SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2006年2月18日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「ロック・ミュージカル」

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 最近、ミュージカル界では「ロック」を使った舞台が多いんだそうですね。QUEENの曲を使った『WE WILL ROCK YOU』、ロッド・スチュワートの曲を使った『Tonight The Night』など、特定のアーチストの曲だけを使ってミュージカルを作るケースが多いのだとか。
 そんなロック・ミュージカルの中でも代表的な作品『トミー』がもうすぐ日本で上演されます。このミュージカルはザ・フーの曲だけを使った作品で、そもそもこの“ロック・オペラ”こそがロック・ミュージカルの元祖なのだそうです。
 当店にも、来月に始まる日本公演を楽しみにしているお客さまが大勢いらっしゃいます。今週はそんなお客さまたちの「ミュージカル話」をここで少しだけご紹介させていただきましょう。


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川平慈英さん(俳優)の

『俳優としてのルーツ』の話

 実はウチは3人兄弟で、長男のジョンと三男の僕の間に「謙慈(ケンジ)」という兄がいる。僕が中学に入った時に、その次男の兄が「この中学の英語劇クラブは面白いことやってるぞ」と教えてくれた。
 僕は「えー?!英語劇なんか……」と思っていたんだけど、その英語劇クラブの先生が僕のところへ来て「兄貴から聞いてるぞ、ウチに入るんだって?」って。勝手に話が決まっていた。
 その英語劇クラブで1年生の時にやった公演が、あの『ウエスト・サイド・ストーリー』だった。あの大作を40分くらいにまとめたトンデモないお話で、僕の役は「ベビー・ジョン」。これが面白くて、完全にハマった。2年目は『ザ・ウィズ』。これは映画版の「オズの魔法使い」。そして3年目はオフ・ブロードウェイでもヒットした『ゴッド・スペル』。その主役をやらせてもらった時には、震えるような感動があった。
 ウチの中学はエスカレーター式なのでそのまま高校へ上がって、文化祭では自分たちでパフォーマンス・チームを作って、オリジナル・ミュージカルを作ったりしていた。そんな中学から高校までの経験が、今の僕の役者としてのベースになっていると思う。
 ちなみに両親は演劇にまったく興味がないというか、共働きで忙しい毎日を送っていたので、子供の頃に劇場へ連れて行ってもらったりはしていない。もっとも父は児童演劇をやっていたらしくて、先週、急に親父から「親父が6歳でタップをやっていた頃の写真」が送られてきて「血は争えないなぁ」と驚かされたけど。
 だから僕が本格的にミュージカルを見るようになったのは高校生になってからだった。仲間を集めて『ヘアー』『ザ・ウィズ』『フェイム』『コーラス・ライン』なんてミュージカル映画を劇場に見に行った。
 今ではレッスンがてらブロードウェイに行って、本場の舞台も見られるようになった。3年前に行った時に見たのは『プロデューサーズ』。これは「お見事!参った!」と言うしかなかった。「これぞミュージカル!」という感じで、お馬鹿で、でも実は緻密に計算されていて、テンポが良く、セットや衣装もすごくて、ダンサーの質も最高。ある意味「ドリフ」みたいな、ベタベタのギャグが満載のコメディ・ショーだった。
 僕ももうすぐ『OHダディー!』というコメディ・ミュージカルの舞台に立つ。自分自身、とても楽しみ。

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山本耕史さん(俳優)の

『レント』の話

 小学校5年生の時に『レ・ミゼラブル』が日本で初演され、そこで「ガブロッシュ」という子供の役で出演した。その時は鹿賀丈史さんと滝田栄さんが主演で、野口五郎さんや斉藤由貴さんも出演していた。この時が僕にとってのミュージカル初舞台だった。
 その後、しばらく歌を歌う仕事はなかったんだけど、1998年に『レント』というミュージカルが日本で上演されることになって、そこに出演することになった。実はこの作品「ミュージシャンだけで構成する」という舞台だったんだけど、僕の役だけ狂言回しとしてセリフを言わなければならなかったので、僕に声がかかったらしい。
 ちなみにこの『レント』、もうすぐ(4月末頃)日本でも映画版が公開される。日本公演で僕が演じた役は、アンソニー・ラップというブロードウェイの舞台で演じていた俳優がそのまま映画にも出演している。アンソニー・ラップは『レント』のガラ・コンサートの時に日本へ来て一緒に出演して以来の友達なので、「映画になる」という話はずいぶん前から聞いていたけど、向こうでもずいぶん盛り上がっているらしい。
 舞台版の『レント』は1996年にブロードウェイで誕生して、その後10年ずっと生まれ変わりながら上演され続け、そしてついには映画化された。そんなブロードウェイでも特別な作品をタイムリーに日本でやれたことは、自分にとってもかなり影響があったと思う。『レント』は青春群像の代表作であり、曲も良く、魅力的なキャストで構成されていた。こういう舞台に出会わなかったら、僕はミュージカルをやっていなかったと思う。
 『レント』はブロードウェイで初めて上演される時に、初日の前夜、作者のジョナサン・ラーソンが大動脈の破裂で急死してしまった。それで一度「上演中止にしようか」という話もあったけど、役者たちが「やろう!」といって初日を迎えたのだとか。
 そのジョナサン・ラーソンが『レント』の前に作った自叙伝的作品が『チック,チック...ブーン!』。30歳になる直前の1週間を描いたお話で、30歳までには大豪邸に住む売れっ子脚本家になっているはずの男が、現実にはウエイターで食いつなぎながらロック・ミュージカルを書こうともがいている。そんな男の役を、ちょうど30歳を迎える僕が演じさせてもらうことになった。
 それから昨年の『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』というミュージカルは、例の『レント』のアンソニー・ラップがブロードウェイで出演して僕の演じた役をアンソニーが演じていたし、『ラスト・ファイブ・イヤーズ』という作品も、日本で宇都宮隆さんが演じた役のオリジナル・キャスト(セカンド)はアンソニーだった。こんな風に、僕の出演する作品はなぜか全部『レント』に関係している。
 日本と海外の作品の違いを語り出すと長くなるけど、ある時、スチュワーデスの友達に「なんで海外の人ってデカイ声で喋ったり、ものすごく怒ったり、変わってるよね」って言ったら、「世界で一番変わってるのは日本人」と言われた。それが作品にも影響しているのだろう。ストレートに何かを表現できる人がいるか……と考えると、やっぱりそういう人がいないのが原因なのでは。

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武次光世さん(シアターガイド)の

『ブロードウェイの流行』の話

 現在のブロードウェイでは『マンマ・ミーア』の流行りが続いている部分もある。それは「カタログ・ミュージカル」とか「ジュークボックス・ミュージカル」と呼ばれていて、昔の有名なポップス歌手の曲を集めて、そこにむりやり話を当てはめ、みんなが知っている曲で盛り上がる、というスタイル。
 その流行りの中でも、良い作品もあればイマイチな作品もある。たとえば『レノン』という作品は、その名の通りジョン・レノンの曲を集めて、ジョン・レノンの半生を描く、というミュージカルだったけど、残念ながら物語の構成自体がもう一つだったため、不人気ですぐに終わってしまった。
 秋にオープンした『ジャージー・ボーイズ』はなかなか評判がいい。これはフランキー・ヴァリ&フォー・シーズンズの曲をガンガン使ったミュージカル。脚本がけっこう作れているので、ヒットしているのだろう。まだ今でも上演しているし、しばらく続きそう。
 こういったカタログ・ミュージカルはいろいろ作られているけど、やはりミュージカルは脚本が大事だと思うので、もともとある歌詞でむりやり話を作ろうとすると、どうしても無理が生じてしまう。そこで「無理はあっても音楽の盛り上がりで……」なんて手抜きの作品はどんどん淘汰されていく。
 たとえばちょっと前に作られたビーチボーイズのミュージカルも全然ダメだったし、今度の春に始まるアース・ウィンド&ファイアーのミュージカルも相当怪しげ。もちろん見てみないとわからないんだけど、この手のミュージカルがポッと始まってボッと終わるというケースがここ2〜3年は本当に多い。
 今、ブロードウェイで一番の話題と言えば、ディズニーが手掛ける『ターザン』。3月下旬にオープンして、5月に初日というスケジュールになっている。ものすごく期待されているので、チケットはなかなか手に入らなくなるだろう。
 『ライオン・キング』は主題歌がエルトン・ジョンだったけど、『ターザン』はフィル・コリンズ。そしてターザンと言えば「蔓に掴まって移動するアクロバット」だけど、これを以前日本にも来た『ビーシャ・ビーシャ』というパフォーマンス集団がやるらしいということで注目を集めている。

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井上芳雄さん(俳優)の

『ミー&マイ・ガール』の話

 6月から始まる『ミー&マイ・ガール』はロンドンのミュージカル。お話自体もロンドンが舞台になっていて、実在の場所をモチーフに話が作られている。
 たとえば曲名としても登場する「ランベス・ウォーク」は、ロンドンの下町に実在している通りの名前。物語はその下町に住むビルという青年が、実は良いところのお坊ちゃんだった……というところから始まる。ようするに『マイ・フェア・レディ』の逆バージョンみたいなもの。
 このミュージカルはロンドンではかなり古い作品で、非常にオーソドックスなミュージカル・コメディ。「財産の後継者は紳士でなくてはいけない」という遺言があったため、ビルはお屋敷の偉いオバちゃんから特訓を受ける。またビルにはサリーという以前からの恋人と結婚しようとするけど、周囲に「家の格に見合う人でないと」と反対されたり、とすったもんだが起こる。
 そもそも『マイ・フェア・レディ』のパロディとして作られたという背景もあるので、サリーに淑女としての教育をするのが「ヒギンズ教授」だったりする。そういう役名の人は登場しないけど、セリフで「あ、それにうってつけの人を知ってる!過去にもそういうことを成し遂げた人がいるから、そこに連れて行こう!」なんて。
 ミュージカルの場合、歌とセリフが混在するので、歌の前のセリフを言う時に少しずつテンションを上げて、歌に近づけるよう工夫している。基本的にはテンションや気持ちが大きくなるから歌や踊りになるので、その気持ちの高ぶりを表現できていれば、そんなに「いきなり歌い出した」みたいな違和感はないのでは。何か嬉しいことがあった帰り道に1人で歩いていたら、ちょっと歌ったりステップを踏んだりした経験は誰にでもあると思う。ミュージカルの歌はその延長線上にある。
 ただ、日本のオリジナル・ミュージカルだと、話の流れ的に歌い出すようなテンションになっていないのに「ここで歌っちゃうか?!」なんて作品もたまにある。それは脚本の問題で、ちゃんとした作品なら普通にセリフを言っていれば、歌のところではちゃんと歌いたくなるようなテンションになる。日本に限らず向こうでも、良い作品と良くない作品はそこが違うのでは。
 逆に、向こうの上手い俳優さんだと歌の最初の部分がセリフのように聞こえて、どこから歌に入ったのか分からなかったりする。オケも自然に入ってきて、その辺の技術はまだまだ日本が及ばないところだと思う。
 僕自身、普段は「落ち着いている」と言われがちなタイプで、だからこそ「ワー!」と歌い出したいという願望は常に胸の内に秘めている。それがミュージカルの舞台の上では解放されているのが、見ていてとても気持ちがいい。僕みたいな日本人は多いと思うので、ミュージカルは日本人に決して合わなくはないと思う。

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宮地真緒さん(女優)の

『ピーターパン』の話

 ミュージカル『ピーターパン』に主演するようになって今年で2シーズン目。最初は酸欠になるくらい大変な舞台だった。
 まず息をお腹ではなく背中に入れるようなイメージが必要。それでずっと息を吸っていると、過呼吸になって苦しくなる。そのまま歌って踊って飛んで跳ねて。最初の頃は稽古でダンスを1曲踊りきれないくらい大変だった。ダンスの方はなんとか身体を動かせたとしても、息が上がって歌えない。
 1幕の1曲目に「威張ろうぜ!」という歌があって、すごくご機嫌でピョンピョン飛び跳ねちゃうような歌。ところが実際にやってみると、途中で息が上がっちゃって、とてもじゃないけど「威張れない」状態に。
 その後、5分くらい芝居があって、今度は一転、スローバラードの歌がある。その5分の間に息を整えないと、声が震えてしまってスローバラードは歌えない。そんなこんなでとにかく大変で、去年は何度「やめたい」と思ったことか。
 そんな私を見て、舞台監督は「とりあえず慣れろ、体力を付けるしかない」って。「フライングのセンスはすごく良いね」とも言ってくれたけど、「フライングのセンスは」と言うことは、他がダメということ。それで落ちこんだりもした。
 フライングはバランスをちゃんと取らないと、クルクル回って止まらなくなってしまう。だからあの姿勢をキープするための腹筋と背筋、そしてバランス力が必要。フライング中に足の曲げる方向を変えるのは、実は方向を変える時にバランスを取りやすくするためにやっている。手も微妙に泳ぐように動かしているのも同じ理由。空中で前や後ろに回る時は、一瞬でも軸がずれるとグラッと傾いてしまうので、本当に難しい。慣れればなんてことはないけど、そこまでが難しい。
 私は高い場所が好きなので、フライングはすごく気持ちいい。上から客席を見下ろしている感じが特に良い。初めて挑戦した時も「浮いた!」と大喜びだった。
 そんな大変な舞台だけど、稽古を重ねる内になんとかこなせるようになった。ただ、もともと太らない体質だから、ハードワークで痩せすぎちゃって、プロテインや甘いものをひたすら摂取して、なんとか体調を維持していた。
 ピーターパンは3幕なんだけど、1幕が終わったらご飯、2幕が終わったらまたご飯、3幕が終わってさらにご飯を食べて、1日に何食食べるんだ?!というくらい食べていた。差し入れでいいチョコレートなんかをいただいたら、それを食べまくったり。だから差し入れは「食べられるモノ」に限る。

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■ 放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
8'48" There's No Business Like Show Business Betty Hutton, Haward Keel, Keenan Wynn, and Louis Cal EMI TOCP-65128
20'24" You'll See "Rent" Original Broadway Cast Recording Dreamworks MVCA-2
30'16" Walk Like A Man The Four Seasons Curb Denon COCB-83204
40'30" The Lambeth Walk Robert Lindsay and Chorus MCA MVCM-2310
47'52" I've Gotta Crow Mary Martin RCA Victor 3762-2-RG


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