SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2005年10月8日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「iTunes」

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 土曜日の夕方いつもいらっしゃる常連のお客さまが「iPod nano」を買って、お店に持っていらっしゃってました。私もちょっと見せてもらったんですが、あの小ささは驚きですね。
 でも、iPodのiPodたるゆえんは、iPod用のソフトウェア「iTunes」にあるのだとか。その辺の事情をお詳しいお客さまが教えて下さったので、今日はそのお話をここでご紹介させていただきます。
 どうやらiPodとiTunesは単なる音楽再生機器ではないようで……


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神田敏晶さん(ビデオジャーナリスト)の

『iTunesの基礎知識』の話

 現状、iPodを買ってきただけでは使えない。iPodを買ってきたら、まずはパソコンに繋いで曲を移さなければならない。そのためのソフトが「iTunes」。
 PCにCDを入れてiPodにデータを移す時に、もしPCがインターネットに繋がっていると、ちょっと良いことがある。CDの情報をインターネット上のデータベースと照合して、ジャンル、アルバムタイトル、曲名などを自動的に取り込んでくれる。今までのMDだったら手打ちの入力だったから、かなり画期的。さらに将来的には、データベースに歌詞なども登録されるようになるかもしれない。
 そして最新の流行が「ダウンロード・ミュージック」。CDを買うのではなく、インターネットを利用して、最初からデータとして音楽を購入できるようになった。
 今まで、音楽はある意味「大人買い」だった。2500円とか3000円を払って、10曲程度をまとめて買うのが当たり前だった。でも、ダウンロード・ミュージックが普及してきて、「あ、あの曲良いな」と思ったら1曲150円程度で個別に買えるようになってきた。
 支払いはクレジットカードがメインで、プロバイダーが徴収代行をするケースもある。「クレジットカードを持てない若年層でも買えるように」という需要もあったので、プリペイドカードも用意されている。
 iTunesにおけるダウンロード・ミュージックのサイトは「iTunes Music Store」。そこに繋げると、カタログが並んでいて、簡単に曲が購入できるようになっている。
 つまり話をまとめると、iTunesというソフトは音楽を再生ソフトでもあり、自分の持っているCDを管理したりiPodに転送したりするための管理ソフトでもあり、音楽を購入するためのソフトでもある。そんな機能を全部ひとまとめにしたのがiTunes。
 iTunesで音楽を買うと、CDそのものやジャケット、歌詞カードなどがない分、かなり安い。しかもジャケットの写真のデータが付いてくることもあるし、プロモーション・ビデオの映像が付いてくることすらある。そしてそれらのデータもiPodで再生できるようになってきた。

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山崎浩司さん(東芝EMI)の

『音楽配信』の話

 東芝EMIでは現在約10万曲をネットで販売している。洋楽が7割、邦楽が3割くらいの割合。
 音楽配信をはじめるにあたって、いろんなジャンルの楽曲を持ってくることができた。お客さまのニーズが少ないと見込まれる音楽だとCDにはしづらいけど、実は我々の親会社「EMI」が権利を持っている楽曲は、日本で発売されているCDの何倍もある。そういったコアなジャンルの楽曲も、定常的にダウンロードされている。
 そんなコアな楽曲も簡単に検索できるのがインターネットの強み。お店で探すというのも楽しみ方の1つではあるけど、「コレが欲しいんだ」という人にはインターネットの検索機能がすごく有効だと思う。
 一般的にインターネットの利用者は、やや男性の方が女性よりも多いので、音楽配信の利用者もその比率が繁栄されている。世代的には20代後半〜40代前半が中心なので、やや高め。ただしその山は緩やかなカーブを描いているので、広い年齢層にアプローチできている。
 最近は女性の利用も非常に増えていて、昼間は主婦が家事の合間にインターネットを利用しているケースが多いらしい。そこで音楽を買うというケースが少しずつ増えている。
 東芝EMIに限って言えば、昨年の4月に音楽配信を始めた時は、他社に較べてちょっと割高と思われていた。そこで今回、iTunes Music Storeがスタートするのを良い機会と考えて、値段を下げることにした。
 この先、CDがまったく売れない、ということになってしまうと、それはそれで困るんだけど、当面は「インターネットで音楽を知る」というプロモーション的な要素も考えている。1曲ごとに購入できれば、初めて聴くアーチストの曲も気軽に買えるようになるし。
 我々には「10曲のアルバムなら、より密度の濃いモノを作らなければならない」という使命が課せられるけど、それだけお客さまの耳が肥えてくるのは音楽という業界としても文化としてもプラスだと考えている。

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神田敏晶さん(ビデオジャーナリスト)の

『Podcasting』の話

 Podcastingとは「iPodを持っている人向けにCasting(放送)できる」という機能。自分たちで作った番組や音楽を簡単に配信できる。ユーザーの側から見れば、気に入った番組をiTunesで登録しておけば、新作が登場するたびに自動的にダウンロードしてくれて、いつでもiPodで聞けるというモノ。
 アメリカだったら、マーケティングの講座とか大学の授業、それからオーディオ・ブックなどもけっこう当たっていて、『ハリー・ポッター』を電車の中で聞いている人もいるらしい。iTunes Music Storeには無料で聞ける番組もけっこう登録されていて、たとえば「お経」なんかも登録されている。
 最近は「バズ・マーケティング」という言葉も流行っていて、『電車男』『鬼嫁日記』『のまネコ』など、ネット・カルチャーから吸い上げたモノがウケることがわかってきた。これはネットでウケているということ自体がマーケティングができている、という考え方。それがベースになってiTunes Music Storeにも無料の番組がたくさん登録されているのだろう。
 その他にもPodcastingのちょっと変わった使い方としては、会社で会議の様子をPodcastingを使って社内に流しているところがあったりする。
 エジソンが蓄音機を発明した時は、まさか音楽を聴くために使われるとは考えていなかった。あれは遺言を録音しておいて、遺族がもめないようにするための発明だった。インターネットも似たようなところがあって、Yahoo!のようにおもしろいサイトを集めて広告を載せる、なんてビジネスは当初は誰も考えていなかった。そんな風に開発者が思いもしなかったマーケットは、突然、宇宙の彼方からやってくる。
 Amazonを作ったジェフ・ベゾスの言葉を借りれば「電気は電球を灯すためにしか使われていなかった」らしい。でも当時はガス灯がけっこう普及していた地域もあったので、そういう所では電気はまったく普及しなかった。
 そこでエジソンが考え、水力発電で安く電気を作るために「ダム」を発明しようとした。さらにダムを安く造るために「コンクリート」が考えられ、作業する人たちが住む場所を安く提供するためにベニヤ板で作れる簡単な家が考えられた。こんな具合に、付随の付随でエジソンはどんどん特許を取っていった。さらに電球以外の電気の利用法として「扇風機」が考えられた。
 そんな電気にまつわる発展の仕組みは、Amazonにも非常に良く当てはまる。クレジットカードによる決済とデリバリーの仕組み、そしてインターネット。この3つを組み合わせてたらAmazonになった。エジソンの頃と違うのは、イチから全部を発明する必要がない、というところ。
 これから先、何かと何かとネットワーク、という組み合わせで新しいビジネスがどんどん生まれてくるだろう。生まれた時からダウンロード・ミュージックを聴いて育ってきた子供たちが大人になった頃が楽しみ。

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サエキけんぞうさん(ミュージシャン)
まつゆうさん(アートユニット「chelucy」リーダー)

『サエキけんぞうのポッドハンター』の話

 雑誌『週刊アスキー』に「テスト・レポート」というコーナーがあって、新しいPCや新しいソフトを試すという、書く側にとって非常に負荷の高いページがある。そのコーナーのことで編集者と相談してたら「Podcastingなるモノが流行りそうだ」という話になって、「じゃあ音楽関係者として僕が試すしかない!」ということになった。
 その頃はまだRSSナントカという規格もまだちゃんとリリースされていなかった時期。でもAppleの担当者の鼻息がスゴイ!という噂だった。しかも「その人が手取り足取り教えてくれるから、目をつぶっててもできる」というから、とりあえずやってみようかと。それに騙された。
 まず、そのAppleの人自身が「あれ?おかしいな?」と一向に繋がらない。1時に始めて、8時になっても繋がらなくて、その日はそのまま帰ることになってしまった。まさに「テスト・レポート」。こんなに大変なテーマは他になかった。
 そんなこんなで、どうにか漕ぎ着けたテスト放送。最初はniftyのランキングで700位くらいだったのが、2日目くらいにはベスト100に入った。その駆け上っていく様が嬉しくて「毎日更新」を決めた。
 Podcastingで人気を取ろうと思ったら、毎日更新が基本。だからみんな豆ツブみたいな小さい番組を毎日更新している。みうらじゅんさんが『ほぼ日』でやってる番組もせいぜい1〜3分。それを毎日ダウンロードしてもらうことでチャートが上がる。
 でも僕のやってる「サエキけんぞうのポッドハンター」は、僕が昔AMラジオを聴いていて「おもしろい!」と思った気持ちを皆さんにわけてあげたいと思って番組を作っている。だから15〜20分くらいあって、ものすごく大変。
 音楽に関しては微妙な問題もあるけど、幸いにして僕は数百〜千曲に絡んでいるので、自分やまつゆうの曲を使っている。世の中にはJASRACに登録してない曲もあるわけだし。
 でも、さすがに15〜20分の番組を毎日更新していたら、それだけで人生が終わってしまう。収録して、編集して、とにかく大変。それでも「こうしたらもっと聴きやすくなるな」なんて考えるのは楽しかったりもする。
 番組には「お便りコーナー」もある。お便りと言ってもmixiに来たお便りなんだけど。「いつも聞いてます。カナダで日本の曲がたくさん聴けるのが嬉しいです」なんてメールも来たけど、その曲は全部自分とまつゆうの曲。その女性にとっては「日本の曲=俺たちの曲」になってしまっているのが可笑しい。フランスからもそんなメールが来た。
 Podcastingの魅力は、そんなインターナショナルなところにあるような気がする。

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松崎しげるさん(歌手)の

『愛のメモリー』の話

 ある時、ゴルフの商品でiPodをいただいた。それにビートルズの曲をどんどん入れて、普段から聴くようになった。
 曲を入れるに当たって驚いたのが、インターネットで曲を買えるようになっているということ。僕はメールもろくにできない人間なので、iPodをもらった時に使い方がわからなくて非常に困った。そこで友達に頼んで入れてもらったんだけど、あの中に何百曲も入るというのでまた驚かされた。
 そんな時代の流れに取り残されつつある僕が、『愛のメモリー』でダウンロード・ランキングの3位に入った聞かされて、またビックリ。バンドのメンバーに詳しいヤツがいて「お前、第3位に入ってるぜ!」「エーッ!」なんて感じ。最初は「まだ『ベスト10』みたいな番組やっているのか?」と思ったほど。
 ウチの社長にその話をしたら「いや〜、そうなんですよ〜」とあまり冴えない顔をしている。話を聞いてみたら、どうもあの曲はウチのレコード会社じゃないところから出ていたらしい。それで儲かるか儲からないか……というところで、顔が冴えなかったみたい。
 僕なんかは「いいじゃない、売れてれば」って感じなんだけど、会社を預かる人はそれじゃダメなのだろう。「印税で儲かるでしょう?」なんて言う人もいるけど、たぶん僕はゼロ。でも男の美学じゃないけど、名誉だけはありがたくいただきたいと思う。もちろんお金も、もらえるモノなら欲しいけど。
 『愛のメモリー』は第50回の選抜高校野球の入場行進曲にも使われた曲。僕は高校野球をやっていた人間なので、ある意味、甲子園出場という子供の頃の夢をかなえてくれた曲でもある。まさに歌詞の通り、美しい人生を、限りない喜びを与えてくれた曲。
 その曲を自分たちの世代だけじゃなくて、若い人たちが聞いてくれたというのはすごく嬉しい。

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■ 放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
10'12" Music! Music! Music! Peggy Lee Capitol 7243 8 54543 2 5
20'28" One Song Jane Fielding Capitol TOCJ-5447
34'37" You And The Night The Music Cathy Hayes DIW DIW-351
42'25" Taking A Chance On Love June Hutton & Axel Stordahl Capitol TOCJ-5401
47'34" Memories Are Made Of This Dean Martin Capitol CDP 0777 7 98409 2 2


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