SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2005年4月9日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「ちょいモテ大人雑誌」

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 最近、大人向けの男性誌を読んでいる方が増えているそうですね。
 ちょっと前まで大人の男性が読む雑誌といえば『週刊○○』といった週刊誌ぐらいしかなかったような印象でしたが、最近は『BRIO』や『LEON』のようなファッショナブルな雑誌が相次いで創刊し、40代前後の男性の支持を得ているのだとか。
 その人気の理由を当店のお客さまがバーカウンターで語っていらっしゃいました。その内容を少しだけここでご紹介させていただきましょう。


加藤チサコさん(博報堂)の

『最近の男性誌事情』の話

 40歳の男性をターゲットにした雑誌が売れている。それは雑誌業界自体で20万部も30万部も売れる雑誌が少なくなってきている中、10万部も売れればヒットと言われるようになったことも関係していて、10万部に近い販売部数の男性誌がここ3年くらいで増えてきた、ということ。
 かつては『POPEYE』や『Hot-Dog PRESS』を読んでいた若者がオヤジになって、自分のスタイルに合う情報誌が今まで無かった。そこに出版社の編集長が目を付けて、おもしろい切り口で雑誌を創刊させているのでは。
 たとえば『LEON』や『BRIO』などがその元祖。でもそれぞれ立場が違っていて、どちらかと言えば『BRIO』は私大出のお坊ちゃま。わりと自分のスタイルを持って、奥様と一緒に読むような状況を想定している。だから表紙は創刊からずっと男女ペア。ちなみにその奥様は『VERY』を読んでいるという想定なので、広告でカップリング企画が行われたりする。
 一方、『LEON』は「チョイ悪」とか「不良」というキーワードを使う“胸毛系”。だから『BRIO』の読者はあまり好まない無精髭とか、シャツを第3ボタンまではだけるセクシー路線を行く。
 その『BRIO』と『LEON』の成功がきっかけになって、去年から今年に掛けてその手の雑誌が次々と創刊された。つい先日も『UOMO』が創刊されたばかり。
 これらの雑誌は“商品を一緒に売っていく”という編集方針をとっているので、広告が入りやすいのも特徴的。昔は発行部数が多くないとなかなか広告が入らないと言われていたけど、今は雑誌の編集がイメージするスタイルがしっかりしていれば、部数が少なくても広告がちゃんと入る。
 雑誌によって掲載される広告も変わってくる。『LEON』と『UOMO』みたいなファッションに強い雑誌は海外ブランドや時計のような小物の広告が多い。それが『BRIO』になると生活寄りの情報も多いので、お酒、不動産などの広告が入ってくる。
 『BRIO』の読者は奥さんがいて、子供もいて、将来設計もちゃんとしていて……という読者が多い。だから高級マンションの広告が入ったりする。それに対して『LEON』は「愛人がいる」というイメージ。だからそういう広告が入る。

【Hot Link !!】

  • LEON(主婦と生活社)
  • BRIO(光文社)
  • UOMO(集英社)




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菅原禄弥さん(モデル/女優)の

『女性から見た男性誌』の話

 私は男性誌もけっこう読む。『GQ JAPAN』とか『MEN'S CLUB』とか、仕事でお世話になったりもするので読む機会がある。
 読んでみると意外なくらい面白い。情報量も多いし、男性は女性にモテるためにこんなにも努力をしているのかと感心させられる。彼の家にメンズ誌があるとキュンとしてしまうかも。
 女性誌はあまり異性を意識した誌面作りになっていなくて「女の子同士でランチタイムに着ていく服」なんて記事だったりする。セクシーさやフェロモンは現場でもあまり求められていないので、男性誌を読むと新鮮に感じる。それに男性のファッションは全然わからないので、男性誌を読むと勉強になる。
 男性誌を読まない人よりも読む人の方が断然良い。カメラマンも絶対に読んでいて「今日は雑誌の○ページの雰囲気で」とか「ああいう男性をイメージしたクールな感じ」なんて言われる。
 以前『GQ JAPAN』では「女性誌で活躍しているモデルにスポットを当てる」みたいな企画で出させてもらった。プライベートの話をしたり、「女性誌のモデルが考える恋愛観」なんて話をした。私は「自由奔放な恋愛が良い」と答えたけど、不倫はイヤ。お互いを信頼し合って、お互いの時間を大切にしつつ、週に1度くらい会えればいい。
 男の人で大事なのはフェロモンだと思う。生活感が出てしまうのは個人的には好きじゃない。「俺は今日はこうしたい、自由にさせてくれ、だけどお前のことは裏切らないぜ」みたいな人が理想。

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河毛俊作さん(フジテレビ・ゼネラルディレクター)

『男性誌の今昔』の話

 今は情報過多の時代。だからどの男性誌も「文化誌」ではなく「情報誌」になっている。
 その違いは哲学があるかどうか。それからちゃんとした小説が載っていることも文化誌の条件。昔は『週刊プレイボーイ』に三島由紀夫や柴田錬三郎が小説を書いていた。「女にモテたい」「金が欲しい」だけじゃないのが本当の男性誌。
 その中で『BRIO』は比較的まともな方だと思う。僕の車の記事だって相当変わった文章だし、作法的なことを田中康夫さんが書いていたりする。
 僕は「男性誌の女性化」と呼んでいるけど、今の男性誌は非常に判りやすくなった。それに対して昔は、男の文化はとても判りにくかった。洋服の着方1つ取ってもすべてを解析して教えてしまうのではなく、「こんな感じ」で終わってしまった。でもその「こんな感じ」が重要で、テーマを全体像として大きく伝えるものだった。
 今は男性誌で「こういうセーターとこういうジャケットとこういうスーツを買って、1週間の着回し」なんてページがある。そういう男性誌を見ると僕は気持ち悪い。メトロセクシャルと言うのかもしれないけれど、僕はそういうのは好きじゃない。
 だって「手取り足取り」をやってしまったら、もうその瞬間に人間はセクシーではなくなってしまう。「秘密」だから人は「知りたい」と思うもの。ウンチクも100%喋ってしまうのではなく、20%ぐらいで止めておいて、相手がもっと知りたいと思うかどうか。相手が女性でも男性でも同じ。20%くらいの見出しのようなものを見て、もし本文を知りたいなら自分で調べて、というのが良い。
 そして本来、男はそういう生き物だった。それがディテールになったルーツは伊丹十三さんだと思う。文庫本で『ヨーロッパ退屈日記』と『女たちよ!』が再発されていたので読み直したけど、『ヨーロッパ退屈日記』を書いたのが27〜28歳くらいの頃で、『女たちよ!』が37〜38歳くらい。今の同じの年代の人に較べると、内側に抱えているモノがはるかに深い。
 伊丹十三、山口瞳、高橋義孝、吉田健一、そういった人がそういうモノの本来あるべき姿だった。

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パンツェッタ・ジローラモさん(エッセイスト)

『LEON』の話

 表紙に出ているから言うワケじゃないけど、『LEON』はけっこう面白い雑誌だと思う。
 あの雑誌が立ち上がったのは岸田編集長の力が大きい。でもそれだけじゃなくて、みんなの「いろんなところへ行きたい」「いろんな事をしたい」という気持ちがあって成り立っている。自分で遊んで、面白い体験をして、初めてそれが記事になる。だからみんな、いろんな事を試している。私も時計を買ったり、いろんなブランドの品を使っている。
 イタリアにはこういう雑誌がない。もしイタリアでこういう雑誌を作ったら売れると思う。文章も読めないのに、わざわざ日本から取り寄せている人もいるくらいだし。そういう人は「世界中のムードが見られる」と言って喜んでいる。さらに他の国のこの手の雑誌はカタログ的で遊びがないので、遊び心のある日本の雑誌が良いと言っていた。
 男性はやっぱり遊び心を持って、お茶目じゃないと。女性と一緒に居られるように、優しさもあって、お茶目で、格好だけじゃない。そんな男に誰だってなりたい。その願望を雑誌で表現すれば、誰だって読みたくなるのは当たり前だと思う。それは日本人だけじゃなくて、イタリア人だって同じ。
 イタリアで「How to ナンパ」みたいな本を出すと、けっこうみんな買う。日本人と較べればナンパが得意なイタリア人だけど、そのイタリア人の中にも得意な人とあまり得意でない人がいる。「もっとうまくなりたい」という願望は誰だって持っているので、ナンパの本があるとみんな喜んで読む。
 「ちょいモテ」という言葉には、歳をとるにつれて少しずつ上品になる、という意味が込められている。ワインだって長く寝かせれば良いヴィンテージなる。人間も年齢と共に良いヴィンテージになって、優しくなれる。それはお金の力だけじゃなくて、お茶目になっていろんな事ができるようになる、ということ。そういう男性に女性は憧れる。
 私の周りにも、年輩でモテる人がけっこういる。そういう人は個性に溢れていて、なおかつバランスが取れている。その秘訣は相手の気持ちを考えられること。そして「京は鉄板焼きを食べに行きましょう」「明日はイタリアン」「明後日は中華料理」なんて引き出しが多い。「今日は車じゃなくてバイクに乗ろうよ!」なんて言って、さっそうとヘルメットをかぶって登場したりする。
 それくらい引き出しがある人には、女性も驚くし、憧れる。その引き出しは経験で培うしかない。それこそがオヤジの特権。お金もオヤジの特権ではあるけれど、それだけじゃダメ。
 『LEON』ではそんな遊びを実際にやった経験を記事にしている。僕がバイクに乗り出したら、急にバイクの記事が増えたりとか。だから説得力が違う。

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名原博之さん(講談社『TARGET』編集長)の

『男性誌の手法』の話

 オヤジ雑誌はあったけど、大人の良い雑誌がなかった。でも今の30〜40代は違うベクトルを求めていた。それは先行した『LEON』さんのウケ方を見ても明らか。読者の掲載商品への反響を見ても、サイレントな60万人より、電話で問い合わせをしてくる2万人の方が嬉しい業界なので。
 『POPEYE』から始まった男性ビジュアル誌の原理は「西海岸の文化を紹介する」を筆頭に、知らない文化を紹介するのが中心だった。未開のフロンティアを探して、それを格好良いものとして雑誌で紹介する。ところが長らく続けている内に、未開の土地がどんどん無くなっていってしまった。
 そこで違う作り方が求められ、『LEON』が誕生した。『LEON』は端的に言うと女性ファッション誌の手法で作られている。しかもそれが格段に上手かった。
 ただ、女性と男性は生理的に雑誌の見方が違うみたいで、女性はゴチャゴチャと詰め込まれているのが好き。男性はそれがダメなので、1つのページで4つくらいを紹介するのがちょうど良い。これは『LEON』が切り開いた手法。
 『LEON』よりも前だったら『MEN'S NON-NO』が女性誌から派生した雑誌だった。これは女性原理で作られていて、創刊時はインポート物がガーっと入り始めた頃だったので、「いろいろあります」という見せ方が有効だった。ところが今は、物が溢れすぎていて、商品の羅列だとどう見ていいかわからない。
 だから今の時代、雑誌に求められるのは「どれが本当は良いの?」という紹介の仕方。「これが良い」という事を明確にしていかないと、特に忙しい大人はチマチマした写真をクレジットまで見ることはできない。
 『TARGET』の場合は「オンリー・ワン・マガジンを企画せよ」というミッションだったので、「男女で読める」をキーワードにした。実は『Casa BRUTUS』『週刊文春』『AERA』なんかの読者は女性が5割が超えていたりする。それをファッション誌で……というかなり実験的な試み。
 ちなみに昨年10月に出た『TARGET』の創刊号の表紙はアンドレというモデルさんだったけど、今年の2月に出た『UOMO』の創刊号も表紙がアンドレだった。

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放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
8'37" Mutual Admiration Society Al Hirt & Ann-Margret BMG BVCJ-7471
18'48" Magazines June Christy Capitol CDP 7 96329 2
35'06" The Object Of My Affection Dean Martin Capitol 243 8 54546 2 2
45'22" A Good Man Is Hard To Find Abbe Lane RCA 74321 386282
48'08" Chattanooga Choo Choo Ray Anthony & His Orchestra Capitol CDP 7243 8 32566 2 4


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