SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2005年9月10日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「宇宙」

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 約1ヶ月前のスペースシャトル「ディスカバリー」打ち上げは久々に興奮するニュースでしたね! 日本人宇宙飛行士の野口さんの船外活動もあって、日本人の興味が久しぶりに宇宙へ向いたニュースでもありました。
 誰もが「宇宙を旅する」時代がまた一歩近づいたのかもしれません。月や火星に人が住むようになり、人類が太陽系や銀河系を飛び出す未来はいつかやってくるのでしょうか。
 本日は当店の常連のお客さまの、そんな「宇宙」のお話をここで少しだけご紹介させていただきます。そしてお帰りの道すがら、ぜひ夜空を見上げて見て下さい。


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林公代さん(ライター/「宇宙の歩き方」著者)

『宇宙旅行』の話

 お金さえあれば宇宙へ行く方法はある。その1つが「国際宇宙ステーションの旅」。その額、約22億円。
 これまでに2人、本当に宇宙へ行っている。さらにこの10月には3人目が行く予定。この3人目はアメリカ人の実業家、グレゴリー・オルセンという人で、もの凄い大金持ちのはず。
 ちなみに宇宙と地上の境界線は高度100km。その100kmまで行って帰ってくる旅なら1000万〜2200万円。これなら手が届くという人が続々と現れて、すでに予約を受け付けている最中。
 以前、アメリカでは「エクスプライズ」という民間宇宙船の賞金レースがあった。これは2週間以内に同じ機体で2回高度100kmを超えたら1000万ドルもらえる、という懸賞だった。そして「スペースシップ・ワン」という機体が見事にその規定をクリア。案サリー一族という中東のお金持ちから賞金をもらった。
 そしてレコード会社のヴァージン・グループがすかさず「スペースシップ・ワン」の開発者と手を組み、スペースシップ・ワンを改良した「ヴァージン・スペースシップ」という宇宙船を飛ばす会社を立ち上げ宇宙旅行事業に乗り出そうとしている。現在の計画ではスペースシップ・ワンが3人乗りだったのに対して、ヴァージン・スペースシップは9人乗り。だから大きさも3倍くらいになるだろうと言われている。
 ちなみにこのお話は、スペースシップ・ワンが賞金を獲得したのが去年の秋だったから、本当にここ1年の出来事。2007〜2008年の打ち上げを目標に、ヴァージン・スペースシップの開発が進められている。
 賞金レースに参加したチームは全部で26もあった。アメリカだけでなく、ロシアのチームも参加していたし、Amazon.comがスポンサーと噂される謎のチームもあった。ボランティアを中心に手作り感覚で作っていたチームもあって、そのチームの中心になっていたのはジョン・カーマックという有名なゲームソフト開発者だった。彼は開発の途中、何度もクラッシュしたりトラブルに見舞われた様子をすべてWebサイトで公開していて人気が高かった。とにかく専門家が1人もいなくて、「これだけ上がった!」なんて喜んでいる様子は微笑ましかった。
 ヴァージンの宇宙旅行はサービスがウリ。だから大きい窓や、フラットに寝られるシート、シートベルトが上からバーが降りてくるタイプとか、格好良い宇宙服をウリにしている。だから2200万円と高い。その一方、ヴァージンよりも先発の「スペース・アドベンチャーズ」は1100万円。でもヴァージンのような“贅沢な旅”は売り物にはしていない。
 宇宙ステーションは政府が作った科学の研究のための施設。だから宇宙ステーションを利用するのではなく「宇宙ホテル」を作ろうと言い出した人もいる。この人はラスベガスのホテル王、ロバート・ビゲローという人。早くも「2010年の1月10日に創業予定!」とぶち上げている。アメリカが宇宙ステーションの居住スペース用に開発していた「トランス・ハブ」を買い受けて、今はNASAと共同開発している。
 ただ、この宇宙ホテルの問題は「どうやってそこまで行くか」。そこで高度100kmのロケット開発競争を真似て、また賞金レースを作ってしまった。その賞金の額は5000万ドル。2010年の1月10日までに高度400kmまで達することが可能な5人乗りロケットを作ってくれ、というレース。
 宇宙開発競争が華やかな頃に子供時代を過ごした人たちが、ちょうど今40代。宇宙へ行こうと思う人も多いし、その開発に携わりたい人も多いみたい。

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VERBALさん(m-flo/ミュージシャン)

『無重力』の話

 『DOPAMINE』のPV撮影で無重力を体験してきた。でも実は場所は日本。名古屋に宇宙飛行士が訓練するための“無重力状態を創り出せる飛行機”がある。自由落下して機内を無重力にできる時間は約20秒。フライト全体で2時間かからなかったくらい。
 最初は普通に離陸する。しばらくすると「これから開始します」みたいなアナウンスが流れてくる。でも無重力になる前に、一度重力の倍のGが掛かる。これは立っているとかなりキツイので、僕はうつ伏せに寝た。Gが掛かっている間は床にへばり付くような感じだった。
 そして「無重力まで30秒です」というアナウンスが流れ、カウントダウンが行われて、ゼロになった瞬間にフワーンと浮き上がる。腕立て伏せをしようとしても、そのまま天井まで上がっていってしまう。無重力はそんな世界だった。
 もちろんそのままではカメラもスタッフも浮いてしまう。それでは撮影ができないので、全部床に固定。そうやってPVの撮影のために12回も無重力飛行を繰り返した。
 事前に「無重力の中で動くのはなかなか難しいですよ」と言われていたんだけど、意外と慣れるのは早かった。水を飲んでみたり、スニーカーでキャッチボールしてみたり、グルグル回ってみたり、アクロバティックなことをいろいろ試せて、すごく楽しかった。今まで味わったどんなエンターテイメントよりも強烈だった。
 ジェットコースターの場合、5〜6Gが掛かる。無重力は正反対に、普通に呼吸できる空間なのに浮いてしまう。ものすごく変な空間で、野口宇宙飛行士が「宇宙でラーメンを食べられるようになりたい」と言った気持ちはよくわかる。
 今年は僕の今までの音楽キャリア……というよりは人生で一番濃い年。無重力も体験した、野口さんとも話ができた。それで音楽に対する考え方が変わってきたというか、目覚めたような気がする。
 煮詰まった人に「無重力」の体験はかなりオススメ。

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山方健士さん(JAXA宇宙基幹システム本部)

『船外活動』の話

 宇宙船の船外活動は宇宙飛行全員ができるわけじゃない。訓練の中で適正を見極められる。
 船外活動で求められるのは状況認識や空間認識能力。まるで鎧のような宇宙服を着て、背中にはおおきなランドセルのようなモノを背負って、しかも視野は限られている。自分のパートナーがどこにいるかも必ずしも見えているとは限らないので、万が一相手を蹴飛ばしてしまったら、どこに飛んでいくかわからないという危険がつきまとう。
 とにかく一番大変なのが「見えない」こと。首を回してもヘルメットは動かないので、横を見ようと思ったら全身で横を向かないといけない。腕も動かせる範囲が決まっている。そんな条件下でいかに作業するかが船外活動の肝。
 宇宙服は120kgぐらいの重さがある。だから地上で着て歩けるような代物じゃない。もちろん宇宙へ行けば、小指1本で動かせるようになるんだけど。
 実は宇宙服というのはビーチボールのようにパンパンに膨らんでいる。それは宇宙環境がゼロ気圧なのに対して、宇宙服の内部が0.3気圧だから。それで手などは常にビーチボールを掴んでいるような感覚で、握力の消耗が激しい。だから野口さんをはじめ船外活動をやる人たちは、フリークライミングのように握力を強化するための訓練や、上腕を鍛える体力訓練プログラムが組まれる。宇宙では手の方が重要で、足はたまに身体を固定する程度。
 宇宙服の生地は14層になっている。それでも厚さは5ミリにも満たない。一番外側はグラス・ファイバー製になっていて、フライパンなどに使われているテフロン加工が施してある。これによって耐熱性を実現し、さらにどこかに引っ掛かった時でも切れないようになっている。
 宇宙船は約90分で地球を1周している。そうすると、太陽に当たっている時間と影に入っている時間が45分ずつ。その間、150度くらいの暑さと-120度くらいの間をいったり来たりすることになる。それでも宇宙服の内部は気密が保たれているので、だいたい温度は一定……というより、気密性が高いがゆえに暑くなる。そこで肌に一番近いところには「冷却下着」という全身タイツのようなモノを着込む。その中には90mのチューブが縫い込まれていて、水冷で冷やす。そして太陽の当たっているところと陰で水量を調節して、温度を調節する。
 この宇宙服、お値段は1着あたり1000万ドル、実に約10億円。でも考えようによっては、宇宙服は「小さな宇宙船」なので、それくらいにはなってしまう。
 軌道上の宇宙船のスピードは秒速8km。そういう時に一番危ないのが「何かをなくす」ということ。なくしたモノは、次に出会う時は秒速8kmで突っ込んでくるかもしれない。でも過去には道具を失ってしまったケースも起こっていて、小さなスパナのようなものが飛んでいくNASAの映像を見たことがある。そういう時は、そのモノが宇宙船からちゃんと離れていくのを確認できるまでレーダーやカメラで徹底的に追い掛ける。
 船外活動をする時に、エアロックの扉を開くと目の前には地球がある。そこへ出て行くのは「落ちていく」感覚があるのだとか。だからエアロックのすぐ脇の手すりは、ついギュッと握りしめてしまう宇宙飛行士のせいで曲がっている、という伝説がある。

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渡部潤一さん(国立天文台)の

『太陽系の新惑星?』の話

 「太陽系10番目の惑星」になるかもしれない天体が見つかった。ただ、これが惑星として認められるかどうかは国際天文学連合で議論されてから。
 この天体、大きさは冥王星よりも大きい。軌道も冥王星よりもちょっと外側ぐらい。だから発見した人たちは「第10惑星と呼ばれるようになる!」と言っている。来年の夏にチェコのプラハで国際天文学連合が開催されるので、そこで議論されることになるはず。
 でも実は、我々天文学者は「いつか冥王星よりも大きな天体が見つかるだろう」と思っていた。冥王星の辺りには小さな天体が1000個くらい見つかっていて、10年以上前から太陽系の外側にはやたらと天体がウヨウヨいるということがわかっている。
 今にして思えば、冥王星もそんな小さな天体の1つだった。だからまだ見つかっていないけれど、冥王星よりも大きなヤツがあってもおかしくない、と考えられていた。それで今回、アメリカの研究者が探したところ見つかった、という次第。
 この天体が惑星と認められるかどうかはかなり微妙なところ。というのは、この天体の軌道近くにはやたらと他の天体がいる。今まで、海王星までの惑星は、圧倒的にその近辺でユニークな存在だった。もし今回の天体を「10番目」と認めてしまったら、11、12、13……とどんどん増えていきそうで、それはさすがにいかがなものか、という意見も多い。
 太陽系は大きな宇宙の中の小さな構造物だけど、観測設備が良くなるにつれてどんどん新しい事実がわかってきている。肉眼で見える惑星は土星までだった。天体望遠鏡が発明されて天王星と海王星が見つかった。写真技術が発達して、天文学者が宇宙を直接のぞく研究スタイルから、写真を撮ってルーペで調べるようになって、冥王星が見つかった。そして今、デジタルカメラにも使われているCCDが使われるようになって、写真の100倍もの感度で研究できるようになった。それで今回の発見がある。
 太陽系にはまだまだ隠れている事実がたくさんあって、それはこれから発見されていくはず。

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佐藤勝彦さん(ビッグバン宇宙国際研究センター長)

『膨張する宇宙』の話

 「もし宇宙が無限の広さを持っていたら、夜が暗いはずがない」というのが『オルバースのパラドックス』。この疑問は誰もが思い付くことで、昔から有名だったんだけど、あるドイツ人のお医者さんが非常に明確に論じたので彼の名前が付いた。
 このパラドックスを解決する答えは2つある。1つは「宇宙は膨張している」ということ。もう1つが「宇宙には年齢があって、有限な時間で始まっている」ということ。オルバースの頃はそんなことはわかっていなかったから、非常に重要な問い掛けだった。
 宇宙が膨張していると、遠くにある天体からの光の波長は長くなり、赤い色になってしまう。そうするとエネルギーがなくなってしまい、遠くまで届かない。たとえ宇宙の大きさが無限だったとしても、膨張している宇宙では有限な範囲からしか光は届かない。
 そして宇宙には始まりがあった。その年齢は137億年と言われている。それより前は宇宙はなかったので、光もなかった。そんな風にオリバースのパラドックスに答えられるようになったのが現代の宇宙論。
 現代の宇宙論で話題になっているのは「宇宙は無から誕生した」というお話。その立場に立つと、いつか宇宙は収縮に転じて、また無に帰るのではないかという説もあった。これを「ビッグ・クランチ」と言う。
 ところが最近は「ダーク・エネルギー」があるとも言われて、これが全宇宙のエネルギーの96%を占めている可能性が指摘されている。このダーク・エネルギーがあると、とても宇宙は収縮できない。それどころかどんどん膨張が加速して、遠い未来には希薄な宇宙として「老衰」のような状態になる。
 本当にダーク・エネルギーがあるのか、そして膨張は加速するのか、それはまだ答えがわかっていない一番ホットな話題。とはいえ、宇宙の膨張なんて太陽の寿命に較べたらはるかにスパンの長い話なので、人類が火星に住んで、遺伝子も組み替えて、さらに太陽系を飛び出すようになって……という未来よりも先のお話。

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■ 放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
12'01" Show Me The Way To Get Out Of This World The Four Freshmen Capitol 72435-21107-218
19'39" A Voar, A Voar, A Voar Joyce Walt Disney Records 61313-7
32'45" Swinging On A Star Tony Perkins BMG BVCJ-35061
41'36" Ridin' High Jeri Southern Fresh Sound Records FSR-CD104
48'15" Come Fly With Me Michael Buble 143 Records 48376-2


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