SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2005年1月29日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「ベスト・コニサー」

image

 土曜日の夕方、当店“AVANTI”のウェイティングバーは大勢のお客様で賑わいます。今日も競馬評論家の藤代三郎さまや元プロテニスプレーヤーの沢松奈生子さまなど、様々なお客さまがグラスを傾け、お喋りを楽しんでおられます。
 そういったお客様たちこそが当店の自慢です。みなさん、映画、音楽といった柔らかい話から、政治、科学のような堅い話、珍談奇談に、怪しげな噂話などなど、とても面白いお話を教えてくれます。
 誰が言い始めたのかは分かりませんが、常連のお客さまの間では、そんな面白い話をする方々を敬意を込めて「コニサー」と呼んでいるとか。なんでもフランス語で「目利き、玄人」という意味らしいのですが。
 お時間がございましたら、そのコニサーのお話に耳を傾けながら、素敵な夕方の一時を過ごしていきませんか?


image
藤代三郎さん(競馬評論家)の

『競馬場の掛け声』の話

 最近、競馬の掛け声の乱れ方は酷い。
 たとえば「5!5!5!5!」と叫ぶ馬番オヤジ。えてしてその5番の馬は全然来ていなかったりするから困る。正しいゴール前の叫び方は、残り100mなり150mまで来た時に、その馬の脚色(あしいろ=勢い)を見て「前の馬を差せるかもしれない!」というギリギリの時に叫ぶもの。全然来そうもないのに「5!5!」なんて叫ぶのは格好悪い。
 逆に、後ろから上がってきた馬が前の馬を抜かしてから叫ぶのもイマイチ。ようするに叫ぶときには“リスク”がないと。その馬よりもまだ前に3頭いる。残りは150m。ギリギリ届くかどうか……という時に叫ぶのが良い。
 ジョッキーの名前を叫ぶというのもよくある光景。でも武豊なんかだと大概のレースで人気馬に乗っているので、その名前を呼ぶのもあまり格好良くない。たとえば「木幡っ!」とか「武士沢っ!」なんてちょっと渋めのジョッキーが良い。
 みんなは先頭の馬を見ている時に、後ろの馬に乗っているジョッキーの名前を叫ぶ。みんながその馬の存在に気付く。もし届かなかったらただの赤っ恥。だけど、その馬が見事に差しきった瞬間に「よし!」と叫ぶのが格好良い。
 もう1つ、低配当のレースで叫ぶのもダメ。午前中の1レースで、ガチガチの人気馬同士で配当380円なんて時に「そのままっ!」なんて絶叫している若者がいる。これはみっともないので止めてほしい。
 これには「その人は100万円を賭けているのかもしれないじゃないですか」と反論する人もいる。でもたとえ100万円を賭けていても、それはじっと静かに拳を握りしめて、心の中で「そのままっ!」と言ってほしい。
 つまり「叫ぶ」という行為は周囲の人間に主張すること。「大金を賭けているからガチガチのレースでも興奮してる」なんて主張されても、「お金持ちですね」と思うだけ。でも「高配当のレースを当てた!」というのであれば、これは感心する。
 というワケで、僕が決めた基準としては「13倍以上」の配当なら叫んで良い。
 すごい人になると、4コーナーで「出来た!」と叫ぶ達人もいる。まだ300〜600mもレースは残っているのに、その時点の脚色を見て、もう自分の買っている馬が勝ったな、と。ところが現実には、その馬は案外来なかったりもするのが問題。
 ゲートが開いてレースが始まった瞬間に「そのまま!」と叫ぶ人もいる。もちろんこれは半ば冗談で、周囲もそれがわかいるので笑っている。ところが笑えないことに、本当にそのまま決まって万馬券、なんてこともある。ゴールの瞬間はみんなその事を忘れているんだけど、しばらくすると「あっ、そういえばスタートの時に……」と思い出す。

【Hot Link !!】





image
沢松奈生子さん(元プロテニスプレーヤー)の

『テニス界の最新事情』の話

 これまでのテニス界は「強いけど悪役」と「可愛いけど弱いアイドル」にハッキリ別れていた。ところが最近、シャラポワ選手のように「美しくて強い」選手が現れて、スター選手の必須条件になってきた。
 去年、グランドスラム大会4つの内、3つの大会でロシアの選手が勝った。ところがこのロシアの選手は、今はほとんどがアメリカで育っている。そしてロシアからアメリカへテニス留学するような場合、もちろん実力も重要なんだけど、ビジュアルも非常に重要視されている。
 アメリカのコーチが5歳の子供を見て、この子が10年後にどれくらい稼げるかを判断して、留学させるかどうかを決める。そこら辺はアメリカらしいというか、非常にシビア。
 信じられない話だけど、見た目と実力どっちが大事なのか?という世界になって来たのかもしれない。でも幸か不幸か、最近の若くて見た目の良い選手が強かった。グランドスラムは勝てない、ビジュアルも負ける、という他の選手は災難だけど。
 日本の女子テニス界に関しては、ずいぶん若い選手が育ってきた。森上亜希子さん、浅越しのぶさん、小畑沙織さんなど、若い選手たちが杉山愛選手の次を争って切磋琢磨する内に、3人とも世界ランキング50位前後まで上がってきた。
 ただ、その2番手争いをしている選手たちはみんな25歳前後。シャラポワ選手の17歳を筆頭に、世界は10代の選手が大活躍している。本当は日本も卓球の福原愛ちゃんやゴルフの宮里藍ちゃんみたいに、10代で活躍する選手が出てきてほしい。
 たとえば不田涼子ちゃんという選手は13〜14歳の頃から世界で頑張っている。でもそういったジュニアの時代に活躍した選手がプロになっても活躍できるかどうかは、ジュニアからプロのツアーに転換して3年間で世界ランキング100位以内に入れるかどうかで決まってくる。
 3年間やって100位以内に入れないと、金銭的に苦しくなる部分もあるし、何より精神的に「自分はダメなんじゃないか」と落ち込んでしまう。それは必ずしも実力だけじゃなくて、たまたま調子の良い時に大きな大会に出れて一気にポイントを稼げる人もいる。
 そういった意味で、シャラポワはすごい運の持ち主。実力的に彼女は、誰もグランドスラムを取るとは思わなかった。でも1回戦から勝ち上がって、決勝までの2週間に見違えるほど成長した。その自分の伸びる時期にウィンブルドンがあったというのが奇跡。あの大会が1週間ズレていれば、単に「前哨戦で優勝」だった可能性すらある。
 ただ、シャラポワ選手のような成功例は本当にまれで、同じような環境で頑張っている選手は100人じゃきかない。成功するのはその内のたった1人と考えると、本当に厳しい。

【Hot Link !!】





image
石原隆さん(テレビ番組制作会社)の

『ヴェネチア水没』の話

 間違っているのかもしれないけど、地球の温暖化のせいとかじゃなくて、ヴェネチアの街は毎年水浸しになっているような印象がある。特に冬。以前にもサンマルコ広場が水浸しになっていて、仮設の橋げたの上をみんなが歩いているのを見た。
 今回泊まったのはダニエリという、ヴェネチアの中でも特に海に近いホテル。夏にダニエリに行くと、ホテルの正面玄関から10〜15mくらいの石畳の歩道があって、その先が海になっている。ところが今回、冬に行ったら、ホテルのフロントデスクまで波が来ていた。
 厳密に言うと、ホテルにチェックインした日はまだ水は来ていなかった。2日目も日中は特に問題なし。ところが2日目の夜、食事が終わって1階のバーで飲んでいたら、まだ9〜10時くらいで閉店まで時間があるのに、どんどんテーブルとかソファを片付け出した。
 次から次へと片付けて、ついにはカーペットまで片付けてしまう。そしていつの間にか撮影や耕史の現場などで使われるイントレ(鉄パイプなどで組み立てる足場)が大量に運び込まれていた。
 その日は何が起こるのかわからないまま部屋に戻り、明けて翌日。外へ出かけようとすると、エレベーターは2階までしか行かない。そこで2階でエレベーターを降り、階段を下りると、最後の4段くらいは水没していて、ちょうどその高さに橋が架けられていた。
 向こうの人はもう慣れたもの。「明日来るらしい」と聞くとパッパカ準備を済ませる。推測するに、地中海性気候で冬場に雨が多くなっている所に、大潮で干潮満潮の差が激しくなるのが重なると、こういうことが起こるのではないかと思う。ただ、昔からこうだったのか?と聞かれると、ヴェネチアという街を作った時点でこんな状況だったハズはないんだけど。
 たとえば、ゴンドラ乗りはゴンドラの一番へさきに立っていて、彼らがぶつからないように、そして荷物が通れるように、運河に架かる橋は太鼓橋になっている。それにも関わらず、ゴンドラが橋の下を通る時は高さがギリギリになってしまっていて、ゴンドラ乗りも一生懸命体をかがめていた。いくら何でも最初からそんな風に作るわけがない。

【Hot Link !!】





image
小倉紀蔵さん(東海大学助教授)の

『韓国の喧嘩の仕方』の話

 日本の脚本家は韓国ドラマを見て「ずるい!」と思っているはず。韓国ドラマのクサい台詞を日本のドラマで使ったら、絶対に許されないから。
 その日本と韓国の違いは、韓国では社会全体の雰囲気として「ストレートなモノが勝つ」という前提があるから。でもそれは“韓国が気持ちよくて純粋でストレートな社会だから”というわけではない。むしろ逆にそういうモノが通用しない社会だからこそ、作り物の世界では真っ直ぐな世界を追求したい、という願望が強くなっている。
 たとえば韓国では儒教的な男尊女卑も根強いし、貧富の差も大きい。その中で自分を確立するために、相手との論争で勝つことが必要になるし、「君よりも僕の方が真っ直ぐだからあの女性を手に入れることが出来る!」と主張する。
 日本なら1人の女性を争う相手とはなるべく顔を合わせないようにするものだし、たとえ酒場あたりで顔を合わせても知らんぷり。これが韓国だと、相手のオフィスへ行って論争を挑んだり、酒を飲みながら「決着を付けよう!」となる。
 論争をしない空間に行くと、みんなで仲良く肩を組んで、盃を傾けながら「俺とお前は永遠に一緒なんだ!」って叫ぶけど、そうじゃない場面は四六時中論争しているのが韓国。でもあれはあくまで論争であって喧嘩ではない。だから絶対に手が出ない。
 韓国人が日本に来て、すごく恐ろしいと思うのは、酔っぱらったサラリーマンが駅ホームで無言で殴り合ったりしてるところなんだとか。それくらい韓国ではあくまで「口論」が基本で、もちろん暴力をふるう人もいなくはないけど、それはまったく支持されない。
 韓国の人が口論をするのは、周りの人にどっちが正しいかを決めてもらうため。言い負かすとか脅すのが目的じゃないから、聞き手をかなり意識していて、非常にロジカルで、さらに情に訴えようとする。これは人にとって流儀があって、ものすごく理屈っぽい人もいれば、オイオイ泣く男性もいるほど。
 夜、屋台に行くと、夜中の2時くらいに“泣いている男性”をよく見かける。50歳くらいの人でも「お母さん!お母さん!」と言って泣く。日本だとマザコンは嫌がられるけど、韓国だと「母親を大切にする」と好意的に見られる。
 日本人の韓国ドラマファンが、その辺でダブルスタンダードになっているのが、どうにも納得できない。

【Hot Link !!】





image
山本益博さん(料理評論家)の

『気仙沼の焼き魚』の話

 魚は串に刺して、炭火に立てかけて焼くのが一番美味い。網の上に乗せて焼くようになったのはごく最近の話。
 気仙沼に『福吉』という焼き魚の名人のお店がある。ここのサンマの塩焼きは日本一。竹串から自分で削るほどのこだわりで、サンマ、キンキ(キチジ)、イワシなど、長さが違う魚それぞれにちゃんと合わせて作っている。
 サンマはかなり長いから、節目の間隔の長い竹をわざわざ探してきて、長い串を作る。そして塩を2階から振るような手つきで振る。近くから振ると塩が一カ所に固まってしまうので、高ければ高いほど良い。あのスナップの利かせ方が味にかなり影響する。
 東京で言えば日本橋のステーキ屋『誠』のシェフもすごい。牡蠣フライが揚がったところに、隣からシェフがピュッとスナップで塩を掛ける。これで適量だけ塩が掛かるので、味が決まる。ロブションも、塩をつまんで上の方から「お焼香でもするのか?」というくらい丁寧に塩を掛ける。親指と人差し指と中指で丁寧に塩をつまんで、ソーッとサラダに掛けていた。
 話を『福吉』のサンマに戻すと、焼く時には煙がまったく出ない。出るのは湯気だけ。焼き上がったサンマにはまったく焦げてない。七輪でサンマを焼いて煙が出るのは、直火にあてて焦げてるから。だから福吉の店内はまったく煙っぽくない。
 そうやって焼き上がったサンマは、頭までカリカリに焼き上がっていて、頭から丸ごと食べられる。「魚を焼くというのはこういうことなのか!」と思い知らされた。
 炭は全部がカンカンにおこしてあるワケじゃなくて、真っ黒い場所を何カ所か残してある。これは焼きすぎないように魚を一時的に避難させるため。福吉のお父さんは「ひょうたん型の炭をおこす場所を作ってみたい」なんてさらなる工夫を考えているようだった。
 サンマ1匹が焼き上がるまで40分。でも、目の前で軍手をはめたお父さんが忙しく焼いている姿を見ているだけで飽きないし、お父さんのウンチクも聞いていて楽しい。
 間違いなく焼き魚では日本一。気仙沼へ行くと食べられる。

【Hot Link !!】







放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
10'04" Ridin' On The Moon Lena Horne RCA R25J-1035
20'32" Bright Lights And You Girl Bobby Troup Hindsight HCD-607
31'21" 青春がスパーク Catherine Speak BMGビクター BVCP-8752
40'59" Something Happens To Me Jesse Belvin RCA BVCJ-35018
47'23" It's Good Day Dean Martin Capitol CCM-257-2


 Back