夫婦で迎えるクリスマスも十数回目。本当は結婚前のイギリスでも一緒だったけど。
イギリスは私(長野さん)が留学していて、俺(上杉さん)は結婚式のためだけに向こうに行った。イタリア好きが共通点で結婚した2人だったから、ヴェネチアへ行って今は使っていない貴族のお屋敷を借りて、本物のゴンドラに乗る結婚式を挙げた。
2人の結婚は政略結婚と言えなくもない。夢の遊眠社のヒーロー・上杉祥三と、第三舞台のヒロイン・長野里美。正直、結婚した時は人気も落ちていて、スポーツ新聞にも一応載ったけど「これ、誰?」という人が多かっただろうとは思う。それでも小劇場ファンにはわかる政略結婚(?)だった。
初対面の(長野さんから見た上杉さんの)印象は悪かった。目を見てくれないし、何か気取っているような感じがした。第三舞台には「上杉祥三は(第三舞台の)筧(利夫)チャンにそっくり」という噂があって、やっぱり私もそう思った。よく言えば2人とも照れ屋さん。
言い訳すると、俺(上杉さん)はギョロ目で、相手の目を見ると睨んでると思われる。だから見ないようにしてたんだけど……やっぱり失礼だとは思う。だから(長野さんも)初対面の時に「あまり印象良くないのかな、この人とうまく芝居ができるかな?」と思ってしまった。気をつけた方が良い。
一方、(上杉さんから見た長野さんの)印象も「無愛想だなぁ、いい人だけど」という感じ。2人ともお愛想が言えない。お世辞でも褒められて嫌な人はいないのに、それが言えない。結婚して約20年、やっとその事に気がついた。
ただ、僕(上杉さん)は一緒に芝居をした時に「この女優は凄い!この女優と結婚したい!」と思った。だから政略結婚なんだけど。私(長野さん)は背丈が釣り合うから結婚したいと思った。その辺はお互い様(?)。
付き合うようになってすぐに(上杉さんが)結婚しようと言ってくれたんだけど、そこから本当に結婚するまで4〜5年かかった。きっと女の子と付き合う度に「結婚しよう」と言っていたに違いない。
(上杉さんは)「結婚しよう」とも言っていたけど、「相手役になってくれ」とも言っていた。私(長野さん)も相手役が欲しかったし、私に役を書いてくれる人も欲しかった。これって私の方も政略結婚?