映画『私の頭の中の消しゴム』はぜひ見て欲しい。僕が映画館で見ていたら、周りの女性はみんな嗚咽の声を漏らしていた。
ヒロインの女性は「記憶がなくなっていく」という病気で、男性がそれを支えていく。最後には女性が彼を愛していたことさえも忘れてしまうけれども、男性はそれでも彼女を守り続ける……といったお話。これを見終わった女性は全員、チョン・ウソンという俳優に目がハートマークになる。
チョン・ウソンの役どころはビルの工事現場で働くようなガテン系で、ガタイは良いし、色っぽいし、心に傷があって、ひたすら優しい。映画を見ていて笑ってしまったのは、やたらとお姫様抱っこをすること。恋愛ドラマはあれをやらなきゃダメだ、と思った。ドラマ『プライド』のラストで木村拓哉さんが竹内結子さんをお姫様抱っこしたのは間違いじゃなかったと確信した。
もちろん『私の頭の中の〜』は中盤から「記憶がなくなる」というギミックで泣かせるんだけど、泣かせるための前置きとしての「幸せな時期」の男性の優しさたるや、とにかくすごい。韓流ドラマの根本はコレだと思う。
お姫様抱っこで丘の上に彼女を連れて行き、すばらしい景色を前にして「ここに家を建てよう」と言い出す。「ここは君との部屋で、ここには良い窓を付けよう」とか、こんな男性がいたらどれだけ良いのか?!という男性。
つまり、裏を返せば女性が男性に何を求めているのかがよくわかる。優しさとか、女の人を守る強さとか、そういうモノを女性は男性に求めている。
ドラマ『白い巨塔』の里見教授(江口洋介さん)もそんな役だった。家庭を守り、矢田亜希子さんのようなキレイなお嬢さんも寄せ付けない。そして自分の職を失ってでも研究の没頭するような気骨もある。一方、財前教授(唐沢寿明さん)のように野心たっぷりな男性も世の中にはめったにいない。だから『白い巨塔』は「こんな医者の権謀術数のドラマ、誰が見るんだ?!」と言われたけど、蓋を開けてみたらその魅力的な男たちを20〜40代の女性が圧倒的に支持した。
『私の頭の中の〜』や『白い巨塔』の他にも、ケビン・コスナー主演の映画『ボディガード』も、まったく同じ方程式。「男はかくありたい」「女はこういう人に守られたい」という本能が呼び起こされるのだろう。
ドラマ『東京ラブストーリー』も同じ。1〜5話くらいまでで、リカはカンチを好きになり、カンチにどれだけ夢を見せてもらったことか。小さなアパートに2人で住んで、誕生日をケーキで祝って、「今度の休みには僕の田舎に君を連れて行くよ」と言われ、こんなに幸せな時間を赤名リカという女性はそれまで過ごしたことがなかった。その女性が最後には別れざるをえなくなる……というところにみんな泣いてくれた。
そんな風に、ラブ・ストーリーは「こういう男性にこういう風に愛されたい」というモノをどれだけ提示できるかが肝心で、その後でくっつくか別れるかは別に問題じゃない。たとえば『101回目のプロポーズ』なら、あの武田鉄也さんが素敵に見えるというプレゼンテーションに成功したのだと思う。