小学校5年生の時に『レ・ミゼラブル』が日本で初演され、そこで「ガブロッシュ」という子供の役で出演した。その時は鹿賀丈史さんと滝田栄さんが主演で、野口五郎さんや斉藤由貴さんも出演していた。この時が僕にとってのミュージカル初舞台だった。
その後、しばらく歌を歌う仕事はなかったんだけど、1998年に『レント』というミュージカルが日本で上演されることになって、そこに出演することになった。実はこの作品「ミュージシャンだけで構成する」という舞台だったんだけど、僕の役だけ狂言回しとしてセリフを言わなければならなかったので、僕に声がかかったらしい。
ちなみにこの『レント』、もうすぐ(4月末頃)日本でも映画版が公開される。日本公演で僕が演じた役は、アンソニー・ラップというブロードウェイの舞台で演じていた俳優がそのまま映画にも出演している。アンソニー・ラップは『レント』のガラ・コンサートの時に日本へ来て一緒に出演して以来の友達なので、「映画になる」という話はずいぶん前から聞いていたけど、向こうでもずいぶん盛り上がっているらしい。
舞台版の『レント』は1996年にブロードウェイで誕生して、その後10年ずっと生まれ変わりながら上演され続け、そしてついには映画化された。そんなブロードウェイでも特別な作品をタイムリーに日本でやれたことは、自分にとってもかなり影響があったと思う。『レント』は青春群像の代表作であり、曲も良く、魅力的なキャストで構成されていた。こういう舞台に出会わなかったら、僕はミュージカルをやっていなかったと思う。
『レント』はブロードウェイで初めて上演される時に、初日の前夜、作者のジョナサン・ラーソンが大動脈の破裂で急死してしまった。それで一度「上演中止にしようか」という話もあったけど、役者たちが「やろう!」といって初日を迎えたのだとか。
そのジョナサン・ラーソンが『レント』の前に作った自叙伝的作品が『チック,チック...ブーン!』。30歳になる直前の1週間を描いたお話で、30歳までには大豪邸に住む売れっ子脚本家になっているはずの男が、現実にはウエイターで食いつなぎながらロック・ミュージカルを書こうともがいている。そんな男の役を、ちょうど30歳を迎える僕が演じさせてもらうことになった。
それから昨年の『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』というミュージカルは、例の『レント』のアンソニー・ラップがブロードウェイで出演して僕の演じた役をアンソニーが演じていたし、『ラスト・ファイブ・イヤーズ』という作品も、日本で宇都宮隆さんが演じた役のオリジナル・キャスト(セカンド)はアンソニーだった。こんな風に、僕の出演する作品はなぜか全部『レント』に関係している。
日本と海外の作品の違いを語り出すと長くなるけど、ある時、スチュワーデスの友達に「なんで海外の人ってデカイ声で喋ったり、ものすごく怒ったり、変わってるよね」って言ったら、「世界で一番変わってるのは日本人」と言われた。それが作品にも影響しているのだろう。ストレートに何かを表現できる人がいるか……と考えると、やっぱりそういう人がいないのが原因なのでは。