SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2005年11月12日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「南野陽子 goes to AVANTI」

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 土曜日夕方の常連のお客さまが座る「いつもの席」は、他の常連のお客さまが遠慮しているのか、それとも旅行中だとご存じないのか、今日も空いていました。そこに現れたのは、当店は15年ぶりという女優の南野陽子さん。なんでも「昔、教授とちょっとした賭けをしていたの」とのことですが、どんな賭けだったのでしょう?
 さて、今週も当店のウエイティング・バーには様々なお客さまがいらっしゃって、いろんな楽しいお話をして下さいました。そのお話をここで少しだけご紹介させていただきましょう。


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山田修爾さん(元TBSテレビ・プロデューサー)

『ザ・ベストテン』の話

 『ザ・ベストテン』に南野陽子さんが初登場したのが86年。当時はフジテレビの「おニャン子旋風」が吹き荒れていて、「この週は出られる」「この週はダメだ」と振り回されていたので、よく覚えている。初めて会った時は「なんてカワイイ女の子なんだろう」と感心した。
 当時、番組で大がかりなセットや衣装がいろいろ使われたけど、南野さんはロングドレスみたいな「お姫様」っぽい感じが好きだろう、と勝手に思って、そういう企画をいつも用意した。打ち合わせで「こんな感じで、白いドレスで登場すると格好良いんだけど?」なんて提案すると「それイイ!」って喜んでいたから。
 後でわかったことだけど、南野さんは「ベストテンのスタッフが好き」と言ってくれていたらしい。たまたま僕が「『ノルウェイの森』読んだ?」と声を掛けて、本を貸してあげたりしたのが嬉しかったのだとか。
 そうやって番組を信用してくれるようになると、南野さんの方からも「こうしてみたいんですけど」と提案をしてくれるようになっていった。ある時などは「ネグリジェで歌おうかと思うんですけど」と言って僕たちを驚かせた。蓋を開けてみたら僕らオジサンが想像するようなネグリジェとは違って、普通の部屋着っぽいネグリジェだったけど。
 南野さんは本当に面白い人で、とにかくよく“歌詞を飛ばす人”だった。一度などは完全に頭が真っ白になって、むなしく演奏だけが流れたこともある。さすがに南野さんも「どうしよう?!」という顔つきになって、手がガタガタ震えだした。黒柳徹子さんが状況を察して、カメラに写らないギリギリの所で歌詞の載っている台本を南野さんに見せようとしたんだけど、頭が真っ白になっている南野さんはそれも目に入らない。結局その時は、そのまま曲が終わってしまった。
 レギュラー番組としての『ザ・ベストテン』が終わってからも、毎年暮れにスペシャル番組をやっている。あの番組は生放送なので、放送前に“ラン・スルー”と言って放送とまったく同じ内容を一通りテストをするんだけど、これが3時間の番組だと4時間くらい掛かってしまう。その時、南野陽子さんと中森明菜さんの2人だけは、自分の出番が終わっても、楽屋に行かないでずっとスタジオにいる。この2人は『ザ・ベストテン』のスタジオにいることが楽しくて仕方がないらしく、人の歌を口ずさみながらずっとスタジオで見ている。本当にあの番組を愛してくれているのだろう。

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北方謙三さん(作家)の

『水滸伝』の話

 『水滸伝』がやっと完結した。5年10ヶ月かけて、19巻、9500枚。その間に別の本を10冊くらい出した。
 水滸伝に惹かれたのは、青春時代に持った“熱い想い”に重なる部分があったから。僕の青春時代はちょうど学生紛争のまっただ中。「世の中を変えられるかもしれない」と思って熱くなっていた。もっとも、若いヤツに「何を変えたんだ?」と聞かれても、「日本の歩道を変えた」としか答えられないけど。その昔、日本の歩道はコンクリートの石畳だった。それをはがして投石の石にしていたら、アスファルトに変えられたから。
 それはさておき、水滸伝は中国で「四大奇書」と言われるほど有名な作品だけど、その一方で何度も禁書にもなっている本でもある。若いヤツに読ませると権力に反逆したくなるから、というのがその理由。
 水滸伝にはメインのストーリーは特になくて、いろんなキャラクターを楽しむ列伝になっている。大筋、宋という国と戦う108人が梁山泊に集まって、その後、官軍に転じて対外戦争へ……というお話はあるけど、このストーリーはかなりいい加減。そもそも原典の水滸伝がいろんな説話の寄せ集めなので、武松というメイン・キャラクターも登場するたびに容姿、性格が全然違ったりする。これは「武松のエピソードを書きたい」という人が大勢いたせい。
 だから「私の“水滸伝”」を書くのは自由だと思う。原典が大好きという人には許せない部分もあると思うけど。
 とにかく108人のエピソードを書くのは大変だった。しかもちゃんと描こうと思ったら、敵側も描かなくちゃいけない。だから他に水滸伝を最後まで書いた人はいない。水滸伝をモチーフにした『南総里見八犬伝』はあるけど、『水滸伝』として最後まで完結させたのは自分が初めて。
 ちなみに吉川英治さんは『新・水滸伝』という形で水滸伝の完結に挑んだけど、途中でお亡くなりになっている。だから担当編集者に「完結まで死なないで下さいね」と冗談交じりに言われたのは、けっこうリアリティがあった。
 水滸伝は膨らまそうと思えばいくらでも膨らむ。巨大な国家と戦う反逆の集団。それが梁山泊という1つの場所に集まり、さらに1人1人の物語がある。これには5年10ヶ月の時間と9500枚の原稿用紙が必要だった。
 その間、他にも10冊の本を書いているし、僕はけっこう勤勉な人間だと思う。良いお店に行って、美味しいものを食べて、お姉ちゃんと楽しく、なんて生活をしている思われているみたいだけど、そんなことは……たまにしかしない。

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小山薫堂さん(放送作家)の

『サプライズ・ビデオ』の話

 サプライズ・ビデオをよく作る。この間は『クイズ・ミリオネア』のプロデューサーをしている松尾さんという人の54歳の誕生日にサプライズ・ビデオを作った。松尾さんには内緒で山口の実家まで行き、お父さんやお母さん、恩師の先生や同級生にインタビューする、という内容。
 それだけだとつまらないので、その前にちょっとイントロをつけようという話になった。東京の街角で通行人に「松尾さんの誕生日に一言お願いします」と聞くと「誰それ?」と。それで仕方なく山口へ……というイントロ。そのイントロを撮りに23歳の若いテラス君が行くことになった。
 その時に「ちょっと危険な匂いのする感じが良いな」とリクエストしたら、テラス君は「頑張ります!」と張り切って撮影に出掛ける。そして1時間半くらいして「自分なりに頑張りました!」と帰ってきた。
 そのビデオをデッキにセットして、プレイボタンを押して最初に移ったのがロシア大使館。厳重な警備をしているロシア大使館にカメラは近づいていき、脇に立っている警備員に「すみません、松尾さんの……」と話しかけた瞬間に「なに撮ってんだ!」と叱られていた。
 それでもめげずにテラス君は「いえ、松尾さんの誕生日をお祝いしたいので、おめでとうと言って欲しいんです」と食い下がる。その内、警備員はトランシーバーを撮りだして「えー、○○の警備ですけど、今カメラを持った男がここに来ております、用件は松尾さんの誕生日をお祝いしたい、うんぬん、状況がわかりませんので応援をお願いします」と言い出した。するとまたたく間に集まる警備員。「テープ止めなさい、免許証は?」というところでテープは終わっていた。
 これは最近僕が見た映像の中でも、もっとも力のある素材だった。とにかくテープを取り上げられなかったのがエライ。彼は「これ消したらカメラ壊れるんです!」とかいろんな事を言って、頑張ったのだとか。
 松尾さんはサプライズ・ビデオをすごく喜んでくれたけど、「最初のあれ、どこでロケしたの?エキストラもよくあんなにいっぱい集めたね」の一言にはガッカリ。「あれは本物なんですよ!」と叫んだ。

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益子直美さん(元バレーボール日本代表)の

『グラチャン』の話

 もうすぐバレーボールの国際大会『ワールドグランドチャンピオンズカップ2005』が始まる。ただ、今回の日本代表はちょっと微妙。
 というのも、9月からVリーグが始まっているから。グラチャンに合わせてVリーグを休止して、終わったらまたVリーグが再開、となると、選手は体力的にも精神的に辛いだろうと思う。1人1人の選手のコンディショニング次第とも言える。
 ただ、柳本監督になってから女子の日本代表は、「この大会ではコレを」という目標に対しては必ず結果を残してきている。だから何が目標なのかをわかっていれば、楽しめると思う。
 今回の目標は、もしかしたら大山加奈という大型エースの復活になるかもしれない。加奈ちゃんはアテネが終わってからずっとヘルニアのリハビリをしてきて、今はやっと復帰して調子も良い。また日の丸をつけた加奈ちゃんをぜひ見たいと思う。
 一方、男子はこの間、アジア選手権で10年ぶりの優勝を果たした。選手も監督もみんな泣いて、感動のフィナーレだった。「アジア大会ごときで……」と思う人もいるかもしれないけど、一度どん底まで落ちた男子バレーがやっと1つ階段を上ったのは素晴らしいこと。
 グラチャンには各大陸を勝ち抜いた代表が集まる。ブラジル、イタリア、本当に強いチームばかり。男子にはカッコイイ選手も多くて、バレー通の間では「外国同士の対戦が見たい」という人もいるほど。でもその中で日本がどれだけやれるかはすごく楽しみ。
 日本のバレーが辛くなったのは、体格の差も大きな要員。昔は190cmなんていったらものすごく大きい選手だったのに、今はロシアに2m16cmなんて選手が普通にいる。女子でさえロシアには2mを超える選手が4人もいた時期があった。
 今、男子チームでは荻野正二というベテラン選手がキャプテンとして頑張っている。この選手は私が選手をしていた頃からいる大ベテラン。アテネの女子チームを吉原選手がキャプテンとして引っ張ったように、荻野選手もキャプテンとしてチームを引っ張って欲しい。
 以前の男子チームは「やる気あるの?!勝ちたいの?!」と思うこともあった。でも今のチームは「この1点に賭ける!」という気持ちがプレーに出ているので、その辺を見て欲しい。

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茂木健一郎さん(脳科学者)の

『判断力』の話

 運動も脳で身体をコントロールしているので、脳が非常に重要な役割を果たしている。イギリスのエリート教育でスポーツを伝統的に重視してきたのは、そういう側面がある。
 たとえばラグビーでは、瞬時の判断力が必要とされる。その判断力が、社会に出て経営者や政治家になった時の判断力に役立つ。イギリスにはそういう知恵があった。中田英寿もどこかの会社の取締役をやっていたり、判断力の高い人というのは他の所へ行っても通用する。
 判断力というのは基本的に自分の身体を動かさないと育たない。考えてみれば当たり前の話で、生き物として生死を分ける状況の中で「どうしよう?!」と考えるのが一番シビアな“判断”になる。その状況に近いのがスポーツ。
 脳科学で最近一番メジャーなトピックで「コンピューターにできないこと」がある。コンピューターにできないことはいろいろあるけど、判断という行為もその1つ。判断は最後にデータを超えなければならない。「こういうルールだから」で終わらずに、そのルールさえも飛び越えなければいけない。
 中田だって「今の状況がこうで、データがこうなっているから、ここにボールを出そう」と考えているワケではない。瞬時に「ここにボールを出すのが良さそうだ」と判断している。これが仕事で“いい判断が出来る”ということとまったくイコール。
 「こういう理由だからこうする」なんて説明できる判断は大した判断じゃない。理由なんか後からつけるもの。恋愛だって同じで、好きになる時に理由はない。友達に「なんで好きになったの?」と聞かれて、はじめて理由を考える。たとえ自分の理想の条件を揃えた女の子が目の前にいたからといって、好きになるとは限らない。つまり理由より先に判断がある。
 将棋なんかも「指す手」が最初に浮かぶのだとか。これは米長邦雄さんに聞いた話。じゃあ何を考え込んでいるのかというと、その判断の歩留まりを良くするために裏付けをしているらしい。
 この判断力を養うのには、スポーツが最適。ちなみにいわゆる「運動神経」とは別の話で、そっちは「身体をコントロールするための脳の部位」のお話だから。ようするに、頭ではわかっているけど身体はついていかない……みたいな話。これが両方優れている人が中田みたいな選手になれる。

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■ 放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
11'40" I Hear Music Peggy Lee Capitol 7243 8 54543 2 5
21'35" Nice Work If You Can Get It Patti Page Emercy PHCE-10014
27'39" Saturday Night Frank Sinatra Capitol TOCP-8131
37'31" Just One Of These Things Doris Day Columbia 475 750 2
48'07" I'm Hurtin' Nat King Cole Capitol CDP 0777 7 8954


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