「ちゃんこダイニング若」は現在全国に12店舗。六本木に1号店ができてから、もう3年が経つ。2月には姫路と神戸にオープンするので、14店舗になる予定。
現役の時、僕はもっぱら食器洗いと野菜を切る係だった。ちゃんこの味付けは上手な人がいて、その人がやらないと師匠に怒られてしまう。とはいえ、僕は生まれた時からちゃんこを食べてきた人間ではある。
初めてちゃんこを食べたのは、阿佐ヶ谷にあった初代・若乃花の双子山部屋。それ以外にも父の付き人の若い力士が家まで作りに来たり、父が作ることもあったし、ちゃんこは自然と目の前にあるものだった。だから作り方も目で見て覚えていた。
僕の現役時代に部屋でお世話になっていた「ちゃんこ長」の力士は今、ちゃんこダイニング若でちゃんこを作ってくれている。現役当時、場所中になると10kgぐらい痩せて食欲もなくなるので、僕の顔色を見ながら「こういうモノを作ろうか」といろいろ工夫してくれていた。時にはパスタを作ってくれることもあった。
ちなみに相撲用語で「ちゃんこ」というのは「食事」のこと。だからイタリアンでもフレンチでも、なんでも「ちゃんこ」と言う。
ちゃんこ(鍋)は力士が食べているから「太る」というイメージがあるかもしれないけど、そんなことはまったくない。むしろ一番健康的な食事だと思う。ウチでは「塩味」「醤油味」「みそ味」「キムチ味」の4つを基本に、夏に限定の味付けを作ったりもしている。たとえば「カレー味」とか「白星」とか。白星というのは大根おろしを大量に入れたサッパリした鍋。どの味も美味しいんだけど、あえて1つを選ぶなら「塩」が一番美味しいと思う。
ちゃんこの味付けは女将さんに教えてもらうこともあるし、ウチには元双子山部屋のちゃんこ長がいたりするけど、結局どんどん勉強して進化するもの。だからちゃんこダイニング若のちゃんこは、ちゃんこダイニング若の味。
ちゃんこにはつけダレはなく、ごまやゆず胡椒を付けて食べる。最後にはラーメンを入れたり、トッピングでウインナーを入れたり、好みやその時の体調に合わせていろいろ変えられる。その辺をスタッフに相談しながら食べるのが一番いいのでは。