遺伝子というのはわりとしょっちゅう変化する。だけどものすごく都合の悪い変化は残らない。
たとえば、遺伝子のどこかが突然変異して、みんなが起きて動いている時間にいつも寝ている人がいたとする。するとこの人には異性と出会うこともなく、遺伝子を残せないまま死んでしまう。これが進化の原理。
またある時、女性がチャラチャラした男性を好むトレンドが生じたとする。するとチャラチャラしているヤツはバンバン子供を残し、家に引っ込んでいるヤツはまったく子供を残せない。すると次の世代ではチャラチャラした遺伝子を引き継いだ人間が10人に対して、ひっそりした遺伝子を受け継いだヤツが0人とか1人しかいない。それを繰り返した人類の末裔が我々である、とも言える。
ところが「モテる」「モテない」の話で言えば、生物学的には「メスの好みはコロッと変わる」とされている。あまりにチャラチャラしている方に偏りすぎると、ひっそり暮らしていたヤツが突然モテるようになることがある。そしてそれを決めるのはメス。メスが世の中を作ってきた、というのが生物学の考え。
生物のグループごとにオスとメスの力関係は違うけど、圧倒的にメスの力の方が上であるケースが多い。だからクジャクのように、オスがきらびやかな格好をしている。人間の場合はオスとメスの性差が、ほかの動物に較べて非常に小さい。だから割に均衡の取れた関係、つまりお互いに選び選ばれ、という関係にある。
男が選ぶ基準はなんと言っても“みてくれ”。選挙でもみてくれの良い人に投票するくらい、男は顔を重視することがいろんな研究で確かめられている。一方、女が大事にしているのが「身長」。男の顔があまりキレイになっていないのは、顔で選ばれていないせい。
ただし、身長が高ければ高いほど良いかというと微妙で、背の低い女性はグンと高い男を好むけど、大柄な女性は自分よりちょっと高いくらいの男性を好む。もちろん中には自分よりも背の低い男を好む女性もいるけど、それは確率の問題で、統計的にはそういう結論が出ている。
昔から「胸とお尻が大きくて、ウエストが締まっている」ような体型の女性を男性が好むのは民族に関係がなく、動物的な本能だと言われてきた。ところがこの点に関して最近、南米の火山の噴火口の中で生活している、外界との交流のない民族を調べたら、彼らはずんどうの女性を好んでいるということがわかった。つまり男性の女性の体型に関する好みは、近代文明の影響を受けているということ。
男が女を顔で選ぶ理由というのはハッキリとはわかっていない。ただ「キレイ」とは何かというと、その基準の1つとして「左右対称」ということがある。実は遺伝子の働きが予定通りに起これば、人間の顔は左右対称になるはず。でも病気をしたり、食べ物がなかったり、いろんなアクシデントでなかなか遺伝子の予定通りに事が運ばない。そうやって人の顔は少しずつ左右対称ではなくなっていく。
だから左右対称に近いということは、食べ物も良かったし、環境も良かったという証明になる。もちろん現代ではあまり関係のないことだけど、何万年も前の原始人たちはそういう「基準」を持っていたのでは。その基準が今も本能として残っているのが、男の好みなのかもしれない。