SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2005年5月28日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「ベスト・コニサー」

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 土曜日の夕方、当店“AVANTI”のウェイティングバーは大勢のお客様で賑わいます。様々なお客さまがグラスを傾け、お喋りを楽しんでおられます。
 そういったお客様たちこそが当店の自慢です。みなさん、映画、音楽といった柔らかい話から、政治、科学のような堅い話、珍談奇談に、怪しげな噂話などなど、とても面白い話をして下さいます。
 誰が言い始めたのかは分かりませんが、常連のお客さまの間では、そんな面白い話をする方々を、敬意を込めて「コニサー」と呼んでいるとか。なんでもフランス語で「目利き、玄人」という意味らしいのですが。
 お時間がございましたら、そのコニサーのお話に耳を傾けながら、素敵な夕方の一時を過ごしていきませんか?


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吉岡秀隆さん(俳優)の

『黒澤監督』の話

 黒澤明監督は若い人に対しても普通に接してくれる人だった。お正月、黒澤監督の自宅に呼ばれて新年会に参加すると、仲代達矢さんを始めとして黒澤組のそうそうたるメンバーが勢揃いしている。そんな席でも「いつでも遊びにいらっしゃい」と、誰にでも平等に接してくれた。
 杉田成道監督の『ラストソング』という映画を撮影していたら、その製作についていた方が黒澤監督とずっと一緒にやっていた方で「今日は黒澤組がみんな集まってるから、顔を出していけ」と。それでみんながお酒を飲んでいる席に行ったら、黒澤監督に「今、映画撮ってるんだって?こんな遅い時間まで撮ってても良い作品なんかできないよ。監督に言っておいて」って言われた。でもその時、時間はまだ夜9時。そんな黒澤監督が可笑しくて仕方がなかった。
 そして時間も夜11時頃になると、メインのスタッフの方々は「じゃあ吉岡、頼んだよ」と言って次々に帰っていく。気がつけば残ったのは僕1人で「じゃあ吉岡、ちょっと飲んでいけ」と黒澤監督と2人だけで飲むことになった。
 その席では「仕事やっててお前みたいなヤツはいじめられてないか?いじめられたらいつでも言うんだよ」なんて話から、「今の日本の映画は元気がないけれど、これからは君たちが頑張っていかなくちゃいけないんだよ」「元気がないのは映画会社だけなんだよ」なんて話まで、23〜24歳くらいの若造の僕ごときに一生懸命話してくた。それが心から嬉しかった。
 そして「泊まっていけ」と勧められたけど、翌日も撮影があったのでお断りして帰った。その後、幸いにして僕はいじめられたりすることはなかったので、黒澤監督に言いつけることはなかった。
 黒澤監督がカミナリを落としているところに居合わせたこともある。僕は山田洋次監督に「自分で動かすモノは本番前に自分でやり易いように配置しておく」と教わっていたので、黒澤組でも目の前の小物なんかを自分で動かしていた。でも3度目くらいのテストが終わった時に、突如として黒澤監督が「助監督、みんな来い!」と怒り出した。
 「吉岡がさっきからずっとソレ直してるだろう!何度もお前らは見ているハズなんだから、お前らの仕事だぞ!」と黒澤監督はカンカン。それを聞いて僕は「いや〜、参ったな〜」と。僕の左に黒澤監督がいて、右に助監督の方が5人くらい並んでいて、1mの距離もないところで僕を真ん中に挟んで黒澤監督が激怒している。コレには困った。
 じきに黒澤監督がのダイムラーが来て、黒澤監督は帰ってしまったけど、その後で僕と助監督たちはお互いに謝りまくった。「つい癖で勝手に動かしちゃってスミマセン!」「いえ、こちらも気がつかなくて申し訳ありません!」その中には小泉堯史さんもモチロンいた。

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リリー・フランキーさん(エッセイスト)の

『ヌード写真の撮影』の話

 いろんな仕事をしているけど、写真を撮る仕事をするようになったのは10年くらい前から。最初からほとんどヌードしか撮ってないから、服を着ている人を撮る方が緊張する。
 写真を撮る時はずっと喋っている。そしてその人に聞いた話を「詩」にするので、いつもその会話は辛気くさい話になりがち。その人のコンプレックスだとか、悩みだとか、そんな話ばかりしている。だからヌード写真なのに、モデルの人もウェットになっていって、いまひとつ直情的じゃない。
 でも僕は、撮る側としてはそういう方がエロスを感じる。見る側だったらアメリカンというか、ハーレーダビッドソンな感じが良いんだけど。そこは自分の嗜好性と表現のスタイルはまた違うわけだし。
 そんな事情で、僕はヌードを撮る時に「こういうポーズを」みたいなことは言わない。
 ヌードに限らず、モデルの女の子にはいつも「ものすごく休憩が多いんですね」と言われる。2時間ぐらい遅刻してきて、いきなり撮りだして、すぐに休憩したり。タバコを吸いたくなるし、ビールも飲んでるし、撮っている時間よりも休憩の時間の方が長いぐらい。モデルさんは撮影をしたという感覚のないまま帰っているみたい。
 ヌードの撮影をしていていつも感じるのが、最後の1〜2本がすごく良い、ということ。お互いに信頼関係ができたり、相手がほどよく疲れてきたり、緊張感がほぐれてきたり、そういうことが重なって最後の方に良い写真が撮れる。
 だからたとえばヌードしか使わない撮影であっても、最初に洋服を着ているところをたくさん撮る。スタジオに入ってきて、いきなり「よーし、じゃあ脱いでみようか」という感じでもないし。
 AVの女優さんを撮る時は、ビデオは見ないまま撮影した。AVに出ている女の子たちは、本当キレイでスタイルも良くて、みんな性格も良い。たぶん、顔だけでなんとかなる普通のアイドルになるよりも難しいと思う。さらにそこに、人前でセックスする根性までなくてはいけない。本当に選ばれた人たち。
 撮影の時もすごく常識人なので、そういう人たちを前にして「メチャメチャいやらしいポーズをとって下さい」とは言えない。それで僕の写真は大人しい感じになる。
 でも撮影が終わった後に「この人はどういうビデオに出ているんだろう」ということが気になって、ビデオ屋で買ってきて見てみる。するとビデオの中では、彼女たちはもの凄いことをしている。それを見て「俺も甘いな……」と落ちこむのが常。

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小山薫堂さん(放送作家)の

『コニャックの旅』の話

 コニャックはフランス、ボルドーの近くにある市の名前。
 おそらく、最初はコニャックでもワインを作ろうとしたんだと思う。でも、美味しいワインができなくて、蒸留酒「コニャック」にしたのでは。あれだけボルドーが近くて美味しいワインができないというのも不思議だけど。
 コニャックのあの色は樽の色。蒸留酒だから、最初はグラッパみたいに無色透明。それを樽に入れて寝かせる間に、樽の色が付く。
 僕は元々コニャックに興味はなかったし、銀座のクラブあたりでボッタクられる酒というイメージだった。それか、石原裕次郎がガウンを着て手で温めながら飲むモノ……なんていう風に思っていた。それが今回の旅で完全に覆った。
 その旅ではコニャック市に3泊した。その間、ずっと蔵巡り。あちこちの蔵へ行ってはテイスティングをして回った。テイスティングはワインと同じで、味をみたら口から出して捨てる。ところがアルコール度数が高いので、飲まずに捨てていも少しずつ酔ってくる。
 午前中に数軒の蔵を回り、シャトーでお昼ゴハン。すると当然、そこでもコニャックが出てくる。驚くべき事にそこで出される最初の1杯は、コニャックのジンジャエール割りだった。話を聞くと「今の時代はこういうモノがうけるのでぜひ」と。コニャックをショウガの味のきついジンジャエールで割って、ちょっとレモンかライムを搾る。一見、すごくダサい飲み物に見えるけど、すごく美味しくてコニャック市のどこでもあった。
 また別の所では「日本人だから刺身もいけるだろう」と言われ、白身魚のカルパッチョに凍らせたコニャックが付いてきた。凍らせたというよりは、冷凍庫に入れてトロトロにしたという感じ。
 しかもちょっとお洒落なのが、バケツに水を張り、その中にコニャックをビンごと入れて、そのまま凍らせた形で出てきたこと。バケツは取り除かれているので、コニャックのビンが円錐形の氷に覆われていた。
 正直、カルパッチョと凍らせたコニャックが合うとはとても思えなかったので、僕や編集者、カメラマンなどの一行は「美味しいはずないよね〜」と言いながら(でも表情だけはニコニコしながら)カルパッチョを食べた。
 するとビックリ。「これ、あたるんじゃない?!」というくらいカルパッチョの鮮度が悪い。みんな消毒代わりに慌ててコニャックを流し込んだ。それを見た向こうの人は「やっぱり合うだろう?!」と得意顔だった。

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菅原禄弥さん(モデル/女優)の

『海外での貴重な体験』の話

 『ウルルン滞在記』のロケで、「アイスワイン」を作りにカナダのナイアガラまで行ってきた。
 滝で有名なナイアガラだけど、滝から少し離れた地区にはワイナリーが50くらいある。お酒好きな私としては幸せだったんだけど、英語が喋れないから辞書を指さしながらの会話ばかりだった。それでも2週間そこにいたら、別れる時は泣いてしまう。人って言葉じゃないんだ……と人生観が変わった。
 寒さのすごく厳しい場所で、−10℃なんて気温の中、凍ったブドウを収穫しては搾ったり、ワインの樽を掃除したり、1日中ずっと作業をしてた。一番上手くなった英語は「I'm hungry.」朝から400gのステーキを食べていた。さすがに向こうでも「Wow, Toshimi great!!」と驚かれたけど。ちなみに向こうの人はお洒落にパンケーキとか食べていた。
 実は、ここ数年は温暖化の影響で、カナダでもアイスワインがなかなか獲れないという状況だったらしい。だから行く前は「もしかしたら収穫できないかもしれない」とまで言われていたのに、私がカナダに着いた途端に大吹雪。どうも私は雪女らしくて、「この時期にここまで気温が下がるのは珍しい」と大歓迎された。
 しかも、収録のために私が外に出るたびに吹雪く。レンズが凍って撮影にならないから……と部屋に戻ると、一気に青空。「1日で吹雪と晴れと曇り、全部撮影できるね」とスタッフにからかわれた。
 でも、プライベートでタイなんかに行く時は、別に天気が悪いわけじゃない。世界遺産が好きなので、アユタヤとかに1人でフラフラッと行ってくる。
 慣れていないと、女の子にはアジアの一人旅はちょっと危ないかも。アユタヤに行くにはバンコクから2時間くらい列車に乗る。その列車は1〜3等車に別れていて、私はあえてボロい3等車に乗ってみた。そうしたらそこは想像を超えていて「そこで生活している」みたいな場所だった。
 台所でチキンを揚げていたり、洗濯をしているオバチャンもいた。豚の頭が血だらけで転がっていたりして、臭いもすごかった。2時間でもちょっとキツかったけど、貴重な体験だった。

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高須克弥さん(高須クリニック院長)の

『韓国の高須クリニック?!』の話

 テレビの取材で韓国に取材に行った。最近売り出し中の美容整形が3軒あるという話だったので行ってみたら、その中の1軒に「高須クリニック」があった。
 もちろん、ソウルに高須クリニックを作った記憶はない。しかもそこには僕の写真が掛かっているという。そこでイヤミの一つも言ってやろうと思って「こんにちはー、高須クリニックの院長ですけど、ソウルの高須クリニックの院長に合わせてくれませんか?」と押しかけた。
 そうしたら出てきた院長がすごくキレイで色っぽい女性だった。しかもその女性が目に涙を浮かべて「高須先生、なぜ来てくれたんですか?!私は昔から先生に憧れて、学会で一緒に写真を撮ってもらったりしてたんです!」と言う。周りを見回してみたら、たしかにその院長と笑顔で並んでいる僕の写真がいっぱいあった。もちろんその女性は記憶にはないけど、身に覚えはいくらでもある。
 「私は先生のことをすごく尊敬していて、先生の事を記念するためにこの名前にしたんです」と言って、夜はご馳走してくれた。そして通訳を通して「高須クリニックという名前は良くなかったでしょうか?」と聞いてきた。さすがに今から看板を全部取り替えて、電話帳やインターネットも修正して……と考えたら、莫大なお金が掛かってしまう。だから仕方なく「構いません」と言ってあげた。
 そうしたら彼女はもの凄く喜んで「これからチェーン化しようと思ってるんです!」と言う。さすがに慌てて「高須クリニックの名前はここだけにして下さい」と釘を刺しておいた。
 それで一件落着かと思ったら、フィリピンや台湾で行われる学会に行くと、なぜか「高須クリニック化粧品」という商品がバンバン売っている。しかもそこには「www.takasu.co.jp」というアドレスと「www.takasu.co.kr」というアドレスが併記してある。どうも彼女は化粧品も作って売っているらしかった。
 これには困って、学会の会長に「喧嘩をする気はないけど、誤解されるのは困るから、“高須”の名前を使うことだけはやめさせてくれ」とお願いした。そうしたら会長も怒って「もし名前を変えなければ学会から除名して制裁を加える」と言ってくれた。それでやっと韓国の「高須クリニック」は名前を変えた。
 幸い、その後に学会で「これからもよろしくお願いします」とその美人院長が挨拶に来たから、特にしこりを残すようなことはなかった。それにしてもその院長は、藤あや子似のすごい美人だった。

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放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
9'17" Just For The Fun Of It Nat King Cole Capitol CDP 0777 7 89545 2 1
19'32" There'll Be Some Changes Ann Margret RCA BVCJ-7371
32'32" Chez Moi Blossom Dearie Verve POCJ-2653
41'47" Reprise Annie Ross Pacific Jazz 7243 8 33574 2 0
47'52" Fascinating Rhythm Mark Murphy Decca GRD-670


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