SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2004年4月10日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「ギリシャ」

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 バルカン半島の南。地中海やエーゲ海に面し、かつては世界に冠たる文明を誇った国「ギリシャ」。今でもその名残は、星座の名前や科学の記号に見て取ることができます。
 そしてご存じの通り、今年の8月には夏季五輪が聖地アテネで開催されます。おそらく私も、8月にはテレビにかじりついて声援を送ることになるでしょう。
 もしかしたら、お客さまの中にはアテネまで応援に駆けつける方もいらっしゃるでしょうか? それでしたら土産の品よりも、ぜひ土産話をお持ち帰り下さい。ココでご紹介させていただいているような楽しいお話こそが、なによりの土産だと思いますよ。


image ■ 阿刀田高さん(作家)の

『古代ギリシャ文明』の話

 古代ギリシャは非常に優秀な、合理的な、芸術的な民族だった。原理原則、ものの通り、哲学、芸術などを生み出すのに非常に向いていたので、彼らが追求した哲学や科学は一気に16〜17世紀のヨーロッパに結びつくほど。
 たとえば、彼らは地動説も知っていたし、物の根底に原子があることも知っていた。もちろん地球が丸いことも知っていた。哲学だって、ソクラテス、プラトン、アリストテレスあたりは現代でも研究に値する哲学を生み出している。
 その後、キリスト教が出てきて、精神文化としては非常に卓越したものを生み出したけれど、残念ながら合理的な人間の思考を発達させるという点においてはあまり向かなかった。それで15〜16世紀に「神も大事だけど、人間をもう一度ちゃんと見ようじゃないか」と人々が考えたのがルネッサンス。つまりルネッサンスというのは、ギリシャの人間的な文化をもう一度ヨーロッパに取り戻そう、という運動だった。
 実はギリシャのすぐ後の古代ローマ人は、ギリシャ人と性質がまったく違って、具体的なことが得意だった。だから政治、法律、土木工事、こういったことは非常にうまくて、法律を作って、軍事を整え、植民地を統制して、とてつもない道路や橋を造り、ひとたび事が起きれば軍隊がその道を通ってあっという間に駆けつける。そういう面では非常に優れていた。
 学問には必ず原理原則を学ぶ部分とその応用を学ぶ部分がある。基礎の方が向いていたのがギリシャ人、応用に向いていたのがローマ人と例えてもいい。そのローマとキリスト教が結びついて、人間の精神文化は非常に栄えたけれど、逆に科学や人間哲学、また、人間の本来の姿である裸の体の美しさを描いた芸術、そういったものは発達しなかった。
 そういう風に、古代ギリシャは非常に優れた文化を持っていたんだけど、それがなぜか今に受け継がれていない。私もずっと疑問に思っていて、当のギリシャ人に聞いてもみてもわからない。そこで1つ仮説を立てた。
 古代ギリシャは多神教だった。現在のギリシャは「ギリシャ正教」というキリスト教の一派が中心で、人口の95%を占めている。ここに原因があるのでは……というのが私の仮説。古代ギリシャ人があれだけ自由奔放にいろんな事を考えられたのは、彼らの精神の根底にいろんな神様がいっぱいいたからなのではないか、そう考えている。

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image ■ メンザス・スピリドンさん(神宮前「スピローズ」)の

『ギリシャ料理』の話

 ギリシャ料理ではオリーブオイルをほとんどの料理に使いつつ、幅広い食材を扱う。野菜はもちろん、魚、肉、パン、芋、パスタ、いろんな国の料理と共通点がある。
 代表的な家庭料理と言えば、ぶどうの葉でご飯をくるんだ「ドルマダキア(英語ならドルマデス)」。ぶどうの葉ごと食べるんだけど、その葉の香りがみんな好き。
 日本で一番知られているのは「ムサカ」か「タラマサラダ」だと思う。ムサカは挽肉とナスとポテトが層になっていて、ホワイトソースがかかっているもの。それから「タラマ」はタラコのことで、「サラダ」はパンなんかを付けるディップという意味。だからタマラサラダは、ジャガイモやパンにタラコをあえたもので、これも美味しい。タラコに限らずギリシャでは魚介類をよく食べるので、ヨーロッパでは珍しくタコも食べる。
 「スブラキ」という料理は、ラムかポークをオリープオイルと白ワイン、ハーブなどと漬け込んで、1晩寝かす。それを串に刺して焼くので、中まで味がしみこんでいて美味しい。「ラムチョップ」なら同じものをオーブンで焼いたもの。ものすごく柔らかいし、ラムの臭みが消えるのでラムが苦手な人でも大丈夫。ギリシャは山が多いので、大草原で飼う牛よりは、山でも飼えるヤギやヒツジの方がよく食べる。
 イチオシは「ユベチ」という小さなパスタ。見た目はどう見ても米なんだけど、食べるとパスタの食感がある。それを煮込んだ牛肉のスープに入れて、オーブンで焼く。食べる瞬間まで米にしか見えないんだけど、米より軽いパスタでツルツル食べられるので絶対に驚くと思う。ウチの常連さんはみんな必ず食べて帰っている。
 それからギリシャ人は甘いもの好きで、デザートも充実している。「クラビエ」というクッキーは500円玉くらいの大きさで、粉砂糖がまぶしてある。中にはアーモンドを砕いたものが入っていて、日本の人がびっくりするくらい甘い。シナモンやココナッツを巻いている7〜8cmくらいのものに、とろけんばかりのハチミツが乗っかっていたりして。一口噛んだだけで「これは虫歯になるな……」と思ってしまうくらいの甘いものがギリシャ人は大好き。

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image ■ 木戸雅子さん(共立女子大学教授)の

『ギリシャ語』の話

 ギリシャ語が使われているのは、基本的にギリシャだけ。他にはニューヨークやオーストラリアの移民街、それからキプロスくらい。
 発音は割と日本人にとって楽。スペイン語やイタリア語もそうだけど、書いてある文字を全部発音するのが取っつきやすい。
 インド・ヨーロッパ語族というグループの中では、ギリシャ語は1つの独立した言語で、ラテン語ともルーツは別。ただ、ギリシャ文字を利用して、ロシア語の文字ができているので、そういう意味での影響は与えている。ただ、ギリシャ語は「4000年使われ続けた世界唯一の言葉」と言われている。
 「こんにちは」は「カリメーラ」、「ありがとう」は「エフファリスト」。ドイツ語みたいな「ハ(ファ)」という発音は、ちょっと日本人には馴染みがないかも。「こんばんは」は「カリスペーラ」。語尾がちょっと巻き舌になる。
 全体にハッキリした発音で、ひとつひとつの単語にアクセントが1つずつ付くので、非常に聞き取りやすい。そのあたりがイタリア語やスペイン語に近いと思う。
 残念ながら文法はかなり難しい。そのせいで話ができるようになるのは大変かも。動詞の語尾変化、それから名詞は男性、女性、中性があって、それにあわせて形容詞も変化する。さらに単数、複数の変化もあって、日本人にとってはその概念は難しい。
 そんな難しい言葉が使われ続けたのは、ギリシャが文化の中心地だったから。古代ギリシャに始まり、アレキサンダー大王のヘレニズム世界でも共通語はギリシャ語だったし、キリスト教の新約聖書も最初はギリシャ語で書かれた。その後に東ローマ帝国が誕生した時も、公用語はギリシャ語だった。その間、ずっと文化の中心を担ってきた地域でギリシャ語が継承されてきたことになる。
 日本で世界史を習うと、ギリシャという言葉が出てくるのはポリス国家の時代くらいで、その後は19世紀のギリシャの独立まで出てこない。その中間の中世ローマ帝国(ビザンティン帝国)も、コンスタンチノープルが成立した330年から始まるとは教わるけど、次に教科書で出てくるのは1453年のコンスタンチノープル陥落。その間はまったく語られない。でも、その間もずっとギリシャ語が使われていた。
 コンスタンチノープル陥落後は400年間トルコに支配されていたけど、トルコはイスラム教で、ギリシャはギリシャ正教。文化は融合しなかったので、ギリシャ語は使われ続けた。そんな経緯で、ギリシャ語は4000年も使われ続けている。

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image ■ 佐原義規さん(近畿日本ツーリスト)の

『ギリシャ観光』の話

 せっかくギリシャへ行くなら、どの時期にどこへ行きたいか、ギリシャへ行って何をしたいかを最初に考えた方がいい。
 というのは、いわゆるギリシャの世界遺産は一年中いつでも見られるから。でも島へ行くクルーズを楽しみたいなら、4〜10月くらいまでの時期じゃないとダメだし、エーゲ海の1日クルーズと島々を巡る7日間のクルーズでは、準備する服装も違ってくる。中にはネクタイ着用でダークスーツ、なんてドレスコードがある場合もある。
 そして私たちもプロとして旅行の組み立てをしているので、「エーゲ海のクルーズも付いて、潜水艦ツアーも付いて、この値段!」なんて商品もある。こういう商品がけっこう売れている。
 意外と知られていないのは、ヨーロッパ系の飛行機会社で行くよりは、アジア系の航空会社、たとえばウズベキスタン航空やタイ航空、シンガポール航空、それからドバイ経由のエミレツ航空なんかを使う行き方。そういう航空会社を使うと、成田発21時で、飛行機の中で寝て、11時40分くらいにアテネに着いたりする。そうやって明るい内に着けば、印象もだいぶ違う。帰りも23時25分アテネ発、19時55分アテネ着という便もある。そういうところは、よくよくパンフレットを見て研究した方がいい。
 今年のギリシャ旅行の目玉は、初の「潜水艦体験ツアー」。フローティングバーでウェルカム・ドリンクを飲んで、地中海探索でまぼろしのアトランティス大陸が発見できるかもしれない!なんて。そしてやっぱりオリンピック。7月前に行くか、9月以降に「あのマラソンのスタート地点に行ってみたい」とこだわって計画を立てるのもいいと思う。
 せっかく行くなら、島に滞在するプランがオススメ。サントリーニ島やミコノス島の滞在はかなり面白い。アテネなどの遺跡ばかりじゃなくて、リゾートという面を覚えておいて欲しい。白い町並みの島の素敵なホテルに泊まって、ゆっくりと本を読む。そんな楽しみ方もいいと思う。
 ちなみにクルーズは海の上なので、携帯電話が通じない。だから日本からの連絡を取りたくない、うるさい上司からの電話をもらいたくない、メールも来ない、そんな環境も手に入る。留守電には「船上のため連絡が取れません」とだけメッセージを残して。それもクルーズのウリの1つ。

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image ■ 日下宏美さん(TBSディレクター)の

『世界遺産の撮影』の話

 『世界遺産』のロケで、ギリシャでは2回、場所で言えば3カ所を撮影した。
 夏、ロドス島で撮影した時は、アテネから飛行機で1時間。でもお金持ち系の方々は船でエーゲ海の島々を転々と回って、一番大きなロドス島で集まって、またエーゲ海の島々を巡るらしい。そのヨットが格好良くて、豪華客船とはまた違ったシャープな船で、ほどよくロマンチックな“航海”を感じさせた。9月くらいの、バケーション・シーズンの最後の方だったんだけど、大勢の観光客の中に日本人がほとんど居なかったのも印象的だった。
 ロドス島には城壁で囲まれた旧市街があった。その城壁は十字軍時代にオスマン帝国に対してヨーロッパの砦として作られたもの。それが当時のまま残されている。城壁がある場所は港のすぐ側で、そこを中心として街は大きく発展していて、今は周辺に大きなホテルも建っている。プライベートビーチもあったり。でも、その中心にある古い石造りの街そのものが世界遺産。
 ところがこの撮影が大変で、とにかく観光客が次から次へとやってくる。大きな船が着くと何十人の人が決まったルートを歩いてきて、添乗員が説明を始める。みんな立ち止まって話を聞くから、いなくなるまで撮影を待たなくてはいけなかった。最初はイライラしていたけど、もう途中からはボーっと。
 途中からは「これは人がいない早朝に勝負するしかないな」と。古い石畳の通りを見渡すようなカットは早朝に撮って、人が出てくる頃には別の場所を撮影する体制をとった。ところがこだわって撮影すると大変で、「十字軍だから甲冑を着た騎士が遠くから走ってくるシーンを撮ろう」なんて考えたのはいいけど、何度もやり直している間に日が昇ってきて、だんだん周りが賑やかになってきてしまった。その場所がメインストリートだったから、けっこう大変な騒ぎに。
 ところがその騎士の衣装を貸してくれたのが向こうのお巡りさんで、その仲間とかが手伝いに来てくれていたので、メインストリートを完全に通行止めにしてくれた。ちょっとの間だけだったけど、常識的に考えたらあり得ない。あれはラッキーだった。

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放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
9'49" The Glory Of Love Peggy Lee Capitol 7243 8 5454 2 5
19'00" Almost Like Being In Love Nana Mouskouri Mercury UCCM 9161
28'07" Your Smiling Face John Pizzarelli Telarc UCCT-1088
40'43" Makin' Whoopee Beverly Kenney Blue Note 0777 7 8914 2 7
49'26" Love Won't Let You Get Away Bing Crosby & Rosemary Clooney RCA R25J-1003


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