■ 羽部恒雄さん(カメラマン)の
- 『空の写真』の話
ある時、オーストラリアで丘の上の木を撮影していたら、風が強くて雲がどんどん流れていく。夕方で雲の色もいい感じに染まって「よし、撮ってみよう」と。
僕は撮影するのに「待つ」ということをほとんどしないタイプなんだけど、なぜかその時は「あの雲がここまで流れてきたら良い絵になるな」と思って、珍しく待っていた。その待っている間に「あれ?自分が撮りたいのは木じゃなくて雲なんじゃないか?」と気がついた。それまでは空や雲は背景だと思っていたけど、本当はそっちが撮りたいもので、前にある物が刺身のツマみたいなものだった、ということがわかった。
それ以来、自分ではすごく楽になった。わざわざオーストラリアに行かなくても、空が撮りたくなったら世界中のどこにいてもチャンスがある。そして空は「手つかずの大自然」。こんな素材を地上で見つけるのは非常に難しい。それが見上げればそこにあるんだから、これははまった。
空を撮る時のコツは考えないこと。アッと思った瞬間にはシャッターを切る。「この空が好き」と思った時には、空のどこかが気に入ったはず。その「どこか」を切り取るのが重要で、あんまり細かいことを考えない方がいい。
それから枚数もあんまり撮らないこと。僕の場合は露出の明るめ、暗めを3枚撮って終わり。そうでもしないと、アングルとかに凝って撮りだしたらキリがないので困ってしまう。
夕焼けで凄いことになったときなんか、いつも困っている。一人で三脚を立てて「似ているけどコレも撮りたい……」なんてブツブツ言っている。
いつもファインダーをのぞきながらアングルを決めている時は、心の中か、時には口に出して「ドヒャー、スッゲー!」なんて言いながらシャッターを押している。その気持ちが空の写真を撮る上で、一番大事な事なのかもしれない。
そうやって撮った写真の展覧会を青山のベルコモンズでやることになった。『あの夏』というタイトルで、その夏は僕が写真家を目指して写真を撮っていた「あの夏」。何を見ても「ドヒャー!」って驚いていた頃の写真を展示する。
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■ 奥村政佳さん(RAG FAIR)の
- 『気象予報士の見る空』の話
実は気象予報士の資格を持っている。たぶん紅白に出た歌手の中では、この資格を持っている人は他にいないのでは。
資格を取ったのは17歳の時。高校2年の時に「気象予報士」という資格ができて、最初の試験から受験した。学科試験の方は高2の時に合格して、実技の方は次の年の最初の試験で通った。当時としては最年少で、「史上初の高校生気象予報士」として新聞にもさんざん載ったし、ニュース・ステーションのお天気コーナーにもちょっとだけ出演させてもらった。
忘れもしない1995年12月21日、終業式が終わってすぐに飛行機に乗り込み、六本木にあったテレビ朝日のスタジオを1人で訪れた。久米さんも座っていたあの席に一緒に座らせてもらい、自分の顔がモニターに映ったその瞬間、頭の中が真っ白になって、言いたい事が全部飛んでしまった。だからその後の事は何も覚えていない。その時は一応、クリスマス・イブの予報をしたんだけど。
天気図にはいろんな種類がある。学校で習うのは「地上の気圧」の天気図だけで、それ以外にも、上空の気圧、気温、水蒸気量、いろんなパラメータの天気図がある。上空の天気図なら850hPa、700hPa、500、300、200……とあるし、空間的な3次元の軸、そして時間軸があるので、いろいろな天気図がある。
たとえば、上空1500mの湿度(気象的には水蒸気量)の天気図なんてものもある。こういった天気図は、天気予報で「上空の気圧の谷が……」とか「上空何千メートルにマイナス何度の寒気が……」なんて表現をする時の背景として使われている。上空の空気の流れは地面に繋がっているし、地面の空気の流れは上空にフィードバックされる。だから天気予報には上空の天気図が欠かせない。
天気図だけじゃなくて、肌で感じる感覚も大切。やっぱり天気の事が一番よく分かっているのは地元の漁師さんだったりする。だから僕も普段、外に出て風を感じるように心掛けている。今でも屋外でライブをやる時に、予報で雨が降りそうだと言われると気になって仕方がない。特に学生の頃は機材が高価な物だったから、絶対に濡らしたくない、でもライブはやりたい……そのギリギリの判断を僕は任されていた。
雨が降る直前には、冷たい風がフワッと吹くことがある。この現象は特に暑い夏に感じやすい。夏、暑くて上昇気流が生まれて、積乱雲ができ、夕立が降る。その雨の降り始めは、雨が地面まで届かずに途中で蒸発してしまうことがある。その時に周りの空気から熱を奪い、冷たい空気が生まれる。そしてその空気が地面まで到達した時に、人は冷たい風を感じる。
こんな具合に気象は実際の生活に密接しているので、それを知っていると実際に役に立つ。そんな瞬間があるのが気象学の魅力。
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■ 小川圭介さん(ANAパイロット)の
- 『飛行機から見る空』の話
私の乗っているボーイング767だと、月に50時間前後のフライトが標準的。忙しい時期には月に80時間くらいになる。
ボーイング767のコクピットは窓が非常に大きいので、雄大なパノラマを眺めることができる。星空やオーロラ、ホノルルに着く頃のハワイの夜明けもすごく綺麗。
ハワイの夜明けはどこか日本と色が違うような気がする。最初はワインレッドみたいな赤から、どんどん明るい赤に変わっていく。島の影もハッキリ見えていて、その景色がかなり好き。残念ながら客室からそこまでは見えないと思う。
その景色が見えるのは、ちょうど着陸の準備を始めるちょっと前ぐらいの頃合い。だからコクピットの男2人で「あぁ、キレイだね〜」なんて言ってる。時々、食事や飲み物を持ってきてくれるキャビン・アテンダントが居合わせると、やっぱり感動して帰っていく。
人から聞いた話では、オーロラは地上で見るのと上空で見るのでは少し違うらしい。上空で見るオーロラは、やっぱりカーテンみたいに揺れているんだけど、揺れながら飛行機を覆う感じに見える。ほとんどは「あれってオーロラなのかな?雲なのかな?」くらいに薄くしか見えないんだけど、年によっては非常に鮮明に見えることもある。
フライトはほとんどが雲の上なので、梅雨時でも必ず青空。下にびっしり雲が張っている時は、まさに雲の絨毯の上を飛んでいる、という感じがする。客室でもわかると思うけど、そういう絨毯みたいな雲の中にはいる時は、飛行機のスピードがどれだけ速いかよくわかる。その感覚はかなり好き。
窓の外を見ていて、雲から得られる情報は多い。たとえば、ちょっと毛羽立ったような雲やモコモコした積乱雲に入る時は飛行機が揺れることが多い。だから雲から出た瞬間は、次の手を考える非常に重要な瞬間。空を見て進路に雲があったら、それを避けるかどうかを一瞬で判断しなければならない。
そんなことをずっと考えながら飛ぶので、忙しい時の「週に20時間」ペースはけっこう辛い。
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■ 藤吉幹治さんと平間宣明さん(湘南コースト・スタントカイトチャンピオンシップ主催者)の
- 『スポーツカイトの空』の話
スポーツカイトは、子供の頃に流行った“ゲイラカイト”に形はよく似ている。でも糸が2本ついているのが大きく違う。大きさは三角形の底辺の部分が2m50cmくらい。外で空に上がっているとそんなに大きく見えないんだけど、実際に手に取ると意外なくらい大きい。
素材は、最初はナイロン系だったのが、最近はポリエステル系になって、非常に薄くて軽くなった。骨組みもカーボン製なので、全体的にとにかく軽い。風に合わせてカイトを用意するんだけど、微風の時なら100gちょっとのカイトになってしまう。だいたい風の強さに合わせて、弱風、順風、強風と3種類くらいのカイトを用意するのが普通。
スポーツカイトは2本のラインで自由に操作できるので、上に行かせる、○を描く、□、△、自由自在。着地だってちゃんとできる。楽しむのに一番向いているのは、南風が吹いてくる春先や秋の海岸。海を渡ってくる風は、障害物がないお陰でストレートなのがいい。たとえば湘南の場合、北風だといろんな建物にぶつかりながら吹く風になるので、風が荒れてしまう。だから海から吹いてくる風がカイトを操りやすい。
古来から伝わる凧は、空に向かって高く遠くへ飛ばすだけだった。でもスポーツカイトは、自分の意志で自由に操ることができる。これが何よりの醍醐味。そして「空に向かう」という開放感は、他ではなかなか味わえない。だから一度あげると、はまってしまう。
風を感じながら飛ばすので“Friends of the wind(風の友達)”なんて言い方もする。季節の良い時になって、いい風を受けながら自由気ままにカイトを飛ばしていると、トリップしたような気分になる。
強風の中、引きずられるような体験もスリルがあって面白いし、心地よい風の中で揚げるのも楽しい。そして上手く飛ばせた時の満足感、これは揚げてみないとわからないと思う。
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■ 伊奈孝さん(日本気球連盟理事)の
- 『気球で飛ぶ空』の話
普通、気球には地上との連絡用に無線機が積んである。でも最近は手抜きというか、携帯電話で済ませてしまうこともある。ところが携帯電話は上空で使うことは想定していないからか、高く上がると圏外になってしまう。真下に携帯の電波塔が見えているのに圏外だったりする。
とはいえ、下りてからの連絡用に携帯は便利。上空地図でどこにいるかだいたい確認しているので、下りてから携帯で連絡してトラックで迎えに来てもらう。上空から下を眺めながら地図と見比べると、地図の通りに道が敷かれているのがよくわかる。時には実際の眺めと地図が食い違っていて「この地図は古いのかな?」なんてことも。
気球の楽しみは、飛ぶことの面白さもあるし、風を読む楽しさもある。アメリカの有名なパイロットが「空の上でメディテーション(瞑想)をしているんだ」なんて表現もしていたし、空中を散歩しているような感覚もある。
低空を飛んでいると、木の上を静かに飛び越えられる。こういう乗り物は気球以外にない。木の上の方に鳥の巣があるのが見えたり、地上の人から手を振られてこっちも手を振ったり、そういう時間を楽しむ遊び。
バーナーを焚いていない時間は完全に無音。飛んでいる時間の10〜20%くらいしかバーナーは焚かないので、非常に静か。風と同じスピードで飛んでいるので、風を切る音もほとんどしない。
昔、秋に飛んでいたら、ツバメの渡りの時期だったのか、たくさんのツバメが気球に止まったことがある。気球が温かいからか、上の方に止まっていて、その様子がバルーンに影で映っていた。そんな経験はさすがに一度しかないけど、鳥が「下」を飛んでいるのはよく見掛ける。普通は鳥が飛んでいるところを見上げるものだけど、見下ろすというのはなかなか新鮮な感覚。
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放送曲目リスト
| Time |
Title |
Artist |
Label |
Number |
| 8'10" |
When You're Smiling |
Frank Sinatra |
Capitol |
CDP 7 46573 2 |
| 19'35" |
Blue Skies |
Della Rease |
bluebird |
09026-63912-2 |
| 29'02" |
Moments Like This |
Peggy Lee |
Capitol |
7243 4 98883 2 6 |
| 39'39" |
Time Was(Duerme) |
June Christy |
Capitol |
7243 498319 2 6 |
| 46'06" |
The World Is Your Baloon |
Jackie And Roy |
Verve |
J25J 25137 |
|