SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2005年3月26日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「おいしいパン」

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 先月、船橋のららぽーとに「東京パン屋ストリート」がオープンしました。横浜のカレーミュージアムと同じくナムコの企画で、全国から有名なパン屋が集まっているそうです。
 ナムコがこれまでに手掛けたフード・テーマパークは、カレー、ラーメン、餃子、スイーツなどをテーマにしていました。このラインナップに「パン」が加わるほど、日本人にとってもパンは親しい食材なんですね。
 本日は当店にいらっしゃった「パン」にお詳しいお客さまのお話を、少しだけここでご紹介させていただきます。日々食べているパンをもう1度見直すご参考になれば幸いです。


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渡邊政子さん(「パンの会」主宰)の

『日本のパン』の話

 日本のパンはアメリカのパン。でも実は、アメリカのパンとヨーロッパのパンは違う。
 アメリカのパンはいわゆる食パン。ふかふかに膨らんでいて、とても柔らかい。アメリカでは「ワンダー・ブレッド」と呼ばれているらしい。一応、ヨーロッパにも食パンはあって、型に入れて焼くパンを「パンドミ」と呼んでいる。
 日本でパンが普及したのは、戦後、アメリカが小麦を売り込むための政策を敷いたから。だから食パン、コッペパン、学校給食のパンから普及していった。
 ヨーロッパの人にインタビューをしたら、日本へ来てパンを食べると「甘いパン」にビックリするらしい。向こうの人にとってはパンは食事の時に食べるものなので、砂糖が入っているパンは変化球。無いワケじゃないけど、日本みたいに種類が多くない。こんなに菓子パンが多い国は、日本の他に無いのでは。
 もちろんブリオッシュ、クロワッサン、デニッシュ・ペストリーみたいなものはある。でも日本のアンパンみたいに、何かを包んで中にいろんなモノが入っている、というスタイルの菓子パンはそんなにない。
 フランスで言えば「ブーランジュリー&パティスリー(パン屋とお菓子屋)」という形になっていて、砂糖もバターも卵も使っていないモノはパン職人の仕事、それらを使うモノはパティシエの仕事、という風に仕事が分かれていた。最近はイースト菌を使ったモノはパン職人の仕事になってきて、クロワッサンなんかもパン職人が作るようになってきたらしい。
 クロワッサンみたいにバターをたっぷり使うパンは、その昔は高嶺の花で、庶民が食べられるものではなかった。だからパン職人の作る「パン」の範疇に入っていなかったのでは。
 ヨーロッパの人は豆を甘くするのもダメなので、アンパンが特にダメらしい。さらに言葉の問題で、中に何が入っているかわからない。だから買って、家に帰って、切ってみてビックリする。「甘くちゃ晩御飯にならないじゃない!」みたいな。
 パンが日本に伝わったのは鉄砲と同時。種子島に着いたヨーロッパ人が伝えた。その後、鎖国していた時代は長崎の出島でしか作られていなかったけど、横浜が開港した時に外国人向けにパンを作る人が出てきた。ところがそのパンはなかなか日本の一般人には受け入れられず、木村屋のアンパンが最初のヒットだったらしい。
 ちなみに横浜で最初に作られていたパンがフランスパンだったのは、当時の幕府がフランス寄りだったから。でもその後、明治政府がイギリス寄りになってイギリスパンが中心に。そして戦後はアメリカ。政府がどこに付いているかでパン文化も左右されるというのは面白い。

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牛尾則明さん(渋谷「ヴィロン」)の

『フランスパンとバゲット』の話

 日本で「フランスパン」と呼ばれてきたパンは、パリで実際に食べられている「バゲット」とは違うもの。フランス小麦の輸入が認められていなかった時代に、アメリカ・カナダの小麦のブレンドを重ねてフランス小麦に近いモノ……という研究を重ねて日本で開発されたパン。それが40年くらい前の話。
 実はアメリカ・カナダの小麦の方が良質で、フランスの小麦の方が質は良くない。この“質”というのはタンパク質の量のことで、多ければ多いほど張りのあるパン生地が作れる。フランス小麦はタンパク質の量が少ないので、パン生地もボソボソした千切れやすいモノしか作れない。
 もしフランスでアメリカ・カナダのような良質の小麦が獲れていたら、フランスパンは食パンになっていたかもしれない。でもそういう小麦は獲れなかったので、どうやって消費者に提供していくか……という事を考えた結果が、ああいう直焼きのバゲットになったと言われている。フランス小麦を使ってパン生地を作り、型に入れて焼いても食パンみたいに型の上まで膨らまない。それでパン生地を転がしてロールにして、そのまま焼くしかなかった。だから今でもフランスには角食パンはほとんど見かけない。
 一方、アメリカ・カナダの小麦の弱点は、小麦の風味がフランス小麦と較べて非常に弱いこと。逆にフランス小麦は、力は無くても小麦の香りと味が強い。それで食パンには砂糖、バター(マーガリン)などで味を付けるけど、バゲットは小麦粉、塩、イースト、水だけで作って、ストレートに小麦粉の風味を楽しめるように作る。
 ちなみにフランスで売られているバゲットと、ウチで売っているレトロドール。本来ならウチの方が美味しい。ところが日本は湿度が高いので、老化がすごく早い。フランスなら焼き上げてから8時間くらい経ってもパリッとしているけど、日本で雨でも降っていようものなら2時間でシナッとしてしまう。雨が降っていなくても4〜5時間が限界。それを回避するのに僕たちができることは、焼き上げる回数を増やすしかない。だから50分に1回は焼きたてパンを出している。1日にすれば12〜13回。もう1日中焼きっぱなし。
 個人的には、パンを一番美味しく食べる方法は生クリームを塗ることだと思う。ショートケーキなんかに使うような生クリームをパンに搾って食べると、最高に美味しい。パンは「冷めたて」と言って、焼き上がって粗熱がとれて、人肌よりも少し冷めた状態になった時が一番美味しいので、そういうパンでぜひ一度試してみて欲しい。
 いわゆる「焼きたて」のパンの問題は、発酵臭が水蒸気と一緒に立ち上っていること。小麦粉の風味よりもそっちが目立ってしまうので、どんな良い小麦で焼いても意味がなくなってしまう。
 ジャムを付けたパンはそんなに食べられないけど、生クリームだと1本まるまる食べてしまう。それくらい美味しい。

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米永憲司さんと新田貴博さん(ヒーシュタント・ジャパン)の

『スイスのパン』の話

 スイスはドイツ語圏なので、パンもドイツに近い。目の細かいライ麦系のパンで、食べごたえがあってお腹に溜まる感じ。
 素材は自国の小麦、牛乳、卵を使っているので、非常に管理されたクオリティの高いものを使っている。その分、値段が高いとも言えるけど、味は美味しいし、オリジナリティのあるパンも多い。
 スイスパンの最大の特徴は水。スイスは水が非常に硬いので、同じ小麦粉を使って日本でパンを作っても、スイスと同じパンは作れない。
 ラウゲン・クロワッサンというスイスパンがある。本当はクロワッサンは「ギッフェリ」と言うんだけど、ラウゲンという岩塩から抽出したアルカリ液にギッフェリの生地を浸して焼くと、独特の焼き色になる。ドイツの有名な「ブレッツェル(プレッツェル)」と同じ製法で、外側の塩味と中のほんのりした甘み、パリッとした歯ごたえで人気が高い。お酒に合うので、これでビールを飲む人もいるくらい。和洋折衷だけど、このパンをベースにしたアンパンもウチで開発した。
 スイスパンを日本で作ろうとしても、原材料の輸入が自由にできないので、どうしても手に入らないものが出てくる。でも完成品なら大丈夫なので、冷凍して日本に持って来ている。生地を冷凍して持ってくる場合もあるし、焼き上がったパンを冷凍して持ってくることもある。たとえばクロワッサン、デニッシュなんかは生地。ロール・パン、バゲット、ライ麦系のパンは半焼成と言って半分だけ焼いた状態で持ってくる。ブレッツェルなどは完全に焼いてから。
 都内でスイスパンを食べようと思ったら『PRONTO』が手っ取り早い。「欧州デニッシュ」という名前で大々的に売り出していて、例のアンパン型ギッフェリもある。
 ちなみに生地を輸入して焼いたパンは、“フィニッシング”と言ってアプリコット・ジャムを塗るなどのお化粧をする。アプリコットはパンの焼き色に似ているし、味に影響しないので、それでツヤを出す。

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濱田美里さん(料理研究家)の

『炊飯器でパン作り』の話

 炊飯器でいろんな料理を作る研究をしているけど、炊飯器でパンも作れる。
 簡単なやり方なら、小麦粉、ベーキングパウダー、卵、牛乳などの材料を入れて、ポンと炊飯のスイッチを押すだけ。特に時間を設定する必要もない。時間が来たら炊飯器の内鍋の形のパンのできあがり。
 イーストで発酵させる方法だったら、先に材料をこねて、炊飯器に入れて、保温にして発酵させてから炊く。より本格的に強力粉を使ったパンを作ろうと思ったら、それようの機能が付いた炊飯器もタイガーから発売されている。そのタイガーの炊飯器で炊いた(?)ベーグルなら、オーブンで焼いたベーグルと変わらないモノが作れるほど。
 オーブンじゃなくて炊飯器を使うメリットは、簡単で早いこと。しかも薄力粉とベーキングパウダーのパンは、オーブンでは作れない。どちらかというと蒸しパンに近いので、いろんなモノを中に入れられるのも炊飯器のメリット。
 いろんなモノというよりも、何でも入れられる。ほうれん草やニンジン、パセリ、コンビーフ、味噌、チーズ、本当に何でも。私が好きなのは黒ごまのパン。薄力粉、ベーキングパウダー、お砂糖、お塩を少々、そして練りゴマとゴーダチーズを入れて混ぜる。子供にも人気。
 ヒジキのパンなら、ヒジキ、ツナ、オリーブオイルを入れる。こういったパンがいろいろ作れるのが炊飯器で作るパンの魅力。

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ビジャイ・バンダーリさん(東麻布「スーリヤ」)の

『インドのパン“ナン”』の話

 ナンはお店で食べるもの。釜がないと作れないので、よっぽどのお金持ちじゃないと家では作れない。家庭ではチャパティやピラフを食べて、どうしてもナンが食べたくなったらお店へ行く。
 ナンの材料は小麦粉。「カメリア・パウダー」という小麦粉を使って作るのが本格的。ちょっと高いけど絶対にその方が美味しいのでウチのお店でもその小麦粉を使っている。
 小麦粉の他に、卵、牛乳、塩、砂糖、ベーキングパウダー、サラダ油も使う。ヨーグルトを使うこともある。ただしヨーグルトを使うと日持ちがしないので、その日の内に食べる時にしか使えない。
 1人前が、生地の段階で朝食用で170gぐらい、夕食用なら210gくらい。材料をこねて、20〜30分くらい置くと、とても柔らかくなる。それを手で広げて、釜で焼く。ナンが細長い形をしているのは、釜の内側に並べやすいから。1度に10枚くらい同時に焼ける。
 インドではカレーを作る人とナンを焼く人は別。釜を担当する人がいるので、タンドリーチキンなどもナンを焼く人と一緒。日本のインド料理店ではさすがに両方できる人が多いけど。
 もっともインドの大金持ちの家になると、カレーとナンを作る人が別なだけじゃなくて、お皿を洗う人、掃除をする人、お水を出す人、テーブルを洗う人、ものすごい数の使用人がいたりする。お客さまよりスタッフの方が多いくらい。

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放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
9'07" Almost Like Being In Love Eydie Gorme CBS/SONY 32D 696
20'17" Meu Juramento Marcio Faraco Emarcy UCCM-1019
32'21" Pretty Butterfly Vic Damone Victor BVCJ-2028
41'16" Your Love Nat King Cole Capitol CDP 0777 7 80536 2 0
48'01" Hindustan Bing Crosby and Rosemary Clooney Vicotor R25J-1003


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