モーツァルトのオペラは、クラシックの世界の人のオペラという感じ。でもモーツァルトが変革者だったから、モーツァルトがいなければベートーベンもブラームスもいなかったと思う。
ロッシーニもモーツァルトの事が大好きだった。時々、ロッシーニのオペラにはモーツァルトのメロディがちょっとだけ登場するあたりに、ロッシーニのモーツァルト好きが窺われる。
そんな風に、モーツァルトがイタリア・オペラに及ぼした影響は非常に大きい。そしてまたモーツァルトも、イタリアに来た折りにオペラのいろんなことを勉強した。モーツァルトはイタリアから学んだことを発展させて、またイタリアに還元したとも言える。その業績は素晴らしい。
モーツァルトは3回イタリアに来ている。3回とも子供の頃で、「こんな面白いことができるのか」と驚いたのだろう。それを裏付ける手紙も残っていて、その手紙には「私が一番やりたいのはオペラ」と書いている。
一番最初のイタリア旅行は遊びに来たらしい。その時にボローニャ、ナポリ、ローマを巡って、いろんな先生に会ってオペラのことを勉強した。そしてそのすぐ後の2回目のイタリア旅行で、早くもミラノで2つのオペラを作曲している。子供とはいえ、そこは天才モーツァルト。
その後、イタリアとミラノに憧れていろんなオペラを作曲したモーツァルトだけど、今でも上演される有名なオペラと言えば『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』『魔笛』の3つ。
イタリア・オペラとモーツァルトのオペラが違うのは、オーケストラの使い方やメロディ、それから19世紀に入るとロマンティシズムが始まるので歌い方も変わっている。たとえばモーツァルトの曲は今から考えるとかなり規則正しいテンポなんだけど、ヴェルディやプッチーニになると歌うのが難しいくらいテンポが変わる。
ベルディは「ドラマティックに話すように」という言葉をよく手紙などに使っていて、セリフを言うような曲を好んでいた。これはイタリアそのものが演劇の国で、道を歩いていても演劇のような雰囲気だから育つセンスなのだろう。
その点、モーツァルトのオペラはある程度一定したテンポで歌いやすいとも言えるけど、逆にそのテンポをちゃんと守らないとモーツァルトの計算が成り立たず、その良さが伝わらないという難しさがある。