SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2004年4月24日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「宝石」

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 ものの本によると、ダイヤモンドが最初に歴史に登場したのが、紀元前4〜3世紀のインドだとか。海で採れる真珠に至っては、まさに太古の昔から海の宝玉として尊ばれてきたそうです。
 その美しい輝きで女性を魅了してやまない、そして男性を困らせ続けてきた(?)“宝石”。そういえば『竹取物語』でかぐや姫が出した無理難題も、「蓬莱の玉の枝」だの「龍の頸の玉」だの、宝石のようなものでした。
 今日はその宝石の魅力について語っておられたお客さまのお話を、少しだけここでご紹介させていただきましょう。


image ■ 山中茉莉さん(エッセイスト)の

『誕生石』の話

 誕生石は、言ってしまえば業者がセールストークのために決めたもの。とはいえ、勝手に決めたわけじゃなくて、それなりに出典はある。旧約聖書では、出エジプト記に登場する12の民に石が与えられていて、高僧がそれを身につけていた。それから新約聖書のヨハネの黙示録にも「エルサレムの城壁を飾る12の石」が登場している。そのあたりをヒントに誕生石が決められた。
 最初に「婚約指輪には誕生石を」と流行らせたのはポーランドに移住したユダヤ系の女性で、18世紀頃の話。ところが国によっても採れる石は違うので、最初はバラバラだった。そこで1912年、アメリカの宝石組合が大会を開いて原則を決め、1958年にイギリスの貴金属組合が新しい誕生石を制定した。
 日本の誕生石が制定されたのはイギリスと同じ1958年。今でも誕生石はお国の事情で少しずつ違っていて、日本の特徴は3月の誕生石がアクアマリンだけでなく、珊瑚も加わっていること。それから5月は本来はエメラルドだったところに翡翠が加わっている。
 そういう感じで各国の誕生石は土地の事情に合わせて微妙に違っているけど、どこの国でも共通なのが2月のアメシスト。この石は「美味しいお酒が飲める」力があると言われている。というのは、お酒の神様バッカスが宿るという伝説があるから。悪酔いしないためは、アメシストをポケットに忍ばせると良いとも言われる。
 ギリシャ神話によると、バッカスはわがままな神様で、いつも父親のゼウスから叱られていたらしい。ある時、またゼウスに叱られて腹を立てていたバッカスは、家来のライオンに「一番最初に出会った人間を食いちぎってしまえ!」と命令する。その一番最初に出会った人間が、アメシストという女性だった。ライオンに襲いかかられたアメシストが月の女神ダイアナに祈ると、彼女の体はみるみる真っ白な水晶に変わっていった。その美しい水晶を見て驚いたバッカスは、償いのために持っていたワインをその水晶にかけた。そうやって生まれたこの世で一番美しい紫の色が、紫水晶、すなわちアメシストである、とされている。
 バッカスはその時から愛情豊かな豊穣の神として生まれ変わり、アメシストもバッカスの力を借りてお酒に酔わない石となった。

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image ■ 西山栄子さん(ファッション・ジャーナリスト)の

『ファッションと宝石』の話

 せっかく高い宝石を買ったのに、年に数回のパーティーの時にしか付けないのはもったいない、という風潮が強くなっている。昼間とか、友達同士の時とか、普段でも宝石を身につける。そうすると必然的に、肌に付けるよりは、服に付ける方向にシフトしていく。
 宝石を洋服に付けるとなると、洋服の流行の影響を受けざるをえない。だから以前はダイヤモンドが圧倒的に重要だったけど、今は以前に比べて赤や緑の色石の比重が重くなった。たとえばピンクの洋服に、濃いピンクの指輪やブローチ、なんて色合わせも考えるようになっている。ファッションで花柄が流行れば、アクセサリーのデザインも花のモチーフにしたり。
 今の流行では、色が付いたものと、大振りなものが注目されている。それをシンプルな洋服に付けると、普通の洋服でも宝石で今風のファッションになる。
 ファッション業界は基本的に「流れを作って、みんなでそれで儲けましょう」という世界なので、差別化と言っても大きな流れの中での小さな違いが命。花柄が流行れば、花びらの形が違うとか、花びらの枚数が違うとか、そういうところは差別化しても、花柄という流れから外れてはダメ。「じゃあ、花柄の次はハートにしましょう」なんて業界で話し合うワケじゃないけど、有力なところが最初にやると、そこに川ができて、みんなそこに集まってくる。
 そういう川を作れるのは、カルティエ、ティファニー、ブルガリ、ヴァン・クリフあたり。最近ではハリーウィンストンなんかも日本人が普通に名前を挙げるようになった。それからディオール、シャネルといった、本来は宝石系じゃなかったファッション系のところも、ファッションとの兼ね合いで強くなってきた。
 洋服と合わせるというのとは別に、たとえばイヤリング、ネックレス、指輪の3つのゴールドが合っているとか、プラチナで合っているとかいったコーディネートも大切。今はよりお金持ちに見えるゴールド系が流行っていて、よりスポーティなものが流行っている時はホワイトゴールドやプラチナ、シルバーが流行る。
 洋服と宝石の合わせ方には2つある。「花柄を着ているから花のイメージのネックレス」と考える方法と、「シンプルだけど、花をポイントにしよう」と考えるやり方。「宝石を馴染ませる」方法と、「宝石を引き立てる」方法と言ってもいい。今は「馴染ませる」方が流行っている。ハートを2本重ねて、それが谷間で揺れたり、耳で揺れたり、とか。
 値段のことを言えば、本物はブランド料が付いてくる場合もあるので、どうしてもそれなりの値段になる。一方、流れができると「本物に似たもの」も出てくるので、「これはどこの?」と聞かれるものは本物で、横で添え物に使うのは「似たもの」で……という考え方が海外でも普通になりつつある。

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■ デヴィ・スカルノさん(元インドネシア大統領夫人)の

『宝石と宝石商』の話

 私のフルネーム「ラトナ・サリ・デヴィ・スカルノ」はサンスクリット語で「宝石の聖なる女神」という意味。インドネシア国籍を取得した時に、大統領がこの名前を付けてくれた。
 ちょっと大仰な名前に聞こえるかもしれないけど、インドあたりではマハラジャの奥さんにはけっこう昔からあった名前で、最近ではけっこう誰でも使っている。
 私は「宝石は女の勲章」だと思う。宝石を付けられる、それが必要となる宴に出られる、そういう生活がある女性は成功者。そういう意味での“勲章”だと思っている。男性の場合は、燕尾服でホワイト・タイの第一礼装で出席するパーティーなら、持っている勲章をすべて身につけるのが作法。だから女性も、頭にはティアラ、ネックレスにイヤリング、腕輪、指輪、ブローチ……と、宝石で全身を飾る。
 イブニング・ドレスは胸が開いたデザインになっているので、そこを飾るのが大きなネックレス。黒いドレスだったら緑の鮮やかなエメラルドが映えるし、ダイヤモンドと真珠なら何にでも合う。逆に、赤い洋服にルビーは危険。絶対に同じ色にはならないから。エメラルドもコントラストが強すぎて良くない。赤いドレスなら、白い真珠かダイヤがオススメ。白いドレスだったらどの宝石でも大丈夫。
 宝石はアクセサリー、すなわちアクセント。宝石を付けることによって、その人の魅力をより引き立たせてくれるもの。
 ダイヤなら、昔からハリー・ウィンストンという会社がNo.1。風格のある素晴らしいデザインで、大粒のダイヤをたくさんあしらった宝石を作ってきた。最近はイギリスにグラフという会社が出てきて、ハリー・ウィンストンに勝るとも劣らない素晴らしいダイヤを作っている。
 ブルガリは色の付いた宝石では伝統的に一番。今の代のお父さんの頃は、エメラルド、ルビー、サファイアと言えばブルガリだった。
 今は世界が豊かになったせいか、宝石商は星の数ほどある。ただ、ファミリーでずっとやっているのは、ブルガリ、ヴァン・クリフ&アーペル、ハリー・ウィンストン、グラフ、くらい。カルティエにはカルティエ家の人はいないし、ティファニーにも最初の人の子孫は残っていない。
 ちなみにカルティエ家最後の宝石商は、ルイ・カルティエ。カルティエ家はマリー・アントワネットにも宝石を作っていた、なんて時代から続いている。

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image ■ 小倉嘉五郎さん(オグラ宝石精機工業)の

『工業用宝石』の話

 家庭で使われている工業用宝石なら、電力会社のメーターがある。あれの中でクルクル回っている板、その上と下の軸受けにはサファイアが使われている。それから電気の流れを調べるのに使うテスター。あの左右に振れる針の軸受けにもサファイアが使われている。水道メーターの軸受けにもやはりサファイア。サファイアは滑りが良くて硬いので、その性質が工業用によく応用される。
 ダイヤモンドに至っては、ありとあらゆるところで使われている、と言ってもいいほど。時計の外側や文字盤をキレイに削るのにはダイヤモンドを使うし、CDの原盤を顔が映るくらいキレイに削るのにもダイヤモンドを使う。ダイヤモンドは硬いだけでなく、耐摩耗性も優れているのでこのような用途に使われる。
 実は、天然ものに匹敵するようなダイヤは、もう工業的に作り出すことができる。カーボンが温められた鉄の中に吸収されて、結晶になったものがダイヤ。だから工業用には、工業的に作られたダイヤが主に使われる。それでも超高品質のダイヤが必要になる、ミクロドームという医療機器や金星ロケットの窓などは、天然ダイヤが使われた。
 そして何より、女性の心を掴むための宝石は、天然ものじゃないと。

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image ■ 齋藤佳子さん(ヴァン・クリフ&アーペル)の

『ヴァン・クリフ&アーペル』の話

 ヴァン・クリフ&アーペルは、フランスはパリのヴァンドーム広場に生まれたブランド。2006年に100周年を迎える。
 1896年にアーペルさんとヴァン・クリフさんが出会って結婚したことがきっかけで、このブランドは生まれた。エステル・アーペルさんという宝石商の娘さんと、ダイヤモンド商の息子だったアルフレッド・ヴァン・クリフさんが結婚して、その10年後にブランドを立ち上げた。
 有名になったきっかけは、グレース・ケリーの御用達だったことから。モナコにもお店があって、レーニエ公との結婚の時にもパールのパリュール(イヤリング、ネックレス、指輪などのセット)も作った。
 ヴァン・クリフ&アーペルの特徴は、自然をモチーフにしたものが多いこと。お花、蝶、トンボ、非常に有機的なデザインを使ったものが多い。それからミステリー・セッティングという技術も有名。たとえば、普通のダイヤモンドは上から見ると必ず爪が見える。ところがその爪が見えない“ミステリー”なセッティングができる。これは特許も取っている企業秘密。
 ファッション・ショーのような“ジュエリー・ショー”も行っている。ただ、ファッション・ショーみたいにステージの上をまっすぐ歩いてきてそのまままっすぐ下がると何も見えないので、テーブルの間をモデルさんが練り歩くことになる。そしてモデルさんが歩き回った後に、モデルさんが付けていたジュエリーをトレーに載せて、改めてトレーをテーブルごとに見せて回る。

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放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
7'42" My Shining Hour Sammy Davis Verve POCJ-2084
11'04" A Shine On Your Shoes Debbie Reynolds Universal MVCJ-19233
31'28" Daddy Bobby Troup 東芝EMI TOCJ-5890
41'11" I Was A Little Too Lonely Nat King Cole Capitol CDP 7 483282
47'22" Diamonds Are A Girl's Best Friends Lena Horne RCA BVCJ-1011


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