■ 池本キワさん(ロンドン・ガイド)の
- 『紅茶』の話
日本の方がロンドンで紅茶を買って帰るのは間違い。特にスコットランドからロンドンを経由して帰る人なら、スコットランドで紅茶を買った方が良い。
というのは、ロンドンは硬水だから。紅茶を入れる時もわざわざミネラルウォーターを使わなくては真価を発揮しない。一方、スコットランドで有名なモノと言えば、カシミアの染織、ウイスキー、ガラス工場。どれも水の良い所じゃないとできないモノ。つまりスコットランドの水は軟水で、紅茶も「スコティッシュ・ブレンド」という軟水向けのモノがちゃんと売られている。硬水向けの“フォートナム”を買って喜んでいるのは味オンチ。名前に騙されているだけ。
ブランド信仰も別に良いんだけど、実はフォートナムのお店に来る人の75%が日本人観光客だったりする。フォートナムは「デパートとして皇室が使うところ」であって、女王が飲んでいる紅茶は“ヒギンズ”というメーカー。あそこの「イングリッシュ・ブレックファースト」は私もオススメ。
私は毎晩、ワイン2本とジンを1本くらい空けていて、翌日、肉が胃にもたれているのを感じる時もある。そういう時は、朝に紅茶を飲む。
紅茶を入れる時に大事なのは、湯沸かしを沸騰点まで持っていくこと。ロンドンのホテルに泊まると、大きなタンクに水を入れて下からお湯が出てくる仕組みが良くあるけど、あれではお湯が沸騰していないから不味い紅茶しか飲めない。できれば部屋のポットを使って、お湯を沸かしている間にカップを水道の温水で温めて、ポットが保温に切り替わった瞬間にお湯を注ぐ。そうすればティーバッグがポーンと浮かび上がる。それくらいの熱さで蒸らさないと、紅茶は本当の味が出ない。
紅茶はその昔、100日以上の日数を掛けて運ばれてきた。その間に腐ってしまうことも多かったので、値段が高かった。だから紅茶を飲む人は、喫茶店で飲む時に「ちゃんとサービスしてよ」という意味で入り口に置かれた箱に小銭を入れていた。その箱に書かれていた言葉が“To Insure Promptness(素早さを保証します)”。頭文字を取ると“TIP”、コレが「チップ」の始まりだと言われている。
紅茶にはタニングというビタミンを壊す酵素が入っているので、食事の後には飲まないもの。こちらでは食後と言えばコーヒー。お茶の時間に香りを楽しむため、もしくは朝に下剤として紅茶を飲む。
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■ 沢松奈生子さん(元プロテニスプレーヤー)の
- 『ウインブルドンのセンターコート』の話
毎年最低1回は必ずロンドンに来ていて、今年もウインブルドンの時に来たんだけど、自慢の一品がある。それは“ウインブルドンのセンターコート”という大プラチナ・チケット。このチケットは選手でさえなかなか取れない。
私自身、選手時代にスタンドでセンターコートの試合を見たことは数えるほどしかない。今年はたまたま知り合いの人にお願いしていた抽選が当たってチケットが手に入った。それくらいしないと“ウインブルドンのセンターコート”のチケットは手に入らない。
ちなみにこのチケット、お財布に入らないくらいの大きさがある。私はお財布からわざわざはみ出させて、パブなんかで「私はこのチケットを持ってるのよ」なんて見せびらかしてた。するとお店の人も「おお!いつ行くんだ?!」なんて聞き返してきて、必ず話に花が咲く。
プレイヤーとしては、1度だけセンターコートで試合をしたことある。選手の背筋がピンと伸びるような、素晴らしいコートだった。まずなにより、雰囲気が違う。普通、テニスの大会会場には企業名が入った広告がいっぱい並んでいるもの。でもウインブルドンだけはクラブが運営しているので、コートに広告がまったく無い。選手からすると「純粋にテニスだけを見に来てくれている」という感じで背筋が伸びる。
芝のコートは大会が進むに連れて荒れていく。徐々に荒れていくのでプレー自体にはそんなに影響はないけれど、やっぱり初日の絨毯のような芝は気持ちが良い。あれだけは格別で、何物にも代え難い。寝そべりたいぐらい……というか、本当に寝そべってしまう選手もいるくらい。
甲子園の土じゃないけれど、私はセンターコートの芝を失敬してきた。初めてセンターコートで試合をすることになって、その時に「最初で最後だろう」とは思っていたので、相手のマッチポイントの時にあえてボールを落として、ボールを拾うふりをしながらブチッと。そしてアンダースコートのポケットに素早く隠した。案の定そのポイントで試合は負けて、相手と握手する時にはポケットの芝のことしか頭になかった。
今でもその芝は大切に保存してある。もちろん枯れてしまって見る果てもないんだけど、それでも私にとっては宝物。
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■ 池本キワさん(ロンドン・ガイド)の
- 『ロンドンのバー』の話
ロンドンには“Free House”と書かれたバーがある。普通、ロンドンのバーはビールメーカーがお金を出して、マネージャーを雇って経営している。でも“Free House”はバーの持ち主の個人経営。だからお客さんの好きそうなお酒を何でも入れられる。美味しいビールを飲みたかったら“Free House”に限る。
英国のお店は買い取り制度が基本。だから同じルイ・ヴィトンのお店でも、ハロッズ、セルフリッジ、それからシティの小さいお店、どこも品揃えが少しずつ違う。シティはプレゼント用の小さい小物が中心だし、ボンドストリートは旅行客が主体で、素ローンストリートなら顧客主体。どのお店も自分の所に来るお客さまのイメージを見て、喜ばれるような品を買い取って売っている。具体的なターゲットを持たないで商売をするのは、ヨーロッパではちょっと無理。
日本人は「英国人はウイスキーを山ほど飲む」と思っているけど、ビールのハーフ・パイント(約265cc)が1ポンドちょっと(約200円)で、ウイスキーの1ショットが3ポンドちょっと(約600円)。だから話ながら飲む時は、ビールでお腹いっぱいにして、最後にチェイサーと言ってウイスキーで締める。良いウイスキー飲める人、好きなウイスキーを知っている人というのは、お金を惜しまない人だけ。
そこら辺で飲んでいる人に「奢るから」と言えば、必ず「じゃあウイスキーを」と返事をする。それくらいウイスキーは貴重なモノの1つ。
シングルモルトというのは、さすがにこちらでは当たり前のもの。セント・アンドリュースなんかでゴルフをするような人はお金があるので、食事の後は必ずシングルモルトを飲む。ブレンデッド・ウイスキーは食後には飲まない。ゴルフ場や良いホテルのレストランで食事を済ませ、ラウンジへ行ってコーヒーを飲む。そして「リキュールはいかがですか?」と聞かれた時に、ウイスキーを頼むのなら瓶を確認してシングルモルトを注文する。
シングルモルトとブレンドは、飲み比べれば違いは誰でも分かる。それぞれを入れたグラスを並べて、水も用意する。ウイスキーを飲んだ後に水を口に含むと、香りの違いが如実に分かる。これは心配しなくても、誰でも分かるくらい違う。
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■ 藤田美智子さん(ロンドン・ガイド)の
- 『ロンドンの恋愛事情』の話
ロンドンでガイドをするようになって7年ちょっとになる。
ロンドンでは結婚しない人が多い。40〜45歳まで結婚しない人もけっこういる。独身時代を楽しみたいという人もいるだろうし、子供ができてもシングル・マザーだと国から手当がもらえるので、実はその方が経済的には楽だったりする。
こちらの若者のデートは、映画とか美術館とか、夏だったら公園とか。「公園でリスにエサをあげよう」なんて。天気の良い日はお日様を浴びるのは気持ちが良い。やっぱりこっちは日照時間が少ないから、太陽に当たるというのが娯楽の1つなのかもしれない。
4月になって夏時間になると、公園に寝転がって本を読むデートをしている人もいる。リージェントパーク、ハイドパーク、グリーンパーク、こういった公園が人気のスポット。
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■ 土門秀明さん(ミュージシャン)の
- 『ロンドンの路上演奏』の話
地下道などで演奏する路上演奏を“Busking(バスキング)”、やっている人を“Busker(バスカー)”と呼ぶ。基本的に1つの場所で2時間。あらかじめ予約が必要で、その時間が終わったら次の場所へ移動してまた2時間、なんてことを繰り返す。
誰でもできるワケじゃなくて、ちゃんとオーディションを受かって、ライセンスを持っていないとできない。僕もオーディションを受けたんだけど、英語に自身がなかったので『与作』を歌った。審査員に「君は何を歌っているんだ?!」と聞かれて「Yosaku is cutting tree...ton, ton, ton」なんて答えたら「ああ、もういい」って、それで通ってしまった。
その資格を持っている人が、ロンドンには700人以上いるはず。とはいえ、交替の時に会う人はいつも一緒なので、ちゃんと活動している人は決まっているみたい。
僕はロンドンに来て3年になる。月並みだけどビートルズが好きでこっちに来た。バスキングをやっていたおかげで、地元の黒人に「僕は君みたいな人を探していた!一緒にやらないか?」と声を掛けてもらえて、来月からクラブあたりをツアーで回る。でも実は、バスキングだけで食べていけたりするんだけど。
バスキングをする時は、場所によって当たり外れが大きい。そこを我慢できるかどうかがプロのバスカーとアマチュアのバスカーの別れ目。2週間前に電話でブッキングする時は先着順。その電話は1時間は繋がらない。さすがにクレームが出て「回線を16本に増やしました」って言ってるけど、どう考えてもその電話に出る人は1人。全然意味がなかったりする。調子の良いオジサンで楽しいけど。
バスキングをやっていると、「音楽を聴いて気持ちよくなったからお金をあげよう」という事なのか、「ミュージシャンを応援する」という文化があるのか、それなりに収入はある。子供連れだと、親がわざわざ子供にお金を持たせて「入れてきなさい」としつけをしている光景も見かける。
一番気前が良いのはインド人。そして人が増えてきたらサビばかり演奏するのがコツ。お金の入る曲は「Tears In Heaven」や「Bohemian Rhapsody」など大体決まっているので、その曲を繰り返し演奏する。日本人と同じで、ちょっとホロッとくる曲が好きみたい。
もしツアーで成功しても、バスキングは続けたい。演奏していて、通りがかった人が親指を立てて「OK!」と言ってくれたり、ギターを持った人が「今のいいね!」ってウインクしてくれたり、そういう時は至福の気分。
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■ 加藤千香子さん(ブリティッシュ・エアーウェイズ 客室乗務員)の
- 『ロンドンの客室乗務員』の話
ブリティッシュ・エアーウェイズの自慢は「フル・フラット・シート」。飛行機の旅を終えて、そのままビジネスにも行けるような疲れの残らないシート。
フライト中は本当に忙しいので、なかなかお客さまからプライベートな用件で話しかけられても、答える時間がない。強いて言えば、食事が終わった後にお客様にくつろいでいただいている時なら、少しは余裕があるかもしれない。それから、みなさんに聞こえるような大声だと、さすがに恥ずかしい。
ロンドンではナイツブリッジあたりによく寄る。有名なデパートのハロッズやハービー・ニコルズがあって、その近くで食事などをしている。日本で言えば銀座のような場所。滞在時間が短いので、そこだけで買い物や食事がすべて済ませられる銀座的な場所がありがたい。
ナイツブリッジのハロッズ裏、「エンタープライズ」というお店はイギリスの家庭料理を出すレストラン&バー。ロンドンで働いている人が帰りがけに一杯引っかけるために立ち寄ったり、ちゃんと食事をするために来る人もいる。ここはオススメ。私も食事をしたりお酒を飲んだり、いつも利用している。
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放送曲目リスト
| Time |
Title |
Artist |
Label |
Number |
| 7'21" |
One Of These Days In England |
Roy Harper |
The Right Stuff |
72435-27640-2-0 |
| 16'04" |
Night And Day |
Rod Stewart |
J Records |
82876-62182-2 |
| 24'18" |
Ain't That A Kick In The Head |
Robbie Williams |
東芝EMI |
TOCP-65912 |
| 31'04" |
Jacksons, Monk And Rowe |
Elvis Costello |
Wea |
PCS-141 |
| 37'23" |
A Hard Days Night |
Goldie Horn |
PONY CANYON |
PCCY-01179 |
| 50'09" |
Straighten Up And Fly Right |
Robbi Williams |
東芝EMI |
TOCP-65912 |
|