前回の総選挙で、僕は自民党新人候補者の指導を受け持った。たとえばFAXで「演説ではこういう事を言ったらいいよ」と送ったり。
候補者は選挙活動中は忙しくて新聞を読む暇もないので、毎日3回、1枚ずつ「コレ!」とポイントを絞ったネタも送ったりもした。朝、事務所を出る時にその紙をポケットに突っ込んでいって、途中のトイレ休憩かなにかの時にその紙を見たら「あ、次の演説にはこのネタを盛り込もう」と思えるような、シンプルにまとまった内容。これは新人候補者から非常に喜ばれた。
こんなことをしたのは自民党でも初めてのことだったので、当選した新人議員たちは非常に感謝してくれて、僕をなにかと慕ってくれるようになった。それ以来、新人議員たちの交流が多くなっている。
そんな交流の中で一番よく聞くのが「どうやって選挙を戦っていいのかよくわからない」ということ。多くの人は派閥に入っていないので、教えてくれる先輩もいない。後援会の作るのも、どうやったら良いのかわからない、ということだった。
そこで「じゃあ一度みんなで勉強しましょう」という事になって、40人くらいの新人議員を集めて、僕が選挙対策のいろはに関する講演会を開いた。
たとえば女性の後援会を1つに絞らない方が良い、みたいな実践的なことも教えた。女性にはいろんなグループがあるので、それを1つのピラミッドにまとめようとすると大変なことになる。だから女性の後援会は仲のいい人同士でいくつも作ってもらった方が良い。
それから彼らに厳しく言ったのは、彼らは造反組と戦わなければならないんだ、ということ。地元の県会議員や市議会議員は造反組との付き合いが長いので、どうしてもそちらに向いてしまっている。なかなかそういう人たちの応援を得られない時に、武部さんや首相官邸に泣きついて、上から「コイツの応援をしろ」と言ってもらうようではダメだ、と言った。
県会議員や市議会議員の先生だって一国一城の主。まずは酒を酌み交わして、自分の人となりをを知ってもらう。そして彼らの抱えている問題に対してちゃんと相談に乗る。そういったことをちゃんとやれば、1人、2人、とこっちを向いてくれるようになる。それを上から「こうしろ!」では余計に反発を買うだけなので、絶対にやめなさい、と言った。
もちろん僕も先輩からいろんな事を教わった。僕が教わったのは「毎朝8時から始まる自民党の会議にはできる限り出席する。そして必ず1度は発言する。それもみんなが(ああ、こいつはよく勉強しているな)と思う内容の発言をする」ということ。これは本当に大変だけど、今でも続けている。
この朝8時の会議は誰でも参加できる会議。いろんな人がいて、下らない意見を言う人もいるし、長々と意見を言う人もいる。でもそこで「こいつはよく勉強しているな」と思ってもらえれば、もうちょっとインナーな会議に誘われる。「この事に関して詳しい人間だけで正味の議論をしたいから、君も来ない?」と誘われるようになる。そうやってだんだん政治家としての活動の幅が広がっていく。
朝の会議は出席を取るわけでもないし、出なくても特に問題が生じるわけじゃない。でも出ると出ないとでは大違いなので、新人議員たちにも出るように勧めた。だから今、みんな早起きして一生懸命朝の会議に出席している。