SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2005年2月5日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「パーカッション」

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 お客さまはリズム・パフォーマンス『STOMP』をご覧になったことがあるでしょうか?映画館で流れる“ドルビー”のトレーラーでご存知の方も多いかもしれませんね。
 ああいったリズム・パフォーマンスは、人間を突き動かすような力を持っています。原始的な音楽がリズムから始まった言われているのも、何となくわかるような気がします。
 そしてリズムと言えば「パーカッション=打楽器」。今日は当店のお客さまがお話していたパーカッションのお話を、ここで少しだけご紹介させていただきましょう。


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村上“ポンタ”秀一さん(ドラマー)の

『ドラム』の話

 ドラムの役割はメロディやサウンドに対するサポート。楽曲に対して色とか景色を付ける役目を担う。
 年齢と共にドラムに対する考え方は変わってきていて、手数もどんどん少なくなってきた。それから音色も、形の面積が広くなった。たとえば昔は「タッ」と叩いていたところを、今は「ダァ」と叩くようなイメージ。特にバラードの時にその傾向が強くて、「パン」だったのが「バァ」と叩くと歌がフッと広がる。そうやって歌を包み込むような音を出す。
 その研究は昔から、というか今でも死ぬほどやっている。シンバルには絶対にひねりを入れるとか。目にガツーンと来るシンバルの音は許せない。シンバルの音は目の前に来たらシューンと回って後ろに抜けないとダメ。それはどんなにフォルテシモな時でもそう。
 エルヴィン・ジョーンズというドラマーがいる。この人が目の前で力一杯シンバルを叩いても、全然うるさく聞こえない。それは何でかというと、スナップと歌心とタッチ。
 この人のドラムを聞いたことが、ドラムを始めるきっかけの1つだった。そういうドラムの奥の深さに永遠の魅力を感じる。

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斎藤ノブさん(パーカッショニスト)の

『パーカッション』の話

 私の恩師、故・浜口庫之助先生に紹介してもらった頃、いろんなパーカッションが先生の家には転がっていた。それを借りて練習しようと思ったら、先生は「これはすげぇ高いコンガだからお前は触るな!」って怒られた。
 仕方がなく「まずは手の皮を厚くしなきゃ!」と考えて、ブロックを叩いて練習した。ところがこれは表面の粒子が粗すぎてもの凄く痛い。そこで探してきたのがレンガ。こちらはまだ粒子が細かいので我慢できた。
 手は紫色に腫れ上がり、手を切って血を流すこともしばしばだった。それでも手の皮を厚くするために必死で叩いた。手を見て「どうしたんだ?」と言う人がいても「いや、転んじゃって……」なんて格好付けて。16〜17歳の頃はそんな風にして過ごしていた。
 パーカッションの入っていない曲があったとする。その曲をレコードで聴きながら、ベースに合わせたりギターのカッティングに合わせたりして、「こんな感じだったら格好良いな」なんて考えていた。だから僕のパーカッションはいわゆるラテン・パーカッションの世界とはまったく関係がない。
 それを面白がったのかどうか、浜口先生の息子さんで浜口茂外也(もとや)さんというパーカッションをやっている人がいて、その仲間で林立夫さんという人が「ティンバリス持ってる?持ってるなら叩きに来てよ」とユーミンのレコーディングに誘ってくれたのがスタジオ・ミュージシャンとしてのスタートだった。
 ちなみ今、ここに持っているのは「ボンゴ」。股に挟んで、キューバ・ラテンのソロなんかで使う。普通に叩く“オープン”と、ヘッドを押さえつつ叩く“ミュート”を使い分けることで、表情豊かな音を出せる。
 最近『Non Chords(ノン・コーズ)』というバンドを作った。このバンド名は「コード楽器が1人もいない」という意味で、ベースの後藤次利、サックスの藤井尚之、そしてパーカッションの僕の3人のバンド。明日の日曜日に名古屋のBlue Noteに出演したりしているので、機会があったらぜひ聞いてみてほしい。パーカッションをやっている人は勉強になると思うし、なによりかなり変わった構成なので面白いと思う。

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仙波清彦さん(マルチ・パーカッショニスト)の

『鼓』の話

 鼓は「つつみ」と発音してしまいがちだけど「つづみ」が正解。両端の部分は子馬の皮で出来ていて、非常に薄い。それでもうまく使うと200年くらい保つ。
 胴の裏側には湿らせた「調子紙」というものを貼る。直径5mmくらいの円形の紙で、ちょっと舐めて2〜3枚貼るんだけど、これを貼らないと全然いい音が出なくなってしまう。このデリケートさは非常に面白い。
 「調べ」と呼ばれる側面の紐は、鼓を抱える手で握ったり離したりすることで皮の張りを調節することができる。だんだん握りを強くしながら叩くと、だんだん音が高くなっていくのがよく分かる。それを一瞬でやることで、あの「ポン!」という音が出せる。張りを変えずにただ叩くと「ポ!」という音しか出ない。端の方を打って「カン!」と高い音を出すこともできるし、いろんな表現が出来るのが面白い。
 胴の中には「鉋目(かんなめ)」と言って、かんなで削った跡がある。この彫りで作者がわかったりもする。鼓は桜の木などをくり抜いて作るだけの単純な構造なので、もしかしたら世界で一番長持ちする楽器かもしれない。そして木が枯れるに従ってどんどん音が良くなっていく。周りに漆が塗ってあるのは乾燥しすぎないようにするため。
 そんな感じで、ただの筒に見えるけど鼓は非常に精密な楽器。ただ、楽器屋に筒だけの状態で置かれていると、底の抜けた一輪挿しにしか見えない。
 現存している鼓にも、安土桃山時代のものなどが残っている。それでまだ素晴らしい音が鳴るのだからすごい。ヴァイオリンだったらいい音が鳴る期間はせいぜい200年くらいなのに、鼓は400年以上。
 長持ちするとはいえ、僕も海外に鼓を持っていって、折ってしまったこともある。というのも、鼓の一番くびれた部分は、厚さ1mm以下しかない。
 海外でいろんな打楽器を見てきた。たとえばインドの「タブラー」は、ありとあらゆる音が出るような打楽器だった。それでも鼓ほど崇高でデリケートで、美術品としても素晴らしい打楽器は他にないと思う。

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奥村政佳さん(RAG FAIR)の

『ヴォイス・パーカッション』の話

 史上最年少で気象予報士の資格を取り、ニュースステーションでクリスマスの天気予報もさせてもらい、もう将来は気象の道を進むと自分も周囲も思っていた。
 だから筑波大に進学し、大学新聞の取材を受けた時も「大学ではサークルに入るつもりもないし、気象の道を邁進していきます」と答えた。でもその次の日、コーラスのサークルに入ってしまった。「君、昨日インタビューでこんなこと言ってなかった?」「それはそれ、これはこれ」って感じ。
 実は4〜12歳までヴァイオリンを習っていたので、音楽は嫌いじゃなかったし、ちょっと良いなと思ってサークルに入った。それでもまだ音楽はあくまで趣味として、「将来は気象の道を」という考えは変わっていなかった。
 ところが転機が訪れたのは1年生の後半。突然、声変わりが始まって、先々週までは歌えた歌が今週は歌えない、ということがしばしば起こった。でもサークルの代表も務めていたので、代表が歌えないというのも格好がつかない。どうしたものか……といろいろ考えて、たどりついたのがヴォイス・パーカッションだった。
 当時、アメリカにはヴォイス・パーカッションをやるプロならそれなりに居たみたいだけど、日本で、しかも学生で本格的にやっている人は他にいなくて、2年生になった頃にはすっかりその専門家としてサークル内のポジションが定まっていた。
 最初に練習したのは4ビートの上で刻むリズム。“Sixty Minute Man”という曲で「ツーツッツ、ツーツッツ」と声を出していた。これが慣れてくると、ブラシの切れ目のない音も出せるようになってくる。全部独学だったから、耳で聞こえる音を口で翻訳する作業をずっと学生の間にやっていた。
 たぶん、声変わりがあのタイミングでやってこなかったら、今の自分はないと思う。

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宮本章さん(浅草・宮本卯之助商店)の

『太鼓』の話

 太鼓は大きいモノなら90cm(三尺)。値段は1000万円以上する。学校で使うようなもので一尺五寸。こちらは台も含めて100〜150万円ぐらい。
 材質はケヤキ。山の方で原木を倒してから、最低3年は自然乾燥させる。乾燥期間が長ければ長いほど音に緩みが出にくくなる。自然乾燥でも気質の悪いヤツは割れたりするので、全部が全部使えるわけではない。
 皮は主に牛の皮。馬の皮を使うこともある。皮の質が全然違うので、音がまったく違ってくる。馬の皮の方が遠く離れていても聞こえやすいので、江戸囃子などでは馬の皮の太鼓を使う。秩父囃子などでは牛の皮を強めに張って、叩き合ってワッと盛り上がる音が出るような太鼓を使う。
 太鼓の皮は破れたら張り替えも可能だし、調整もできる。太鼓の縁の部分を切り取らないで残してあると、もう少し強く張ったり、緩めたりという要望に応じることもできる。
 太鼓を乗せる山車も作っている。小さいモノで300〜400万。すべてケヤキで作っていて、いろんな飾りの付く大きなモノになると1000万円を超えることもある。
 やっぱりどうしても出来の良い悪いは多少ある。でも値段の方は大きさで決まってしまう。だからお店では試しに叩いてもらう。最近ではお囃子の方々もお店へ来て、張り方を見て、音の調子を見て決めている。それくらいお客さんも熱心。

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放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
7'52" Let's Face The Music And Dance Tony Bennett Columbia CGK 40424
18'10" That's Your Red Wagon Anita O'day Verve 314 559 808-2
27'03" I Got Plenty O'Nuttin' Rosemary Clooney RCA BVCJ-2030
37'30" Dance Only With Me Peggy Lee Capitol 7243 8 56056 2 8
47'54" The Sweetest Sounds Eydie Gorme GL MUSIC GL 206


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