■ 下川裕治さん(旅行ライター)の
- 『週末のアジア旅行』の話
週末、慌てて空港へ駆けつけて最終便に乗る。シンガポール航空なら「11便」という成田発午後7時10分の便があって、それに乗ると夜中の1時くらいにシンガポールへ着く。
シンガポールからアジアのいろんな場所へ行く飛行機が出るのが朝7時くらいから。だからそれまではシンガポール空港でウロウロする。夜中のシンガポール空港はそんな日本人がたくさんいる。
ちなみに、なぜかシンガポール航空は安いし席が取りやすい。だから他がいっぱいでもそこならすぐに取れるという評判で、仕事で使っている人も多い。
それで、朝になったらシンガポールから自分の行きたい場所へ行く。ベトナム、タイ、バングラディシュ、インドネシア、どこに行くにもシンガポールからなら2時間くらい。
最近のシンガポール航空やタイ航空は凄くて、小さな町にも直行便がどんどん出ている。だからラオスのルアンパバンなんて小さな町にも、土曜日の朝10時には着いている。そこから日曜日の夜まで楽しんで、またシンガポール経由の夜行に乗れば、月曜日の朝6時には成田に着ける。
夏の海なら、タイ領なのに働いてるのはほとんどがカンボジア人、みたいな島が良い。タイのリゾートといえばプーケット、コムサイなんかが有名だけど、カンボジア方面がオススメ。一番大きな島は「コチャン」といって、この島はけっこう大きい。でもコチャンの他にも小さな島がたくさんある。この小さな島々は島1つにリゾート1つという感じ。あまり宣伝もできなくて、タイ人オーナーがゲストハウスと食堂を作って細々とやっているというようなところが多い。
その小さな島のリゾートの中には趣味でやっている人もいる。僕が行ったコ・ワイ島は、オーナーの趣味で「音の出る物は一切持ち込み禁止」だった。やれることといったら、海に潜るか、ハンモックで寝るか、せいぜいそれくらい。食堂が1軒と、その周りにコテージがあるだけ。僕は小さなカニが一生懸命に穴から砂を掻き出しているところに、上から砂をかけるイタズラなんかに夢中になった。電気を起こす発電機もできるだけ遠くに設置したり、とにかく「音がない」ことにオーナーがこだわった島だった。
こういうアジアのリゾートは1泊1000円以内。船賃もせいぜい1000円。豪華なベッドはないけど、外国人もほとんどいないし、すごく良い。
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■ タカハタ秀太さん(映画監督)の
- 『2泊3日のウラジオストク』の話
『ホテル・ビーナス』のロケ部分はすべてウラジオストクで撮影した。その本隊の撮影の前にロケハンで現地へ行く必要があったんだけど、僕は毎週土曜日に生放送をやっているので、まとまった時間がとれない。そこで必然的に2泊3日を3回、ということになった。
ウラジオストクへ行く便は少なくて、関西空港と新潟空港からそれぞれ週に2便ずつぐらいしかない。僕は火曜日の午後に関西空港からウラジオストクへ向けて飛び立った。飛行機に乗っていた時間は1時間半くらい。それなのに時差が2時間あるのには驚いた。どうも向こうは“ヨーロッパの極東時間”を使っているらしい。
向こうに着いたのは夜の7時くらい。でも日が長くて10〜11時くらいまでけっこう明るい。それでゆっくりロケハンをして、次の日もまるまる1日ロケハン、3日目のお昼ぐらいに戻ってきた。
何年か前、すごく忙しかった時期がある。夏休みも1日も取れなくて、ほんの1日だけ休めるという日に、スタッフと一緒に富士山に登った。たぶんその時は、休みたいというより、何か埋めたいという気分だったのだろう。そんな気分の時にウラジオストクは合っているかもしれない。それから、いつも良いクラスの座席に座って、良いホテルに泊まって、ちゃんとしたルームサービスがある……主にそういう旅をしているフジテレビのプロデューサーのみなさまには、たまにはこんな感じの旅もいいかもしれない。
富士山に登るのもそうだけど、けっして楽をしに行くワケじゃない。むしろわざわざ辛い目に遭いに行くという感じ。少なくとも長期滞在する場所じゃない。十数年前まではソ連の極東の軍港だった場所。一切外国人は入っていなかったはずだし、今の観光名所だって“当時、潜水艦が置いてあった場所”だったりする。ただ、それでも極東の人にとっては夏休みを南の方で過ごす唯一の場所になっているとか。だから小さい海水浴場もあって、すごく短い期間だけど泳げるらしい。泳げなくても日光浴に出ている人は見掛けた。
街並みは非常にヨーロッパ的。坂が多くて、ちょっとサンフランシスコっぽい雰囲気もあった。でも建物も道路もすごく古くて、道路が陥没しているところもほとんど直していない。やっぱり財政的に厳しい部分はあるらしい。
日本人はほとんどいない。街並みはヨーロッパっぽい。ところが走っている車の9割が日本車。これには苦笑した。ほとんどが日本から輸入した中古車で、「○○工務店」なんて文字がそのまま残っている。漢字がわからない向こうの人にとってはデザイン的に見えるらしいんだけど、日本人としてはちょっとガッカリ。
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■ 森禮子さん(作家)の
- 『八重山諸島』の話
日常から離れてリラックスするのなら、沖縄の八重山諸島がオススメ。石垣島、竹富島、西表島、波照間島、そして与那国島まで行けば台湾もすぐ近く。八重山諸島は“先島諸島”とも言うくらい。
八重山の魅力はやっぱり自然。空気の中にまでいろんな自然のエネルギーが溢れているかのよう。それからエキゾチシズムと言ったら悪いのかもしれないけど、そういう雰囲気もある。特に西表島の自然の荒々しい力の前には「人間なんて小さいな」と感じさせられる。西表島に行けば、失恋した人なんかサッと目が覚めそう。
西表島のジャングルの中にいると、時間が止まったかのような感覚を覚えるのが好き。コセコセしていないし、一日中ボーっとしてたら命が延びる感じがする。「あそこを見よう」「ここも見よう」じゃなくて、気に入った海岸を見つけたらそこでボーっとするのが良いと思う。個人的なオススメは西表島の祖納の海岸。ここは本当に綺麗。
向こうで仕事をしたりはしない。いろんな物に出会って、ボーっとするのが目的だから。いろんな出会いがあるので、毎回いろいろ驚かされる。
那覇から石垣島へ行って、そこで1泊。次に竹富島で1泊。この2泊3日でも十分に楽しめる。でもあそこまで行ったら西表島にも足を運んで欲しい。八重山諸島は島ごとに個性が違うので。波照間島は平らで、砂ばかりの島。石垣島は一番大きくて、一番の文明都市。西表島から石垣島へ帰ってくると「あ、文明都市に帰ってきた」と思ってしまうほど。
20年前、初めて西表島に行った時は、エアコンもないし、道はガタピシャ、車が落ちるんじゃないかと思うぐらいだった。今はキレイな道もできて、エアコンの付いたホテルもできたけど。でも、今でも置き竿してたら勝手に黒鯛が掛かるくらい。あれを釣りと言っていいのかどうかは微妙。勝手に引っかかってたという感じだから。
西表島ではイノシシ狩りの名人もたくさんいて、イノシシ鍋を食べさせてもらったこともある。横でイノシシ狩りの様子を見学もさせてもらった。昔は「イノシシが獲れた」となると、集落の人がみんな浜辺に集まって、星空の下でイノシシ鍋を作って酒盛りしたもの。
そんな八重山諸島は本当に素敵。ぜひ行ってみて欲しい。
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■ 須田鷹雄さん(競馬評論家)の
- 『マカオのカジノ』の話
マカオの何がスゴイって、「男の欲望のみに忠実に街を作るとこうなるのか!」というところがスゴイ。なにせ産業が博打と風俗しかない。
もともとポルトガルが植民地にしていたところなので、街並みにはポルトガルの影響が垣間見える。だから一部だけ小洒落たゾーンもあったりはするけど、そんなものは例外中の例外。たとえて言うなら「香港を煮染めたような」場所。
食事はおいしい。香港よりも安いし、広東料理がある一方で、ポルトガルの植民地だったり香辛料の中継地だった影響も強い。カニをカレーで煮込んだ料理とか、トリをまるまるカレーで煮込んだ料理なんてものもある。これがかなり美味しい。まあ、この辺が“表の要素”としてガイドブックに書きやすいところ。
でもやっぱり、どう考えてもマカオの主力産業はカジノ。それから競馬やドッグ・レースもある。ドッグレースはアメリカと較べてかなり小回りなので、内枠が圧倒的に有利。迷ったら「1−2」「1−3」を買え、と言われる。
マカオにはパチンコもある。フェリーターミナルから近いハイアライというビルにパチンコ屋が1軒ある。パチンコ台は日本の物で、日本みたいにまどろっこしいシステムじゃなくて、ちゃんとその場で換金してくれる。
カジノは、広東人のお客さんの態度が悪いし、ディーラーも「お客さんには愛想を悪くしなきゃいけないという法律でもあるのか?!」と言いたくなるくらい愛想が悪い。チップなんて、昔は勝手に向こうが取っていたし。大当たりで100香港ドルが1000香港ドルになった!と思ったら、黙ってディーラーが100ドル抜く。さらに「待ってよ!」なんて言おうものなら、すごく汚い広東語で罵られる。まあ、広東語が分からないから言ってる事は想像なんだけど。こういったところがマカオの醍醐味とも言える。
ただ、さすがにマカオも中国に返還されて、最近は「それだけじゃイカンだろう」ということで変わりつつある。昔、マカオのカジノはスタンレー・ホーというマフィアの大親分が一人で握っていた。これが競争を阻害するので、マカオを3つに分けて、入札によって3社で競争するようにしようと。それで1つはスタンレー・ホー、もう1つはラスベガスのカジノ王スティーブ・ウィン、それからラスベガスでヴェネチアンというホテルを経営している会社、この3社がこれからマカオで競うことになった。
まだアメリカ資本のカジノはオープンしていないんだけど、そういう事情があって、さすがにこれまで愛想の悪かったスタンレー・ホーのカジノも変わりつつある。エジプトをテーマにしたカジノを作ってみたり、リスボアという有名なホテルの中に“愛想の良いカジノ”と“愛想の悪いカジノ”が2軒できたり。
これからアメリカ資本のカジノがオープンすると、もっと面白くなるかもしれない。マカオは一時期バブル崩壊というか、マンションや不動産を作りすぎて、どのビルをみても空き家だった時期があった。それを乗り越えつつあるマカオ。香港のオマケとしてのマカオじゃなくて、マカオを目的に行っても楽しめると思う。
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■ 小池真理子さん(作家)の
- 『上海』の話
ついこの間、上海に行って来た。私は取材だったので一週間の滞在だったけど、「あ、2泊3日ぐらいの旅にちょうど良いかも」と思った。なにせ近い。行きが3時間、帰りは気流の関係で2時間半。
上海は本当に面白い。エキゾチックで、バイタリティに溢れていて、古いものと新しいものが共存している。超高層のビルがあるかと思えば、租界には古い小さな洋館が並んでいる。とても清潔な都市である一方で、古くからある建物には汚れ、埃、垢や汗が感じられるような人間臭さがある。
昭和20〜30年代の日本がこんな感じだったのかもしれない。瓦礫が積まれていて、その脇を自転車の荷台にハトをいっぱい積んだオジサンが居たり。私は昭和27年生まれだけど、戦後の名残がある東京をなんとなく覚えている。その時代を彷彿させる。
かと思えば、88階建ての超高層ホテルもある。それらが共存しながら、そのギャップを楽しめる。
上海はとても生き生きとした街。東京よりも生き生きとしていると感じた。「明日は必ず来る」みたいな根拠無き自信を持っている。その明るさはラテン的とすら言えるかもしれない。
北京に行った人に言わせれば「北京と全然違う、上海の方が格段におもしろい」のだとか。いかにも中国の大都市、という場所が上海。
私はテレビ塔も眺めてきたし、和平飯店で70歳のジャズマンたちによるスタンダード・ナンバーの演奏も聴いてきた。映画『上海バンスキング』で実際に使ったというバーでちょっと一杯飲みながらジャズを聴くなんて、あのエキゾチシズムはたまらない。
ご飯も安くて美味しい。お昼に2〜3時間ゆっくり時間を掛けて飲茶を食べるなんて最高。週末、2泊3日で上海に行けばきっと元気になれる。
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放送曲目リスト
| Time |
Title |
Artist |
Label |
Number |
| 8'54" |
I Had The Craziest Dream |
Astrud Gilberto |
Verve |
314 519 801-2 |
| 19'32" |
This Town |
Frank Sinatra |
Reprise |
2274-2 |
| 30'13" |
Barguinho |
MAYSA |
EPIC |
ESCA 7784 |
| 41'14" |
You Don't To Know The Language |
Lena Horn |
BMG |
BVCJ-37390 |
| 47'32" |
It's A Wonderful World |
Peggy Lee |
Capitol |
7243 8 54543 2 5 |
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