SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2004年11月27日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「世界のコメディ」

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 イギリス旅行から帰ってきた常連のお客さまもいらっしゃって、土曜日の当店AVANTIはいつもの賑わいを見せております。
 常連のお客さまは、道中のまるでコントのような出来事をお土産話に持って帰って下さいましたが、当店でもコメディに詳しいお客さまが世界のコメディに関する様々なお話をしています。
 今日はその“世界のコメディ”のお話を、ここで少しだけご紹介させていただきましょう。


image ■ 須田泰成さん(コメディ・ライター)の

『モンティ・パイソン』の話

 モンティ・パイソンは英国のBBC、日本で言えばNHKのような国営放送の番組なのに、英国王室や官僚を馬鹿にするような内容が満載。そんな過激な番組が作れたのは、60〜70年代のBBCのコントローラー(コンテンツの責任者)に1人、若い人間がムチャをすることに対して非常に理解のある人がいたから。20代後半の若い人を集めて「とにかくリミットを考えずにやれ、責任は俺が取る」と言ったらしい。
 ケンブリッジ大学に「ケンブリッジ・フットライト」というコメディ・サークルがある。1880年くらいから続く歴史あるサークルで、彼らはずっと学内で馬鹿なことをやってきた。それが戦後になって、「ケンブリッジにずっと籠もってないで、ロンドンへ行ってカワイイ女の子に会いに行こう」なんて大学を飛び出すようになった。その1人がピーター・クックという人物。その人がロンドンにコメディ・クラブ(コメディ向け小劇場)を作って、ケンブリッジやオックスフォードの洗練された笑いが一般の人でも見られるようになった。
 モンティ・パイソンは“知的な笑い”というイメージがあるけど、必ずしもそうではない。たとえば“Silly Walk(バカ歩き)”というネタは、どこかの国の大臣が、ちゃんとした格好をしながら足をくねくねさせて歩くという、くだらないネタ。他にも殴ったり蹴ったりもあって、向こうの劇場では観客がビールを飲みながら笑っていた。そういう笑いもある。
 テレビ放送が始まったのは1969年10月5日。この日は日曜日の深夜だったけど、放送を続ける間に人気が出てきて、最後にはゴールデンに近い時間帯で放送されるようになっていた。イギリスでは昔の番組を繰り返し放送する習慣もあるので、いまだに何かのシリーズが年に1度は放送されている。それくらい多くの人に支持されたコメディなので、一部の知的でカルトな人だけがわかる笑いではない。
 実際、おばさんが泥だらけになって殴り合うコントなんて、知性のかけらもない。一応「シェイクスピアの劇をやろうとしている」という設定はあったけど。
 インタビュー記事を読んだら、モンティ・パイソンのメンバーはたしかにケンブリッジやオックスフォードの卒業生なんだけど、それよりも「田舎者」という共通点の方が重要だと感じた。あの頃はアートもファッションもロンドンから発信されて、ロンドンがすごく格好良い時代だった。でもモンティ・パイソンのリーダー格だったジョン・クリードはウェールズ近くの海沿い出身だし、その他も炭坑街の出身だったり、ウェールズ人やアメリカ人もいた。そういう人たちが「ロンドンのお高くとまっているもの」に対して反感を抱いて、彼ら独特の笑いに結びついたのでは。
 だからネタを見ると「ロンドンの街が破壊される」というシーンも多い。猫が突然巨大化して、ロンドンの街を踏みつぶしていくとか。

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image ■ ルイジ・フィノキアーロさん
  (在日イタリア人)の

『イタリアのコメディ』の話

 イタリアの伝説のコメディアン「トト」は、面白いお喋りや変な顔で笑わせるだけの人ではなかった。まるでピノキオのような動きをする人で、子供はそれを見て笑っているんだけど、大人はその裏の深いギャグで笑っていた。
 彼が死んでからもう何十年が経つけど、彼のギャグはイタリアの誰もが知っている。舞台も多かったけど、有名なのは60年代の白黒映画。言葉遊びが多くて、1つの言葉で2つの意味を持たせたりするので、日本語に訳して紹介するのはちょっと難しいのが残念。
 重要なのは、彼のギャグはどんなにくだらないようでも、ちゃんと深い意味があったこと。だからこそ今でも愛されている。日本でたとえるなら寅さんのようなもの。子供でも大人でも共感できる部分がある。もっとも、寅さんが振られまくったのに対して、トトはモテモテだったけど。
 彼はすべてアドリブで演じる人だった。「メインコメディアン+スパッラ」という2人組が基本で、日本の漫才で言えば「ボケとツッコミ」みたいなコンビの笑い。1人でやるスタンダップ・コメディの方なら、『ライフ・イズ・ビューティフル』のロベルト・ベニーニが有名。
 トトはナポリの出身で、南らしい太陽の明るさを持ったコメディ。それに対してベニーニは北のフィレンツェ出身なので、もうちょっと鋭い感じ。政治や宗教のネタも持っていて、映画を作る前には公園に舞台を作って、1人で3時間くらい喋ってたりしていた。でもやっぱりベニーニも、イタリア語がわからないと厳しいかな、とは思う。
 トトとベニーニの2人は、どちらも天才。なかなか言いにくい政治的なことも、コメディにして言ってしまう。

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image ■ テツ&トモさん(タレント)の

『韓国のコメディ』の話

 3〜4年前に「韓国のお笑い事情をレポートする」というTV番組企画で韓国へ行った。ところがいつの間にか「自分たちのネタを韓国語にしてオーディションを受ける」という話に。多少余裕のあるスケジュールだったから、焼き肉を食べて、観光もして、楽しい旅になる……はずだったのに、余った時間はすべて韓国語の勉強になってしまった。
 その番組は視聴率50%という超人気番組で、700〜800人くらい入るホールで公開生放送。ちょうど昔やっていたドリフの『8時だよ、全員集合!』のノリだった。そこで見てきた限り、韓国に日本風の“ボケ・ツッコミ”漫才はないみたい。いかりや長介さんみたいなリーダー格の人が仕切って、残りのメンバーがボケる、という形に近い。韓国語だったので正確なところはわからないけど。
 あとでオンエアも見たけど、韓国語の特徴というか、響きがキツくて日本人にはどれがボケなのかよくわからなかったりする。ひと言でいえばパワフル。しかもお客さんもノリが良くて、会場全体が熱い。視聴率50%の番組だけに、会場に入るのにもすごい競争があるのだとか。
 そんな番組に出ようというのだから、無謀と言えば無謀。ちゃんと日本を出る前から準備をしていったわけじゃなくて、ディレクターがその場のノリで決めてしまったのだから酷かった。
 オーディションでやったネタは「♪ダンチェサジンチグミョン〜」なんて、普段やっているネタをそのまま韓国語に翻訳したもの。ところが「♪海に昆布のダシが出ないのなんでだろう〜」とやったら「韓国ではあまり昆布でダシを取りません」って言われてウケなかった。やっぱり文化も勉強しないとダメだなと。その一方で「♪集合写真には1人、目が半開きのヤツがいるのはなんでだろう〜」は笑ってくれた。これは世界共通なのかも。
 結局、オーディションは通って、その人気番組に出演することになった。すると“ウーマン志村けん”を名乗っている芸人さんがいて、「日本人のコメディアン知ってるよ」って。その人に限らず、ドリフとか日本の芸人の話をすると、みんなよく知っていた。ちなみにウーマン志村けんさんは「だっちゅーの」って違う人の芸をやってたけど。
 今の日本はシュールなお笑いが流行りだけど、韓国はベタでわかりやすいギャグが多かった。顔の表情、アクション、すべて大袈裟でインパクトがあった。心配になってプロデューサーに「僕たちのギャグ、大丈夫ですかね?!」と聞いたら、「バッチリ大丈夫!韓国向きだから!」って言われて、納得だった。

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image ■ サミュエル・ポップ・エニングさん(俳優)の

『ガーナのコメディ』の話

 ガーナのお笑いは、アメリカのエディ・マーフィーをイメージしてもらうとわかりやすい。ドラマ仕立てで、演技やお喋りで笑わせるのが主流。
 それとは別に、スタンドアップ・コメディというか、日本の漫才のようなコメディもある。1人で出てきて、ずっと誰かをバカにしたりする芸人とか。
 つい最近亡くなったんだけど、サントーさんというコメディアンがいた。彼の口から出てくる言葉は、子供でも大統領でも笑っていた。1人でスタンドアップをやることもあったし、ドラマ仕立てのコメディをやることもあったけど、その多くはビデオとして発売されていた。
 ガーナにはナショナル・シアター(国立劇場)があって、ここでお笑いの公演も行われている。ここには本当に面白い芸人がいるので、自信を持って「面白い!」と言える。
 日本のお笑いは「ちょっとイジメが多すぎない?」と思う。人を叩いて笑いを取ったり。ガーナなら、自分の体や自分の言葉を使って人を笑わせる。日本のお笑い番組『エンタの神様』が大好きなんだけど、特に青木さやかが最高。マジメそうな顔をして、変なことを言う。あれこそが面白い。人を叩いて笑わせるのはイマイチ。
 それからギター侍も面白い。あれならガーナでも通用する。あの格好で出てきて、「残念!」って言えば笑ってもらえる。ああいう風に自分の国をアピールするのも大事だと思う。ただ「俺はコメディアンだからこういう格好をしているけど、日本人がみんなこういう格好をしているわけじゃない」って言わないと、ガーナ人がみんな勘違いするとは思うけど。

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image ■ リカヤ・スプナーさん(タレント)の

『タイのコメディ』の話

 タイのお笑いは吉本新喜劇みたいな、わかりやすい笑いがツボ。日本はお笑いの文化がすごく発達しているから、ボケとツッコミとか漫才とかいろいろあるけど、タイにはそういった形はあまりなくて、1人でやる漫談が多い。
 タイにもいろんなコメディアンがいるけど、オカマがすごく多いのが特徴的。タイではオカマだからといって卑屈になることはない。普通の会社でデスクワークをしている人もいれば、警察や消防に勤めている人もいる。あまりに普通すぎて、日本みたいに“オカマだから”ということだけでは全然ウリにならない。だからトークや歌や楽器など、プラスアルファの芸が必要。
 日本に来て、芸能界のあり方がタイとすごく違うと驚いたのは、役者でも歌を歌ったり、お笑い芸人がドラマでシリアスな役をやったりするところ。タイでは歌手は歌手だし、俳優は俳優、カテゴリーがはっきり分かれていて、その中だけで勝負している。
 タイのお笑いはライブ・ショーで活躍する人が多い。体を張った笑い、下ネタ、わかりやすい芸でお爺ちゃんから子供まで、みんなを笑わせる。
 それから強い者や権力者をバカにしたり、パロディをやる人も多い。『サパー・ジョーク』というテレビ番組では、オカマの芸人が国会議員のマネをしたり。こういう笑いは、一生懸命働いている人に気持ちが良い。

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放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
10'11" Let Me Sing And I'm Happy Jerry Lewis MCA RE 2079
20'10" Cha Cha Cha D'amour Dean Martin Capitol CDP 7907182
31'09" All I Do Is Dream Of You Louis Prima & Keely Smith Jasmine JASCD 326
39'21" Tain't What You Do Ann-Margret & Al Hirt RCA BVCJ-7471
50'09" Bewitched Peggy Lee Capitol CDP 7243 8 53409 2 5


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