SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2006年2月11日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「金・銀・銅」

image

 いよいよ今朝の未明からトリノ五輪が始まりました。当店でも、フェラーリのF1マシンがスピンターンしながら走り回った開会式の話題で持ちきりです。これから2週間は寝不足の日々が続きそうですね。
 今回のトリノ五輪では、日本代表選手が例年になく多くのメダルを持ち帰ってくれるのでは……とも期待されています。その「金・銀・銅」にまつわる話をお客さまが教えて下さったので、今日はそのお話を少しだけここでご紹介させていただきましょう。


image
松尾孝さん(東京工業大学大学院教授)の

『金銀銅』の話

 金や銀が他の金属とわかりやすく違った点は、酸化物ではなく、そのままの形で採れたこと。たとえ酸化しても、ちょっと加熱すればすぐに酸素が逃げていく。そして独特の金属光沢がある。それで昔から貴重な物として扱われてきた。
 特に金は、銀のように黒ずむこともない。しかもあの独特の金色の光沢。実は色を持っている純金属は金と銅の2つしかない。その他は全部、銀と同じような「金属光沢」。だから金は特別な存在だった。
 金は金属の中で一番延びる金属でもある。これを「展性に富む」と言う。箔にもっともしやすい金属で、24金を叩くだけで金箔が作れる。
 一方、銀は電気伝導性や熱伝導性がNo.1の金属。だから本当は銅じゃなくて銀で電気コードなどを作ると素晴らしい性能になる。たまに高価なオーディオ向けのコードで見かけることもある。
 以前、銀がもっとも使われていたのは感光材料としてだった。たとえば「ブロマイド」というのは臭化銀のことで、35ミリのフィルム、印画紙などに塗ってあったのはすべて臭化銀だった。臭化銀は光が当たったところだけ酸化するので、そこに銀が溜まる。昔はその銀を集めて売る人も居たくらい。
 銅は非常に柔らかい金属で、リード・ワイヤー(電線/銅線)などに多用されている。 アルミ線も使われることはあるけど、いろんなところを巻く時には銅線が最高。
 銅は真ちゅうの材料でもある。純銅を使わずに青銅を使うことで強度を増すことが可能になる。亜鉛を加えて真ちゅうにする時に、銅と亜鉛の割合によって強度を調整することもできる。
 普通、金属は電子が暴れ回っているので、すべての波長の可視光線を反射してしまう。だから鏡みたいな色に見える。ところが金は緑から上の波長を吸収してしまうので、境目の黄色に見える。銅は橙色から下を吸収するので、赤と橙色の間の色。
 俗に「金銀銅」と言うけど、実は周期律表では上から「銅銀金」の順番で縦に並んでいる。3つとも同じ「族」として分類されていて、この族は酸素との結合力が弱い元素として知られている。

【Hot Link !!】





image
ガイエ義和さん(クリストフル社GM)の

『銀食器』の話

 クリストフルはフランスの会社。創立者のシャール・クリストフルという人の名前を取って付けられた。創立170年の歴史のある会社。
 一番最初は宝石商だった。ところが会社ができて何年かした時に電気分解法が発明されて、クリストフルはその特許を手に入れた。そこからクリストフルは銀に興味を持ち、お金持ちしか手にできなかった銀食器を、銀メッキという形で一般に普及させていった。
 クリストフル社の製品には必ずマークが入っているので、レストランなどで使われていてもすぐにわかる。ナイフだったら刃の部分だったり、モノやサイズによって場所は様々だけど。
 銀製品を手にとっても、それが純銀製なのか銀メッキなのかは、普通の人にはまずわからないと思う。でもクリストフルの場合はマークで判別できるようになっている。たとえば「925」という数字が入っていたら、それは「純度92.5%の銀が使われている」という意味。100%にしてしまうと柔らかくなってしまうので、最大で92.5%。
 昔から日本では「銀は変色する」というイメージが根付いているけど、今の銀製品はあまり変色しないような作りになっている。しかも多少変色しても、クリーニング用の液体に10秒浸して、後は拭くだけで元に戻る。
 フランスでよく言われるのが、変色させないためには使え、ということ。使っていれば変色は起こらない。使わないで空気にずっと触れているから変色が起こる。
 父から聞いた話では、昔は夏休みに家族でお祖父ちゃんの家などへ行くと、「年に1回の銀の日」と言われて銀食器の手入れをしたものらしい。当時は今みたいに変色を取るような製品もなかったので、けっこう大変だったとか。でも今ならそんなに大変でもないだろう。

【Hot Link !!】





image
満薗文博さん(東京中日スポーツ報道部長)

『オリンピックのメダル』の話

 もともと、古代オリンピックでは月桂樹の冠で勝者を称えていた。メダルというのは近代オリンピックになってから。
 しかも近代オリンピックの第1回、アテネ五輪では1位の「銀」と2位の「銅」しかなかった。これは当時のオリンピックは「栄誉だけ」のもので、言ってみれば財宝の象徴のような「金」はいかがなものか……と考えられて、銀と銅になったという説が有力。他にも「金だと強盗や盗難のおそれがあったから、優勝者に迷惑をかけないように」という説もある。
 今はオリンピックのメダルは6cm以上の大きさと決まっている。でも第1回大会は5cmと小さめだった。そして最古代オリンピックの伝統を引っ張っていたので、メダルにはゼウスとアクロポリスの神殿跡の絵柄が描かれていた。この絵柄は、時代と共に多少変化しつつも、基本的には踏襲しながら今も続いている。
 第4回のロンドン大会からやっと「金メダル」が正式に登場する。また、第2回のパリ大会ではメダルは四角だった。これは当時、オリンピックそのものが世界的にまだ認知されておらず、パリ万博のイベントの1つという位置付けで開催されたため、万博でいろんな人に与えられるメダルを流用したせい。そこでも一応、金メダルも渡されたけど、正式に決まるまでは第4回までかかった。
 オリンピックのメダルは実は“銀メダル”。金メダルも“銀メダル”の金メッキしたもの。「金メッキ、もしくは金箔を6g使って金メダルにする」ということがオリンピック憲章で決められている。だから潰しても大したお金にはならない。
 古いメダルを見せてもらうと、中にはメッキが剥がれてきているものもあったりする。

【Hot Link !!】





image
猪首秀明さん(ひまわり証券執行役員)の

『金の相場』の話

 金は今だいたい1グラムが2000円くらい。2000年あたりから相場がジリジリ上がり始めて、それくらいの値段になっている。実はその前は1000円を切っていた時期もあったので、この数年で倍になっている計算になる。
 なんて話をするとずいぶん上がっているような印象を受けるけど、過去を振り返れば、1970年代後半から80年年代初頭にかけては6000円なんて時代もあった。そういう長いスパンで考えると、まだまだ上がり始めたばかりと言えなくもない。
 金の地金そのものを持っている人もいるけど、現物を手元に引かずに、売り買いの注文だけで投資をすることも可能。そのあたりは株と同じような仕組みになっている。
 株を取引するのは東京証券取引所だけど、金を取引するのは東京工業品取引所。そこで毎日、午前9時から午後3時まで金の取引が行われている。値動きの変動幅は、株なら300円の株が1000円になることもあるけど、金は「上がった」と言われても、ここ5年で倍。株に較べれば非常に小さい。
 そこで証拠金を使って、見かけ上では変動幅が大きい取引をすることもできる。だから金に投資をする上で大事なのは、いくらの商品を取引しているのか、ちゃんと把握しておくこと。それさえわかっていれば、決してハイリスク・ハイリターンなものにはならない。
 「有事の金」という言葉もある通り、自分の持つ資産の10%は金で持っておいた方が良いという考え方は、世界中で浸透している。

【Hot Link !!】





image
竹内俊夫さん(銀座コイン会長)の

『銅貨』の話

 銅貨の歴史を紐解くと、世界で一番最初の貨幣は中国で登場した。ナイフの形を模した「刀幣(とうへい)」や、農具の形を模した貨幣などが、青銅で作られていた。これが銅貨の始まり。
 その銅貨が日本に伝わり、最初の銅貨「和同開珎」が708年に発行された。ちなみに事の時は同じ和同開珎の銀貨も発行されている。その後、250年に渡って「皇朝十二銭」と呼ばれる銅貨が発行され続ける。
 ところが当時、銅が枯渇し、権力側も財政基盤がしっかりしていなかったこともあって、日本では貨幣の発行が止まってしまう。その発行が再開されたのは慶長、つまり徳川家康の時代になってから。その間、鎌倉時代や室町時代は中国から貨幣を輸入して、中国の貨幣を使っていた。
 今でこそ日本は「資源のない国」と言われているけど、かつては世界でも有数の金と銀の産出国だった。それはマルコ・ポーロに「黄金の国、ジパング」と言わしめたことでもわかる通り。
 その金や銀が本格的に産出するようになったのは、戦国時代の後半から。金、銀、銅の3つの貨幣をまとめて「三貨」と呼ぶけど、三貨を自国で産出して貨幣として流通させたのは世界的にも珍しい。今ではもう枯渇してしまったけれど。
 銅に至っては、元禄の頃には日本は輸出国だった。寛永通宝という貨幣は寛永13年(1636年)に発行された貨幣で、銅がえらい産出したために大量に生産されて流通した。この寛永通宝が中国やベトナム、インドネシアなどへ輸出されていた。ベトナムの貨幣単位は「ドン」だけど、これは日本語の「銅」から来ているらしい。寛永通宝が非常に良質だったため、向こうでは相当に歓迎されたと伝えられている。

【Hot Link !!】






■ 放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
8'44" Long Ago And Far Away Jane Fielding Capitol TOCJ-5447
19'10" Look For The Silver Lining Chet Baker Pacific CJ28-5151
29'47" You're The Top Anita O'day Verve 849 266-2
40'03" Dancing On The Celling Lorez Alexandria Impulse MCAD-33116
47'18" On The Top Of The Wordl, Alone Gisele Mackenzie BMG BVCJ-7373


 Back