SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2004年10月23日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「ケービング」

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 洞窟探検の事を“ケービング”と言って、最近けっこう流行っているみたいですね。
 探検、なんて言うと大袈裟に聞こえてしまいますが、それこそハイキングよりも気軽な洞窟散歩から、本格的な設備を整えた上での探検まで、ケービングにもいろいろあるみたいです。
 今日は当店にいらっしゃったケービングにお詳しいお客さまのお話を、ここで少しだけご紹介させていただきます。この秋の週末、ちょっと変わったレジャーに挑戦してみてはいかがでしょうか?


image ■ 辰野勇さん(「モンベル」代表)の

『洞窟探検』の話

 関東の人は「ケービング」というと思い描くのが富士山の風穴や氷穴。僕は関西なので秋吉台や龍河洞を思い出す。
 モンベルでは「アウトドア・チャレンジ」と題して、山登り、ロッククライミング、スキー、スノーシュー、カヤック、カヌー、いろんなツアーを組んでいて、その中の1つに“洞窟探検”がある。
 参加者は圧倒的に若い女性が多い。一概には言えないけれど、女性の方が好奇心豊かで、男性の方が恐がりだったりする。だからカップルで来る時も、女性が男性を引っ張ってきたり。
 使う道具は基本的に登山と同じ。縦穴だったらロープを垂らして、下降機(エイト環)などを使う。消防署の人がビルから降りてくる時に使っている道具と似たようなもの。逆に下から上に上がる時は、ロープにユマールという機械を使ったりする。これはラチェットみたいに一方にしか動けなくする機械。
 ハーネス、ヘルメット、ヘッド・ランプあたりは基本。靴は普通の登山靴で良い。ただ靴の中に石ころが入ると困るので、ゲーター(スパッツのようなもの)でカバーする。
 一般に公開されている洞窟は電灯がついていて、立って歩ける範囲しか行けない。でも実際に洞窟探検をすると、高さ30cmくらいの場所をほふく前進で進むこともある。その先にポカッと広い空間が広がっていたりもするんだけど、そういう時に引っかかりにくい“つなぎ”の服が重宝がられている。擦ってもやぶけないような丈夫な素材であることが肝要。
 ケービングをしょっちゅうやっている連中に言わせれば、深くに潜る時は“記憶”と“記録”が頼りなんだとか。ペンキで目印を書いておく手もあるんだけど、最近の時流ではそういう事はやらない。「Leave No Trace」が大原則なのはケービングに限らず、岩登り、山登りなど、すべてに共通の認識。

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image ■ 中野茂樹さん(中央大学ケービングクラブ)の

『オススメの鍾乳洞』の話

 一般的に洞窟と言えば「石灰洞」。水が石灰を溶かして作った洞窟。もう1つ多いのが「溶岩洞」。これは噴火の後の火山ガスが抜けた跡。
 溶岩洞は出来た時が一番発達していて、そこから段々崩落によって小さくなっていく。逆に石灰洞は時期によって違うけど、発達中でこれから大きくなっていくということが多い。もちろんそのスパンは長すぎて、生きている間にはわからない。
 洞窟が長くなるのは、水流が少しずつ少しずつ石灰を削っていったその成果。だから支流になって別れたりもする。すべては自然の造形物。
 ケービングの入門としては、観光洞でありながら設備を完備していない洞窟がオススメ。ヘルメットをかぶって、場所によっては濡れてもいいような着替えを貸してくれるので着替えて、洞窟を見学する。
 たとえば有名な福島県の阿武隈洞のすぐ脇に、入水洞という洞窟がある。ここは途中までは整備されていて、電気も通っている。ところがその奥を案内の人にお願いして4〜5人のグループで案内してもらうと、水に沿って入る鍾乳洞なもので、なかなかに濡れる。さらに一番奥まで頑張って入ると、首まで水に浸かるようになっている。これはけっこう楽しい。
 それから岩手県には、日本で一番長い安家洞という鍾乳洞があるんだけど、やっぱりそのすぐ脇に良い洞窟がある。地元の自治体が管理していて、あらかじめ申し込んでおくと案内人が奥へ連れて行ってくれる。氷渡洞と言うんだけど、誰でも安全に入れて、とても綺麗で、そして楽しい。
 洞窟の中で聞こえてくるのは水の音。水流があるところでは声が聞こえないくらい大きな音になっている場所もある。水が無くてもポタッポタッと落ちる音が聞こえてきたり。自分たちの声は反響せず、むしろ吸い込まれて通りにくい。そしてどこからかコウモリの声も聞こえてくる。
 洞窟に入る時は、帰る事は考えない。実は帰りの方が辛かったりするんだけど。特に帰りが登りになると「出口はまだか〜!」と叫びたくなる。まあ、登山と同じで、終わった後のビールが美味しいから、それだけを心の支えに頑張る。

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image ■ 近藤純夫さん(エッセイスト)の

『ハワイの洞窟』の話

 洞窟の魅力は「誰も知らないところに入れるかもしれない」ということに尽きる。たとえばハッブル宇宙望遠鏡を地表に向けると、もう地表でわからないところはないらしい。どんな密林の奥だって、見るだけなら簡単な時代になっている。でも洞窟の奥は誰かが行かないと絶対にわからない。地球50億年と言うけれど、その内の何億年も過ごしているかもしれない場所に入るのは快感。
 洞窟には美容効果もある。洞窟から出てきた人は、硫黄温泉に入ったみたいにツルツルになっている。もっと効くのは花粉症の人。洞窟に入った瞬間に鼻水が止まる。出てきて20〜30分もすれば元通りなんだけど、洞窟の中に入っている間は完全に止まる。
 ハワイの洞窟は溶岩でできている。溶岩が流れた跡が洞窟になったり、冷える時に水蒸気で膨らんで洞窟になる。外から見ると、溶岩が膨らんでいていかにも洞窟がありそうだったり、かと思えば地下深いところにも洞窟ができていたりする。
 火山には二次生成物と言って、いろんな形や色の石が残っている。有名なところでは“ペレの髪の毛”という石。ペレというのはハワイの女神の名前で、その石はどう見ても髪の毛にしか見えない。長さは50cmくらい。わりとフワフワした非常に面白い石。
 “ペレのスポンジ”と呼ばれる石もある。この石は見た目からしてスポンジ。持ってみても普通のスポンジより軽いくらい。その他にも“ペレの涙”など、ペレの名前が付いている石が4〜5種類ある。さらに、ルビーの原石、エメラルドの原石なども出来る。
 それから海のもの。サンゴは石灰で出来ている。石灰岩は普通の石よりも比重が軽く、岩の表面に付く。さらに長い時間が経つと、サラサラと落ちていって床にたまる。だから洞窟が真っ白な部屋になっていたり、空気で酸化して真っ赤な部屋になっていたり。光で照らすと金、銀、コバルトブルーに輝いたりもする。
 髪の毛状になったりスポンジ状になったりする原因は、溶岩に40%も含まれているガラス、つまり二酸化珪素。
 海蝕洞窟という洞窟もある。こちらは海の浸食によって作られる洞窟。日本でも千葉や伊豆、江ノ島の岩屋などにある。ハワイにもモチロンある。
 ハワイの洞窟でオススメするなら、やっぱりまずは観光洞窟。キラウエアのサーストン・ラバ・チューブと洞窟なら、階段も付いていて下も平らなので、極端な話、ハイヒールでも歩ける。ちょっと探検気分を味わいたければ、終点あたりのドアを開けると、照明も何もない岩だらけの洞窟が見られる。
 ペレの髪の毛やスポンジを見たければ、“こういう場所で生まれる”という知識がないと、闇雲に探しても見つからない。ただ、火山国立公園のビジターセンターへ行って聞けば、どこにあるかちゃんと教えてくれる。

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image ■ 三笠暁子さん(「コウモリの会」事務局)の

『コウモリ』の話

 「バット・ディテクター」というのは“コウモリ探知機”。コウモリの出す超音波を捉えて、人間の耳に聞こえる音に変換してくれる。洞窟の入り口でこの機械を持って待ち、コウモリが飛び出して来た時にその音を聞けば、どんな種類のコウモリがいるのかをおおよそ調べる事ができる。
 この機械さえあれば、真っ暗な中でもコウモリが飛んでいるのがよくわかる。しかも捕まえなくても種類がわかる場合もあり、コウモリの研究が以前よりは楽になった。
 このバット・ディテクターはイギリスで商品化されている。どうもイギリスでは“バット・ウォーク”と言って、コウモリの巣箱をチェックしながら散歩をする趣味もあるらしく、驚くほどコウモリが好き。このバット・ディテクターも数種類が発売されているくらい。その感覚は日本人とはかなり違う。
 コウモリは世界に900種類ほどいる。これは実にほ乳類の1/4を占めていて、ネズミに次いで種類が多いグループ。もっとも大きいコウモリは、翼を広げると2mくらいになる。そしてコウモリは超音波で、飛んでいる虫の柔らかさや種類まで判別しているらしい。
 ちなみにコウモリの捕獲には許可が必要。調査や研究の時には国に申請書を書いて、許可を得ている。
 コウモリは比較的大人しい動物で、吸血コウモリはメキシコの方に2種類ぐらいいるだけ。もちろん日本にはいない。その吸血コウモリも、家畜をちょっと噛んでペロペロとなめる程度。このコウモリがコウモリ全体のイメージを“吸血”というイメージにしている。
 中国では「蝙蝠」の「蝠」と「福」の発音が同じなので、コウモリはおめでたい動物とされている。5匹のコウモリが輪を組んでいるデザインを「五蝠」と言って、健康や繁栄の象徴になっている。日本でもそんな東洋的な考えが中心だった頃は、コウモリも特に不気味な動物とは思われていなかった。それが西洋のドラキュラのイメージが入ってきて、大きく変わってしまった。

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image ■ 稲葉なおとさん(一級建築士)の

『イタリアの洞窟ホテル』の話

 イタリアには洞窟を利用したホテルがある。そのホテルの建物は19世紀に建てられたもので、都市生活者が郊外でゆったり過ごすために建てた“ヴィラ”と呼ばれる建物だった。それが今ではホテルとして利用されている。
 場所はフィレンツェとピサの中間あたり。高速道路も通っているので、行くのは簡単。ヨーロッパ中から人が集まっている。
 この建物は、19世紀半ばに洞窟が発見されたところから始まった。建物の名前は『グロッタ・ジュスティ・テルメ』といって、“グロッタ”が洞窟、“ジュスティ”が人の名前。ジュスティさんというのは大地主の執事で、最初は農民が「すごい穴が見つかりました!」と言ってきたらしい。で、中に入ってみると、そこにはすごい世界が広がっていた。
 中は鍾乳洞みたいになっていて、室温34度くらい。そして湿度100%。中に入った農民も汗ビッショリになって出てきて「むちゃくちゃ気持ちよかった」と。関節の調子が悪かったのも良くなった、なんて噂があっという間に広まって、どんどん人が来るようになった。そしてそこに建物が建てられた。
 だからその建物は、19世紀なりの豪邸。洞窟の上に建てられている。中に入って受付を済ませ、グロッタのコースを予約する。ガウンを借りて着替えて、洞窟へ降りていく。宿泊客ならあらかじめ部屋にガウンが用意されている。
 裸にガウンだけ羽織って、下へ降りていく通路を歩いていくと、扉を開けると岩肌がゴツゴツした場所に出る。さらに進むとビニールののれんがあって、その先はいよいよ湿度100%の世界。洞窟探検が始まる。
 道が右と左に分かれていたり、湖のようなものがあったり。さらに進むと大きな広間があって、そこに椅子が並べられている。シーンとした空間にガウンを着た人がズラッと並んでいる様子は、まるで中世の修道士みたい。
 特に何をするわけでもなく、ジッとそこでくつろいだり、気分を変えたければ場所を移動したりしながら20〜30分を過ごす。そして最後はシャワーを浴びて、新しいガウンに着替え、オイル・マッサージを受けたりする。
 日本のミスト・サウナなんかとは、まず視覚的なものが圧倒的に違う。上から鍾乳石みたいな岩がせり出していて、屈まないと進めなかったり、かなり楽しい。暗くて雰囲気も満点。
 食事をしていて気付いたのは、女性の1人旅がけっこう多かった事。日本語のホームページもちゃんと用意されているので、けっこうそういうお客さんも多いみたい。

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放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
8'20" It All Depends On You Four Freshmen Capitol 7243 4 95002 2 8
17'40" Dancing In The Dark Frank Sinatra Capitol TOCP-8131
29'10" Close Your Eyes Doris Day Columbia 475749 2
39'07" Dark Shadows Jerri Winters Bethlehem COCY-9935
48'04" I'm Beginning To See The Light Peggy Lee Capitol 7243 8 5454 3 25


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