■ 遠藤龍之介さん(フジテレビ広報部)の
- 『テレビ局に寄せられるクレーム』の話
広報部長になって1年。朝の番組にも出演して、局に寄せられたクレームにお答えする仕事もしている。
なかにはおもしろいクレーム(?)もある。「野球中継で他球場の経過を知らせる時に、ヤクルトは“ヤ”、広島は“広”、中日は“中”と最初の一文字なのに、なぜ阪神だけ“阪”ではなく“神”なのか?」これには読んで「なるほど!」と感心してしまった。(石原隆さん:おそらく「阪急」があった頃の名残なのでは?)
「このドラマ、次週はこうなると思うんですが、どうなんでしょうか?」なんて質問も寄せられる。さすがにこの質問に答えるわけにはいかないんだけど。
もちろん怒っている人からもたくさんの意見が寄せられる。「生放送かと思ってみたらVTRだったとは!」とか。「うーん、なるほど……僕も生かと思ってしまいました」なんてコメントしたりして。
広報部長になったのが去年の7月。何かあった時に新聞の社会部に対して答えなければいけないジャーナリスティックな仕事、というイメージがあったので、堅めの雑誌を読んだりして2週間ほど勉強した。それで最初の仕事が「27時間テレビであるタレントが陰部を丸出しにしてしまった」という事件だった。「どう思われますか?」と聞かれて「いや〜、事故でしょうか……」なんて、2週間の勉強はいったい何だったのかと。
よくよく思い返してみれば、学生の頃からそういう人間だった。教科書で100ページの試験範囲の内、80ページまではちゃんと勉強したのに、試験は残りの20ページから必ず出る。そんな人生が今でも続いている。
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■ 川田茂雄さん(「クレーム処理研究会」主宰)の
- 『伝説のクレーマー』の話
『ムチャを言う人』という本には“日本一のクレーマー”が登場する。この人は某電機メーカーに対して、自分自身は一銭も取らずに、数億円の寄付をさせた伝説の人。いわゆるクレーマーとは違って、“真実のクレーム”を付ける人だった。
お話は某電機メーカーが「トランジスタの永久保証」を打ち出したことに始まる。そのメーカーは永久保証を謳っておきながら、トランジスタの故障の修理の際には「交換手数料」という名目で修理代金を取っていた。
今の感覚なら誰でも「おかしい」と思いそうなものなのに、この「交換手数料」は誰も文句を言わないまま、昭和38年から20年間徴収され続けた。当時はトランジスタ・ラジオ、トランジスタ・テレビの全盛期だったので、その総額たるや大変なものだっただろう。
ところが20年経って、初めて「それはおかしんじゃないか」と声を上げた人がいた。そしてその人の追求を受けた会社も「たしかに消費者を惑わすような表現でした」と認めた。声を上げた人も偉かったけど、裁判に訴えられたわけでもないのに「間違いでした」と認めたこの会社もなかなかすごい。その会社とは、ソニー。
当時、トランジスタは歩留まりが悪くて、作っても作ってもオシャカばかりという時代だった。ところがソニーは品質の良いトランジスタを作り出し、「永久保証」という広告で“他メーカーよりも壊れない”とPRし、大いに売り上げを伸ばした。ただ、他より品質が良いとは言え、時には壊れることもある。その時に「手数料」という名目で修理代を請求していた、という事情だった。
これにクレームを付けたのが、当時65歳のおじいちゃん。クレーマーの常套句といえば「社長を出せ!」だけど、この人は「担当者と徹底的に話をする」というスタンスを貫いた。
まず、お客さま相談室に電話する。出てきた人と徹底的に話をする。その担当者が「自分でこれ以上お答えできません」と言って上司に代わる。するとその上司とまた一から話をする。本当にマジメな人だったので時間は掛かったけど、半年も経った頃には経営者と話をするところまで行った。
そして最後にはソニーが「永久保証と言っておきながら有償修理だったのは、お客さまを惑わせる表現でした」と認めた。そうすると今度は「いくら余計に取ったんだ?」という話になる。そしてソニーが算出した数字が、昭和58年当時のお金で約10億円という金額だった。
とはいえ、20年も前から行われてきたことだけに、その10億円を本人たちに返そうとしても、返せるもんじゃない。そこで「世の中のめぐまれない社会福祉施設や文化施設に、1年1億円ずつ10年間寄付する」という約束をした。
一銭の得にもならないことを一生懸命やったおじいさんも立派なら、一介のおじいさんの言葉を真摯に聞いて間違いを正したソニーも立派。その後、ソニーはそのおじいさんの意見を取り入れて、経営に反映させていったという。
消費者には4つの権利があるとされている。「安全を求める権利」「知らされる権利」「選択する権利」そして「意見を聞いてもらう権利」。4つ目は「意見を言う権利」じゃなくて、あくまで「聞いてもらう権利」。これは1962年にケネディが打ち出した方針で、日本の消費者保護基本法にも謳われている。だから企業や行政は消費者の意見を聞き、それを経営に反映させなければいけない。クレームの世界から見ると、そういう事になっている。
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■ ケント・ギルバートさん(弁護士)の
- 『アメリカの訴訟』の話
アメリカで交通事故を起こして“I'm sorry”と言ってはいけない、というのは本当の話。日本でも「すみません」は言わない方が良い。学生時代、僕も車をぶつけられたことがあって、その時は向こうが「ごめんなさい、窓が汚くて横がよく見えなかったので……」と言ったので、あっさり警察も「うん、これは処理しやすいね」と切符を切った。弁護士としては、こういう人がクライアントだとちょっと困る。
アメリカではファーストフード店で熱いコーヒーをこぼして火傷をした主婦が訴訟を起こし、何億円も取った。この事件は日本でも有名だけど、あの金額は妥当。というのは、そういうクレームが何百と来ていたのにもかかわらず、あの店は同じコーヒーを出し続けたという背景があるから。それに対する懲罰的な意味合いで何億という金額になった。たまたま頑張って訴訟まで行った人の所に全額が行ってしまったというのがちょっとアレだけれども。
その主婦の火傷がたった1つのケースではないということを証明するために、アメリカでは社内情報を強制的に出させることができる。そして同じようなクレームがたくさん来ていたのにまったく改善されていなかったことを証明されると、そういう良識のない会社には懲罰を与え国民の被害を防ぐ、という認識がアメリカにはある。そのファーストフードの店は大きな会社だったので、ちゃんと痛みを感じる懲罰にするために億単位の賠償金となった。
ちなみに日本の場合は「懲罰」ではなくて「実際の被害額」だけを賠償することになっているので、訴えが認められても非常に安い。
アメリカでは集団訴訟も多い。これは誰かが最初に先頭に立ち、集団訴訟として認められたら、その被害者の1人として認められる人のところに通知が来る。僕はインターネットのドメインを買って、2年くらい経った頃に「あなたがドメインを買った会社は不正に高く売っていたと集団訴訟で負けました、手続きをすれば5ドルの損害賠償がもらえますよ」なんてeメールが来た。集団訴訟だと原告の人数が多くなってしまうので、こんな金額になってしまうケースも多い。もちろん払う方としては莫大な金額なんだろうけど。
そういう背景があってのアメリカの訴訟社会なんだけど、さすがにアメリカ人でも疑問を感じる訴訟は多い。自分の職場で事故を起こして、会社を訴えて何億円……とか、ある程度自己責任もあるのでは?と思う。仕事中にちょっと転んだだけで何億円も取る人もいて、そんな訴訟で負けるなんて、よっぽど下手な弁護士を雇っているとしか思えない。
日本では最近、レンガの舗道が流行っているけど、アメリカの弁護士にはレンガの1つ1つが「\」マークに見える。すり足のお年寄りが転ぶたびに億のお金が飛んでいく、という感じ。アメリカの地方によっては、市が払うのか、そこに面している土地を持つ人が払うのか、法律が微妙に違うけど、誰が払うべきで誰がお金を持っているのかを計算して、必ず訴える。最初からレンガに「\」マークを焼き付けてもいいくらい。
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■ 富沢宏哉さん(元セ・リーグ審判部長)の
- 『野球の抗議』の話
もともと、野球のルールに書かれているのは“Argument”という言葉。これを「抗議」と訳すのがそもそもの間違い。「納得ができない時に質問、議論をする」というルール。
野球のルールブックの「9.00」には以下のように書かれている。「ボール、ストライク、アウト、セーフに関しては何人たりとも抗議をすることは許されない。」こんなルールが定められているのは、一度言った判定を変えていたら野球は成り立たないから。また、その曖昧さが野球の面白さでもある。もちろん審判が間違ってはいけないのだけれども。
三原監督は事を荒立てるような抗議は一切しない人だった。一度だけ三原監督の抗議を受けたことがあるけど、その時は「ストライクゾーンはどこからどこまでですか?」と静かに質問された。自分でも(今のは低かったな……)という自覚はあったので、これには説明に窮して、仕方がなく「ルールブックに書いてあるとおりでございます」と答えるしかなかった。
川上監督も抗議の上手い人だった。ある時、鋭いライナーが三塁線に飛び、パッと振り返った時にはもうどこに落ちたか分からない状況だった。(右バッターのあの打球なら切れたに違いない)と目算で「ファール!」と宣告して、ホームベース側を向こうとした時にはもう川上監督が目の前にいた。(こんなに早く走れるなら、ピンチランナーとして復活できるんじゃ?)と思ったくらい早かった。
その川上監督が「富さん!ラインにハッキリ跡がついてる!」と。見れば確かに石灰の白いラインの上にボールの跡が。でも判定を覆すわけにはいかないから、「あ、本当ですね、今はファールで、この後ここに落ちればフェアです」と言った。川上さんは「しゃーないなー、1つ貸しや!」と言って帰っていった。
もっとも、審判という仕事は借りを返すわけにはいかない。もっと勉強して、そういう間違いを繰り返さないよう心掛けるだけ。
1950年くらいまで、アメリカでもいろいろ混乱はあったらしい。当時の風刺マンガには、審判が鳥かごに入ってクレーンで釣られている、なんて絵がある。そうでもしないと審判がバットで殴られかねない、という冗談だったらしい。そういう時代に「なんとかしなくちゃ」と知恵を絞り、審判を村長、牧師のような大人にやらせるようになった。そういう人なら少々間違っても選手が噛みついたりしないだろうと。だから審判は「ブルー・ジャケット」を着ている。
メジャー・リーグでボールをストライクと宣告されたバッターは、たまにそっとバットとヘルメットをバッターボックスに置いてベンチへ帰る。実はあれも抗議の1つで、バットやヘルメットを地面に叩きつけたら即退場。そこで「今のボール、打てるものなら打ってみなさいよ」という意味で、静かにバットを置いていく。
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■ 宍戸旦さん(日本広告審査機構理事)の
- 『広告に対する苦情、お問い合わせ』の話
日本広告審査機構(JARO)では様々な広告に関する苦情を受けている。テレビ、ラジオのCMはもちろん、新聞、インターネット、折り込みチラシ、看板など、本当にいろいろある。
田舎によくありそうな看板を指して「どこそこの看板に“日本一”と謳われているが、あれはウソなのでは?」なんて苦情が寄せられることもある。でも本当に日本一かどうかなんてわからないことが多いので、そのお店に電話して「どういう根拠で“日本一”と名乗っているんですか?」と聞く。そこにしっかりとしたデータなり根拠がなければ一応「不当表示」になるので、その旨を注意することになる。
寄せられる苦情で一番多いのはテレビのCMに関して。若い女の子が着物を着ているCMに対して「あの着方はおかしい」とか。写真付き携帯が流行りだした頃には、電車の中で写真を撮っているシーンに「盗撮を助長するCMなのではないか」なんて苦情も多かった。
JAROの職員はほとんどプロパー。その方が中立的な立場で広告を見られる。これが広告代理店やマスコミ関係者だと、どうしてもバイアスが掛かってしまいがちなので、元小学校の先生とか元銀行員なんかの方が良い。
1本のクレームの電話は、短くて20分くらい。長い人だと1時間くらいかかる。そしてその苦情を広告主に対して確認を取って、改めてその人のところへ掛け直す。それくらい手間をかけて1つ1つの苦情に対応している。
古い話だけど、医薬分業が始まって、病院じゃなくて外の薬局で薬をもらうようになった頃。ある病院の前に「かかりつけ薬局」という薬局さんがあった。病院でお医者さんが「○○さん、かかりつけの薬局でお薬もらって下さいね〜」なんて言うと、お年寄りはみんな、つい「かかりつけ薬局」に入ってしまう。これに怒った隣の薬局がJAROに「何とかしてくれ」と電話を掛けてきた、なんて珍事件もあった。
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放送曲目リスト
| Time |
Title |
Artist |
Label |
Number |
| 6'59" |
You're So Right For Me |
Peggy Lee |
Capitol |
TOCJ-5418 |
| 18'23" |
Let's Face The Music And Dance |
Anita O'day |
Verve |
POCJ-1940 |
| 30'43" |
Let's Take A Walk Around The Block |
Jackie & Roy |
TOKUMA JAPAN |
TKCB-30460 |
| 39'59" |
It's Too Late Now |
Mel Torme |
Capitol |
CDP 0777 7 8 99412 1 |
| 46'14" |
Let's Get Away From It All |
Louis Prima & Keely Smith |
Jasmine |
JASCD 325 |
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