■ 阿刀田高さん(作家)の
- 『トロイ』の話
トロイア戦争は紀元前1200年くらい前に、ギリシャとトロイ(今のトルコ)が争った戦争だと考えられている。
現在のトルコの地中海寄りにトロイ遺跡がある。その街は大きく見積もっても1000m四方程度の城壁で囲まれた街だった。この都市がある時期非常に繁栄して、これがエーゲ海の対岸にあったギリシャにとっては脅威だった。
トロイの方は1つの王国だったけど、ギリシャの方は都市連合国家だった。そこで当時一番大きかった都市ミケーネの王様、アガメムノンを総大将にして、トロイに攻め込んだ。
戦争の直接のきっかけは、トロイの第2王子パリスがギリシャの都市の1つスパルタへ行った時に、ギリシャ1の美女と言われた王妃を連れて帰ってしまったことだった。個人的には、他人様の国の王女様を連れて帰るくらいなら、合意の上の駆け落ちなんじゃないか……と思うけど、さらったという説も有力。
最初の内はギリシャ側から「返せ!」という交渉も行われた。ところがトロイの王様は「いつもギリシャは威圧的で気にくわないから、返す必要はない!」と言って、話がこじれてしまった。そこで妻をさらわれたスパルタ王の兄貴にあたるミケーネの王様、アガメムノンが戦いを挑む、というあらすじ。
ちなみに神話では、さらわれた美女ヘレネは、ゼウスがスパルタの王妃に生ませた娘という設定になっている。ゼウスはやけに手の早い神様で、天から美女を見つけると、すぐにその女性の好きな動物に化けて言い寄る。ヘレネの母親に言い寄った時は白鳥だった。
そんな伝説の娘ヘレネは、スパルタ王家の後継者であり、なんといっても絶世の美女。ギリシャ諸国の王家の次男三男坊がお婿さん候補として名乗りをあげた。そこで父親は「娘の婿は入札で決める!」と言い出した。誰が申し込んでも構わないので、入札を見てヘレネ自身が相手を選ぶ。ただし入札に参加する条件として「将来、万が一ヘレネに狼藉を働くようなヤツが出たら、今回の入札に参加した者が一致協力してヘレネを救う」という約束をさせた。
そこに起こったパリスの事件。「あの時の約束を果たせ」ということで、ギリシャ諸国から次男三男が集まって、ギリシャ連合軍が誕生してトロイに挑むことになる。
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■ 西山栄子さん(ファッション・コーディネーター)の
- 『2004年の秋冬ファッション』の話
2〜3月に見てきたファッション・ショーで出てくるのは今年の秋冬モノ。だから次がどうなるかは大体決まっていて……実は今年の秋冬はもの凄く変わる。ナチュラルとかストリート系がダメになって、上品で金持ちでクラシックな感じが流行る。
たとえていうなら、イギリスの貴族のお嬢様。それがちょっと不良しているかな?というイメージ。代表的なのがヒョウ柄のコート。エリザベス・テイラーかソフィア・ローレンか叶姉妹じゃないと似合わないと言われているあのヒョウ柄のコートが、どこのショーでも出ていた。むしろヒョウ柄を出していないとそのブランドはダメ、くらいの勢い。ゴージャスでリッチなところは、50年代のハリウッドを彷彿させる。
日本では以前から「名古屋嬢」が話題になっていて、「名古屋、早いな!」という感じ。ちょっと前まではリラックス・カジュアルと言って、スカートとズボンを重ねるズルズルっとしたスタイルが流行りだったけど、今度はヒルトン姉妹。ちょっと有名で、家柄もあって、お金持ちで、キレイにしている。それでなおかつ、現代がわかっている。そういう部分がイギリス的。
ヒョウ柄、タータンチェック、ツイード、スワロフスキー。かつては女優しか着ちゃいけなかったものが、普通の人も身につけるようになる。
すでにトレンチが流行っているように「誰もが知っている」ことは大前提。誰もが知っているトレンチにブレードが付いているだとか、セーターがカシミヤになっているだとか、誰もが知っているということが“クラシック”ということ。だから今年の秋はコンサバのプチ・ブルジョアが出てくる。
この間カメラマンと話したら、「今月はキレイ系ばかり撮っている」なんてことも言っていた。ちゃんとスカートで、ちょっとヒールのある靴を履いて……という女性を、原宿・表参道あたりで撮る機会が続いたらしい。しかもその雑誌はカジュアル系だったので、重ね着、ジーパンのカッコイイ人を捜していたにもかかわらず、見つからなかった、という話だった。
そういった意味では東京は早い。ヨーロッパの人ですら東京へリサーチしに来るくらい。表向きは「東京はおもしろくて好き」なんて言っているけど、実際にはヒントを探しに来ている。若い娘がこんなにお金持ちでオシャレをしている国は他にないから。
最近はアメリカでも同じような傾向が出始めているらしいけど、結局は日本の後追い。“ファンションに関する消費”なら、日本は世界のトップランナー。
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■ 泉麻人さん(コラムニスト)の
- 『天気図』の話
あまり知られていないけど、天気図を書き込むための地図が書店で売っている。ラジオで気圧を聞いて、そこに等圧線を引いている。ラジオの漁業気象でいくつかのポイントの気圧を言うので、それを目安に付ける。
ラジオの放送はそもそも船舶用。石垣島から始まって「石垣島、北北西の風、風力いくつ、気温何度、何ミリバール」といった具合に、15分くらいかけて順に情報を流している。
さすがにまるっきりの素人だと、この天気図を描くのは難しいかもしれない。最初は地理の勉強が必要になる。それからロシアのセベロクリリスクとかポロナイスクといった都市も覚えなきゃいけない。韓国にはウルルン島という島があって、ここはイカとカボチャ飴が名物。そんなことも覚えてしまった。たぶん、そういう島は漁業の重要な拠点になっているのではないかと思う。
この放送は、若手アナウンサーの登竜門というか、修行の場になっているのでは。ルドナヤプリスタニとかセベロクリリスクなんてややこしい地名を、時間内に漏れなく読み上げなきゃいけなくて、これは難しい。聞いていると、時々つかえたりして、どうもベテランがずっと読み続けているという雰囲気でもない。向こう側から緊張感というか、アナウンサーの体温が感じられる。
すごく発達した低気圧がオホーツク海にあったりする時は船舶用の情報をいっぱい伝えなくちゃいけないので、最初に伝える普通の天気情報をアナウンサーが早口で読み上げる。「本日は情報が多いため早口でまいります」なんて断りを入れることもある。そういう時はこっちも気合いを情報を入れて書きとめる。
こんなことを始めたのは、子供の頃から好きだったこともあるけど、「気象予報士の試験を受けてみようかな?」と思ったから。気象予報士になろうと思ったら、物理も勉強しなくちゃいけない。それで最初に天気図を書き込むための地図と、高校の物理の教科書を買った。
物理の教科書は一度読んで投げ出してしまったけど、気象予報士の試験はそのうち受けてみたい。落ちるのはわかりきっているんだけど、自分の中の“気象マニア”としての箔を付けたい、なんて考えている。
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■ 駒田徳広さん(元プロ野球選手)と 加藤哲郎さん(元プロ野球選手)の
- 『水商売』の話
(加藤さん)野球をやめて、最近は水商売をやっている。大阪ミナミの『加藤』というお店で、いわゆる女の子のいるお店。
(駒田さん)実は僕も横浜関内でバーをやっている。名前は『Koma's House』。女の子はいないけど。みんなで立ち上げた会社のスタッフが、お昼は普通に仕事をして、5時になると順番にお店に出る、という決まりでやっている。日本のフォークやグループサウンズ、アイドルの曲をかけて、壁にはアグネス・チャンや仮面ライダーのポスター。そんなちょっと変わったお店。
(加藤さん)カラオケがあったり、会員制だったりは?
(駒田さん)カラオケはないし、会員制でもない。ただ、野球の話はなるべくしないようにしてもらっている。お客さんはいろんなチームのファンで、それに合わせるのは自分としては疲れるから。この間も「巨人の○○選手が嫌いだ!」というお客さんがいたけど、実は僕はその選手はすごく仲が良い。嫌いなのは個人の自由だと思うけど、それに調子を合わせるも疲れる。だからなるべく野球の話はやめて、ピンク・レディの話をしてほしい。
(加藤さん)僕は毎日お店に出ている。どれだけマジメにやってるか。そんなこと言っても誰も信用してくれないけど。4時にお店に行って、掃除して、おしぼりを巻いて……全部自分でやっている。
(駒田さん)ウチは儲かってないから、どうにもそこまで頑張る気がおきない(笑)。
(加藤さん)駒田さん、年下なのに偉そうなこと言ってしまいますが、それは駒田さんがちゃんと毎日お店に出て、ちゃんと野球の話をしないからなのでは?元プロ野球選手のお店には、やっぱり野球の話がしたくて来るお客さんも多いわけで、そういう人は「行っても駒田さん居ないしな……」と思ってしまったら、どうしても足が遠のいてしまう。ウチのお店も「女の子はいいから、加藤さんと野球さんの話がしたい」というお客さんが時々いる。
(駒田さん)なるほど!これからは考え方を変えて、野球の話をしたい人には「野球チャージ」をつけて、そのかわり思う存分、僕と野球談義というのはどうだろう?
(加藤さん)それ、絶対お客さん来ますよ!
(駒田さん)いやいや、冗談なんだけど……
(加藤さん)だって、お店の女の子なんて、しょせん人の彼女ですよ?!あ、こんなこと僕が言っちゃマズイか。
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■ 小西啓介さん(ファントム・フィルム)と 前川万美子さん(フジテレビ映画部)の
- 『ロスト・イン・トランスレーション』の話
『ロスト・イン・トランスレーション』はヴェネチア映画祭で絶賛されて、その評判が伝わってアメリカでヒットした映画。評判になったのは「日本人とのやりとりに字幕が付いていない」ところだった。その演出のおかげで、観客は主人公のビル・マーレイと同じ心境で映画を見れる。そのコミカルさが向こうでウケた。
その辺は日本人が見ると、言葉がわかってしまう分、ちょっと印象が違ってしまうかもしれない。ソフィア・コッポラ監督の狙いは明らかに「言葉がわからない」方だから。ビル・マーレイが言うには「アメリカ人はどこに行っても、現地の言葉を使わずに、すべて英語でコミュニケーションしようとする」らしい。映画ではたまたま日本が舞台だったけど、世界中どこへ行ってもそうなんだとか。そんなアメリカ人を馬鹿にしたセルフ・パロディがこの映画。日本人にそこが伝わるかどうかは、微妙なところだと思う。
ソフィア・コッポラは、大監督フランシス・コッポラの娘。『地獄の黙示録』の頃は監督の横で見学していたらしい。そして女優として『ゴッド・ファーザー Part III』に出演した後、クリエイターとしてファッションやフォトグラファーの勉強をイチから学んだ。だから世の中に出てきた最初は、ファッション・デザイナーやフォトグラファーとして注目を浴びた。ソフィア・コッポラのファッション・ブランドは、今でも代官山にお店があって、『MILK FED(ミルク フェド)』というお店。代官山の駅からちょっと奥まった場所にある。
初めてソフィア・コッポラと会ったのは、カンヌ映画際の時だった。もともとソフィア・コッポラは日本に友人が多く、その友達づてに「ソフィアが次の映画を日本で撮りたがっているらしい」という噂を聞いていた。そこでソフィア・コッポラのエージェントに連絡してみたところ、「じゃあちょっと話を……」ということになって、『ロスト・イン・トランスレーション』の企画を話してもらった。
ソフィア・コッポラは『ロスト・イン・トランスレーション』でアカデミー脚本賞を獲ったけど、なかなか評価のしにくいタイプの監督だと思う。台本を読んだだけでは「なにも事件が起こらないじゃん」と思ってしまう。でも映画になると、ビル・マーレイの抑えた演技などの力で、つい引き込まれてしまう。そういう計算をあらかじめ盛り込んでいるのがソフィア・コッポラの映画。
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放送曲目リスト
| Time |
Title |
Artist |
Label |
Number |
| 11'14" |
Ainda Mais Lindo |
Marcos Valle |
EMI |
8293702 |
| 20'33" |
Wave |
Elis Regina |
Philips |
830 391-2 |
| 31'15" |
It's A Lovely Day Today |
Astrud Gilberto |
Verve |
314 519 801-2 |
| 41'54" |
Voce E Eu |
Nara Leao |
Philips |
PPD-1054 |
| 48'21" |
Dra Lice |
Joao Gilberto |
World Pacific |
CDP7 93891 2 |
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