SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2006年1月7日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「ドイツ」

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 なんでも2005年から2006年3月までは「日本におけるドイツ年」なんだそうで、当店のご近所でも、つい最近まで「ドイツ体感スクエア・Dハウス」というイベントが行われていました。
 2006年はモーツァルトの生誕250年イベントや、サッカーのドイツW杯など、なにかとドイツが注目を集めそうです。当店のお客さまが話していた「ドイツ話」で、知っているようで知らないドイツのことを予習してみてはいかがでしょうか?


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風間八宏さん(サッカー解説者)の

『ドイツW杯』の話

 ドイツで5年くらいプレーをした。当時は西ドイツが世界でも断トツに強い時代で、中学の時から試合で何度も行った経験はあったけど、大学で2回もドイツ語を落としていたので友達から「一番苦手な国に行くなよ」とからかわれた。
 僕がドイツで認められたのはドリブル。ドイツ人はドリブルが下手だし、ドリブルに対する対処も下手だった。今は外国人選手も増えてだいぶ変わったけど、根本的にはまだドリブルが苦手だと思う。
 その代わりドイツはパスが上手い。そしてパスをインターセプトするのも上手い。5mくらい空いているコースにパスを出すと、2人くらいの敵が飛び出してきてスパーンと取られてしまう。こっちは「2人も読んでいたのか!」とビックリさせられる。ノールック・パスなんて当たり前で、コースを見ていたらパスなんて通らない。
 そしてドイツ人は大きい。当時、成人男性の平均身長が183cmくらいと言われていた。僕の靴のサイズは26cmなんだけど「子供のサイズはない」と言われて、特別に取り寄せてもらっていた。
 よく言われる「ゲルマン魂」という言葉はドイツにはない。でも彼らは非常に責任感が強い。たとえば試合に負けて帰るバスの中で、失点の場面ではキーパーが悪かったのかストッパーが悪かったのか、という話になったとする。そこで僕が「キーパーだろ」なんて言おうモノならもう大変。「じゃあお前のあのプレーはなんだ!」と4時間はその話に付き合うハメになる。コーナーキックの時も「オレだけは自分の相手に絶対入れさせない」とみんな考えている。そういう人間が10人いれば、なかなか点は入らない。これが「ゲルマン魂」なんだと思う。
 もちろんドイツ人にもナイーブなヤツはいて、「こんなにいがみ合いながらサッカーをやりたくない、楽しくやりたい」と言っていた。ところがチームメイトは「その楽しいサッカーは50歳か60歳になってやれ」と。
 そんな選手の集まったドイツ代表だけど、最近は勝つだけじゃなくて魅せるサッカーを目指したり、ブンデス・リーガに外国人が多くなりすぎて選手が育たない、などいろんな意味で過渡期にある。
 一方、日本代表はドイツW杯で苦戦するのは免れない。やはり地元ヨーロッパのチームは強いし、ヨーロッパのチームで活躍している南米の選手も力を発揮するだろう。日韓W杯の時は「ドーム球場は息苦しい」「湿気が厳しい」など、慣れない環境にかなり苦労したけど、今回はそんなことはない。
 クロアチアもオーストラリアも日本には勝ち点3を計算しているはず。その上でどうやって決勝トーナメントへ進むか。サッカーをするのは決勝トーナメントに入ってからで、予選はポイントを取る作業みたいなもの。98年のフランスW杯もそんな感じでアルゼンチンやクロアチアにやられた。なんとなく日本が攻めているようだけど、シュートだけは打たせてもらえない。そして気がつくと一発で点を取られて、やられてしまった。「勝つ戦い」「負けない戦い」の区別がしっかりと付いていた。
 日本は「相手にとって不足なし」という考え方で戦いに臨んで欲しい。そして「日本人は何が上手いのか」という事を見せて欲しい。それが次に繋がる。

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野田浩資さん(神谷町「ツム・アインホルン」オーナーシェフ)

『ドイツ料理』の話

 ドイツ料理のお店はまだまだ少ない。ビアホール的な南ドイツのイメージのお店はけっこうあるけど、本格的なドイツ料理の店は東京でも10軒あるかないか。
 ドイツは地方色が豊かなので、「この料理を食べたければこの地方に行かなければならない」みたいなことがよくある。しかも東京だと「地方料理店」がいっぱいあるけど、ドイツにはそういうお店がまったくない。その辺、やっぱりドイツ人は頑固なのか「ほかの地方のモノを持ってくる必要はない」と考えているのだろう。
 ドイツを大きく北と南にわけた場合、北は海があるので魚介類が非常に豊富。肉よりも魚の消費量が多いくらい。それに対して南はビール文化。ビールによく合うソーセージや豚肉の料理が充実している。
 たとえば南のミュンヘン。ここには「ヴァイスヴルスト」という白いソーセージがある。これは豚の脳味噌を入れているので非常にソフトで独特の味がして、甘いマスタードを付けて食べる。これが「ヴァイス・ビール」という小麦粉を使ったビールによく合う。
 ミュンヘンから車で1時間くらいのレーゲンスブルグという街には「世界で一番古いソーセージ屋」がある。1500年代に作られたお店で、その頃の塩の運搬人のために作られたお店なんだとか。昔はソーセージだけじゃなくて煮込みなんかも作っていたけど、1800年代からソーセージ専門になって、いまだにレシピを変えずに作っている。炭火焼きで食べるその昔ながらのソーセージはとても美味しい。そのお店の名前は「ヒストリッシュ・ヴルストキュッヘ」という。
 ソーセージにはいろんな種類があるけど、大雑把に「焼きソーセージ」「茹でソーセージ」「煮込みソーセージ」の3つに分類できる。「煮込み」というのは冬だけにしか食べられないソーセージで、脂がけっこう多め。ザワークラウトとかキャベツと一緒に煮込んで食べる。鍋料理にも使われる。
 アイゼナハという街には「テューリンガー」という太くて長いソーセージがある。30cmくらいあって、お皿からはみ出るくらい。焼いて食べるんだけど、ちょっと辛味があってすごく美味しい。

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石原隆さん(テレビ番組制作会社)の

『ベルリンの壁』の話

 1989年11月に、同僚の小牧次郎と崩壊したベルリンの壁を見に行った。ちなみにベルリンの壁が崩壊したのは11月6日くらいだったと思うけど、その2週間後にはベルリンにいた。
 僕は「全部面倒を見るから、ドイツ語は俺に任せろ」と言っていた。小牧サンも気を遣ってくれて「石原クン、○○が欲しいんだけど」と必ず僕を通すので、交渉ごとは全部僕がやっていた。
 でも実は、コーヒーが欲しければ「カフェ、カフェ」と連呼するだけ。タバコが欲しければ「シガレッテ、シガレッテ」と言って、銘柄は黙って指さすだけ。これでなんとか4日間を乗りきろうと思っていた。
 そしてついにやってきたブランデンブルグ門。東西ドイツの真ん中にあって、壁の一部が崩壊したとはいえ、まだ勝手に行き来はできない状態だった。そこで僕たちも1日ビザを取得して東側に入ったのだったと思う。
 ベルリンの東側に入り、僕たちはブランデンブルグ門の立ち入り禁止区域の柵に寄りかかって、門を見学していた。すると「あっ!」という叫び声が。小牧サンが柵の内側にカメラや地図を落としてしまっていた。
 まだ一応、東側の兵士が銃を持って巡回しているので、さすがに勝手に柵を乗り越えて拾うわけにもいかない。そこで僕が「ちょっと聞いてきます」と言って、30歩ほど離れた場所にいた兵士に話しかけた。
 これぞ火事場の馬鹿力と言うべきか、完全に錆び付いていたドイツ語の歯車が回り始める。流暢なドイツ語で「すまないが友人がカメラを落としてしまったので、取ってもいいか?もしダメなら君が取っていただけないだろうか?」と語りかけた。
 ところがこれが、まったく通じない。もう1回言ってみたんだけど、どうやってもダメ。途方に暮れて「英語はわかる?」と聞いてみた。すると英語ならなんとかなりそうな雰囲気。そこでカタコトの英語でカメラのことを説明しだした。
 すると背後から「石原……お前、英語で喋ってないか?!」という声が。ハッと振り向くと、小牧サンが鬼のような形相で僕を睨んでいた。英語がペラペラの小牧サンは、ベルリンくらいの大都市ならどこでも英語が通じるのに、僕に気を遣ってずっと我慢していたらしい。それ以降、小牧サンは一切僕を通さずに、ホテルでもレストランでも、英語で好き勝手に、そして僕以上に複雑な交渉をしていた。
 旅が終わって日本に帰ったら、翌日がちょうど部会という、部に所属する人間全員が出席する会議の日だった。連絡事項が一通り終わり「他に何か報告事項のあるヤツ?」と部長が聞くと、小牧サンが静かに手を挙げた。「みなさんに報告があります、石原のドイツ語はまったく通用しません、以上で報告を終わります。」
 僕の社会的生命の何%が失われて、僕と小牧サンのドイツ旅行は終わった。

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鈴木正文さん(『エンジン』編集長)の

『ドイツ車』の話

 日本で外車と言えばドイツ車。ベンツ、BMW、アウディ、フォルクスワーゲン、オペルなどなど、圧倒的な割合を占める。
 ドイツ車はとにかくしっかりしている。車に限らずドイツのモノは堅牢で、安定感がある。風に吹かれて飛んでいきそうな時に、バン!と止めてくれるのがドイツのモノ。生活の中にはマジメな要素が必要で、ベンツやBMWを買うとそのマジメな要素が手に入る。派手に遊んでいるように見えても、結局奥さんとは離婚しない、みたいな感じ。ドイツ車を売り払って他の車に乗り出したら危ないかも。
 車の作り手として、ドイツ人は圧倒的に勤勉でマジメ。そして細かいところにもウルサイ。日本人も細かいところにウルサイけど、ドイツ人とはポイントが違う。たとえばドイツではドアを開けようとすると、重くてなかなか開かない。これは「開ける」という意志を持っていないと開かないようにしているから。軽々しく開くようでは信頼できない、ということ。はしごなんかも「これは乗っても大丈夫だ」という感じがすごくある。
 それはある意味、過剰なクオリティとも言える。だから儲からなくて、ポルシェが潰れそうになった。メルセデスもこの10年で一生懸命コストダウンを図ったのに、「安っぽくなった」と言われてしまう。機能的にはまったく落ちていなくて、無駄な部分を省いただけなのに。
 僕が好きなドイツ車は、普通の実用車なら圧倒的にBMW。しかも3シリーズに限る。ドイツのモノとしての安定感がありながら、浮き立つような華やかさもある。ミュンヘンで作られているというのも影響しているかもしれない。ドイツの中でも一番お洒落で一番官能的なミュンヘンでは、そこに住む人々も人生における快楽に対して肯定的。もちろんドイツ人だから完全に浮き上がっちゃうようなことはないけれど、ミュンヘンの人は生来の明るさのような部分を持っている。その雰囲気がBMWには出ていると思う。
 有名なドイツのアウトバーンは、実は制限速度のある区間の方が圧倒的に多い。その制限速度は時速130〜150km。そしてもちろん有名な「無制限」の区間もある。アウトバーンを4〜5時間走っていると、時速250km以上は出しているなという車に2〜3台は出会う。車種はポルシェ、ベンツ、BMW、アウディ。でも向こうにも自動車メーカーの自主規制があって、時速250kmでリミッターが働くようになっている。それでもAMG、ポルシェ、BMWのアルピナ、この辺のスポーツカーは自主規制の範囲外になっている。

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立川裕大さん(インテリア・デザイン・ディレクター)

『ドイツ・デザイン』の話

 ドイツの「トーネット」というインテリアの会社はスゴイ。蒸気で木を曲げて作るという、非常に単純な技術の会社だけど、19世紀の中頃に作った「14番」という椅子はドイツ・デザインの塊のよう。量産に向いていて、ネジだけで組み立てられて、1立米の中に36本分のパーツが入るらしい。累計2億本が売られ、世界でもっともコピーされた椅子。とにかくスゴイ。  「ヴィトラ」という会社は「ヴィトラ帝国」と呼ばれるほどデザインに対して理解のある会社。世界中に椅子を輸出している。大量生産には「手だけを動かしている」というイメージがあるけど、ドイツに限っては「頭をフル回転させている」という感じがする。  若手ならコンスタンチン・グルチッチ。まだ30代後半から40歳くらいなんだけど、彼は光るモノを持っている。すごく知性があって、すごく考えられている感じ。一昨年くらいからいろんなメーカーで彼のデザインした椅子が出だしていて、たとえば無印良品でも、名前は出ていないけど彼の椅子があったはず。1万円くらいだったと思う。  グルチッチのデザインはドイツ・デザイン全般に通じる地味さというか、商品に対して色目を使っているような感じがまったくない。そっけないとも言えるけど、道具としてはものすごく考えられている。人間の振るまいをちゃんと見て作っているのだろう。それでいて没個性ではない。彼にとって「綺麗なモノを作る」というのは簡単に出来てしまうのだろう。でもそれだけで満足せずに、ちゃんと考えて作る。それは使っているとよくわかる。  たとえば僕が使っているのは「フロス」というメーカーから出ている「メーデー」というラッパのような照明器具。手元の部分がちょっと工夫されていて、引っかけたり、置いたり、吊したり、持って歩けたり、1万円もしないぐらいの品なのに、ものすごく便利。  無印良品のテーブルも使っている。テーブルにマガジン・ラックが付いたようなだけのモノなんだけど、これがものすごく便利。これは実際に使うとすごくよく分かると思う。
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■ 放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
9'14" Ain't A Kick In The Head Dean Martin Capitol CDP 0777 7 98407 2 2
19'30" Morgan(One More Sunrise) Bing Crosby MCA MVCM-294
30'46" Danke Schoen Wayne Newton CURB D2-77605
40'04" Whatever Lola Wants Mel Torme Verve POCJ-9149
47'12" Goody Goody Frank Sinatra Reprise WPCP-5793


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