■ 福島良一さん(メジャーリーグ評論家)の
- 『メジャーリーグのスト』の話
メジャーリーグでは過去に何度かストが行われた。
最初のストは1972年。そもそもメジャーリーグの選手会は歴史が古くて、1885年から存在していた。ところが日本のプロ野球と同じように、ずっとオーナー側の言いなりになっていた。
それが変わるきっかけになったのは1966年、マービン・ミラーという人が委員長に任命されたことだった。彼は全米鉄鋼労連のエコノミストで、いわばストのベテラン。その彼がリーダーとして選手会を引っ張り、オーナー側と喧嘩をするようになっていった。
メジャーリーグのストは計5回行われている。一方、オーナー側もキャンプ地から閉め出すなどのロックアウトを3回行っていて、労使紛争は合わせて8回も行われている。その中でも最悪だったのが一番最後、1994年のストだった。
1994年のストの争点は「サラリー・キャップ」だった。チームの年俸総額に上限を設けようという制度で、他のプロスポーツではすでに導入されていた制度。しかし選手会は頑なに拒否し、ストを行って導入を阻止した。今でもその制度は導入されていないので、チーム間の総年俸の格差は広がる一方になっている。
そのストを始めとして、5回のストはすべてお金に絡む問題が原因になっている。だから日本のストと違って、選手会に対する風当たりは強かった。
現在のメジャーリーグは全部で30球団。1876年にナショナル・リーグが8球団で誕生し、1901年にアメリカン・リーグが8球団で誕生。合わせて16球団の体制が1960年まで約60年続いた。
それが変化する兆しが現れ始めたのが、1950年代の球団移転。ニューヨーク・ジャイアンツはサンフランシスコに、ブルックリン・ドジャースはロサンゼルスに、東から西へとどんどん移転していった。それまでは東に偏っていたメジャーリーグの球団が散らばることにより全国的な人気が上がり、1961年から球団数拡張、いわゆるエクスパンションの時代を迎える。
最後に球団数が増えたのは1998年のタンパベイ・デビルレイズとアリゾナ・ダイヤモンドバックス。その前は1993年のコロラド・ロッキーズとフロリダ・マーリンズ。それくらい頻繁に球団数が増えていた。
さすがに増えすぎたのか、経営難に陥る球団も相次ぎ、2001年の秋にはコミッショナーが「球団数を減らそう」というプランを打ち出した。それで削減候補に挙がったのがミネソタ・ツインズとモントリオール・エクスポズ。どちらの球団も観客動員数が伸び悩み、将来的に健全な経営ができる見込みがない、という判断だった。
ところがツインズはそこから3年連続地区優勝。ファンも球場に戻ってきて、今は特に問題はない。可哀相なのがエクスポズで、69年に初の国際球団(カナダのモントリオール)として注目を浴び、94年にはいよいよ初優勝か……という直前でスト。あれによって球団がダメになったと言っても過言ではない。
- 【Hot Link !!】
■ 原野和夫さん(前パ・リーグ会長)の
- 『パ・リーグ』の話
パ・リーグの球場はどこも良いんだけど、実はどこも遠い。神戸(のYahoo! BBスタジアム)は三宮から40分くらい掛かるし、大阪ドームもあまり良い場所にはない。
大阪ドームができたばかりの頃、新大阪でタクシーに乗って「大阪ドームまで」と言ったら「大阪ドームってどこですねん?私らあんな方まで行きまへんねん!」って。しかも悪いことに、あの周辺は阪神ファンだらけ。あれでは可哀相。それに較べてセ・リーグの球場はどこもすごく良い場所にある。
今からセ・リーグ6球団、パ・リーグ6球団に戻してたら間に合わない……なんていうのは口実に過ぎないと思う。なぜなら11月末までに2ヶ月もある。去年まで東京ドームを巨人と日ハムが一緒に使っていたので、巨人の日程を優先的に決めてから日ハムの日程を決めていた。つまりセ・リーグの日程が決まらないと、パ・リーグの日程が決まらない、という仕組み。そのパ・リーグの日程が決まるのが11月の終わり頃だった。それからパ・リーグの各球団は営業活動を一生懸命やる。そんなギリギリの日程だから、何年か前にダイエーが「日本シリーズの日程に球場を他へ貸してしまう」なんて事故も起こった。
やっぱりスポーツ産業で基本的に縮小というのは良くない。僕も「パ・リーグはこんなに赤字が続いたらどうなってしまうのか……」と悩み、旧知の渡辺(恒雄)さんと個人的に酒を飲みながら話をしたことがある。あくまで酒飲み話ではあるけども、彼は「12っていうのは多すぎる、理想を言えば8、それなら共存共栄も可能」なんて言っていた。「そっちの都合はそうかもしれないけど、まだお客さんを増やす可能性だってあるし、日本シリーズがなくなったらつまらないだろう」なんて言い返した。そんな話をしたのが94〜95年頃だったと思う。
本当に個人的な酒飲み話だったし、彼もそれを押しつけようという雰囲気ではなかった。こっちも野球に関わるようになってまだ日が浅かったし「どっちが良いのかなぁ……」という感じの話だった。ただ、基本的に縮小するのは決して良いことじゃないと僕は思っていた。
我々パ・リーグがよく言っていたのは、西鉄ライオンズが無くなった時のこと。あの時は九州に野球が無くなる、という悲劇が起こった。だからダイエーが福岡に行ってくれのは本当に良かった。でもまだ関東に3チーム、関西に2チームとバランスが悪い。日本全体のことを考えたら、“列島横断パ・リーグ”にしたいという想いがあった。札幌、仙台、東京、大阪、九州、できれば四国、日本全国どこでも野球が見れるようになったら、野球人気を高めるのには理想なんじゃないか、という話が良く出ていた。
そして今年、ついに日ハムが札幌へ。あとは仙台だな……と思っていたら、どうやら手を挙げている人がいるらしい。こんな絶好のチャンスはない。
1リーグに縮小するのか、12以上のチームを維持するのかは、球団の経営が何よりも大事なのか、もっとマーケットを広げる努力をするのか、という哲学と野球への愛情の問題。
- 【Hot Link !!】
■ 江本孟紀さん(野球評論家)の
- 『日本の独立リーグ構想』の話
今回の騒動の一番の原因は、とにかく球団を減らしたいという発想しか機構側にないこと。増やせばいいのに。
たとえば、明日から24チームに増やすことだって可能。無茶なように聞こえるかもしれないけど、1軍と2軍を切り離せば良いだけ。それで、たとえば東北や九州にマイナーリーグを作る。これだって立派な“プロ野球”。
今までの1軍をアメリカのメジャーとすれば、2軍のリーグはマイナー。これを地方に買ってもらえば良い。最近は地方のテレビ局がすごいので、買ってくれるところは必ずある。そういう所が中継すれば、名物アナウンサーや名物解説者も生まれてくるかもしれない。
実はアメリカにはメジャー、3A、2A、1A、ルーキーの各リーグの他に、独立リーグというものがある。これは全米5つぐらいの地域に50弱のチームが所属しているリーグで、その内のカナダに近い「ノーザンリーグ」の1球団は日本人が買ってオーナーになっている。そして最近、そのオーナーと話をして“独立リーグ構想”を練っている。
たとえば、日本でも地方に6球団くらい作って、その6球団はアメリカのノーザンリーグに加盟する。もちろん試合は日本でやるんだけど。そしてその6球団は、プロへ行きたかったけれども行けなかった人、社会人でもうちょっとやりたかったのに年齢的にできなかった人を集める。東北6県という規模でも良いし、大阪府の中だけ、という規模でも良い。
そういうチームのオーナーになるというのは、その地元において非常に名誉なこと。その地位をつくってあげることが大事。選手だって夢を持てる。「もうちょっと頑張れば上に行けるかも……」という希望を持てば、やる気も出る。
今回の騒動に関しては、僕は全然否定的に見ていない。もっと揉めて、もっとストもやっていい。そうやって泥沼になって、そこからちゃんと立て直そうという気になれば、もっとビジネス・チャンスが広がる。
- 【Hot Link !!】
■ 金子達仁さん(スポーツライター)の
- 『プロ野球とJリーグ』の話
時の勢いというか、マスコミは怖い。今でこそ「Jリーグを見習え!」なんて論調だけど、3〜4年前は「このままじゃJリーグは潰れる!」って言われてたのに。Jリーグの経営状態が劇的に変わったということでもないのに。ただ単に野球が酷すぎるから「サッカーはうまく行ってる」なんて無茶な意見がまかり通っている。
だいたい、Jリーグに黒字のチームがあるって言っても、巨人とは較べものにならない。それは年俸を較べれば一目瞭然。Jリーガーで年俸1億円を超える日本人は、日本代表のGK楢崎正剛ただ1人。そんな状況で「Jリーグはうまく行っている」と言われても、Jリーガーとしてはこそばゆいだろう。「だったらもうちょっと給料くれよ!」とか思うかもしれない。
Jリーグはサラリーキャップとか言う以前の問題として、そんなに高給を払えない。野球との違いは、親会社から降ってくるお金。近鉄が年間40億円の赤字という話だけど、そんな赤字を出したらJリーグのチームは即座に潰れる。「横浜・F・マリノス」は「日産マリノス」とは名乗れないし、「名古屋グランパスエイト」も「トヨタ・グランパスエイト」とは名乗れない。つまり本社が“広告費”としてお金を使うことはできず、プロ野球のようなお金の使い方をすることはできない仕組みになっている。
それからサッカーの世界では、選手の獲得に関しては完全に自由競争。特に戦力の均衡を図る仕組みは採用されていない。これはアメリカ型のプロ・スポーツが決まったチームとの対戦を約束されているのに対して、ヨーロッパ型のプロ・スポーツは“負ければ降格、勝てば昇格”という弱肉強食の原理に基づいているから。
そういう弱肉強食の世界では、突然すごいチームが現れることもある。3部で優勝し昇格、2部でも優勝し昇格、1部で優勝し、最後にはヨーロッパ・チャンピオンに。お金持ちが湯水のようにお金を注ぎ込んで、そんなチームが現れたことが実際にあった。だからJリーグは今、世界のトップではないけれど、世界一のチームを作ろうという夢を叶えられる可能性は常に持っている。
プロ野球の経営者に較べれば、Jリーグの経営者がファンの方を向いているのは間違いない。どんなに阪神が負け続けても、久万オーナーや野崎社長がファンにお詫びしているところを見たことがないけど、鹿島アントラーズの社長はちゃんとファンに説明をしに行っている。最近では柏レイソルの試合なんか、球団の責任を追求する垂れ幕が大変なことになっている。野球ファンには「オーナー、お前なんとかしろ!」という発想はないけど、サッカーにはファンがオーナーに要求するし、オーナーもそれに応えようとする、という健全な図式が出来上がっている。
先だってのプロ野球のストは、「ストと呼んでいいのか?」と思ってしまった。普通、ストライキというのは“今日のパンを求める労働者”と“明日以降を考える経営者”の対決なんだけど、今回の一件は完全に逆。本当にあれがストなんだろうか。
- 【Hot Link !!】
■ 小島克典さん(元NYメッツ通訳)の
- 『球団運営事情』の話
横浜ベイスターズのチームスタッフとして5年ほど働いた時期がある。
セ・リーグの球団の場合、大雑把に年間100億円くらいの収入がある。パ・リーグで60億円くらい。もちろんチームによって状況は違うけど。
支出の方では、一番お金が掛かるのはもちろん選手の年俸。今、最大で70人も雇えるし、選手が球団の財産なので、そこにはお金を掛ける。それから選手以外の人件費もバカにならない。監督、コーチ、もちろん1軍だけじゃなくて2軍もあるから、けっこうな人数になる。試合が行われるたびに60〜100名くらい雇うアルバイトの人件費なんてものもある。
収入は大きく分けて3つ。まず年間シート。これはシーズンが始まる前に売り上げが立つ、非常に重要な収入源。バックネット裏だと、1席30万〜60万円くらい。2つ目が前売り、当日などの入場料収入。これはチームが好調なら売れ行きが良くなるけど、調子が悪くなるとさっぱり売れなくなる、非常に変動値が大きく、リスクを取る項目。
そして3つ目が話題の放送権収入。これは全収入の3割くらいを占める。もちろん巨人戦が中心になるんだけど、最近はメディアの多様化が進んでいて、ローカル局、CS放送などからの収入もある。
以上の3つがだいたい同じくらいの収入で、たとえば全収入が100億円だとすれば、30億円ずつという感じ。残りの10億円がグッズの販売などによる収入になる。
球団として経営を安定させるためには、まず年間シートの販売が基本。労使交渉で機構側が「時間がない」と言っているのは、その営業の時間がないという話。「すみません、ベイスターズです。年間シート買っていただけませんか?」「今年はゴールデン・ウィークに横浜で試合あるの?夏休みは?」「まだわかりません」これでは年間シートは売れない。
球団経営に関して言えば、この年間シートの販売時期が日本とアメリカでは圧倒的に違う。今頃、アメリカでは来年分の年間シートがガンガン売られている。
- 【Hot Link !!】
放送曲目リスト
| Time |
Title |
Artist |
Label |
Number |
| 9'49" |
My Shining Hour |
June Chiristy |
Capitol |
7243 8 55155 2 8 |
| 20'21" |
My Sin |
Patti Page |
Universal |
UCCM-9037 |
| 31'13" |
You Hit The Spot |
Ella Fitzgerald |
Verve |
314 517 535-2 |
| 40'48" |
As Long As I Live |
Bobby Troup |
RCA |
BVCJ-35027 |
| 46'56" |
It Mighty As Well Be Spring |
Peggy Lee |
Capitol |
7243 4 93065 2 3 |
| 51'45" |
Take Me Out To The Ballgame |
Carly Simon |
Electra |
WPCR-128 |
|