SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2005年6月18日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「アイデアの泉」

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 テレビ番組や映画、小説やゲームを見て「どうしてこんなアイデアを思い付くんだろう」と感心することってありますよね。そういうアイデアってどうやって思い付くんでしょう?
 当店のお客さまの中には、作家の方や商品や広告の企画をしている方など、そんな「アイデア」で勝負している方が何人もいらっしゃいます。そういうお客さまにアイデアを考えるコツを教えていただきました。
 今日はそのお話を少しだけここでご紹介させていただきます。


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加藤昌治さん(博報堂)の

『考具』の話

 『考具』という本では、アイデアの考え方やアイデアを考える時に使うツールを紹介している。紙モノであったり、パソコンであったり、体を動かすモノだったり、そういうカタチを上手く使うと良いアイデアが出やすい、というお話。
 たとえば、街を歩く時もボーっと歩くのではなく、ちゃんと考えながら歩けばアイデアのネタがどんどん入ってくる。たとえばこの本の中で紹介しているのは「カラーバス(Color Bath)」というやり方。
 出掛ける前になにか色を1つ決める。そして街を歩きながらその色のモノを探す。「赤」と決めたらなら「赤信号」「ポスト」「赤い車」などが見つかるので、それをメモしておく。そうやって出来た「赤い物リスト」を改めて眺めると、普段見落としていた「赤いモノ」がけっこう見つかる。
 さらにカラーバスで作ったリストを見ていると、女の子のカバンにぶら下がっていた携帯ストラップと、どこかの看板に出ていたタレントが隣に並んでいたりする。そうやって普段一緒に考えないものを目の前にムリヤリ引っ張ってくることで、意外と狭い人間の思考の範囲を広げることが可能になる。
 毎日色を変えれば、同じ通勤の道でも違うモノが目に入ってくるので、けっこうおもしろい。俗に「自分の欲しいモノはやけに目につく」なんて言うけど、それをわざと自分で「色」のフィルターをかけて見ているようなもの。
 全然違ったモノを見ると、そこから一気に連想が膨らむことがままある。そのための起爆剤としてカラーバスは使えるので非常にオススメ。
 メモを取るというのはアイデア仕事において非常に重要。ところが「メモれ」と言われてもメモらない人がけっこう多い。これは「どれくらいメモを取ればいいかわからない」という理由で迷っているんだと思う。
 僕は『考具』の中に自分のメモを載せたけど、読者から「本当ですか?」というメールが来るくらいメチャクチャ。たとえばカラーバスをしていて、赤いスポーツカーを見かけたとする。みんなそういう時に「赤くて格好良いスポーツカー」まで書こうとするけど、僕は「ア・ス」としか書かない。後で自分で見て思い出せればそれで十分だから。
 その程度で構わないからメモはした方が良い。

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樋口卓治さん(放送作家)の

『放送作家のアイデア』の話

 毎日、どんな時も、常に何かしらアイデアを考えている。でもそれはパソコンで言えばスタンバイモードみたいなもの。仕事の依頼が来て初めてちゃんと考え出す。
 放送作家の仕事は完全に受注生産。そこが芸術家と違うところで「こういうことを考えて下さい」という注文があって初めて成り立つ。だからレギュラー番組があれば常に「番組に合うモノはないかな」なんて考えている。
 ゼロからイチを考え出すのが大変な時に、イチをどれだけ膨らますか、という考え方はよく使う手。その場合、最初の企画から何歩下がれるかを考える。
 たとえば先日「結婚式で花嫁と花嫁の母が花束を渡して泣き出すようなドキュメンタリーを」という注文が来た。この手垢にまみれた企画を考えるのあたっては、結婚式場から何歩下がれるかをみんなで考えた。それで辿り着いたのが午前中の美容室。そこでカメラを構えて待っていると、パーマをかけたオバチャンが出てきた。「今日、何か良いことあるんですか?」と聞くと「実は娘の結婚式なんです」……という出だし。そこからオバチャンが家に帰って、着物に着替えて、結婚式場に向かう、というドラマのある結婚式のドキュメンタリーになる。
 昔、テリー伊藤さんが「一軒のお店をレポートするなら、横断歩道を越えたところからロケを始めろ」と言ったのだとか。そうすると道路を越える時に車に轢かれそうになったり、横に信号待ちのお婆ちゃんがいたり、何かが生まれるかもしれない。これを店の目の前から始めてしまうと、何も起こらない。その違いが大事、というのはすごく納得が行く。
 アイデアを思い付く時は、外を歩いていたり、車を運転してたり、いろいろ。ただ、会議をはしごする仕事なので、移動中にアイデアを考えざるをえなくて、その時に思い付くというケースが多いかも。
 たぶん、この僕たちの仕事は普通の人の10倍は笑う仕事だと思う。普通の企業の会議でふざけると怒られると思うけど、僕らの会議はふざけないと怒られる。だから放送作家が集まると、まるで男子中学生の集まりみたい。現実には30〜40歳だったりするのに。
 僕はネタ帳を持っている。書いてあるのはほとんどキーワードとか、ダジャレとか。ここに「小錦とピロシキ」なんて書いてあるし。「大胸(おおむね)OK」というのは「巨乳大好き」という意味だと思う。中国には「腐乳」という食べ物もあるし、じゃあ「豆乳」は?……という連鎖がアイデアの元。ただ、このノートを持っている時に事故だけは遭えない。
 煮詰まってアイデアに困った時はなるべく会議に出るのが荒療治。そうやって会議にいっぱい出て、家に帰る頃には「なんで悩んでたんだろう?」と思うくらいスッキリする。思いっきり寝るのも1つのやり方。本人が悩んでいるほど悩みは深くないもの。
 テレビの仕事は毎週必ず締め切りが来るので、そんなに悩んでいる余裕がないとも言える。自転車操業でいっぱいいっぱいになって頑張るしかない。

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茂木健一郎さん(脳科学者)の

『脳とアイデア』の話

 最近の研究では「アイデアがいつ浮かぶかわからない」ということがわかっている。サイコロを3つ振って、目が全部6になった時に答えられる、みたいなメカニズムで、自分自身答えがいつ浮かぶかわからない。
 だからアイデアをひねり出すには粘り強さが必要。魚釣りと同じで、いつ浮かぶかわからないアイデアをじっと考え続けて、魚が針に引っかかったらそれを逃さないような注意力がいる。なにか思い付いたらすぐにメモを取るとか。
 脳の中にはアラームセンターのようなものがあって、そこが無意識からポコッと浮かんでくる発想を掴んでくれればいいんだけど、時々、他のことに夢中になっていると掴み損ねてしまう。
 基本的に発想とかヒラメキというのはスローなプロセス。時間を制約してその中で答えを出すということはできなくて、リラックスしている時にフッと出るもの。事実、ほとんどの大発見や大発想は、ぼんやり歩いているようなリラックスしている時に浮かんでいる。その良い例がお風呂で浮力の原理を発見したアルキメデス。
 最近、スローフードなんて言葉が流行っているけど、アイデアというのはスローシンキング。もちろん仕込みの段階も必要だから、集中して考えたり資料を読み込む時間も必要だけど、それはあくまで仕込み。そして仕込んだら後は待つしかない。
 脳の神経細胞は常に情報を整理している。その整理の過程でAとBが結びついて、それが浮かび上がってくる。記憶は脳の側頭葉で、何かに気がつくのは前頭葉。側頭葉でいろんな情報を整理している内におもしろい組み合わせが出来て、それが前頭葉に送られる。でもそれに気がつかないと逃してしまう。
 そのアラームセンターの発達には「成功体験」が重要。何かをひらめいて、それを人に褒められた、みたいな嬉しいことがあると、脳の中でその回路が強化される。だから脳は褒めて育てるもの。逆に、叱るというのはそのルートに×を付けるということ。間違ったルートに×を付けるのは悪いコトじゃないけど、ポジティブに何かを伸ばすという方向には向かわない。
 この脳の学習の回路は何歳でも同じ。脳の中には嬉しいことがあるとドーパミンという物質が出て、あるタイミングでドーパミンが出ると前にやっていたことが強められる。この作用は何歳になっても変わらない。さらにメリハリも大事。ずっと褒められてるとドーパミンが出なくなってしまう。時々褒められるから、嬉しくなってドーパミンが出る。

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中川いさみさん(漫画家)の

『4コマ漫画のアイデア』の話

 4コマ漫画を考える時は、オチが最初に思い浮かぶこともあるし、出だししか思い付かないこともある。出だしの場合は1コマ目で落としてしまって、後の3コマは自分の中では付け足し。だから特に起承転結なんて考えていなくて、4コマ目までもたせるのが大変、なんてことが時々ある。
 3コマ目で落として、さらに4コマ目でもう1回落とす、なんてやり方もよく使う。昔、月の家圓鏡がサゲを先に言ってしまい「先に言っちゃダメじゃないか!」と言ってまた続ける……みたいなことをやっていたけど、あれのノリ。ある程度わかっちゃうようなオチでそれを使う。
 漫画を考える時はいつも言葉で考えている。言葉をいっぱい書いて、そこから意味のない組み合わせを作ったりしている内にイメージが湧いてくる。語感の似ている言葉を見つけたり、韻を踏む言葉を見つけたり、最初はそんなところから入る。
 締め切り前はいつもツライけど、漫画家をやめようと思ったことはない。やっぱり天職なんだと思う。締め切りさえ過ぎれば本当に楽しい。でも締め切りは本当にツライ。締め切りが終わって、次のネタを考える時期が一番楽しい。
 一度ボツにした自分自身の漫画も、あとでネタ帳で見直すとけっこうおもしろかったりする。別にネタ帳を保存しておこうと思っているわけじゃないんだけど、なんとなく捨てていないので、詰まった時に見返したりもしている。
 漫画を描いていて「前にコレ書いたことないかな?」と不安になることもある。昔は全部覚えていたけど、最近はもうわからない。下手をすると先週描いたモノがわからなかったりするけど、わからない時はやっちゃうだけ。
 ただ、他人のネタをやっちゃうのだけが怖い。一度、同じ雑誌で吉田戦車と「カニを食べると無口になる」というネタがかぶってしまったことがある。これは担当編集者が違えばなかなかわからないことだし、どちらがパクったというわけでもないんだけど、すごく気まずかった。

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小柳圭由さん(王様のアイディア)の

『アイデア・グッズ』の話

 ウチのスタッフは「お金よりも人を楽しませたい」という人が集まっている。経営者側から言うと困ってしまうぐらいそういう人が多い。でもそういう心の余裕がないと、雑貨業界全般が厳しい中、逆に難しい面もある。
 今は消費が内向きで、消費者は確実なモノしか買わない。でも特別な日の贈り物とか、病気の人をお見舞いに行くときなんかに、「王様のアイディア」を思い出して欲しい。そんな想いを込めて、毎週「商品会議」を開いている。
 その会議では「こういうモノを作ろう」というアイデアが出ることもあるけど、メーカーさんが「王様さんにはこういうのが良いんじゃない?」と持ってきてくれた新製品もたくさん並ぶ。知的な玩具や健康グッズなど、特にお客さんはウチに「おもしろさ」を求めているので、そういうモノが採用される。
 たとえば「アルコール濃度のわかるマドラー」なんてモノがある。これはマドラーに付いている浮きがアルコール濃度によって上下するという仕組み。ストレートだと沈んだままの浮きが、ダブルだと真ん中当たりまで浮いてきて、シングルだと上の方まで上がってくる、なんて感じで濃さが一目でわかる。
 お次は「LED付きコースター」。このコースターの上にドリンクを置くと、下からライトアップして、さらに時間と共に色も変化する。  お父さんの健康管理にアルコール濃度のわかるマドラーを……というワケじゃなくて、やっぱり基本は遊び。ウチの商品は「盛り上げグッズ」だから。

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放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
8'26" Gotta Have Me Go With You Debbie Reynolds Dot Records MVCJ-19233
19'44" The Joke Is On Me Freddie Cole Universal UCCC-9055
32'18" Nice Work If You Can Get It Monica Lewis Verve UCCV-9207
40'42" You Don't Have To Know The Language Lena Horne RCA BVCJ-37390
47'27" Pick Yourself Up Ella Fitzgerald Verve 314 519 347-2


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