これまでのテニス界は「強いけど悪役」と「可愛いけど弱いアイドル」にハッキリ別れていた。ところが最近、シャラポワ選手のように「美しくて強い」選手が現れて、スター選手の必須条件になってきた。
去年、グランドスラム大会4つの内、3つの大会でロシアの選手が勝った。ところがこのロシアの選手は、今はほとんどがアメリカで育っている。そしてロシアからアメリカへテニス留学するような場合、もちろん実力も重要なんだけど、ビジュアルも非常に重要視されている。
アメリカのコーチが5歳の子供を見て、この子が10年後にどれくらい稼げるかを判断して、留学させるかどうかを決める。そこら辺はアメリカらしいというか、非常にシビア。
信じられない話だけど、見た目と実力どっちが大事なのか?という世界になって来たのかもしれない。でも幸か不幸か、最近の若くて見た目の良い選手が強かった。グランドスラムは勝てない、ビジュアルも負ける、という他の選手は災難だけど。
日本の女子テニス界に関しては、ずいぶん若い選手が育ってきた。森上亜希子さん、浅越しのぶさん、小畑沙織さんなど、若い選手たちが杉山愛選手の次を争って切磋琢磨する内に、3人とも世界ランキング50位前後まで上がってきた。
ただ、その2番手争いをしている選手たちはみんな25歳前後。シャラポワ選手の17歳を筆頭に、世界は10代の選手が大活躍している。本当は日本も卓球の福原愛ちゃんやゴルフの宮里藍ちゃんみたいに、10代で活躍する選手が出てきてほしい。
たとえば不田涼子ちゃんという選手は13〜14歳の頃から世界で頑張っている。でもそういったジュニアの時代に活躍した選手がプロになっても活躍できるかどうかは、ジュニアからプロのツアーに転換して3年間で世界ランキング100位以内に入れるかどうかで決まってくる。
3年間やって100位以内に入れないと、金銭的に苦しくなる部分もあるし、何より精神的に「自分はダメなんじゃないか」と落ち込んでしまう。それは必ずしも実力だけじゃなくて、たまたま調子の良い時に大きな大会に出れて一気にポイントを稼げる人もいる。
そういった意味で、シャラポワはすごい運の持ち主。実力的に彼女は、誰もグランドスラムを取るとは思わなかった。でも1回戦から勝ち上がって、決勝までの2週間に見違えるほど成長した。その自分の伸びる時期にウィンブルドンがあったというのが奇跡。あの大会が1週間ズレていれば、単に「前哨戦で優勝」だった可能性すらある。
ただ、シャラポワ選手のような成功例は本当にまれで、同じような環境で頑張っている選手は100人じゃきかない。成功するのはその内のたった1人と考えると、本当に厳しい。