SUNTORY SATURDAY WAITING BAR
2004年3月13日の放送

この日の放送曲目リスト/過去の放送内容リスト

「ベスト・コニサー」

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 おかげさまで本日も、当店AVANTIは大勢のお客様で賑わっております。歌舞伎役者の片岡孝太郎さんのような著名な方から、弁天山美家古寿司の内田正さんのような市井の方まで、さまざまなお客さまがグラスを傾け、お喋りを楽しんでおられます。
 そういったお客様たちのお話こそが、当店の自慢です。映画、音楽といった柔らかい話から、政治、科学のような堅い話、珍談奇談に、怪しげな噂話、いろんな話が飛び交います。誰が言い始めたのかは分かりませんが、常連のお客さまの間では、そんな面白い話をする方々を、敬意を込めて「コニサー」と呼んでいるとか。なんでもフランス語で「目利き、玄人」という意味らしいのですが。
 お時間がございましたら、その「コニサー」のお話を聞きながら、一杯飲んでいかれませんか?


image ■ 片岡孝太郎さん(歌舞伎役者)の

『白い巨塔』の話

 ドラマ『白い巨塔』の手術シーンを撮影する時は、外科の先生に立ち会ってもらって、メスの持ち方1つから指導してもらいながらリハーサルをやっている。手術室は「不潔域」と「清潔域」が細かく分かれていて、見ている立場でも立ち位置が非常に難しい。
 先生たちの実演をみていると「メス…コッヘル…」と言いながら流れるような動きで、まるでお茶の作法をみているかのよう。正直、やっていて「楽しい」と思った。
 通常、テレビでは「カメラワークの嘘」は当然で、顔が見えるように立つ位置を工夫したりする。でも『白い巨塔』ではリアルさを優先しているので、そういう「嘘」に関してはすべて先生に「ダメです」と止められる。手術シーンに限らず、裁判のシーンもリアルに作っている。
 僕は今までTVドラマは時代劇ばかりで、実は現代劇は初めてだった。だから最初は「これでいいのかな?」って周りが気になっちゃって。目の動かし方も、時代劇ならゆっくりたっぷり動かしたりして、ちょっと歌舞伎に近い感じなんだけど、現代劇でそれをやるとちょっとオーバー。しかも『白い巨塔』はアップが多いので、放送を見て「ああ、やりすぎた」と思うこともある。伊武雅刀にも「おい、舞台じゃないんだから……」と言われてしまったし。
 『白い巨塔』の撮影現場では、基本的にキャストは台本を持ってこない。全員セリフを覚えてくる。というのは、医療用語が難しくて、あらかじめ覚えてこないと絶対に滑舌にトラブルを来すから。
 このドラマの現場では、アドリブを入れるのは西田敏行さんくらい。逆に唐沢寿明さんは、語尾まで一字一句台本通りのセリフを言う。普通、語尾を変えるくらいのことはよくやるんだけど、それくらい唐沢さんは脚本を信頼しているのだろう。それに「これが言えなくなったら、俺は(役者を)やめる」とも言っていたので、それが唐沢さんのこだわりなのでは。

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image ■ 加瀬邦彦さん(作曲家)の

『スパイダースとブルージーンズ』の話

 ほとんど誰も知らないけど「スパイダース」に3ヶ月ほどいたことがある。その前は「キャノンボール」。清野太郎さんが慶應の先輩で、「バンドを作るから」と呼ばれて入ったのが大学1年の時だった。
 その清野さんがハワイに行っちゃって、代わりにかまやつ(ひろし)さんが入ってきて「かまやつひろしとキャノンボール」になった。ところがある時、スキー場へ仕事をしに行って、ついでに2〜3日遊んで帰ってきたら、その間に仕事が入っていたらしく、悪気はなかったけどドタキャン。そのせいでキャノンボールは解散になってしまった。
 ホリプロの社長のところへ行って「スミマセン」と謝ったら、「じゃあ、かまやつと加瀬はスパイダースへ行け」ということになった。かわいそうなのは他のメンバーで、首謀者の2人は別のバンドに入れたのに、他のみんなはクビになってしまった。
 ところがスパイダースに入ったはいいけど、グループサウンズのブームの前だからお客さんなんか全然入らない。スパイダース自身も「ポップスをジャズにアレンジした」ような音楽をやっていて、僕が当時のポップスとかロックみたいなギターの弾き方をすると「邪道だ」と怒られていた。
 「こんなグループにいてもダメだな……」と思っていたところに、電話をかけてきてくれたのが寺内タケシさんで「お前、ブルージーンズに来ないか?」と。「ブルージーンズはいまテナーサックスが入っているけど、今度エレキだけのバンドにするから」と聞いて、渡りに船とブルージーンズに移ることにした。
 ところが話はそう簡単には済まない。「僕、ブルージーンズに行くんで、辞めさせてください」と言ったら、「いや、スパイダースもメンバーを入れ替えて、ジャズ路線もやめるつもりだから、そこでリードギターを頑張ってくれ」と引き留められた。でもこっちは寺内さんに「行きます」と言っちゃったし、毎日ご飯もごちそうになっていたから、ブルージーンズの方を断るわけにもいかない。
 そうこうする内に「ブルージーンズに行く」と言った日が来てしまった。その日、ブルージーンズは新宿の「ACB(アシベ)」でステージ、スパイダースは浅草にあった「新世界」というジャズ喫茶でステージ。僕はとりあえず、自分のギターとアンプが運ばれている「新世界」の方へ足を運んだ。
 当時、バンドにはテーマ曲のような曲があって、その曲でスパイダースのステージが始まった。僕は最初の8小節くらいを弾いたところでパッと演奏をやめ、ギターをアンプから抜いて「お世話になりました、今日でやめさせてもらいます」と言って、そのままアンプとギターを持ってステージから逃げ出した。田辺昭知さんはドラムを叩いているから「おい、加瀬!待ってろ!この次が終わったら話をするから!」って怒鳴ってた。お客さんはそれを見てキョトンとしていた。
 僕は友達にあらかじめ「エンジンをかけて待っていてくれ」と頼んでおいた車に飛び乗って、そのまま新宿のアシベへ駆けつけた。着いた時はちょうど休憩時間で、そこで寺内さんから「今日から入る加瀬だ」と紹介してもらった。そのまま練習もせずにステージへ。「次の曲は何ですか?」「『ルシール』!G!」ってキーだけを教えてもらって演奏した。
 その後、どこかのジャズ喫茶でたまたまスパイダースと一緒になった時はぶっ飛ばされるかと思ったけど、「どうもスミマセンでした」と謝りに行ったら、「いや、やっぱりお前はそっちに行って良かったんじゃない?でも俺たちも負けないからな」と許してくれた。
 僕が抜けた前後からスパイダースもどんどん変わっていって、マチャアキ(堺正章さん)や井上順も入ってきて、どんどん売れていった。田辺さんも変わらなくちゃいけないと思っていた時期だったらしい。それにしても絶対にぶっ飛ばされると思って、本当にビビっていたけど。

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image ■ 内田正さん(弁天山美家古寿司)の

『江戸言葉』の話

 いわゆる「江戸弁」には「ひ」がない。ぜんぶ「し」になってしまう。空を飛ぶヤツは「しこうき」。ぶつぶつ文句を言う人は「しょうろんか」。
 ワープロで打つ時も、ついその調子で打ってしまう。「しこうき」「しょうろんか」もちろんワープロは変換してくれない。でもなぜか「違う」という認識がないから、「制限漢字かな?」と勝手に納得している。
 「コーシー」「しゃくえん」なんでもそう。地域限定の「江戸前」ワープロとか「茨城バージョン」とか、けっこうニーズがあると思う。ちなみに新潟だったら「え」と「い」の区別がないので、「越後」が「いちご」になるらしい。
 その新潟は、地ビール発祥の地。それで「いちごのビールがあるから行ってみませんか?」と誘われたことがある。「イチゴからビールが造れるのか!」と驚いて、みんなで新潟の工場まで出かけた。ところが現地ではどこからもイチゴの香りがしなくて、「?」と思ったら「越後のビール」だった。現地に着くまで、旅館の女将さんもタクシーの運転手も、みんな「いちごのビール」って言うから、完全に騙された。
 実は、東京の下町弁と江戸弁はまったくの別物。時代劇に出てくる「てやんでぇ、べらんめぇ」は、地方から江戸に出てきた人たちの言葉で、下町弁はおとなしくてソフト。
 ウチの店は私で5代目で、やっぱり古い言葉がつい出てしまう。たとえば「ヒラメの昆布締め」は「しらめの昆布締め」。今は説明のために意識して喋っているけど、普段は「し」と言ってしまう。でも、浅草エリアの店では「しらめ」の方が標準なので、お客さまの方で変換してもらう必要がある。
 もっとも「ひ」と「し」の区別が付かないのも、私の世代くらいまで。私の子供たちあたりの年代から「ひらめ」とちゃんと発音している。教育の成果、と言えなくもないけど、地方性が失われるのはちょっと寂しい。
 最近は歌でも、地方の言葉をそのまま歌ってヒットしている人もいるとか。やっぱり言葉は、その土地によって使い分けられて、それぞれが商売をしているのだろう。
 けっして「古い方が偉い」などとと言うつもりはない。そもそもワープロの例の通り、不便なのはこちら側で、新しい人たちは「しょうがねぇな」と思いながらも付き合える範囲だし。
 そういえば中学で初めて英語を習った時、「ひ(he)」と「し(she)」 で男と女を分けると言われて、これには大いに困った。小学校の時の校歌も誰が作ったのか「♪道広く、街ひらけて〜」なんて名文で始まるんだけど、これを浅草っ子が歌うと「♪道しろく、街しらけて〜」になっていた。小学校の校歌はその土地の人に作らせた方が良いと思う。

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image ■ 田中美里さん(女優)の

『乗馬』の話

 高校の時に、馬に会いたい一心で海辺の乗馬クラブへニンジンを持って通っていた。そうしたら乗馬クラブの人が「どうせなら乗ってみない?」と誘ってくれて。もちろん高校生でお金なんかなかったから、馬房の掃除やポスターのモデルとしてお手伝いをする代わりに、乗せてもらうようになった。その割にはまるで会員のような顔して乗っていたけど。
 それくらい、とくかく馬が大好き。優しい目に癒されるというか、人間に近い感情を持っているのがストレートに伝わってくる。時には見下されることもある。調教の先生がこっちを見ていないとサボってゆっくり歩かれたり。しかも先生がこっちを見ると、急に早足になる。
 東京に来てからはなかなか乗馬をする機会がなかったけど、大河ドラマに出演した時に、他の出演者のみんなが小淵沢で練習をするという噂を聞きつけて、私も参加した。もちろん私は馬に乗るシーンなんてなかったんだけど。ドラマの中で馬に乗る機会の多い反町さんよりも足繁く通ったかも。
 遠乗りもやったことがある。あれはゆっくり歩いている間は気持ちいいんだけど、たまに草をむしゃむしゃ食べ出して、ぜんぜん動いてくれなくなったりすると大変。
 乗馬の魅力は、馬がどういう風に動くかわからないところ。でも信頼すると必ず思うように動いてくれるし、馬のくせに(?)普通にコケたりするところもカワイイ。しかも誤魔化すようにすました顔で歩き続けようとするし。本当に人間といるみたい。
 馬にまたがると視線も2m以上の高さになるので、見たことのない世界で気持ちいい。その高さから自然を見ると癒される。
 誰にでもお勧めしたいところだけど……男性はちょっと考えた方がいいような。乗馬の後で、股ズレしたのかスゴイ歩き方をしている人も見たことがあるし。それが彼氏だったら、かわいそうと思いつつも冷めてしまうかも。

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image ■ 勝田紳嗣さん(コクドアイスホッケー部・マネージャー)

『アイスホッケー』の話

 アイスホッケーの「オフサイド」は、サッカーとは少し違う。リンクにブルーラインという青線が引いてあって、パックをキープした人間が、一番最初にその線を越えなければいけない。ブルーラインよりも前に選手がいたらオフサイド。
 もう1つ、アイスホッケーを見る上で覚えておいた方がいいルールは「アイシング」。たとえば攻撃を受けている時に、相手ゾーンに思いっきりパックを弾き返し、そのパックがゴールラインを越えると、アイシングという反則。自陣に戻されてしまう。
 アイスホッケーは試合が続いている最中でも選手の交代が自由なので、40〜50秒間隔でどんどん選手が入れ替わっていく。キーパーを除いた5人の選手が3セットいて、入れ替わり立ち替わり交代する。アイスホッケーは無酸素運動で、1分も試合に出ると動けなくなってしまうので、こういう仕組みが採用されている。
 5人1組のセットは完全に固定で、かならずセットごと交代する。ところが何かの間違いで、人数が多くなってしまうこともある。これは「メンバーオーバー」という反則。とにかく選手交代がめまぐるしいので、意外とヒヤッとする瞬間は多い。
 選手のベンチの向かいにあるのは「ペナルティーボックス」。反則によってそこに選手が入れられてしまったチームは、しばらく人数が少ない状態で戦わなくてはならない。キーパーをのぞいた人数が5人しかいないから、これが4人になるのは辛い。ただ、人数が少ない方のチームは、先ほどの「アイシング」が適用されないので、ひたすら耐える事に専念する。時には2人の選手がペナルティーでいなくなって、5対3になることもある。こうなると多い方のチームはフォワードを5人も投入したりする。
 それから、アイスホッケーの名物(?)といえば乱闘。実は、1対1で殴り合っている間は、審判もいちいち止めたりしない。カナダのNHLには「ポリスマン」と言って、乱闘が専門の選手もいるくらい。チームのスター選手が乱闘に巻き込まれそうになると、ポリスマンが出て行って喧嘩を買う。
 一応、その殴り合いには、もちろんスティックなんか使わず、グローブさえも外して殴り合う、という暗黙のルールがある。でも実は、乱闘前にグローブを外した時点で「ゲームアウト」と言って、その試合はもう出場停止。お互いにそれくらいの覚悟があって、乱闘は起こるもの。
 ちなみにその乱闘を「ファイト」と言うんだけど、おおすじ味方も止めようとはしない。ファイトに勝って、相手が戦意を喪失したら、ベンチも大盛り上がりで「ナイス、ファイト!」。

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放送曲目リスト

Time Title Artist Label Number
7'40" Fascinating Rhythm Mel Torme Bethlehem COCY-9937
17'46" Stella By Starlight Caterina Valente BMG BVCJ-1009
29'57" That's My Style Peggy Lee Capitol 7243 5 21096 2 3
38'40" Who Wants To Fall In Love Jackie & Roy KOCH KOC-CD-7927
47'10" Heart And Soul Morse Code 東芝EMI TOCJ-5990


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