキーだったのは、あの頃ちょうどデジカムが発達して、カメラマンさんにわざわざ来てもらわなくてもディレクターやADが撮影できるようになったこと。それでフットワークがもの凄く良くなった。そんな風に、機材の発達が企画を変える。小さなCCDカメラの登場もバラエティ番組の企画を変えた。
 そしてテレビの作り方を大きく変えたもう1つの要素が「毎分」、つまり分刻みの視聴率。昔はそんなものはなかったし、あったのかもしれないけれど誰もそんなものを気にしていなかった。自分の感性を信じて番組を作っていた。
 今は低視聴率の番組でも必ず毎分が配られて「ここちょっと上がってるね」なんて分析がなされる。でもよく見たら裏がCMになって視聴率が上がっているだけだったりする。下手をするとCMが一番視聴率が良かったりして。
 もっと酷い時は「着地(つまり視聴率ゼロ)」した毎分も見たことがある。つまり数字上、その番組を誰も見ていないということ。それは、スタジオでタレントがただ雑談していたと同じこと。ずいぶん高い雑談だけど。

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樋口卓治さんと酒井健作さん(放送作家)の

『ルールと脱線』の話

〈酒井さん〉
 企画を考えるときに根底にあるのは「こんなことやっていたら僕が見てみたい」という気持ち。
 秋元(康)さんがよく言っているのは「“見たい番組”と“見ておもしろい番組”は違う」ということ。どんなにおもしろいオチがあっても、入り口で「見たい」と思えないと視聴者は見てくれない。

〈樋口さん〉
 この間、NHKでジブリのプロデューサーの鈴木さんが、その「見たいと思う入り口」は「時代性」だと言ってた。古い話だけど『学校へ行こう』という番組が始まった時は校内暴力が真っ盛りで、みんなバタフライナイフを持って「キレる子供」と言われていた。その時代性の中で『学校へ行こう』というタイトルを付けるだけで、勝手に目立っていた。

〈酒井さん〉
 僕は「一番好きな映画は?」と聞かれて、先輩たちに「それじゃダメだよ」と言われながらも『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と答えている。

〈樋口さん〉
 僕はコメディ全般が好きで、特に「誰も傷つかない笑い」が好き。逆に暴露系のネタとかはあんまり好きじゃない。
 アニメで言えば『トムとジェリー』なんか大好き。「意地悪して、その仕返しをして……」と同じことの繰り返しで、しかも全部家の中のお話。ああいうのが好き。

〈酒井さん〉
 僕も『トムとジェリー』は大好き。『トムとジェリー』では本来の型を破って、すごいルール違反をする時がある。すごく強いジェリーの叔父さんがやってきて、いきなりトムをやっつけてしまったり、すごく面白い。
 「ジェリーの叔父さんが実はネコより強い」なんて設定、誰が考えたんだろうと思う。決まっているスタイルがある中で、ちょっとイレギュラーなことをしようとするのがすごい。
 『トムとジェリー』のエピソードで言えば、お昼寝の話も好き。おばさんがトムに「今から昼寝をするけど、私はピンの落ちる音でも起きてしまうから、騒いだら承知しないよ」と言いつける。これを聞いていたジェリーがいろんな嫌がらせをして音を立てさせようとするんだけど、結局おばさんは起きない。でも最後にピンの落ちた音でおばさんは起きてしまい、トムが怒られるというお話。

〈樋口さん〉
 あの話ではジェリーがトムの尻を蹴っ飛ばしたり、熱湯をかけたりして大声を出させようとする。その時に「遠くへ行って叫べばセーフ」というルールがあって、部屋から飛び出て山の上で「いってー!!!」と叫ぶのはセーフ。あのくだらなさが良い。
 そういう意味では『トムとジェリー』は、まず最初にルールを作って、そこから脱線するから破天荒にみえるのだと思う。テレビの企画でも「好きなことをやってください」と言われるのが一番困る。
 酒井クンのやっている『トリビアの泉』なら「くだらなくて、役に立たないネタ」という縛りがあることが重要なのだろう。

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たむらようこさん(放送作家)の

『女性放送作家』の話

 私の仕事が増えたきっかけになったのは「慎吾ママ」だった。
 慎吾ママが冷蔵庫の中からこっそりマヨネーズを出して吸う動作を「マヨチュッチュ」と名付けたんだけど、あれは子供の頃に私と妹がやっていた動作が元になっている。私と妹の場合はマヨネーズじゃなくてコンデンスミルクだったので「ミルチュッチュ」だったけど。
 テレビ番組の会議に行くと、よく「女性の意見は?」と聞かれる。10年くらい前だと激しく女性の少ない業界で、40人の会議でも女性は私ともう1人くらいしかいない、という状態だったから。
 でも「女性の意見は?」と聞かれても、朝遅くに起きて夜中まで仕事をしている私の意見が、毎日定時に起きて定時に仕事を終えている女性たちの意見の代弁になっているかというと、おそらくそうじゃないと薄々気がついていた。
 それで女性の意見の最大公約数をちゃんと会議のテーブルに持ってこれるような組織作りをしたいと思って、会社を立ち上げた。その会社が「ベイビー・プラネット」。
 今やっている仕事で一番企画を考えなくちゃいけないのが『タモリのジャポニカロゴス』。日本語という漠然としたテーマのバラエティ番組だけど、単純に「日本語クイズ」みたいなことをやっても面白くない。だから毎週ネタを募集している。
 この間は「正解したら食べられる」というクイズをやってみた。「さかなへんの漢字が読めたらお寿司が食べられる」みたいな感じ。恥ずかしながら私は「鱸(すずき)」という漢字が2年前まで読めなくて、ずっとお寿司屋さんで鱸が注文できなかった。ある意味、自分自身がやりたかった企画とも言える。
 よみうりテレビ40周年の特番で「人はなぜ海に惹かれるのか」というテーマの1時間半の番組をやったこともある。土日の夕方の旅番組の枠で、普段は視聴率5%くらい、8%もいけば「おめでとう」と言われるのに、19.8%も取ってすごく嬉しかった。
 内容的には探偵モノで、五感で「人が海に惹かれる理由」を分析していく。たとえば視覚では「海の青が心を落ち着ける」とか、聴覚なら「赤ちゃんの頃に聞いていたお腹の中の胎動の海の音とよく似ている」とか。
 この企画、一番最初のきっかけは「なんでデートで海に行くことはあるけど、山に行くことはないんだろう?」という疑問からだった。そんな身の回りの実感から番組企画が生まれることは多い。

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村上卓史さん(放送作家)の

『スポーツ・バラエティ』の話

 スポーツ・バラエティに初めて携わったのは『スポーツ名場面100』という番組だった。深夜にスポーツの名場面を100個並べただけの番組だった。
 その半年後、同じメンバーが集まって作ったのが『徳光・所のえらい人グランプリ』。それまで個人プレーといえば野球だけだったのを、いろんなスポーツを取り上げるようにした。しかも「アイスを3回当てる野球選手」とか「高校サッカーの選手入場で、田中県知事の名刺を持って出てきた長野代表の高校」とか、細かいところに焦点を当てた番組だった。
 スポーツ選手を集めて喋ってもらう『ジャンクSPORTS』や、言いたい放題の女性を集めて喋ってもらう『恋のから騒ぎ』など、どこを掘るかの「掘りどころ」はイロイロある。その中でもスポーツというは、案外眠っている部分が多かった。
 自分が放送作家として一人前になれたと思ったのは『ジャンクSPORTS』が出来た時だった。あの番組はもともとスポーツ局の企画で、「スポーツ選手が楽屋でわいわい喋っているのが面白かった」という話から、「じゃあ思い切って、それをダウンタウンの浜田さんの司会でやってみようか」と発展した。
 スポーツ選手はその道一筋の人ばかりなので、その極端な人生は聞いていて面白い。しかも野球選手はバレーボールの選手が何をやっているのか全然知らない。そういう人たちが集まって「おおー」と言っているが面白いだろう、というのがあの番組。
 おそらく『ジャンクSPORTS』以前は「なんでバレーボールの選手と野球の選手とサッカーの選手を並べなきゃいけないんだ」と思われていたのだろう。でも今は、相撲取りが「食べなきゃいけない」という苦労話をした後に、ボクサーが「食べられない」という苦労話を語ったりして、お互いの苦労がわかるようになった。
 F1の中嶋悟さんが「雨の日は、コース脇の広告を見て“ここでハンドルを切る”と覚えている」という話をしたら、出演者一同みんな感心して、そこから「感覚的に覚えているモノ」という話が盛り上がったこともあった。野球選手だったら、帽子に折り目を付けて「ここまではストライクと覚えている」とか。
 『ジャンクSPORTS』では、スポーツのジャンルは問わない代わりに、基本的にトップ選手じゃないといけないという暗黙のルールがある。一流の体験をしている人はみな同じようなレベルで話ができるけど、そこに緩い人が入ってしまうと話が合わなくなってしまう。たとえビーチバレーのようなマイナースポーツでも、サッカーのようなメジャーなスポーツでも、日本代表である限りは同じような苦労や意識のレベルを持っている。

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福田雄一さん(放送作家)の

『放送作家になるまで』の話

 大学4年生の時にテレビ番組制作会社「テレワーク」でADのアルバイトをしていた。夏休みの受けたテレワークのセミナーで、『料理の鉄人』で有名な松尾プロデューサーにちょっと生意気な質問をして、セミナーが終わった後に松尾さんから直接「お前、明日から来い」と目をかけてもらった。
 翌日、松尾さんの班でアルバイトをさせてもらえると思って、当時はまだ曙町にあったフジテレビに行った。ところが古賀さんというプロデューサーに「ああ、お前か、話は聞いているからここへ行け」と言われて行った先が、フジテレビの裏に建っているプレハブみたいな場所だった。「ここは一体何なんだろう?」と思って入ったら、奥にたった1人で座って仕事をしていたのが、田中経一ディレクターだった。
 その日からアルバイトを始めたんだけど、こっちも大学4年生。卒論だって書かなくちゃいけないのに、1日も休みをくれない。そのままテレワークに入社して、ADの激務を半年も続ける内に、椎間板ヘルニアで立てなくなってしまった。
 それでADをやめて、大学時代から続けていた劇団に戻った。でも劇団は食べていけないばかりか、支出が多い。だから恥ずかしい話だけど、30歳になるまで実家から仕送りを送ってもらっていた。それが許されたのは父がちょっと変わっていて「30歳になるまでに働いていればいい」という人だったから。
 父のその考えに甘えていたわけじゃないけど、それで30歳くらいから仕事を始めた。復帰したきっかけは、ヨシモトが銀座に劇場を作ったこと。そこで作家と演出家と舞台監督を兼ねた仕事をさせてもらった。
 当時、銀座のヨシモトの劇場には若い頃のナインティナインやロンドンブーツ、ココリコ、極楽とんぼが出演していた。それがきっかけでそういった若い芸人と仲良しになって、彼らが売れて行くにつれて「一緒に番組をやりませんか」と言ってくれるようになっていった。
 もっとも、そのヨシモトの劇場も半年くらいで社員と喧嘩をしてクビになっている。でもその時の縁で、今も『ココリコ ミラクルタイプ』の仕事をしている。

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■ 放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
9'43" Should I Natking Cole Capitol 72435-30303-2-2
23'35" It's Too Good To Talk About Now Janet Seidel Muzak MZCF 1036
31'26" You've Changed Jackie Gleason Capitol TOCJ-9650
41'15" You Are My Lucky Star Jaye P. Morgan RCA BVCJ-2025
47'57" I'm All Smiles Nancy Wilson Capitol 0777 7 80409 2 7


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