鳥は恐竜から進化してきたと考えられている。
鳥の最大の特徴は「羽毛」を持つこと。というより、羽毛を持つ動物を鳥類と呼んでいる。ところが最近、中国の遼寧省で、空を飛ぶような体つきではないのにも関わらず、羽毛を身にまとっている恐竜の化石が発見されている。そうなると、鳥類の定義が崩れてしまい、恐竜と鳥類が繋がってしまう。考えようによっては、恐竜は絶滅したのではなく、鳥に姿を変えて今でもそこら辺の裏庭に生きている、なんて言えなくもない。
これは科学の世界における一大事。1859年にチャールズ・ダーウィンが『種の起源』を発表し、その進化論が世界で受け入れられていくに従って1つの難点が浮かび上がってきた。1つの生物のグループが進化するにあたって、その中間的な生物がいるはず。ところがその中間的な生物の痕跡が当時はまったく見つかっておらず、“ミッシング・リンク(失われた輪)”と呼ばれていた。
ところが『種の起源』が発表されたその2年後、「始祖鳥」の化石が発見された。これこそが恐竜と鳥を繋ぐ中間生物であるとして、世界中で大ニュースになった。現在は、さらに始祖鳥と鳥、始祖鳥と恐竜を繋ぐ化石がどんどん見つかってきている。
こういう大グループの間を繋ぐ化石が見つかることはほとんど無いので、これは大きな発見と言える。鳥類の定義が不明瞭になってきたという難点はありつつも、進化という視点から見ると非常に興味深い。
鳥が空を飛べるようになったのは、まず羽毛の一部が大きくなっていったところから始まったと考えられている。ただしこれは、空を飛ぶためではなく、体温調節のためだった。その伸びた羽毛の内、前の手に付いた羽毛がやがて飛行するための翼になった。でも「なぜ最初は小さかった羽毛が、飛べるわけでもないのに大きくなっていったか」については諸説がある。
たとえば羽毛をハエ叩きのように使って昆虫を捕まえていたのではないか、という説もある。そしてそのためにだんだん大きくなっていった羽毛が、ある時点から飛ぶのにも役立つようになり、それからは飛ぶために大きくなっていく、ということ。でもこの説で説明しきれないのは「ハエ叩きの役にも立たないくらい小さかった羽毛が、なぜハエ叩きに使えるくらい大きくなったのか?」という部分。
こういった具合に、進化という考え方は、現在の機能を説明するのは難しくないけど、「なぜそうなったのか?」を探るのが非常に難しい。1つの答えが見つかれば、次の新たな疑問が見つかり、また謎解きが繰り返される。それが科学者にとっては面白いところでもあり、つらいところでもある。