SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2005年2月12日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「凄い運搬」

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 先日、車で首都高を走っていたら、前の車がJRAの馬運車でした。府中競馬場から美浦へ帰る馬を運んでいるところだったのでしょうが、もしかしたらこの中に有名なGI馬がいるかもしれない……と思うとちょっとドキドキしました。
 世の中には「すごく高価な物」や「すごく大きな物」、「すごく珍しい物」などいろんな物がございますが、その物がその場所にあるということは、誰かがどこかからか運んでいるワケで。
 本日は当店のお客さまに教えていただいたお話の中から、そんな「凄い運搬」にまつわるお話を少しだけここでご紹介いたしましょう。


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松本晃さん(日本通運)の

『美術品の運搬』の話

 割れやすいモノは箱の中で揺れないように、人の手で緩衝剤を詰めて丁寧に梱包する。この作業は機械ではできない。
 緩衝剤も時代と共に変わってゆく。私がこの仕事を始めた頃は木毛(もくげ)とか縄、藁なんてものを使っていた。ところが最近はエアキャップもあまり地球環境に優しくないということで、紙などに戻りつつある。
 特に美術品は自然素材しか使わない。日本の美術品なら、和紙とか綿とかサラシなどを使う。これは化学的な素材は作品に悪い影響を及ぼすから。
 仏像の運搬する時は「魂を抜く」という儀式をしてから運ばなくてはならない。お寺で住職さんが魂を抜いて、美術館内の会場へ運び、改めてそこで住職さんが魂を入れる。
 千手観音のように複雑な突起の多いモノを運ぶ時は、2つの方法がある。1つは丁寧に紙を詰めていって、ミイラのようにグルグル巻きにして運ぶ方法。もう1つは「危ないところに触らない」という考え方で、「担架」と呼ばれるお神輿のような台に寝かせて、そのまま運ぶ。
 土器を運ぶ時に「壊れやすいので気をつけて運んで下さい」とちょっと大きな声で言ったら、その声で土器が壊れてしまったこともある。だから仕事中は大きな声も出せない。
 最近は美術品の運搬時にはショック・センサーが仕掛けられていて、ショックが加わると時計が止まるようになっている。その時間で飛行機で運ばれていた時か、飛行機から降ろす時だったのか、美術館から空港へ運ぶ時だったのかが明確に分かる。
 最近なら、唐招提寺の盧舎那仏(るしゃなぶつ)の運搬には5年の年月を掛けて計画を練った。その時は1200年ぶりに本堂から出る、という輸送で、今ちょうど東京の国立博物館で展覧会をやっている。まずは実際に運ぶ前に実験をするところから初めて、高さ3m以上、重さ500kgの仏像を奈良から東京まで運んだ。
 世界の三大秘宝と呼ばれる「モナリザ」「ミロのビーナス」「ツタンカーメン」は全部運んだ。ちなみに噂だと、モナリザを運んだ時の保険は1500億円だったらしい。本当にその金額だったかどうかは分からないけど、トップクラスの美術品だとそれくらいの額になるのだろう。

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有田誠さん(JAXA)の

『ロケットの運搬』の話

 日本のロケットは最後に種子島で組み立てるけど、種子島に運ぶ前にはある程度の単位で組み上げてから種子島に持っていく。
 たとえば一番大きな胴体の部分の「第1段ロケット」と「第2段ロケット」。ここは名古屋で作っていて、その工場には直接船で乗り付けられるようになっている。そこでコンテナに詰めたロケットを船に積み込んで運ぶ。
 でも実は、ロケット自体はかなり軽い。なにしろ飛ぶためのモノだから、サイズは大きくても軽くなるように設計されている。ところがこの軽さが船にとっては困りもので、船がうまく沈まずに不安定になってしまうのだとか。それで船長さんがかなり気を遣う航海になるらしい。
 ロケットの運搬で問題になるのは、種子島の港と宇宙センターの間の約20km。この距離を陸送するのが大変で、ロケットが大きくなる度に道も大きくする必要がある。しかも途中、南種子町という町の中心を通らなくちゃ行けないのが一苦労。その時は信号を横に向けてもらったり、電線をちょっと避けてもらったりして、ロケットが通れるようにする。
 その20kmを運ぶのに掛かる時間が約4時間。つまり平均時速が5km/hなので、ちょうど人が歩くスピードと同じ。だから港から宇宙センターのロケットの運搬には、ロケットの横、前、後ろに徒歩の人が付き添う。
 そうやって宇宙センターに運ばれたロケットが組み立てられ、150トンくらいの重さになる。さらに発射台が1000トンくらい。合わせて約1200トンの重さを500mほど動かすために、特注の車がある。
 垂直に立てたロケットが傾こうものなら大変なことになる。角度にして±0.2度の傾きしか許されない。だから人間技では不可能で、自動制御で運ぶような仕組みになっている。28軸56輪の車が2台あって、発射台の両脇をグッと持ち上げて運ぶ。
 その車自体の重さも1台約350トン。発射台と合わせると全部で約2000トン。高さは約60m。これが500m移動する仕組みはすごい。

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菊田秀逸さん(アニマル・コーディネーター)の

『動物の運搬』の話

 「アニマル・サポート・レスキュー」は、動物を運ぶのが仕事。
 たとえばペットが近所の動物病院では治せないような難しい病気になってしまったら、大学病院に連れて行かなくてはならない。でも飼い主が運転免許を持っていなかったりしたら、獣医さんの連絡を受けて僕たちがそのペットを運ぶ。
 運ぶ時は必ず獣医さんの紹介の上で運ぶ。そうしないと「運び方が悪かった」「運んだおかげで死んでしまった」などのトラブルが起きかねないから。だから獣医さんの診察は必須。
 動物を運ぶ時に僕たちが気をつけるのは、動物の種類や個体によってストレスに弱い動物、長時間揺れると弱い動物などいろいろ違うので、一番ダメージの少ない運び方を選ぶこと。
 たとえば犬なら、チワワはけっこう寂しがり屋で、飼い主も溺愛している場合が多い。だから一刻も早く目的地に到着した方が良い。専門のスタッフを付けて2〜3時間を掛けて車で運ぶよりは、箱に入れて電車でとっとと運んでしまった方がベター。
 そうもいかないライオンなどの場合は、もちろん車で運ぶ。そういう場合はちゃんとした専用の檻に入れて、途中で水をあげたりエサをあげたり休憩を挟んだり、メンテナンスをしながら運ぶ。
 高速道路を使って動物を運んでいると、サービスエリアで水をやったり様子を見るためにチラッとシートをめくるんだけど、中を見た他のお客さんから「キャー!」と悲鳴が上がることもある。たしかに熊やライオンを見かけたら驚くだろうとは思う。もちろん逃げ出さないように細心の注意を払っているんだけど。
 ある動物園の依頼で、1m50cmの大トカゲを運んだこともある。「安く上げて欲しい」という依頼だったので、まるで棺桶のような木箱に大トカゲを詰めて、新幹線で運んだ。車両の一番後ろの指定席を取って、座席と壁の隙間に木箱を置いた。
 目的地に着いたら「そんな運び方をするのはお前くらいだ」と驚かれたけど、「安く」という依頼だったから仕方がない。

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瀬藤真さん(新日本石油)の

『タンカーによる原油の運搬』の話

 戦後、タンカーで原油が運搬されるようになり、オイルショックを契機に大型化が進んだ。従来は5〜8万トンだったタンカーが、今では30万トンくらいが主流になっている。
 30万トンと言えば約200万バーレルに当たる。1バーレルは樽1個分なので、あの樽が200万個運べる計算。樽の高さが約1mだから、横に寝かせて並べれば2000km。東京−博多を往復してしまう。
 日本にはタンカーが80隻程度あって、中東と日本の間を往復させている。日本は1日あたりタンカー2.5隻分の75万トンの需要がある。中東と日本の航路は片道20日掛かるので、それこそ休み無しでタンカーは往復している。
 実は1970年代には50万トンという大型タンカーが活躍していた。高度成長期に油の需要がどんどん増えて、それに合わせてタンカーも大型化していた。でもその後、油の需要の伸びが落ちてきて、効率的な輸送が考えられるようになり、現在は30万トンに落ちついている、という状況。
 その30万トンというのは、マラッカ海峡を通れる最大の大きさ。50万トンのタンカーはマラッカ海峡を通れずに遠回りしていた。その分、3〜4日の時間をロスしてしまうので、マラッカ海峡を通れる30万トンの方が効率的だった。
 タンカーは1日あたり100トンくらいの燃料を消費する。燃費で言えば1kmあたり7トンくらい。車なら1リットルで7kmとかだから、約1000倍の燃料を使う計算。30万トンの荷物を運ぶのだから比較するのは難しいけど。
 タンカーは「ダブルハル」という二重構造になっていて、“タンカーの中にタンカーがある”ような構造で安全性を高めている。1隻の値段は約120億円と言われ、耐用年数は20〜25年前後。でも原価の償却は13年なので、13年で売って入れ替えるという船会社もある。

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山田隆夫さん(タレント)の

『笑点の座布団運び』の話

 座布団と幸せを運び続けて21年。もう座布団ダコ(?)が出来てしまった。今年の5月で『笑点』が40年だから、番組の歴史の半分以上も座布団を運び続けたことになる。
 途中、ぎっくり腰になることが4回。実はあの座布団は1枚4kgぐらいの重さがある。そんなに重いのは、10枚重ねても崩れないようにするため。それを5枚持てと言われたら、ちょっとキツイ。ああいうのは労災も出ないし。
 お正月の『行列の出来る法律相談事務所』で「私が座布団を取る時に木久蔵師匠を蹴っ飛ばしたら慰謝料を払わなくてはいけないか?」というテーマで弁護士に判定してもらったら、結果は半々だった。その相談の後も突っ込みはどんどんエスカレートしてるけど。
 舞台裏には大量の座布団が用意されている。実はあの座布団、特別な座布団なので1枚3万5千円もする。お正月の特別番組でゲストにゴールドの特別座布団を差し上げると、非常に喜ばれる。古くなった座布団は「座布団供養」をしていたこともあったし、やはり『笑点』において座布団は特別な存在。
 座布団を10枚貯めるともらえる特典。一番最近なら、こん平師匠がタヒチ旅行をしていたけど、これはかなり良い方。以前には「ボーナスがもらえる」という触れ込みで「棒に刺さったナス」を渡したりしていた。「世界一周」を獲得したのは歌丸師匠。地球儀を持っていって、地球儀を1周りさせて「世界一周」だったけど。「2003年、宇宙の旅」は「2003円、府中の足袋」だったし。

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放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
9'06" Movin' Kay Starr JASMINE JASCD 307
20'02" Let's Get Away From It All Delle Rease blue bird 09026-63912-2
31'43" Exactly Like You Pat Morrissey Mercury MG 20197
41'44" I'll Buy You A Star Jesse Belvin BMG BVCJ-35018
48'07" Avalon Rita Reys & Bengt Hallberg PHILIPS UCCM-9142


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